今年も暑い夏が始まりました。先週のSummer Openから1ゲーム紹介します。
□Baba,Masahiro (2399)
■Kakutani,Yuta (1870)
Summer Open 2018(1)
[角谷君との対戦は2010年のSummer Open以来、実に8年ぶり。FIDEレイティングは2100あるため、1R目の相手としては簡単ではありません。]
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.0–0 Be7 6.Re1 b5 7.Bb3 0–0 8.h3
[Marshall Attackを避ける手順の1つ]
8...d6 9.c3 Nb8 10.d4 Nbd7 11.Nbd2 Bb7 12.Bc2 Re8 13.Nf1 Bf8 14.Ng3 g6 15.a4
[先月の快速選手権では三ツ矢さんに対して15.b3を指しましたが、今回はBreyer Variationのメインの本譜に戻しました。]
15...c6 16.Bg5 h6 17.Be3 Bg7 18.Qd2 h5 19.Bg5 Nb6 20.b3 Qc7 21.a5 Nbd7 22.Nh4
[f2–f4でキングサイドを開きにかかります。これに対し、黒はセンターを開いて勝負します。]
22...exd4 23.cxd4 c5 24.Rac1
[24.d5 Nh7! 25.Rad1 Nxg5 26.Qxg5は黒の狙い通りです。白としては、e4-e5で白マスビショップのラインを開き、g6をターゲットにしたいところです。]
24...b4 25.e5!?
[プラン通り、ポジションを開きにかかります。]
25...dxe5 26.dxc5 Qxa5 27.c6 Bxc6 28.Bxg6 Qd5!
[これは非常に強い1手で、g2のメイトを視野に入れつつ、クイーン交換を強要することで白の攻めを緩和します。28...fxg6 29.Rxc6なら、アクティブなピースとg6の弱点が残るので、白有利と考えていました。]
29.Bxh5 Nh7?
[しかしこれが間違いで、白ピースを呼び込んでしまいます。29...Qxd2 30.Bxd2 Bd5 31.Bxb4 Rab8 32.Bd6 Rxb3ならお互い戦力不足でドローでしょう。]
30.Ngf5! e4
31.Rxc6! Qxc6 32.Nxg7 Kxg7 33.Nf5+
[マストではないですが、31手目のエクスチェンジ・サクリファイスからここまでの流れが一番分かりやすく感じました。]
33...Kf8 34.Rc1 Qb5 35.Qd6+
[35.Bf6! から強制メイトがあるようですが、本譜でも勝ちに変わりありません。]
35...Kg8 36.Nh6+ Kg7 37.Nxf7!
[この手を見つけるのにしばし時間を要しました。Bh6+からQg6#がスレットなのと、37...Nxg5 38.Qh6+ Kg8 39.Qh8#とh8でメイトになるのがポイントです。]
37...Nhf6 38.Rc7
[ルークも攻めに参加し、勝負ありです。]
38...Nxh5 39.Rxd7 Qd3 40.Qh6+ Kg8 41.Qh8# 1–0