WRITTEN BY
Yoshimura Kenji
早くも昨年のことになりますが、12月26日から29日にかけてラスベガスのBally’s Hotelで行われたNorth American Openに参加してきました。私として初の海外遠征で、小島君と唐堂君とともに日本から参戦しました。また、2009年の全日本選手権にも出場していた飯沼ポールさんもハワイから参加していました。大会を通して私が感じたことを簡単にではありますが、振り返りたいと思います。
North American Openに参加して、まず驚いたのはその規模の大きさでした。日本の大会では参加者が全体で100人に届くことは稀だと思いますが、North American Openでは7つあるレーティング別のセクションで、それぞれ参加者が100人をゆうに超えていました。アメリカではチェスをやっている人がこれだけいることにびっくりしました。幅広い年齢層、人種の人が集まっていて、日本の大会では味わえない雰囲気があり、いつか日本の大会でもこれくらい人を集められたらなと思いました。
今回のそれぞれのエントリーセクションは、
Open:小島君
U2300:飯沼さん、吉村
U2100:唐堂君
でした。私は今回の大会ではせっかく海外まで来ているので、FIDE戦をしてFIDEレートをつけたいと思い、少し背伸びをしてU2300のクラスに参加しました。
4日で7ラウンドをこなすスケジュールでしたので、1日目は夕方の1試合のみでしたが、2日目から4日目までは、午前に1試合、夕方に1試合でした。タイムコントロールは40手120分+60分(Delay(時間が減りはじめるまで)5秒)とあまり慣れないものでした。(これが後で悲劇を生むとは思いませんでした。)
そのため、時間はたっぷりあったのですが、夕方の試合が18:00と遅くから始まることもあり、終わるのは12時近くになるケースがほとんどでした。会場と泊っているホテルが一緒であることもあり、おきる→プレパレーション→試合→検討→試合→検討→プレパレーション→寝る、と大会中の4日間は寝ている時間以外はほとんどチェスをしていました。こういう贅沢な時間の使い方は日本ではなかなかできないので、とても新鮮でした!
自分のゲームの中からひとつだけ紹介したいと思います。
□Williams John R. (USCF 2135)
■Yoshimura Kenji (UR)
1.e4 e6 2.a3?! d5 3.e5 c5 4.b4
フレンチのマイナーなサイドラインになりました。
4...Nc6 5.Nf3 Qc7 6.bxc5 Bxc5?!
間違いで正しくは、6...Nxe5 7.d4? Nxf3+ 8.Qxf3 Bxc5!
7.d4 Be7 8.Bd3 f6 9.Bf4 f5?
[9...g5 10.Bg3 g4 11.exf6 Qa5+ 12.Nfd2 Nxf6=]
10.0–0 Na5 11.Qc1 h6 12.h4 g6 13.Re1 Bd7 14.Bd2 Rc8 15.Bb4? Nb3 16.Qb2 Nxa1 17.Bd6 Qb6 18.Qxa1 Bxd6 19.exd6 Qxd6 20.h5 Ne7 21.hxg6 Rg8 22.Nh4 Kd8 23.Qb2 Rc7 24.Qc1 Nxg6 25.Qxh6 Nxh4 26.Qxh4+ Kc8
ここらへんから両者とも時間切迫になりました。日本での試合は1手ごとに持ち時間が増えるタイムコントロールの試合が多いのですが、今回は40手までは時間が一切増えないので、時間配分が大変難しかったです。この時点で双方とも5分もなかったと思います。
27.Re5 Kb8 28.Qf4 Rcc8 29.Nd2 Rg4 30.Qe3 Rcg8 31.Bf1 a6 32.Nf3 Ka8 33.Nh2 R4g6 34.g3 Rh8 35.Bg2 Bc8 36.Nf3 Rhg8 37.Qd3 R6g7 38.Nh4
ここで対戦相手の持ち時間がなくなり黒が勝つはずでした。ただ、対局時計でなれない時間設定をしていたため、時間切れかどうかよくわからず焦っているうちに、40手の後で追加されるはずの60分が、なぜか持ち時間に追加されてしまいました。
ちょうど唐堂君も見ていたところだったので、ここでアービターを呼び、40手に到達していないにもかかわらず、持ち時間が追加されてしまった、本当だったら時間切れのはずだと指摘しました。アービターは棋譜を見せてくれと言い、一手一手並べていき、本当に40手に到達していないかどうかを確認すると言いました。
ところが、この際私の取っている棋譜がきたなすぎて、また時間切迫に伴い記入の間違えが多すぎるため、無効であると判断されてしまい、申し立ても無効になり、時間切れは認められないという結論になりました。後でアービターに教えてもらったのですが、棋譜は3手以上間違えていると棋譜として認められないというルールがあるみたいです。
38...Rg4
棋譜が無効になってしまったため、この局面で仕切り直しになりました。
39.Nf3 R4g7 40.Qd2 Qxa3 41.Re1 Qa4 42.Ne5 Rc7 43.c3 Qa3 44.Rc1 Ka7 45.Bf1 f4 46.g4 Qf8 47.f3 Qh6 48.Ra1 Rh8 49.Bg2 Qh2+ 50.Kf1 Rch7 51.Ng6 Qh1+! 0–1
途中でハプニングがありましたが、最後は無事に勝ちきることができて本当に安心しました。今度から棋譜を正確に取るように気をつけたいと思います。
トーナメントを通しての結果は、1勝3分3敗で2.5/7ポイントでした。なかなか勝つチャンスをつかむことができず、厳しい結果に終わりましたが、どの試合も大変勉強になり楽しむことができました。
また、今回の海外遠征で思ったのですが、海外大会への参加というような目標があると、チェスに対するモチベーションを非常に高く保つことができます。大会前の3ヶ月間は毎週のように小島君にトレーニングをお願いしておりましたし、働く合間をぬってできる限りチェスに打ち込むようにしておりました。私事になりますが、今年一年はこのまま高いモチベーションで勉強し続けられたらな、と考えております。
最後になりますが、2012年のNorth American Openも予定が合わない限りは参加して、昨年のリベンジをしたいと考えております!
最後までお付き合いいただきありがとうございました。