さて、いよいよ本題、選考方法の提案です。
まず、私の考えるオリンピアードチームの理想は、「現時点でベストの成績を残せるメンバーによるチーム」であり、そのためにどう選考するべきかを考えていきたいと思います。
(2022年のMinsk Olympiadが8/1〜8/14なので、日程はひとまずこれを基準に考えます。)
まずは、結論から。私の提案は以下の通りです。
4枠はレイティング上位から選出し、残る1枠はNCSとコーチが選出する
まずはレイティングで選出する4枠から。
ベストの成績を残すためには、チームメンバー全員が他国の代表と勝負できるプレーヤーである必要があります。そのためには、レイティング上位順にプレーヤーを選出するのが最も効果的です。しかし、レイティングは変動するものであり、アクティブにプレーした上での数字でないと意味がありません。さらに、レイティングはFIDEのものかNCSのものかといった問題も出てきます。そこで、ここをもう少し掘り下げて考えていきたいと思います。
レイティングはFIDEのものとする
ちょっと前まではFIDEとNCSの双方のレイティングを加味すべきと考えていましたが、海外にいるプレーヤーはNCSのレイティングが動かない、さらに言えばNCSレイティングを持っていない可能性があります。また、NCSレイティングは様々なタイムコントロールのゲームで計算されます。さらにいま、国内でもFIDE公式戦が増える動きにありますので、FIDEレイティングも十分変動し、信用のある数値になると考えられます。
国内では東京以外ではFIDE公式戦が少なく、住んでいる地域によって差があるという意見もありますが、国外にいるプレーヤーも条件は同じです。従来のオリンピアードメンバーに選考されるためには全日本選手権とジャパンオープンに参加しなければならなかった縛りを無くし、どのFIDE公式戦に参加しても良いという変更により、住んでいる地域は関係なく、平等性があると考えます。
このような観点から基準とするレイティングはFIDEレイティングだけで良いかと思います。1つの指標にしたほうがシンプルですし、FIDEレイティングは公式に発表されるので、誰もがいつどこからでも確認できます。
どの程度をアクティブと考えるか
2020年4/1〜2022年4/1の間で、FIDEスタンダードのゲームを30ゲーム以上プレーすれば、そのプレーヤーは一般的にアクティブなプレーヤーだと言えると思います。(年間9Rと7Rのオープントーナメントをプレーすればクリアー)
ただ、例えば「2020年4月の1ヶ月に30ゲーム以上プレーしてあとはゲーム無し」だと果たしてアクティブかと言われればそうではないので、2020年4/1〜2021年3/31に15ゲーム以上、2021年4/1〜2022年3/31年に15ゲーム以上と、少し細かい期間でゲーム数を規定するのが良いかと思います。
どの時点のレイティングを基準にするか
レイティングは変動するものなので、2022年4/1のレイティングリストなど、一時点のレイティングを使用するのではなく、2020年4/1から2022年4/1までのレイティング平均値を使用するのが良いと思います。
もちろん、2020年4/1時点でレイティングが高いプレーヤーが有利ですが、それはそれまで積み上げてきた結果なので、当然、選考期間のスタート時点でレイティングが高いプレーヤーは優遇されるべきです。
なお、選考ラインに足切りを設ける(例えばFIDE2100)という意見もあります。これについては議論すると長くなりそうなので、ここでは深く追求しません。
さて、最後の1枠についてです。
上記の方法で選出されない例外について、NCS首脳陣とコーチ(今はGM Stojanovic)の判断に委ねるというものです。
例えば、2020年4/1時点では1200、もしくはレイティングさえ持っていなかったプレーヤーが2022年4/1時点では2500まで上がることもあります。このような場合、選出基準が2020年4/1から2022年4/1までの平均レイティングだと、選考に漏れることになります。最後の1枠はこういう特例に対応したものです。主に若いプレーヤーや棋歴は浅いが才能あるプレーヤーにもチャンスはあるということになります。
または、チームとしてのバランスを整えるために経験豊富なベテランを入れるという方法もあります。オリンピアードはチーム競技なので、たとえ自身がプレーするラウンドは少なくとも、他のメンバーを技術的に、精神的にサポートできる存在なら、チームに加えることも考えられます。
とにかく、ここはNCSとコーチの判断によるものになりますが、普段の大会のパフォーマンスや過去の経験から、何となく5人目を誰にするかは見えてくるのではないでしょうか。特に、2008年から日本チームコーチを務めているStojanovicコーチなら、誰をチームに入れるべきか一番よく分かっているはずです。(この先も日本コーチを務めてくれるなら、が前提になっていますが...)
以上、私からの提案です。もちろん色々な考え方がありますので、あくまで皆さんが議論する材料になれば良いなと思っています。