Japan League 2017

FIDE Master , finally!

 

この夏は大会選びから始まりました。直前までジャパンリーグの招待選手が発表されず、それならジャパンリーグにこだわらず、海外トーナメントも視野に入れていました。アメリカのワシントンやベルギーのブルージュでのトーナメントはスケジュール的にはOKだったので、ちょこちょこ大会HPや航空券サイトは見ていました。そんな中、ジャパンリーグに中国からGM Xu YinglunIM Xu Yi2名が参加との発表がありました。2600GM 2人とWGM 2人が参戦した昨年の大会に比べると、ややレベルは落ちるものの、インターナショナル・トーナメントとしては良いレベルになったと考え、ジャパンリーグへの参加を決めました。

 

国内のFIDE戦ではいつもそうですが、目標は良いゲームをすること、そしてレイティングをプラスにすることです。2300までレイティングを上げたい自分にとっては、underratedなプレーヤーが集う国内のトーナメントに出るのはややリスキーですが、挑戦しないことには始まりません。(過去、ジャパンリーグではレイティングを落とすことが多かった。)

 

はじめの3Rを勝って、4RIM Xu Yiと。このゲームは互いにリスクは冒さず、一瞬でドローになりました。ゲームが早く終わったため、Xu Yiと検討戦の後、何局かブリッツをしている間に同じくドローに終わったXu Yinglunと小島君が検討室に入ってきました。この検討戦の後、暇になったXu Yinglunとブリッツをしないかとチーフ・アービターのYumiさんに声をかけられましたが、Xu Yinglunとはまだ試合をする可能性があったため、手の内を明かすことはせず、丁重にお断りしました。思えば、この判断は後の大会の流れを考えると、正解だったと思います。

 

さて、続く5Rはコメントなしでゲームだけ紹介します。今大会、不調だった南條君との対戦です。

 

Nanjo,Ryosuke (IM,2338)

Baba,Masahiro (2262)

Japan League 2017(5)

 

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.c3 Nf6 4.h3 Nc6 5.Bd3 d5! 6.e5 Nd7 7.Bb5 a6 8.Bxc6 bxc6 9.00 e6 10.Re1 Be7 11.Qa4 Qc7 12.Qg4 00 13.d3 f5 14.Qg3 c4!? 15.dxc4 Nc5 16.Nd4 Ne4 17.Qd3 c5 18.Nf3 Bb7 19.cxd5 exd5 20.c4 d4 21.Bf4 g5! 22.Bh2 g4 23.e6 Bd6 24.Bxd6 Qxd6 25.Nfd2 Qf4 26.Re2 Rf6! 27.g3 Qd6 28.Nc3 dxc3 01

 

このゲームを勝ち、4.5Pとし、続く6Rのトップボードは日本人対決となりました。ドロー以上を目標に、リスクは冒さず指すことを心がけます。

 

Baba,Masahiro (2262)

Kojima,Shinya (IM,2401)

Japan League 2017(6)

 

1.e4 c6 2 Nf3 d5 3.exd5 cxd5 4.Ne5

2300-1.gif

[Caro-Kannのメインから外します。このラインは2015年のクラブ選手権の時に用意したものです。局面が序盤早々シンプルになるので、白は多くは望めませんが、安全なラインです。]

4...Nc6 5.d4 e6 6.Bb5 Qc7 7.00 Nf6 8.c4 Bd6 9.Bf4 Bd7?!

2300-2.gif

[このあと、黒は強制的にパッシブなポジションで戦わなければならなくなるので、9...dxc4と取って勝負かと思います。その場合、10.Nd2と返すつもりでした。]

10.Bxc6 bxc6 11.c5 Bxe5 12.Bxe5 Qd8 13.Nc3 00

2300-3.gif

[ビショップの差とスペースアドヴァンテージで白優勢は明らかです。ここから黒の反撃を抑えつつ手を作りにいきます。]

14.Bd6 Re8 15.Re1 Bc8 16.Re3 Nd7 17.Qa4 Bb7 18.Rae1 Nf8

2300-4.gif

[一瞬、18...Nb6から19...Nc4が見え焦りましたが、19.Qb4!で解決です。]

19.Ne2 Ng6 20.Rb3 Qd7 21.Nf4 Nxf4 22.Bxf4 f6 23.h4 Qc8 24.Rbe3

2300-5.gif

[新たな弱点のe6にプレッシャーをかけます。]

24...Qd7 25.Bd6 a5 26.f4!

2300-6.gif

26...f5

[27.f5 exf5 28. Re7がスレットになっているので、これを防ぐ1手ですが、e5のマスが弱くなりました。e6は弱点のままなので、eファイルから突破できるよう、さらにプレッシャーをかけにいきます。]

27.Qd1 Ba6 28.g4! Qf7 29.h5 a4 30.Rg3

[いったん、gxf5-Be5からg7をアタックするスレットを見せます。]

30...Ra7 31.Re5 Bc4 32.Rge3

2300-7.gif

32...fxg4 33.Qxg4 Bxa2 34.f5 Bc4 35.Rxe6

[35.fxe6? Qf1+には注意です。なお、私は見えていませんでしたが、35.Rf3! としてルークをfファイルに重ねるほうが強力だと、翌日、小島君が指摘してくれました。]

35...Rxe6 36.Rxe6 Bd3 37.Qg5! (Qd8+) 37...Rd7 38.Re5 Be4

2300-8.gif

[キング以外の白駒は全てベストポジションにいるので、ここから白キングのポジションを改善します。はじめは、クイーンサイドに逃がそうかと考えましたが、それだとこれ以上局面を進展させられないと考え、キングサイドでアタックに参加です!]

39.Kf2 Bd3

[小島君の解説にあるように、ここは39...g6! がベストディフェンスでした。ただ、キングの前のポーンを突くには勇気が必要です。]

40.Ke3 Be4 41.Kf4 Bc2?!

[41...g6のラストチャンスでした。ちなみに39手目では気付いていませんでしたが、この時には...g6の可能性に気付きました。]

42.Re6! Bd1 43.h6 Bh5 44.hxg7 Qxg7 45.Be5!

2300-9.gif

[45.Qxh5も可能なようですが、45...Qxd4+から黒にチェックさせるのは賢いチョイスではないと思います。本譜のように、c6を落として勝ちのエンディングに持ち込むのが正解でしょう。]

45...Qxg5+ 46.Kxg5 Be2 47.Rxc6+- Kf7 48.Rh6 Ke8 49.c6 Re7

2300-10.gif

50.Bd6 Rg7+ 51.Kf6 Rf7+ 52.Ke5 Bc4 53.Re6+ Kd8 54.c7+ Kd7 55.Re8! 10

2300-11.gif

[55...Ba6 56.Rd8+ Kc6 57.c8Q+]

 

4時間半にわたるゲームを制し、5P/6Rで単独トップに。

 

帰りの電車の中で、ここまでのレイティングの変動を計算すると、2262から+37.6で、2300まで上がる(レイティングは四捨五入)ことが判明しました。FIDEのルール上、どこかのタイミングで(Live Ratingで)2300に達していれば、FIDE Master獲得なので、この時点で目標達成です。このゲームが記念すべきゲームとなりました!

 

翌日、会場に早く行って、チーフ・アービターのYumiさんに本当にFIDE Master獲得の条件をクリアしているか確認をお願いしました。Yumiさんは知り合いのオーストラリアのインターナショナル・アービターに連絡を取ってくれ、その回答は「おそらくOKだけど、FIDE Masterを確定させるためにもう1ゲーム戦いましょう」とのこと。ただ、相手は中国のGM Xu Yinglun2528)なので、ポイントを取るのはそう簡単ではないですが...

 

Xu,Yinglun (GM,2528)

Baba,Masahiro (2262)

Japan League 2017(7)

 

1.Nf3 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 d5 4.cxd5 Nxd5 5.Qb3 Nb6 6.d4 Bg7 7.Bf4 Be6 8.Qc2 00 9.e3 c5 10.dxc5 Nd5 11.Nxd5 Bxd5 12.e4 Bc6 13.Bd2 Nd7 14.Rd1 b6 15.Bc3 Bxc3+ 16.Qxc3 bxc5 17.h4 Qb6 18.h5 Qb4 19.Qxb4 cxb4 20.hxg6 hxg6 21.Rd4 Rab8 22.e5 Kg7 23.e6 Bxf3 24.Rxd7 ½–½

 

最後は完全なイコールのポジションで相手からドロー・オファー。このゲームをドローで切り抜け、レイティングは2306まで上がる予定でFIDE Masterを確定、優勝というおまけも付いてきました。200610月に初めて2200を超えて以来、10年以上アップ&ダウンを繰り返してようやく2300の壁を乗り越えた形となります。

 

「次の目標は?」と聞かれると「IMです」と簡単には答えませんが、以前、Chessbase Newsでピノーさんにコメントして頂いたように、「and Baba, who could reach a level of up to 2350, if he had more opportunities to participate in international tournaments I suspect

http://en.chessbase.com/post/che-and-shogi-chernin-in-japan-part-2-)まずは2350を目標にやっていこうかなと思っています。


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