2017総括

今年もあと残りわずかとなりました。

例年通り、今年の総括です。

 

2017年の戦績は以下の通り。

 

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試合数:70試合(□34 36

結果:(勝ち49 負け12 ドロー9

勝率:76.4%

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今年はFIDEレイティングが2300を、JCAレイティングが2400を超えて自身の記録を更新しました。そして何より悲願のFMタイトルも手にしました。自分のピークはまだ先にあることを実感したので、引き続きステップアップしていければと思います。

 

2017年は藤井四段のブレークや羽生永世七冠で将棋界が大いに沸きました。来年はチェス・オリンピアードがありますし、チェス界も盛り上がっていくことを願っています。

 

それでは皆様、良いお年を!


IV League 2017/12

今年ラストとなるIVLに参戦。開催頻度は少々減ってきていますが、まだ続いています。それでは今年の締めの1戦を。

 

Shioguchi,Tatsuya (2046)

Baba,Masahiro (2410)

IV League 2017(5)

 

1.c4 e5 2.Nc3 Nc6 3.g3 Bc5 4.Bg2 d6

[5.Na4を防ぐため、4...a6のほうが正確でした。]

Shio1.gif

5.d3 a6 6.a3 Ba7 7.e3 Nge7 8.Nge2 h5!?

[English Openingにもモダンなアイディアが多く取り入れられ、日々進化しています。白のナイトがf3でなくe2に展開されたのを見てこの端ポーンを突きます。このhポーンの前進をどう処理するか、白としては考えどころです。9.0-0?! に対しては9...h4hファイルを開いて黒の思うまま、9.h3 h4 10.g4には10...f5! でキングサイドを崩してすでに黒のほうが指しやすい。本譜のように9.h4ならg4にマスを得ます。]

Shio2.gif

9.h4 Bg4 10.Bd2

[これはややパッシブに見えます。b4を突いてb2にセットするほうが自然です。]

10...00 11.Qc2 Rb8

[この手はb7のポーンを守る意味もありますが、真の狙いはbポーンを突いてセンターを崩しにいくことです。Kings Indianで良くある手です。]

12.Nd5 b5 13.cxb5 Rxb5

Shio3.gif

14.Nxe7+ Nxe7 15.Rc1 c5 16.Nc3 Rb8 17.Nd5 Be6 18.e4

[ポーンストラクチャーを崩さない18.Nxe7+ Qxe7のほうが良いと思いますが、それでも黒満足です。]

Shio4.gif

18...Bxd5

[ここは直感的にナイトを残したほうがアタックは続く気がしたため、ビショップで取りましたが、18...Nxd5 19.exd5 Bd7も悪くありません。]

19.exd5 Nf5 20.Bc3 Qe7 21.Be4 Nh6 22.Bf3 f5!?

[白キングが中央にいることを利用して、センターを開きにいきます。ただ、1ポーン捨てるのはマストではなく、22...Ng4でも手は続きます。]

Shio5.gif

23.Bxh5 e4 24.dxe4

[24.00 c4 25.d4で黒ビショップの道を閉ざされたら、25...g5!? が面白いかなと思います。]

24...fxe4 25.Qd2 c4

[これでfファイルとg1-a7ダイアゴナルの2つのラインが開き、白の弱点のf2にプレッシャーをかけます。]

26.Bd4 Nf5 27.Bxa7 Qxa7

[e4-e3の突きが止めにくいスレットになっています。例えば、白の比較的ベストな受けである28.Bg4 e3 29.fxe3 Nxe3 30.Be6+ Kh8 31.Rc3 Rf3でも黒のアタックは続きます。]

Shio6.gif

28.00 Nxg3 29.Bg4 Rf6 30.Be6+ Kh8 31.Kg2

[31.Rfe1 Rg6 32.Kh2 Rf8も白の受け手を探すのは難しいと思います。]

31...Nxf1 32.Rxf1 Rbf8 33.Qc2 e3

[33...Rg6+ 34.Kh2 Rf4のほうが早かったでしょう。]

34.f3 Qd4 01

Shio7.gif


Japan Open 2017

Japan Openが終了して早4週間。今年5月の全日本選手権と今大会は、来年Georgiaで開催されるBatumi Olympiadの代表権がかかった大会でした。最終的に5人が5P/6Rで並んだ結果は、オリンピアード代表権の行方に大きく影響し、今もどう決定していくか方向性が見えません。情報が不確定なのでここでは詳細は書きませんが、Olympiadは一生に一度立てるか立てないかの大舞台なので、皆さんが納得できる形で決着がつくことを願っています。

 

さて、今大会の自分のゲームから、ポイントとなった場面を2つ紹介します。まずはR.1ドローとなり迎えたR.2のゲームから。

 

JO2017.gif

Asaka,Samuel (1417) - Baba,Masahiro (2410)

                          Position after 35...exf4

 

[f4を取りにいくかc6を取りにいくかの2択ですが、ここでの選択が勝負の分かれ道になります。]

36.Qxc6?!

[36.Bxf4 Qg4 37.Rf1が正着ですが、横と縦のピンが気持ち悪いのと、このピンを具体的にどう外すか短時間に判断するのは難しいと思います。]

36...f3!

[ここまでイコールよりは白に分があった形勢ですが、この1手で黒に形勢が傾きました。白の2連ポーンより黒のfポーンのほうが強力であり、さらに白クイーンはキングのディフェンスからカットオフされました。]

37.Rf1 Qh3 38.Rf2 Qf5!

[白のバックランクの弱さをついて、Qb1+を狙います。以前紹介したHabu-Baba戦、Katsuta-Baba戦でもこのクイーンの動きがありました。]

JO2017-2.gif

39.Qa6 Bd4 40.Qa2 Qd3!+

JO2017-3.gif

[c3f1といったマスをおさえ、これで勝負ありです。焦ってはいけないのは40...Bxf2?? 41.Bc3++-]

41.Be1

[41.Qe6でパペチュアルを狙われるほうが黒としては考えることが多く嫌ですが、幸いなことに黒キングは逃げることができます。]

41...Bxf2 42.Qxf2 Re8 43.Kg1 Rg8+ 44.Kh1 Rg2 01

JO2017-4.gif

 

つづいては2日目のR.3から。

 

JO2017-5.gif

Baba,Masahiro (2410) - Shinoda,Taro (2082)

                         Position after 42.b6

 

[マテリアルはイコールですが、bポーンが走り出し、黒はこのパスポーンにどう対処すべきか決める重要な局面です。]

42...Re3

[私は42...Nxb6 43.Qxb6 Rf8とすれば、QB vs RRで白がアップしていても、fortressではないかと考えていました。というのは、同じマテリアル・バランスが現れたVolokitin-Morozevich Biel 2006のゲームを知っていたからです。(このゲームについては最後に紹介します。)白が勝つためにはf7のポーンを落としにいかなければなりませんが、2ルークで頑なに守られると、このポーンをどう落とすか白にはプランがありません。]

43.Qb5 Nf6?

[ここは43...Nxb6! 44.Qxb6 fortressにするラストチャンスでした。また、必要はありませんが、43...Rxf3!? 44.gxf3 Nxb6 45.Qxb6 Re8でもQ vs Rfortressだと思います。この後、はっきりとした勝ちのプランは見えませんが、局面を進めてみます。]

44.b7± Ree8 45.Bc6 Rf8 46.Kf2 Rb8 47.Ke3 Rfd8 48.g4 Kg8 49.Kf4 Ne8 50.h4 Nd6

JO2017-6.gif

51.Qa6 Kf8 52.Ke5 Ke7 53.Qa3 f6+ 54.Kf4

[54.Kd5 Kf8 55.Qxd6+? Rxd6+ 56.Kxd6とエンドゲームに持ち込むのも考えましたが、56...h5! 57.gxh5 Kg8 58.Kc7 Rxb7+ 59.Bxb7 Kh7 60.Bd5 Kh6 61.Bf7 f5 62.Kd6 f4 63.Ke5 f3 64.Kf4 f2 65.Bc4 Kxh5 66.Kg3 g5でドローにしかなりません。本譜のようにf6を突かせて白マスが弱くなるのは、白にとってメリットありと判断して、もう少しチャンスをうかがうことにします。]

54...Kf7 55.Qa5 Ke7?

[55...Kg8 56.Qc7 Kh8とポーンの陰に隠れるほうがベターですが、57.g5 fxg5+ 58.hxg5で黒キング前を崩して白が勝てるでしょう。]

56.Qc7+ Kf8 57.Bd5+-

[これで黒は完全にzugzwangです!]

JO2017-7.gif

57...g5+ 58.Kg3 Ke8 59.Qg7 gxh4+ 60.Kxh4 f5 61.Bc6+ 10

JO2017-8.gif

 

*****************************************************

 

JO2017-9.gif

        Volokitin Morozevich Biel 2006

                      Position after 43.Rxb2

 

43...Bc5!

[このゲームをliveで見ていた多くのチェスファンはここでMorozevichがなぜ43...Bd6+ 44.g3 Bxb8とルークを取りにいかなかったのか悩んだと思います。(私もその中の1人でした)しかし、45.Rxb8のあと、白はR vs Qfortressに持ち込むことができるため、Morozevichはこれを避け、f2のポーンを狙いにいきます。]

44.R8b3?

[44.R8b5! Bd4 45.Re2! Qf1 46.Rbb2! 2段目でディフェンスすれば白がドローにできる可能性は高かったと、MorozevichsecondだったKuzminは主張します。(New In Chess Magazine 2006/6)]

44...Qe1 45.Kg3 Bd4 46.Rb1 Qxf2+

JO2017-10.gif

[このポーンを落として黒勝ちとなります。]

47.Kh2 Be5+ 48.Kh1 Qf4 49.Kg1 Qh2+ 50.Kf2 Bd4+ 51.Kf3 h5 52.Rb5 Kh6 53.Rd5 Ba7 54.Rbd1 h4 55.R5d2 Qe5 56.Rd6+ g6 57.R1d3 Qg3+ 58.Ke2 Qxg2+ 59.Kd1 Bb8 01


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