塩見さんをゲストに、あとは麻布OBで固めて1日目は順調に3連勝。優勝候補と見られていた麻布OBに勝っての3連勝だったので、チーム内の士気も上がり、2日目へ。R.4が山場で、慶応OBチームと対戦。あとにチームメイトがチームのハイライトと称してくれたゲームを紹介します。
□Kojima,Shinya (2465,IM)
■Baba,Masahiro (2297)
Club Ch. 2015(4)
1.Nf3 Nf6 2.c4 g6 3.d4 Bg7 4.g3 d5 5.cxd5 Nxd5 6.Bg2 0–0 7.0–0 Nc6 8.Nc3 Nb6 9.e3 Re8 10.Nh4!? [この手は自分の中で初めてだったので、ここから考えます。過去、試合経験があるのは10.Re1のみです。]
10...a5 [クイーンサイドのスペースを拡げる1手。過去の試合経験から学んだアイディアです。9...Re8との一貫性を考えると、ここで10...e5と突くのが自然に見えますが、11.d5と突かれると黒が指しにくくなります。] 11.f4 [こうして黒のe7-e5を抑えるのが10.Nh4の狙いの1つです。] 11...a4 12.Rf2 Ra5 [12...Nxd4 13.exd4 Bxd4でマテリアルバランスを崩して戦う手を考えましたが、13.Rd2! があるので、12...Nxd4はダメだと気付きました。本譜のRa5も変に見えますが、ルークを5段目でアクティブに使うのはよくあるアイディアです。] 13.Nf3 h6 [ここで一時的にやることが見つからなかったため、被害の少なそうな手を指して、相手の出方を待ちます。本譜はg6を弱めるので、小島君は13...Bf5と指すのではと、局後に指摘してくれました。] 14.Ne5 Nxe5 15.fxe5 c6 16.Bd2 Ra7 [Ne4-c5が見えたので、b7を守る位置にひきました。]
17.Qf3 Rf8 18.Rd1 Nc4 19.Bc1 Be6 20.h3 Qa5 21.Ne2! [Nf4からe6のビショップをアタックしにいく好手] 21...a3?! [ナイトをどこかにやって、c4のマスをビショップの逃げるマスにしようと考えた手ですが、白の24手目を見逃していました。小島君からは21...Nb6とさがってa2をアタックするのでは、と指摘されましたが、ピースをさげるアイディアはなかなか見つけられませんでした。] 22.bxa3 Nxa3 23.Nf4 Bc4 24.Bf1! Bd5 [24...Bxf1 25.Rdxf1は、次にNxg6がスレットになっています。]
25.e4 Be6 26.Nxe6 fxe6 27.Qb3 Rxf2 28.Kxf2 Nb5 29.Qxe6+ Kh7 30.Bc4 [△Qg8#] 30...Ra8
[このゲームを見ていたチームメイトも、白が勝ちそうだと思っていたそうです。しかし、冷静に局面を分析すると、黒キングは安全なのに対し、白キングのガードが薄く、さらにRf8、Qc3からの黒のアタックが強力です。e6ポーンという肉を切らせて反撃を得るのは、Grunfeldらしい戦い方だと思います。] 31.Kg2?! [白のベストは31.Bxh6! Bxh6 32.Qxe7+ Bg7 33.Qh4+ Bh6 34.Qe7+でパペチュアルでした。] 31...Qc3! [Qc2+、Nxd4、Rf8などのスレットを白が同時に防ぐことはできません。] 32.Rf1 Nxd4-+
[たしかこのあたりだったと思います。4番ボードの佐野-勝田戦も進行中で、佐野君がブランダーを指した後に気付いてドローオファーをしました。勝田君は続ければ良くなると分かっていたと思いますが、ドローオファーを受けてよいか、チームキャプテンの小島君のところに確認に来ました。(おそらく、チーム内でそういう取り決めになっていたのでしょう。)そのとき、小島君の持ち時間は1分を切っており、しかもどう受ければよいか分からないこの局面。小島君は4番ボードの局面を見ずに、勝田君にドローオファーを受けてよいと指示しました!まさかその判断がマッチの勝敗を決めることになるとは思っていなかったでしょうが、小島君は自分のゲームを捨てて、そちらのゲームを見に行っていたら、チームは2-2の引き分けになっていたかもしれません...] 33.Qf7 Qc2+ 34.Qf2 [34.Kg1 Rf8 35.Qxf8 Bxf8–+] 34...Qxc4 0–1 [結局、これがチーム唯一の勝ち星となり、チームは2.5-1.5で慶応OBチームに勝利しました!]