コロナウイルスが猛威を振るう中、きっと自宅で暇を持て余している方も多いと思います。そんな時はチェスの学習です!
今週は次のエンドゲームが面白かったので、ここでシェアしたいと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=oD7jT0b72as
映像は次のポジションから始まります。
Gelfand - Svidler
Tal Memorial Blitz 2014
position after 56. Kg5
[プロモーションに最低でも7手かかる白に対して、黒はあと5手です。同色ビショップなので、ロングダイアゴナルでビショップをぶつけることもできるので、勝つとしたら黒ですが...]
56... b4 57. Kxh5 Kc4 58. Kg6 Bd4 59. Bh6 b3 60. Bc1 Kd3 61. h4 Kc2 62. Ba3 Bc5!
[この手がポイントで、白はプロモーションを止められません。プロモーションを止められないと分かって普通はここで投げてしまいそうですが、Gelfandにはまだ策がありました。]
63. Bxc5 b2 64. h5 b1=Q 65. h6 Kc3+ 66. Kg7 Qb7+ 67. Kg6 Qc6+ 68. Kg7!
68... Qc7+
[Gelfand のアイディアは、hポーン vs Qのエンディングに持ち込むものでした。68... Qxc5? 69. h7はブックドローです!]
69. Kg8 Qg3+!
[クイーンは白キングの背後からゆっくり近づく必要があります。]
70. Kf7 Qf4+ 71. Kg6 Qg4+ 72. Kf6 Qh5 73. Bf8
[一時的にパスポーンの進行が止まった今、黒キングを白キング側へ近づけます。]
73... Kd4 74. Kg7 Qg5+ 75. Kf7 Qf5+ 76. Kg8 Qe6+ 77. Kg7 Ke5 78. h7 Kf5!
[これがタクティカルな1手で、g6でメイトがあるため、白は79. h8Qとプロモーションできません!]
79. h8=N!
[白のベストチャンスです。かくして奇妙なマテリアルバランスの局面が現れました。白の狙いは有名なQ vs NBのフォートレスに持ち込むことです。]
ANALYSIS DIAGRAM
[上のポジションはだいたいどのエンドゲームの本にも載っている代表的なフォートレスです。2ピースが黒キングをこれ以上白キングに近づかせないよう連携を取っているので、白番でも黒番でも黒が勝つことはできません。ただ、このフォートレスはナイトをe5に持っていくことができたらの話です。果たして白はe5にナイトを持っていけるか、また、黒はどうやってそのプランを阻止するか...]
79... Qe5+ 80. Kg8 Ke6 81. Bg7 Qb8+ 82. Kh7 Qc8
83. Kh6
[ここで83. Ng6からe5にナイトを持っていこうとすると、83... Qc2! で阻止されます。例えば、84. Kh6 Qh2+ 85. Kg5 Kf7! 86. Be5 Qg2+でナイトが落ちて黒勝ちです。]
83... Kf5 84. Kh7 Qe8 85. Kh6 Kg4 86. Kh7 Kg5 87. Bh6+ Kf5 88. Bg7 Qh5+ 89. Kg8 Ke6!
[ナイトの動きを完全に封じ、白はツークツワンクです。]
90. Kf8 Qh7! 91. Ba1 Qa7 0-1
[ビショップを取られないようにg7に退くと、Qb8 or Qa8でメイトです。]
GelfandとSvidlerというビッグネーム2人のとても見ごたえのあるエンドゲームでした。同時に、Svidlerが長年、世界のトッププレーヤーである理由が良く分かります。ブリッツでこのように勝てるのは世界のほんの一握りのプレーヤーでしょうから…