いくつかの理由から、長い間、JCAの快速選手権へは不参加でした。全日本の後で参加者の層が薄いことや、25分+10秒/手という時間ではまともにプランを組み立てられないことだったのですが、今年はトレーニングの一環と考え、参加を決意。結果は5勝2敗1ドローという貧弱な成績でありましたが、いくつか研究しがいのある局面に出くわしました。優勝は青嶋(将棋)4段で、7P/8R。チェスにかける情熱と成長スピードがヤバいです...
□Baba,Masahiro (2286)
■Shioguchi,Tatsuya (2064)
JCA Rapid 2015(7)
1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nd2 Nf6 4.e5 Nfd7 5.Bd3 c5 6.c3 Nc6 7.Ngf3 g6 8.h4 h6
9.Nf1!? [GM Moskalenkoは自身のベストセラーFlexible Frenchでこの手に言及していません。ただ、すぐに黒がこれを咎める手もなく、十分指せる1手だと思います。他には9.Nb1、9.b3、9.Qe2、9.a3など] 9...b6!? 10.Ng3 cxd4 11.cxd4 Nb4 12.Bb1 [12.Be2? には12...Qc7でc2を狙われるので、ここに下がる他ありません。] 12...Ba6 13.a3 Nc6 14.Ne2 Na5 15.Nf4 Rg8 [Nxe6-Bxg6を防ぎ、のちにg6-g5からのカウンターの準備にもなる1手]
16.Bd3 [ここはキャスリングするためにビショップを交換しにいきます。黒としては、一般的に使えないとされる白マスビショップを交換できて作戦成功です。] 16...Bxd3 17.Qxd3 Qc7 18.b4 Nc4 19.0–0 0–0–0 [白黒、逆サイドにキャスリングし、ここから攻め合いです。] 20.Bd2 Be7 [検討でも出ましたが、ここですぐに20...g5はあったと思います。] 21.Nh3
21...Bxh4! [21...g5 22.hxg5 hxg5 23.Nfxg5は、黒にポーンを捨てた代償は無さそうですし、次の22.Bxh6も防がなければいけないので、納得の1手です。] 22.Nxh4 g5 23.Nf5 [最も黒のポーンの形を崩せるピースの返し方だと考えました。] 23...exf5 24.Rfc1 Qc6! [24...f4には25.Qh7! で、f7とh6のダブルアタック] 25.Qxf5 Qe6 26.Qd3 Kb8 27.a4 f6
28.f4! [キングの守りを弱め、gファイルまで開けてしまうので指すのをためらいそうな手ですが、out of playのビショップとナイトを何とかするために、ここは局面を開きにかかります。] 28...fxe5 [28...gxf4 29.Nxf4 Qg4 30.e6と28...g4 29.f5は白にチャンスありです。本譜ではg5にポーンが残るので、Nf4もBf4も指せず、ピースの問題は残りますが、黒からもg5-g4と突きづらいので、ジレンマと言えばジレンマです。] 29.fxe5 Rdf8 30.b5 Rf7 31.Bb4 [ビショップをアクティブにし、このダイアゴナルを抑えます。] 31...g4 [f4の守りがなくなったところでようやくこのポーンを突けます。] 32.Nf2 h5 [32...g3 33.Nh3は十分キング廻りをガードできているように見えました。]
33.Rxc4! [狙いのエクスチェンジ・サクリファイス] 33...dxc4 34.Qe4! [ポイント。△35.Bd6+ Kc8 36.Qa8+] 34...Rc8? [ここで黒はBd6+に対してQxd6と取れるように34...Re8と指すしかありませんが、35.Qc6! Qxc6 36.bxc6 Nf8 37.Ne4で白が勝つ形です。] 35.Bd6+ Rc7 36.Qc6+- Nf8 37.Ne4
[ナイトも参戦し、勝負ありです。] 37...Qd7 38.Bxc7+ Qxc7 39.Qe8+ 1–0 [緊迫したgood gameでした。]
□Baba,Masahiro (2286)
■Shioguchi,Tatsuya (2064)
JCA Rapid 2015(7)
1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nd2 Nf6 4.e5 Nfd7 5.Bd3 c5 6.c3 Nc6 7.Ngf3 g6 8.h4 h6
9.Nf1!? [GM Moskalenkoは自身のベストセラーFlexible Frenchでこの手に言及していません。ただ、すぐに黒がこれを咎める手もなく、十分指せる1手だと思います。他には9.Nb1、9.b3、9.Qe2、9.a3など] 9...b6!? 10.Ng3 cxd4 11.cxd4 Nb4 12.Bb1 [12.Be2? には12...Qc7でc2を狙われるので、ここに下がる他ありません。] 12...Ba6 13.a3 Nc6 14.Ne2 Na5 15.Nf4 Rg8 [Nxe6-Bxg6を防ぎ、のちにg6-g5からのカウンターの準備にもなる1手]
16.Bd3 [ここはキャスリングするためにビショップを交換しにいきます。黒としては、一般的に使えないとされる白マスビショップを交換できて作戦成功です。] 16...Bxd3 17.Qxd3 Qc7 18.b4 Nc4 19.0–0 0–0–0 [白黒、逆サイドにキャスリングし、ここから攻め合いです。] 20.Bd2 Be7 [検討でも出ましたが、ここですぐに20...g5はあったと思います。] 21.Nh3
21...Bxh4! [21...g5 22.hxg5 hxg5 23.Nfxg5は、黒にポーンを捨てた代償は無さそうですし、次の22.Bxh6も防がなければいけないので、納得の1手です。] 22.Nxh4 g5 23.Nf5 [最も黒のポーンの形を崩せるピースの返し方だと考えました。] 23...exf5 24.Rfc1 Qc6! [24...f4には25.Qh7! で、f7とh6のダブルアタック] 25.Qxf5 Qe6 26.Qd3 Kb8 27.a4 f6
28.f4! [キングの守りを弱め、gファイルまで開けてしまうので指すのをためらいそうな手ですが、out of playのビショップとナイトを何とかするために、ここは局面を開きにかかります。] 28...fxe5 [28...gxf4 29.Nxf4 Qg4 30.e6と28...g4 29.f5は白にチャンスありです。本譜ではg5にポーンが残るので、Nf4もBf4も指せず、ピースの問題は残りますが、黒からもg5-g4と突きづらいので、ジレンマと言えばジレンマです。] 29.fxe5 Rdf8 30.b5 Rf7 31.Bb4 [ビショップをアクティブにし、このダイアゴナルを抑えます。] 31...g4 [f4の守りがなくなったところでようやくこのポーンを突けます。] 32.Nf2 h5 [32...g3 33.Nh3は十分キング廻りをガードできているように見えました。]
33.Rxc4! [狙いのエクスチェンジ・サクリファイス] 33...dxc4 34.Qe4! [ポイント。△35.Bd6+ Kc8 36.Qa8+] 34...Rc8? [ここで黒はBd6+に対してQxd6と取れるように34...Re8と指すしかありませんが、35.Qc6! Qxc6 36.bxc6 Nf8 37.Ne4で白が勝つ形です。] 35.Bd6+ Rc7 36.Qc6+- Nf8 37.Ne4
[ナイトも参戦し、勝負ありです。] 37...Qd7 38.Bxc7+ Qxc7 39.Qe8+ 1–0 [緊迫したgood gameでした。]