松戸Summer 2011

南條くんが4.5P/5Rで優勝。この結果自体には何も驚きはありませんし、予想された結果だと思います。小島くんがマレーシアでFIDEレイティングを大放出してきたため、次のレイティング計算で南條くんは小島くんを抜き去り、日本ランキング1位となります。FIDEマスターのタイトルもすぐそこです。

 

2位争いはレイティング通り、佐野くんと野口さんの争いでした。最終ラウンド、この2人の直接対決があり、もし野口さんが勝てば野口さんに優勝のチャンスがありました。当然、ファイティング・プレーヤーの野口さんは勝ちを目指して戦ったと思います。しかし、佐野くんに敗れたため、4位タイに甘んじました。佐野くんは1年近くのブランクがあった割に、ブランクを感じさせない戦績を残しています。次のチーム選手権でどのようなプレーを見せてくれるのか、注目しています。


Japan League2011 -Saving the game-

ゲームをたくさんすれば、たとえ相手がレイティング下位であっても必ず自分の局面が悪くなる場合があります。ジャパンリーグのR.6では、まさに自分がこの状況に陥りました。悪い状況下でいかに負けずにドローに逃げ切れるかは、レイティングを保つためにもトーナメントで生き残るためにも非常に重要です。今回解説するのは、首の皮一枚でドローに逃げ切ったゲームです。

 

Uehara Shinpei (2016)

Baba Masahiro (2237)

Japan League 2011(6)

 

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.00 Be7 6.Re1 b5 7.Bb3 d6 8.c3 00 9.h3 Na5 10.Bc2 c5 11.d4 Qc7 12.Nbd2 Nc6 13.d5 Nd8 14.Nf1 Ne8 15.Ng3 g6 16.Bh6 Ng7 17.Nh2 f6 18.a4 Rb8 19.b3 Nf7 20.Bd2 Bd7 21.axb5 axb5 22.Ng4 Qb7



 

ここまで白も黒も指す手に選択肢が少ないのでほとんどノータイムです。このルイロペス・チゴリンのややマイナーなラインは、黒の組み方が分かりやすく今まで何回か指していますが、手の可能性は乏しいのでおそらくこれから指すことはないと思います。

 

23.Qf3 Bxg4?

 

私はめったに自分からマイナー・エクスチェンジ(自分のビショップを相手のナイトと交換する)をすることはありませんが、この時は、23...Ng5 24.Bxg5 fxg5 25.Nh6+ Kh8 26.Nf7+ Kg8 27.Nh6+のパペチュアルのラインを嫌ってこの交換に行きました。しかし、f6を受ける手として23...Kh8!? という手があり、24.Nxf6? には24...Nd8 25.Bg5 Ne8でピンを利用してピースを落とせます。b5の弱いポーンを守るビショップを自ら手放すことにより、このあと黒は苦しくなります。

 

24.hxg4 Ra8 25.Qe2 Rfb8 26.Bd3 Ra6?

 

27.Rxa6なら27...Qxa6aファイルを取り、ここを黒のカウンターの拠点としようと考えていましたが、次の1手でaファイルを制圧するのは白になります。

 

27.Qf1! (△28.Rxa6 Qxa6 29.Ra1 27...Rxa1 28.Rxa1 Qd7 29.f3?!

 

これは白キング周りの黒マスを弱くするため、私だったら、堅く29.Qe2と指したいところです。

 

29...Bd8 30.Kh2



 

これで黒が何もアクションを起こさないと、Ra6-Qa1aファイルから侵入され、黒がディフェンス一方になります。私はそういう戦い方は好きではないので、この手を見て自分からゲームを動かそうと決めました。具体的な思考としては、以下の通りです。

 

クイーンをh4に持っていってチェックすればg3のナイトを落とせる→そのためにはf6-f5としてQe7-h4のルートを開けなければならない→今、f5を突くと単純に駒が足りないのでf5に利いている白の駒を一つ減らしたい

 

次の1手は自ずと見えてきます。

 

30...c4!? 31.bxc4 bxc4 32.Bxc4

 

ポーンを1つ捨てることでg1-a7ダイアゴナルとbファイルを開き、クイーンサイドでディフェンスに徹していたルークとビショップにアクティビティーを与えました。次は予定通りキングサイドを開きます。

 

32...f5 33.gxf5 gxf5

 

ここで33...Qe7をしばらく考えましたが、34.Be1! Qh4+ 35.Kg1 Bb6+ 36.Bf2 Qxg3 37.Bxb6 Rxb6 38.Ra8+は白が良い形でピースを取り返せます。

 

34.Nxf5 Nxf5 35.exf5 Qxf5




36.Qd3 Qh5+ 37.Kg1 Qh4!

 

h4は黒クイーンのベスト・スクエアーだと思います。c4のビショップに当てておくのもポイントです。狙いは38...Bb6+ 39.Be3 Bxe3+ 40.Qxe3 Qxc4 -+

 

38.Be3 Ng5

 

ここでもスレットを作ります。狙いは39...Nxf3+ 40.gxf3 Qg3+

ゲーム中、本譜のナイト跳びしか考えていませんでしたが、今思えば38...Rb2! も強力です。

 

39.Bf2 Qf4 40.Qe2 Bb6 41.Bxb6 Rxb6 42.Qf2 Rb7 43.Bd3 Kg7 44.Kf1



 

30...c4!? で勝負に出て以降、私も上原くんもかなりベストな手の応酬をしています。このボードを見に来る多くのプレーヤー達は、優勢な上原くんがこのあとどう勝つか期待していたと思います。

44...h5 45.Ra6 Nf7 46.Qc2 h4?! 47.Ra4!

 

この手は完全に見落としていました。黒キングに危険が迫ります。

 

47...Qh2 48.Rg4+ Kf8 49.Qa2 Rb8




50.Bh7?!

 

自然な流れですが、次のディフェンスの1手がばっちりと決まります。おそらく白は50.Qa7! Qh1+ 51.Qg1! Qxg1+ 52.Kxg1 Rb3 53.Rc4±としてクイーン交換するのが最もアドヴァンテージがはっきりする形だったと思います。黒のh4のポーンが落とされるのは時間の問題です。

 

50...Nh6! 51.Rg6

 

51.Qa7? Qh1+ 52.Ke2 Rb2+はいきなり黒勝勢と逆転します。

 

51...Qf4 52.Qc2 h3

 

白キングのガードを崩します。このあと、黒にとってドローに十分なカウンターが入ります。

 

53.gxh3 Qxf3+ 54.Kg1 Rb7!

 



55.Rg2

 

55.Rxh6 55...Qe3+?? とすると56.Qf2+! で失敗しますが、55...Rf7! とすれば白が危険です。ここまでスリリングなゲームを戦い、白黒これ以上ファイトする気は起きず、ゲームはパペチュアルでドローに落ち着きました。

 

56.Qg6 Qf1+ 57.Kh2 Qf4+ 58.Kh1 Qf1+ 59.Kh2 ½–½


Malaysian Open2011 終了

日本から参加した5人は様々な思いを胸に抱いて帰国することでしょう。まだ誰とも話していないので何とも言えませんが、皆、決して満足できる結果ではなかったと思います。今回、小島くんの4.5Pがトップで、あとは負け越しでした。しかし、マレーシア・オープンでハーフを取るのは簡単なことではありません。参加者平均が22002300の間くらいであるので、ハーフを取るにはそれぐらいまでレイティングをあげる必要があります。日本でコツコツ力を蓄えて、来年、「成長した」と自分で思える結果を残してもらえれば良いのかなと思います。

 

それはそうと、休日はとても楽しそうでしたね!

アップされた多くの写真を楽しみました。


Shenzhen終了

ユニバーシアードは昨日で終了。要くんと古谷くんはそろって3.5P/9Rで終了。要くんは最終ラウンドで50%に戻すチャンスがあっただけに最後負けで残念です。しかし、途中でいいプレーを見せてもらったわけですし、とりあえずお疲れさまと声をかけてあげたいですね。要くんは道中いろいろなことがあり、伝えたいことがたくさんあるそうなので、彼のレポートに期待したいと思います。

 

マレーシア・オープンはレストデーをはさみ、後半戦がスタートです。R.5の結果は小島くんのblogを参照してください。小島くんはとことん女子プレーヤーに弱いですね… R.6では尚広君が新婚のLim Yee Wengとヒット。前に私からはメッセージを送りましたが、日本プレーヤーと親交の深いLim Yee Wengですので、日本メンバーの皆さんからも一言、「ご結婚おめでとうございます」と伝えてもらえれば嬉しいです。

 

Lim Yee Weng (2336,FM)

Adianto,Utut (2583,GM)

Malaysian Open 2007(7)

 

1.e4 d5 2.exd5 Nf6 3.Bb5+ Bd7 4.Be2 Nxd5 5.d4 Bf5 6.Nf3 e6 7.a3 Be7 8.0–0 0–0 9.c4 Nb6 10.Nc3 Bf6 11.h3 Nc6 12.Be3 Bg6 13.b4 a6 14.Qb3 Nxd4 15.Bxd4 Bxd4 16.Rad1 e5 17.c5 Nd7 18.Nxd4 exd4 19.Rxd4 Qe7 20.Bg4 Nf6 21.Nd5 Qe5 22.Rfd1 Nxd5 23.Rxd5 Qf6 24.Rd7 Rac8 25.Qf3 Qg5 26.Qxb7 Bc2 27.R1d2 h5 28.R7d5 f5 29.Rxc2 hxg4 30.hxg4 Qxg4 31.Rd7 Rce8 32.Qd5+ Kh7 33.Qd1 Qg5 34.Rc3 Re4 35.Rh3+ Rh4 36.Rdd3 Rxh3 37.Rxh3+ Kg8 38.Qd5+ Rf7 39.Re3 Qf6 40.Qe5 Qg5 41.Qe8+ Rf8 42.Qe6+ Rf7 43.Qxa6 f4 44.Qc8+ Kh7 45.Rh3+ Kg6 46.Qe6+ Rf6 47.Qe8+ Rf7 48.Qe4+ Rf5 49.Rf3 Kh7 50.Qe8 Rf6 51.Rh3+ Rh6 52.Qe4+ Kg8 53.Qe8+ Kh7 54.Qe4+ Kg8 55.Rxh6 Qxh6 56.Qc4+ Kh8 57.Qd3 Qf6 58.Qf3 Qe5 59.Kh2 g5 60.g3 Kg7 61.Kg2 fxg3 62.Qxg3 Qe4+ 63.Kh2 Qh7+ 64.Qh3 Qc2 65.Qd7+ Kf6 66.Qc6+ Kf5 67.Kg3 Qc1 68.Qf3+ Kg6 69.Kg2 Qc4 70.Qc6+ Kf5 71.Qxc7 Qe4+ 72.Kh2 Qd4 73.Qg3 g4 74.c6 Qc4 75.c7 Qc6 76.b5 Qh6+ 77.Kg2 Qe6 78.Qd3+ Kf6 79.Qc3+ 1–0


Kuala Lumpur & 松戸サマー & チーム選手権

マレーシア・オープン3日目、最も特筆すべきは篠田くんがレイティング2281FMを打ち破ったことでしょう。海外大会に粘り強く参加し続けた結果だと思います。内容は怪しかったとのことですが、結果が全てです。残りのラウンドにも期待しています。小島くんは後半4Rで覚醒しなければ、今回もIMノームはお預けです。これだけ海外大会に出ていて結果を残せないとなると、そろそろ日本の皆さんもやきもきし出すと思います。全力で頑張ってほしいと思います。

 

来週末の土日は松戸でサマートーナメントです。まだエントリー人数が少ないようですが、ユニバーシアードやマレーシア・オープンで頑張っている彼らに触発されて、多くの方が参加されることを望みます。

 

最後にチーム選手権の最新情報です。どうも今年は例の反則チームが復活するそうです。虎視眈々と優勝を狙っています。しかし、今年は慶応チームが大物の移籍により、格段にパワーアップ。レイティング平均を考えると、おそらく慶応チームが一番であり、間違いなく優勝候補でしょう。この2チームの参加があると、ディフェンディング・チャンピオンの松戸チームはかなり苦戦を強いられると思います。そして私に関してですが、すでにちょくちょくとチームメンバーへの誘いこみのオファーはありましたが、今年はチーム選手権に出場しない方向に決めています。例年通り盛り上がると良いですね!

 

P.S.

マレーシア・オープンのゲームは以下のサイトで見られます。

 

http://datmo.net/


Japan League2011 -Second Weakness-

ジャパンリーグの熱戦からいくつか取り上げたいと思います。

 

チェスの一般的な原則として、「相手に明らかな弱点が一つあっても、それだけでは勝てない」というものがあります。弱点が1つだけだと、ディフェンス側は全ての駒を集めてそこを守ればよく、オフェンス側はなかなか食い破ることができません。しかし、弱点が2つになると、ディフェンス側は双方を同時に守るのが難しくなり、オフェンス側は両方を攻めながら最終的にどちらか落とすことができます。

 

そのため、優勢なほうは勝つために相手陣に2つ目の弱点を作りにいきます。R.4の野口-唐戦では、まさに少し優勢な局面から2つ目の弱点を作って勝つという、非常にインストラクティブなテクニックが見られました。ちなみにこのゲームは5時間半にも及ぶ熱戦でした。

 

Noguchi Koji (2059)

Tang Tang (UR)

Japan League 2011(4)

 

1.Nf3 Nf6 2.g3 g6 3.Bg2 Bg7 4.c4 c6 5.00 00 6.b3 Ne4 7.d4 d5 8.Bb2 Nd7 9.Nc3 Ndf6 10.Ne5 Nxc3 11.Bxc3 Ne4 12.Bb2 f5 13.Qd3 Be6 14.Rfc1 Rc8 15.c5 Qc7 16.e3 a6 17.b4 Ra8 18.a4 Bd7 19.Ra3 e6 20.Rb1 Rfb8 21.f3 Ng5 22.Qb3 Nf7 23.Nxf7 Kxf7 24.e4 Kg8 25.Rd1 Bh6 26.Bc1 Bxc1 27.Rxc1 Kg7 28.Qe3 Re8 29.Bf1 Rf8 30.b5 fxe4 31.b6 Qd8 32.fxe4 Qf6 33.e5 Qe7 34.a5



 

駒交換が進み、この局面に落ち着きました。マテリアルはイコールで、ビショップのマスの色も同じです。しかし、白は自分のポーンが全て黒マスにあるのに対し、黒は全て白マスにあります。白黒両方、ビショップは白マスなので、相手のポーンをビショップでアタックできるのは白のみということになります。そして、a6のポーンは守られてはいますが、どこかでBxa6のチャンスがあり、このポーンは、はっきり弱点だと言えます。しかし、弱点が1つだけでは勝てません。白は2つ目の弱点をどこに作るのでしょうか?

 

34...Rf7 35.Be2 Raf8 36.Raa1 Bc8 37.Rab1 Qd8 38.Rf1 Rxf1+ 39.Bxf1 Rf7 40.Be2 Qf8 41.Kg2 Qe7 42.Rb2 Qf8 43.Bd3 Kg8 44.h4!



 

教科書的なプランです。もし、キングサイドのポーンを1つ交換できれば、黒陣には弱いポーンが1つ残ります。これが2つ目の弱点になります。

 

44...Qe7 45.Rb1 Kg7 46.Rh1! h6(×g6


 

 

このポーンは突かざるを得ません。黒が何もしなければ白からh4-h5で、例えば黒がg6-g5で受けてきたらh5-h6+からRh1-h5と入ってgポーンを落とせます。また、黒がg6-g5で受けてこない場合には、hxg6g6に弱点を作れます。

 

47.Qe2 Qe8 48.Qg4 Rf8 49.Rb1




ここで白は狙いを
g6の弱点からa6の弱点にシフトします。スレットは50.Bxa6! bxa6 51.b7です。このb6-b7の突きを止めるため、黒は49...Rf7でディフェンスしたいところですが、g6ポーンが弱点になっているためできません。また、49...Qf7でそのスレットを防ぐと、50.Rf1! からルーク交換をされ、g6を落とされます!

 

49...Bd7 50.Kg1!

 

ツークツワンクです! 黒には手がありません。まず、クイーンとキングはg6を守っていなければいけないので動けません。ここでも50...Qf7? には51.Rf1! があります。また、ルークを動かそうとするとg8h8しかありませんが、ルークがfファイルからどいた瞬間、51.Rf1! で、Rf1-f6のスレットが決定的です。そして、50...h5には51.Qg5でもう一度ツークツワンクです。

 

50...Bc8 51.Bxa6!

 

片方の弱点がついに落ちました!

 

51...bxa6 52.b7 Bxb7 53.Rxb7++-

 


 

白は2つの弱点を攻めながら目的を達成しました。このポジションを勝ちきるのは難しくありません。

 

53...Rf7 54.Rb6 Qc8 55.Kg2 Kh7 56.h5 gxh5 57.Qxh5 Kg7 58.Qg4+ Kh7 59.Qe2 Ra7 60.Qf3 Kg7 61.Qd3 Ra8 62.Qb1 Ra7 63.Rb8 Qc7 64.Qb6 Qd7 65.Rd8 Qe7 66.Qb8 Kg6




67.Rg8+ Kh7 68.Rh8+ Kg6 69.Qb1+ Kh5 70.Qd1+ Kg6 71.Qd3+ Kh5 72.g4+ Kh4 73.Rxh6+ Kg5 74.Rg6+ Kf4 75.Qf3# 1
0


Shenzhen & Kuala Lumpur

ユニバーシアードはいよいよ残すところあと1Rです。要くんは厳しい当たりの中、3.5P/8Rで最終ラウンド勝てば50%と、立派な戦績を残しています。古谷くんはレイティングのある相手からはポイントを取れませんでしたが、最終ラウンドきっちり勝ってこの大会を次へのステップにしてほしいと思います。

 

マレーシア・オープンについては小島くんが詳しくレポートしてくれています。byeや日本人同士の対戦という、海外トーナメントでとても萎える展開に早くからなっているようですが、そんな不幸な境遇を吹き飛ばしてくれるような楽しいことはいっぱいあると思います。皆、お気に入りの子と当たれると良いですねw


Universiade 2011 Shenzhen -Fantastic!!-




シンセンでのユニバーシアードは昨日から開幕しています。

8/15 R1 R2

8/16 R3 R4

8/18 R5 R6

8/19 R7 R8

8/21 R9

 

そして本日、佐藤要くんが日本を震撼させる(いい意味で!)プレーを見せてくれました。

 

Pruijssers Roeland (2461,IM)

Sato Kaname (2020)

Shenzhen (3)

 

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 g6 6.Be3 Bg7 7.f3 0–0 8.Qd2 Nc6 9.Bc4 Bd7 10.0–0–0 Rc8 11.Bb3 Nxd4 12.Bxd4 b5 13.Bxa7 b4 14.Nd5 Nxd5 15.exd5 Qa5 16.Bd4




16…Rxc2+!!
[これは完全に要くんのプリパレーションだったと思います。セオリーを知らない白プレーヤーは、この思いがけないルークサクリファイスに驚愕します。ちなみに、2008年のドレスデン・オリンピアードでは、佐野くんがニカラグアのプレーヤーにこのサクリファイスをされました!] 17.Bxc2 [17.Kxc2? Bf5+はダメですが、17.Qxc2 Rc8 18.Qxc8+ Bxc8ならアンクリアーです。しかし、たいていの白プレーヤーはビショップでこのルークを取ります。] 17...Qxa2 18.Qe3 [ここで、16…Rxc2+!! をこの世に知らしめた有名な1戦から外れます。18.Qf2?! Rc8 19.Kd2 Rxc2+!! 20.Kxc2 Qc4+ 21.Kd2 Bxd4 22.Qe2 Bc3+!! 23.Ke3 Qc5+ 24.Ke4 Bf5+ 25.Kf4 Be5+ 26.Kg5 f6+ 27.Kh4 g5+ 0–1 Bakre,T (2492)-Kadziolka,B (2298)] 18...Rc8 19.Kd2




19…Bxd4
[ここは2回目の強烈なルークサクリファイスも可能です。19...Rxc2+!! 20.Kxc2 Qc4+ 21.Kd2 (21.Kb1? Bf5+ 22.Ka1 Qa6+) 21...Bxd4 22.Qxe7 Bb5で黒はダブルエクスチェンジダウンですが、攻めが続いており、指しやすいと思います。] 20.Qxd4 Rc4 21.Qd3? [21.Qe3 Qxb2] 21...Bf5 22.Ra1




22…Rxc2+!!
[来ました!! やはりここでこのサクリファイスです!] 23.Ke3 [23.Qxc2 Qxd5+ 24.Kc1 Bxc2 25.Kxc2 Qc4+ 26.Kd2 Qd4+ 27.Kc2 Qf2+ 28.Kb3 Qxg2–+] 23...Qxa1! 0–1

 

要くんは続くR.4では、スロバキアのIMJurcik Marian2481)とドロー! しかもこれは完全に勝てるゲームだったので、惜しかったです。とにかく、中国に来て2日目で早くも日本のチェスファンを勇気づける結果を残してくれています。

 

明日からマレーシア・オープンに向かう日本勢に早くもプレッシャーをかけていますね。このまま突っ走ってほしいと思います。


Japan League2011 -Two Giants -

昨日は更新せずに寝てしまいましたので、今日は最終ラウンドの結果もあわせて書きます。結論から言うと、最後まで調子の上がらないトーナメントでした。先々週の名古屋オープンに続いて切れのないプレーが多かったと思います。

 

5R 馬場(2237 1-0 山田くん(2088 French Tarrasch

6R 上原くん(2016½-½ 馬場(2237 Ruy Lopez Chigorin

7R 小島くん(2300 1-0 馬場(2237 English-Grunfeld

 

南條、小島 6P

馬場、佐野、中村(龍)、山田、野口、岩崎 4.5P

 

トーナメント自体は南條、小島両君の圧勝でした。他が付け入る隙がないプレーを見せていました。専業の小島くんには、ぜひこのまま続くマレーシア・オープンでIMノームを獲得してほしいと思います。また、南條くんには、賞金を軍資金に海外大会へチャレンジしてほしいと思います。

 

冴えないトーナメントながら、1ゲームうまく指せたので、そのゲームを紹介します。

 

Baba Masahiro (2237)

Yamada Kohei (2088)

Japan League 2011(5)

 

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nd2 Nc6!? 4.Ngf3 Nf6 5.e5 Nd7 6.Be2 f6 7.exf6 Qxf6 8.Nf1 Bd6 9.Ne3 [黒からのe6-e5を防ぐため、ナイトはd5を睨んでおけるマスに置きます。] 9...00 10.00 Qg6 11.c4 Nf6 12.b3 Bd7?! [自然に見える手ですが、このあと黒は厳しくなります。12...Ne7] 13.Bb2 Bf4 14.Ne5!




14...Qh6
[14...Bxe5? 14...Nxe5? も、15.dxe5からd5のポーンが落ちます。] 15.N3g4 Nxg4 16.Nxg4 Qg6 17.g3 Bd6 18.Ne5! Qe8 19.Bg4 [スレットはNxd7からcxd5。ここは19.Bh5!? をいれるかどうか迷いました。] 19...Bxe5 [山田くんは19...Nxe5 20.dxe5 Bc5 21.cxd5 Bb5 22.Bxe6+ Kh8 で黒を持ちたくないと検討で話してくれましたが、私にはエクスチェンジダウンに見合う白のアドヴァンテージがそこまであるようには見えませんでした。おそらく黒はこのラインで勝負したほうが良かったでしょう。] 20.dxe5 Ne7 21.Ba3 c6 22.cxd5 cxd5 23.Rc1 [白のダブルビショップが活きる形となり、白大きく優勢です。]




23...Rf7 24.Rc7 Nc6 25.Bd6 Bc8 26.Rxf7 Qxf7 27.Qd2
[白のプランはシンプルです。bポーンを突いていってc6のナイトを追い払ったあと、Rc1からRc7への侵入を狙います。] 27...Bd7 28.Rc1 Rc8 29.h4 h6 30.h5 [キングサイドも固定し、黒クイーンの白陣への侵入を一切断ち切ります。] 30...Kh8 31.Rc3 Rg8 32.b4 Qe8 33.b5 Na5 34.Rc7 Nc4 35.Qb4 g6?! 36.Be7! gxh5 37.Bf6+ Kh7 38.Qb1+!
1
0



Japan League2011 -It’s his day-

ペアリングは予想を外れ、3Rは南條くんと。今日は彼の日でした。彼は私に勝ったあと、続く4Rで小島くんに勝ち、4連勝の単独首位となりました。

 

3R 馬場(2237 0-1 南條くん(2259 Sicilian Najdorf

4R 北神さん(2056 0-1 馬場(2237 Queens Pawn

 

今日一番のゲームは、4Rで最後まで残っていた中村-佐野戦だったと思います。このゲームの棋譜は入手したのですが、途中で解読不能になりました。棋譜をアップするのは後日ということでよろしくお願いします。

 

4R終了して、

 

南條 4P

佐野 3.5P

小島、馬場、塩見、山田 3P

 

です。明日は佐野-南條、小島-塩見、馬場-山田の当たりです。


calendar
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< August 2011 >>
selected entries
categories
archives
recent comment
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM