World Open -Day2-

World OpenR.1からR.5までは11ゲームです。これらのゲームは18:00 or 19:00開始であり、R.6,7は日曜、そしてR.8,9はアメリカの独立記念日(祝日)に行われます。つまり、World Openは、大会会場近辺に職がある人にとっては、「昼間仕事をして夜試合」ということも可能だということです。これを見て、「なるほど、良く考えられているスケジュールだな」と感じました。ただ、仕事をしてからチェスというのはあまり勧められないということだけは言っておきます。

小島くんのR.2の相手は、オーストラリアの若きFMLy Moulthunでした。このゲーム、小島くんは勇気を出して勝ちに行ったところをブランダーで負け。結果に結び付かなかったのが残念です。

Round2
Ly,Moulthun (2375,FM) 1-0 Kojima Shinya (2329,FM)

1.e4 c6 2.d4 d5 3.e5 c5 4.dxc5 Nc6 5.Bb5 e6 6.Be3 Nge7 7.Nf3 Nf5 8.Bd4 Nfxd4 9.Qxd4 Qa5+ 10.Nc3 Qxb5 11.Nxb5 Nxd4 12.Nfxd4 Bxc5 13.Nb3 Bb6 14.Nd6+ Ke7 15.f4 Rb8 16.Nxc8+ Rbxc8 17.Kd2 Rc4 18.g3 h5 19.Kd3 h4 20.Nd2 Rb4 21.b3 Rd4+ 22.Ke2 Ba5 23.Nf3 Re4+ 24.Kd3 hxg3 25.hxg3 Rc8 26.c4 Bb6 27.Rae1 Rxe1 28.Rxe1 Bf2 29.Rc1 b5 30.g4 dxc4+ 31.bxc4 b4 32.Rc2 Bc5 33.Ke4 a5 34.Nd4 a4 35.f5 Rc7 36.g5 g6 37.fxg6 fxg6 38.Rh2 Bxd4 39.Kxd4 Kd8 40.Rh8+ Kd7 41.Rb8 b3 42.axb3 axb3 43.Rxb3 Kc6 44.c5 Ra7 45.Rb6+ Kd7 46.Rd6+ Ke7 47.c6 Ra4+ 48.Kc5 Ra5+ 49.Kb6 Rxe5 50.Rd7+ Ke8 51.Rd1 Re2 52.c7 Rb2+ 53.Ka5 Ra2+ 54.Kb4 Ra8 55.Kb5 1–0

IM
ノーム獲得のためには、ほぼもうあとがないと言えるでしょう。

踏ん張るんだ。


Philadelphia International -Day5- & World Open -Day1-

最終ラウンドの結果です。

Round9
Lenderman,A (2548,GM) 1-0 Kojima Shinya (2329,FM)

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.e3 a6 5.Bd3 Bg4 6.Nbd2 e6 7.0–0 c5 8.cxd5 Nxd5 9.dxc5 Bxf3 10.Nxf3 Bxc5 11.Be4 Nc6 12.Bxd5 Qxd5 13.Qxd5 exd5 14.Bd2 f6 15.Bc3 Kf7 16.Rfd1 Rhd8 17.Rac1 Bb6 18.Rd3 Ke6 19.Rcd1 Rd7 20.Bd4 Nxd4 21.Nxd4+ Bxd4 22.Rxd4 Rc8 23.R4d2 Rc4 24.b3 Rc6 25.g4 a5 26.Kg2 Rc8 27.Kg3 Ke5 28.f4+ Ke6 29.Rd3 b5 30.R1d2 g6 31.h4 Rc1 32.e4 d4 33.g5 fxg5 34.hxg5 b4 35.Rxd4 Rxd4 36.Rxd4 Rc3+ 37.Kg4 Rc2 38.a4 bxa3 39.Ra4 a2 40.Rxa5 Rg2+ 41.Kf3 Rb2 42.f5+ gxf5 43.exf5+ Kf7 44.Kg4 Rg2+ 45.Kh4 Rh2+ 46.Kg3 Rb2 47.Ra7+ Kg8 48.Kg4 Rxb3 49.Ra8+ Kf7 50.Ra7+ Kg8 51.Ra8+ Kf7 52.Rxa2 Rb4+ 53.Kh5 Rb1 54.Ra7+ Kg8 55.Ra8+ Kf7 56.Ra3 Rg1 57.Kh4 Kg7 58.Rb3 Kf7 59.Rg3 Rf1 60.Kg4 Kg7 61.Rh3 Rg1+ 62.Kf4 Rf1+ 63.Rf3 Ra1 64.Re3 Kf7 65.Re2 Rf1+ 66.Ke5 Rg1 67.Rh2 Kg7 68.Rd2 Re1+ 69.Kd6 Rg1 70.Re2 Rd1+ 71.Ke7 Rf1 72.Re5 Rf2 73.Ke8 Kg8 74.f6 h6 75.Re7 1–0

Lendermanはえらくあっさりとしたオープニングを選んできました。安全とは言えますが、勝ちにいけるかといったらそうではありません。実際、ゲームもドロー模様となりました。しかし、そういう局面でも結果がついてしまうため、IMノームに手が届きません。最終的に50%の結果。全日本で失ったレイティングを取り戻すにもまだまだ時間がかかりそうです。

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Philadelphia Internationalは終了し、その数時間後にメインイベントと言えるWorld Openが始まりました。

Round1
Mikhalevski,V (2577,GM) ½-½ Kojima Shinya (2329,FM)

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.e3 Bg4 5.Nc3 e6 6.Qb3 Qb6 7.Nh4 Bh5 8.h3 Be7 9.g4 Bg6 10.Nxg6 hxg6 11.Bg2 Na6 12.Qa4 dxc4 13.Qxc4 g5 14.Bd2 Nd5 15.0–0–0 0–0–0 16.Kb1 Nxc3+ 17.Bxc3 Nc7 18.Qa4 Nd5 19.Rc1 Kb8 20.Ba5 Qa6 21.Bf1 b5 22.e4 Nb4 23.Qa3 Nd5 24.Qg3+ Bd6 25.e5 Qxa5 26.exd6 Nf4 27.Bg2 Rxd6 ½–½

初戦から厳しい相手でしたが、こちらは問題なくドロー。しかし、最終局面は黒がはっきりといいので、ドローオファーは正直微妙なところです。

おそらく、IMノームを取るためにはどこかでGMにも勝たなければいけないと思います。しかし、最近の小島くんのゲームを見ていると、どうも弱気な気がします。特に全日本では、勝負すればいくらでも勝てるようなところでドローオファーしたりしていました。

「負けないように指すことに意識がいきすぎていているのでは?」

このままだと、いくつトーナメントに出てもIMノームは取れない、というかIMノームはそういう指し方で取るものではないような気がします。

勇気を出して勝ちにいこう。


Philadelphia International -Day4-

4日目の結果です。

Round7
Gerzhoy,L (2496,IM) 1-0 Kojima Shinya (2329,FM)

1.Nf3 d5 2.d4 Nf6 3.c4 c6 4.Nc3 dxc4 5.a4 Bf5 6.Ne5 Nbd7 7.Nxc4 Nb6 8.Ne5 a5 9.g3 e6 10.Bg2 Bb4 11.0–0 0–0 12.e3 h6 13.Qe2 Bh7 14.Rd1 Nfd7 15.Nxd7 Nxd7 16.e4 Qe7 17.Be3 Rfe8 18.d5 exd5 19.exd5 Bxc3 20.dxc6 bxc6 21.bxc3 Qe6
22.Qa2 Ne5 23.Qxe6 Rxe6 24.Bd4 Nc4 25.Bh3 Re7 26.f4 Be4 27.Re1 Rae8 28.Bc5 Rb7 29.Rad1 Rb2 30.Rxe4 1–0

トーナメント・リーダーとの対戦は予想以上にあっさり負け。個人的にはダブルビショップの利を生かして勝つために22.Qa2でクイーン交換しにいく手が印象的でした。

Round8
Kojima Shinya (2329,FM) ½-½ Piasetski,L (2301,IM)

1.Nf3 Nf6 2.c4 d6 3.d4 g6 4.Nc3 Bf5 5.Nh4 Bd7 6.e4 e5 7.Nf3 Nc6 8.d5 Ne7 9.Be2 Bg7 10.0–0 0–0 11.b4 Nh5 12.Re1 Kh8 13.Nd2 Nf4 14.Bf1 Qe8 15.c5 Nc8 16.Nc4 a6 17.a4 f5 18.exf5 Qf7 19.fxg6 Qxg6 20.Kh1 Bf5 21.Ra2 Bd3 22.f3 Bxf1 23.Rxf1 Ne7 24.g3 Nh5 25.cxd6 cxd6 26.Nb6 Rad8 27.Ne4 Bh6 28.Rc2 Nf6 29.Bxh6 Qxh6 30.Rc7 Nf5 31.Nxf6 Rxf6 32.Qe1 Rg8 33.Rg1 Nd4 34.Qc1 Ne2 35.Qxh6 Rxh6 36.Rg2 Nxg3+ 37.Kg1 Ne2+ 38.Kf2 Rxg2+ 39.Kxg2 Nf4+ 40.Kf1 Rxh2 41.Rxb7 h5 42.Kg1 Ra2 43.Rd7 h4 44.Rxd6 Kg7 45.Rd7+ Kh6 46.Rd8 Ra1+ 47.Kh2 Ra2+ 48.Kg1 Ra1+ ½–½

相手のカナダの
IM1993年から2009年まで日本に滞在していて、立命館大学で教鞭をとっていたとのこと。IMが日本にいることは知っていましたが、ずいぶん昔からいたことに驚かされました。しかし、IMという人種は、普通であればチェスができる環境を血眼になってでも探すものなのに、10年以上もいて、日本のチェスシーンに一切出なかったことは意外に感じられます。彼がもし、東京に滞在していればまた別の話になっていたかもしれません。

小島くんはここまでで
4.5P/8RIMノームは絶望的ですが、最後に一矢報いるため、R.9にアメリカの若きGMの一人、Lendermanと対戦します。


Philadelphia International 2011 -Day3-

大会は3日目です。

 

Round5

Oladapo,Adu (2295,IM) ½-½ Kojima Shinya (2329,FM)

 

1.e4 c6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4 4.Nxe4 Bf5 5.Ng3 Bg6 6.h4 h6 7.Nf3 Nd7 8.h5 Bh7 9.Bd3 Bxd3 10.Qxd3 e6 11.Bd2 Ngf6 12.0–0–0 Be7 13.Qe2 Qb6 14.Rhe1 0–0 15.Ne5 Rad8 16.c3 c5 17.Nxd7 Rxd7 18.Be3 Rfd8 19.dxc5 Bxc5 20.Rxd7 Rxd7 21.Bxc5 Qxc5 22.Qf3 Qg5+ 23.Kb1 Qd2 24.Rc1 Rd3 25.Qxb7 Qxf2 26.Ne4 Qf5 27.Nxf6+ gxf6 28.Ka1 e5 29.Qb5 Rd2 30.a4 Kg7 31.c4 Qf4 32.g3 Qe3 33.Ka2 Rh2 34.Rd1 e4 35.Rd7 Rd2 36.Rc7 Qd4 37.Qb7 Kg8 38.Rc8+ Kg7 39.Qb8 f5 40.Qb4 Kf6 41.Rc5 Rc2 42.Qb5 Kg7 43.Rd5 Qxc4+ 44.Qxc4 Rxc4 45.Kb3 Rc1 46.Rxf5 Rg1 47.Kc4 Rxg3 48.b4 Ra3 49.a5 e3 50.Kd4 e2 51.Re5 Ra2 52.Kd3 Kf6 53.Rxe2 Rxe2 54.Kxe2 Ke5 55.Ke3 Kd5 56.Kf4 Kc4 57.Kf5 Kxb4 58.Kf6 Kxa5 59.Kxf7 Kb5 60.Kg6 a5 61.Kxh6 a4 62.Kg7 a3 63.h6 a2 64.h7 a1Q+ 65.Kg8 ½–½

 

対戦相手はナイジェリアの1番ボード。昨年のオリンピアードで対戦しています。こんなところで再戦とは奇遇ですね。

 

Round6

Kojima Shinya (2329,FM) 1-0 Shahade,M (2266)

 

1.Nf3 c5 2.c4 g6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nc6 5.e4 Nf6 6.Nc3 d6 7.Nc2 Bg7 8.Be2 0–0 9.0–0 Nd7 10.Bd2 Nc5 11.b4 Bxc3 12.Bxc3 Nxe4 13.Bb2 Nf6 14.b5 Ne5 15.Qd4 Ned7 16.Ne3 Qb6 17.Nd5 Qxd4 18.Nxe7+ Kg7 19.Bxd4 Re8 20.Nxc8 Rexc8 21.Rfd1 b6 22.Bb2 Nc5 23.Bf3 Rab8 24.Rxd6 Ne6 25.Bc6 Rd8 26.Rad1 Rxd6 27.Rxd6 g5 28.Be5 1–0

 

これは快勝というより楽勝でした。17.Nd5が決め手です。

 

R.71番ボードでトーナメント・リーダーと対戦です! Shabalovもいなくなったことですし、優勝目指して戦ってほしいと思います。ここが踏ん張りどころです。


Philadelphia International 2011 -Day2-

まずは、真鍋さんより以下のサイトで大会の結果が見られることを教えてもらいました。


http://chesstournamentservices.com/cca/2011/06/philadelphia-international-2011-standings/

 

参加者は32名と少ないですが、半数近くがタイトルホルダーで、少数精鋭の大会となっています。

 

Round3

Garcia,G (2368,GM) 1-0 Kojima Shinya (2328,FM)

 

1.e4 c6 2.d4 d5 3.exd5 cxd5 4.c4 Nf6 5.Nc3 Nc6 6.Nf3 Bg4 7.cxd5 Nxd5 8.Qb3 Bxf3 9.gxf3 e6 10.Qxb7 Nxd4 11.Bb5+ Nxb5 12.Qc6+ Ke7 13.Qxb5 Nxc3 14.bxc3 Rb8 15.Qc5+ Ke8 16.Qxa7 Bd6 17.Be3 Qf6




18.Rd1 Qxc3+ 19.Kf1 Qc2 20.Rd4 h5 21.h4 Qc7 22.Qa4+ Ke7 23.Kg2 Ra8 24.Qb5 Ra5 25.Qd3 Be5 26.Rc1 Qb7 27.Rb1 Qc8 28.Rc4 Qa8 29.Bc5+ Kf6 30.Qe3 1–0

 

相手はコロンビアのGM2006年のWorld Openで羽生さんが対戦し、勝っています。オープニングはまたしても小島くんのプリパレーション通りだったようですが、勝負はオープニングの知識の差でつくものではありません。18.Rd1は驚きの1手で、18...Qxf3に対して白がどうするのか、パッと見ただけでは分かりません。とにかく、試合は完全にアウトプレーされた形となりました。

 

Round4

Kojima Shinya (2328,FM) 1-0 Rasch,H (2287,FM)

 

1.Nf3 Nf6 2.c4 c5 3.Nc3 b6 4.g3 Bb7 5.Bg2 e6 6.0–0 Be7 7.d4 cxd4 8.Qxd4 0–0 9.Rd1 d6 10.Bg5 Nc6 11.Qd2 Ne8 12.Rac1 Qd7 13.Bh3 Qd8 14.b3 Ne5 15.Bxe7 Nxf3+ 16.exf3 Qxe7 17.f4 Qc7 18.Bg2 Bxg2 19.Kxg2 Rd8 20.Qe3 Nf6 21.Qf3 Rd7 22.g4 g6 23.Rd4 Rfd8 24.Rcd1 d5 25.g5 Nh5 26.cxd5 e5 27.fxe5 Qxe5 28.h4 f5 29.Qe3 Qb8 30.Qe6+ Rf7 31.d6 Ng7 32.Qc4 Rdd7 33.Nd5 Ne8 34.Re1 Kf8 35.Rxe8+ Qxe8 36.Nf6 Qa8+ 37.f3 Rd8 38.d7 Qb7 39.Qe6 Kg7 40.Qe5 Qb8 41.Rd6


 


41...Kf8 42.Qe6 Qc7 43.h5 gxh5 44.Qe8+ 1–0

 

こちらは文字通り快勝でした。この調子で残りを戦ってほしいと思います。


Deep Analysis(8) -全ての可能性を切り捨てないで考える-


                           White to move

 

今日はチェス曜日のblogで目にとまったポジションです。川中さんも「ドローっぽい局面」と言うように、私もそう感じました。マテリアルはイコールですし、白黒両方ともポーンストラクチャーに弱点はありません。駒の位置にも差はないように見えます。しかし、ここに面白いタクティクスが潜んでいました。

 

1.b4

 

川中さんによると、「罠のつもり」。1...Qxc3? には2.Rc1! c6のナイトが落ちるということです。もちろん、一発狙いですから川中さんはこの手に「?!」をつけています。私は即座に「?」をつけました。白のクイーンサイドのポーンストラクチャーを著しく傷つけるからです。「自分から弱点を作らないこと」というのはチェスにおいては鉄則で、この手はそのルールに反します。

 

代わりに私は1.h4!? を考えました。バックランクメイトを防いでおくことは悪いことではありませんし、Nf3-g5からQxh7#の準備にもなっています。さらに、g3-Kg2とすれば白のキング周りは一歩前進です。「何をやっていいか分からない時は駒のポジションを少しでも良くすること」というのは日本コーチのMishaがよく口にするアドバイスです。「イコールに見えるポジションの時は無理して仕掛けるのではなく、小さな前進をすること」ということです。

 

しかし、ここで満足して局面の検討を終わらせると先はありません。もう一度1.b4を考えました。世の強いマスター達はこういう明らかにルールに反するような手も切り捨てないで考えます。

 

1...Qb5


 

 

昨晩、このポジションを検討している時、私は2.c4を考えました。クイーンを端っこに追いやり、黒キングへダイレクトなアタックを作ります。

 

2.c4 Qa4 3.Rxd8 Rxd8 4.Ng5 g6 5.b5! d8のルークを浮かせる) 5…Nd4 (5...Ne7 6.Nxe6! fxe6 7.Qxe6+ Kf8 8.Qf6+ Ke8 9.Re1 Rd7 10.Qh8+ Kf7 11.Qxh7+は白攻勢) 6.Qh4 h5

 


 

7.Nxf7!

 

白クイーンがd8のルークに利いているのでこのナイトは取れません。一瞬のうちに黒キング前が崩壊し、これは白が勝つ形です。

 

しかし、ここで白勝ちと結論付けてはいけません。3…Rxd8の代わりに3…Nxd8もあります。

 

3...Nxd8!


 

 

4.Ng5 g6 (4…f5!?) 5.Qh4 h5 6.g4!?

 

 

 

白は黒のキングサイドを崩しにいきますが、黒には十分なディフェンスがあります。

 

6...f6! (6...Qxa2? 7.gxh5 gh5 8.Qxh5 Qc2 9.Kh1!gファイルからのアタックが厳しい) 7.Ne4 g5! 8.Qxh5 Kg7

 


 

これでどちらにもチャンスがあると思います。

 

 

昨晩はここで「1.b4もありだな」と結論付け、満足して眠りについたのですが、今朝あらためてポジションを眺めていると、驚愕の事実に気が付きました。

 

2.a4!

 


 

昨晩は2.c4しか考えていませんでしたが、この手がありました!

 

2...Qxa4 3.Ra1 Qb5 4.c4!

 


 

なんと、c6のナイトが落ちます! つまり、1.b4はピースアップにつながるコンビネーションの第一歩であり、1.b4?!でも1.b4?でもなく、1.b4!! だったのです。

 

自分の第一感は時に信じ、時に疑ってみる必要があるということですね。


Philadelphia International 2011 -Day1-

スタートしました。まだ、どのサイトでペアリングや結果が見られるのか分かりません。今のところ、小島くんのページでアップされている情報が全てです。

 

Round1

Kojima Shinya (2328,FM) 1-0 Obiamiwe E, P (2020)

 

1.Nf3 Nf6 2.c4 e6 3.g3 d5 4.d4 Be7 5.Bg2 0–0 6.0–0 dxc4 7.Qc2 a6 8.a4 Nc6 9.Qxc4 Qd5 10.Nbd2 Bd7 11.Rd1 Rfd8 12.e3 Qh5 13.Qf1 Be8 14.Nc4 Rab8 15.Nfe5 Nxe5 16.Nxe5 Nd7 17.Bf3 Qf5 18.Bg4 Qf6 19.Nd3 c5 20.Nf4 cxd4 21.exd4 Nb6 22.a5 Nd5 23.Bf3 Bc6 24.Bxd5 Bxd5 25.Nxd5 Rxd5 26.Be3 Rbd8 27.Rdc1 R5d7 28.Rc4 h6 29.Rac1 Qf3 30.Rc7 Qd5 31.Qe1 Qb5 32.Qc3 Bb4 33.Rxd7 Rxd7 34.Qc8+ Kh7 35.h4 Qd5 36.Qe8 Re7 37.Qf8 Bd6 38.Rc8 Rd7 39.Qh8+ Kg6 40.Rg8 [back-rank strategy!] 41…f6 41.Qxh6+ Kf5 42.Rxg7 Rxg7 43.Qxg7 Qf3 44.Kh2 Bb4 45.Qh7+ Kg4 46.Qg6# 1–0

 

「白番は1.e4をやめて1.Nf3でいく」という宣言通り、1.Nf3から始まりました。そんな簡単なゲームではありませんでしたが、レイティング差もあり、最後は私の好きなテーマであるバックランク・ストラテジーで勝ち。

 

Round2

Aaron, D (2288) ½-½ Kojima Shinya (2328,FM)

 

1.e4 c6 2.d4 d5 3.exd5 cxd5 4.c4 Nf6 5.Nc3 Nc6 6.Bg5 dxc4 7.d5 Ne5 8.Qd4 h6 9.Qxe5 hxg5 10.Bxc4 Bd7 11.Nf3 g4 12.Ng5 Rc8 13.Bb3 Rh5 14.0–0–0 g6 15.f4 gxf3 16.gxf3 Bg7 17.Qg3 Qa5 18.Ne6 fxe6 19.dxe6 Qg5+ 20.Qxg5 Rxg5 21.exd7+ Nxd7 22.Be6 Rc7 23.Bxd7+ Rxd7 24.Rxd7 Kxd7 25.Ne2 Rg2 26.Kd2 Bxb2 27.Rb1 Bd4 28.Rxb7+ Kd6 29.Kd3 Bb6 30.a4 Rf2 31.Nd4 e5 32.Nb5+ Ke6 33.Nxa7 Rxf3+ 34.Ke2 Rf2+ 35.Kd3 Bxa7 36.Rxa7 Rxh2

 



オープニングは小島くんのプリパレーション通りだったと思います。そして有利に駒交換を進め、ポーンアップのルークエンディングに持ち込みました。

 

37.a5 Ra2 38.Ra8 Kf5 39.Rf8+ Kg4 40.Ra8 Ra4 41.a6 Kf3 42.Rf8+ Kg3 43.Ra8 g5 44.a7 g4 45.Ke3 e4 46.Ke2 Ra3 47.Kd2 Kg2 48.Ke2 g3 49.Kd2 Kg1 50.Ke2 g2 51.Kd2 Ra6

 

ここまでの進め方はきっと正しいのだと思います。ただ、時間切迫か長旅の疲れか、ここで勝ちを逃しました。相手のパスポーンをルークで止める時は、原則、背後から止めますが、ここはタテからヨコへシフトすべきでした。私の考えた黒勝ちのプランは、51...Rd3+! 52.Ke2 Rd7! 53.Ke3 Rh7–+



                               ANALYSIS  DIAGRAM

 

これで白には手がなく、次にKh2Kh1g1のマスをポーンに譲って終了です。

 

52.Ke3 Ra4 53.Ke2 Ra6 54.Ke3 Rg6 55.Rf8 Kh2 56.a8Q g1Q+ 57.Rf2+ Kh3 58.Qh8+ Kg4 59.Qc8+ Kh4 60.Qh8+ Kg4 ½–½


学生チェス連盟主催大会 -新人戦 & 1dayトーナメント-

今週末から2週続けて学生チェス連盟主催の大会が吉祥寺で行われます。その第1弾の新人戦(6/26)は、参加資格がかなり制限されているにもかかわらず、現在エントリーしているのが25名と、盛り上がりを見せる予感がします。第2弾の1dayトーナメント(7/3)はどなたでも参加可能です。以下に大会詳細を転記します。

 

【名称】2 1dayトーナメント

【日時】201173日(日)

【会場】吉祥寺チェスクラブ

【形式】4R完全スイス式

【タイムコントロール】30+30/

【参加資格】無し

【参加費】1000円(JCAレーティング2100以上のプレイヤーは無料招待)

【表彰】13位+特別賞

 

【参加申し込み】

7/1までにメールでお申し込み下さい。

メールアドレス:students.chess@gmail.com

7/2以降の申し込みは、R1byeとすることがあります。

定員:40名(先着順とさせていただきます)

 

【備考】

JCA非公式戦です。

・プレイヤーリストはJCAレーティング(S77)に準拠して作成します。

・自己申告のbyeは、R1のみ1/2R2以降は0ポイントです。

・参加者は必ず10:10までに会場へお越し下さい。集合時刻にいらっしゃらない場合は、R1を不戦敗とします。

・タイブレークはアルマゲドンを採用し、1位を決めるもののみ行います。

・特別賞は、

 [招待選手から勝利]

 [女性プレイヤートップ]

 [高校生以下トップ]

 を予定しております。

・会場地図は吉祥寺チェスクラブHPをご覧下さい。

 

【オーガナイザー】

篠田 太郎

 

【スケジュール】

10:00 開場

10:10 集合

10:30 R1

13:00 R2

15:00 R3

17:00 R4

19:00 タイブレーク

19:30 表彰式

※進行状況により変更があります。


Kojima Shinya's IM Quest

いよいよ今週から小島君のアメリカン・ツアーがスタートします。今回、彼が出るのはPhiladelphia InternationalWorld Open2大会です。まずはスケジュールをチェックしましょう。

 

6/22(水) 現地到着&チェックイン

6/23(木) Free Day

6/24(金) Philadelphia International R1 11:00 R2 18:00

6/25 R3 11:00 R4 18:00

6/26 R5 11:00 R6 18:00

6/27(月) R7 11:00 R8 18:00

6/28(火) R9 11:00 World Open R1 19:00

6/29(水) R2 19:00

6/30(木) R3 19:00

7/01(金) R4 18:00

7/02 R5 18:00

7/03 R6 11:00 R7 18:00

7/04(月) R8 10:00 R9 17:00

7/05(火) チェックアウト&現地発

7/06(水) 日本着

 

丸々2週間の滞在ですが、合計18ゲームこなすハードスケジュールです。しかもPhiladelphia Internationalが終了したその日にWorld Openが始まります。休んでいる暇はありません!

 

このアメリカン・ツアーに参加するようになった経緯については、彼自身が書いていますので、そちらを参照してください。

 

http://shinyakojima-blog.blogspot.com/2011/05/challenging-tournaments-in-usa.html

 

大会期間中、小島くんと行動を共にするであろう、オーストラリアの若手コンビ、FM Ikeda Junta & FM Ly Moulthunのプレーや彼らとの絡みにも注目したいと思います。Ly MoulthunはすでにIMノームを3つ持っており、すぐにFIDEからタイトルが授与されると思います。ですから、本当にIM Questしなければならないのは池田くんと小島くんの2名ということになります。

 

これから山あり谷ありの、長くてしかし熱いIMへの道のりが始まります。


Anish Giri 公式ホームページ日本語版


 

http://www.anishgiri.nl/html/jpn/news.html

 

オランダの若きGM Anish Giriは幼少のころ一時期、北海道に滞在していました。彼は今では世界のトップスターの仲間入りをし、その活躍はどのチェスニュースを見ても目立ちます。幼少時代のAnishをよく知る函館チェスサークル代表の山田明弘さんは、現在、Anish Giri Official Pageの日本語版を精力的に書かれています。このホームページは内容がとても豊富で、イベント情報やゲーム分析、はたまた貴重な日本滞在時の写真まで掲載されています。おそらく、トップGMのホームページが日本語で読めるサイトなど、他にどこを探してもないでしょう。

 

このたび、山田さんからBehind the Sceneでもこの日本語版ホームページのPRをしてくれないかと頼まれました。ホームページに掲載の1ゲームを山田弘平くんの訳でお届けします!

 

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ANNOTATED BY GM Anish Giri

(TRANSLATED BY Yamada Kohei)

 

Renet Olivier (2497,FRA,GM)

Giri Anish (2687,NED,GM)

Tch-FRA TOP12 2011(6)

 

白番で何事も無くドローになり、チームが負けた第1ラウンドの後、僕は2つ目のゲームで何かやってやろうと思っていた。

 

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 Bg7

 

最近レパートリーを大幅に変えていて、このときはキングズ・インディアン・ディフェンスを試そうと決めていた。明らかに安全な選択ではないけれど、僕がキングズ・インディアンで気に入っているのは、それが上手く行く時にはとことん上手く行くところにある。

 

4.e4 d6 5.Be2 0-0 6.Nf3 e5 7.0-0 Nc6

 

メインラインに踏み込むことにした。実際僕がこのラインを指したのは、2005年にまでさかのぼる(さかのぼると言うほど大昔ではないが)。そのころは僕はわずか11歳で、まだ本格的にオープニングの勉強をしていなかった。【訳注:2004年、アニッシュは札幌チェスクラブで北海道チャンピオンになっている。(当時同率2位は山田弘平)そのころアニッシュの定跡知識は日本の子どもと大差なかった。】

 

8.d5 Ne7 9.Ne1 Nd7 10.Nd3 f5 11.Bd2

 

経験豊富な相手は、僕が最近(白を持って)指したラインを選んできた。

 

11...fxe4




僕は
f5-f4 とセンターを閉じた後に現れる、シャープな戦略的戦いを避けることにした。11...Nf6がメインラインだ。12.f3 f4 (僕はトパロフ相手に白をもち、12...c6!? と指して、惨敗を喫している) 13.c5 g5 14.Rc1 Ng6 ここで僕は野心的でリスキーな15.Nb5!? を、白を持って2局指した。Niboerとのゲームは勝つことができ、グリシュクと指したアンバーでの目隠し対局はドローにすることができた。そのゲームは15...Rf7 16.Ba5 b6 17.cxd6 cxd6 18.Be1 a6 19.Nc3 a5と進み、シャープな戦いを経た後、平和的結末となった。

 

12.Nxe4 Nf5

 

このナイトは素晴らしい居場所を見つけた。このfxe4 の変化のもうひとつの主張は、d3のナイトがあまり良くない場所にあるということだ。しかしながら白のナイトは非常に良いマスであるe4にあり、単純からは程遠い複雑なポジションだ。それに黒はキングサイドから直接攻撃することが難しい。でもやはり、白のプランをどうするかというのは明らかではない(c4-c5 d5 のポーンを弱めてしまう)。つまりこの局面は非常に複雑で、それこそ僕がこのゲームで求めていた局面だった。12...Nf6 先にe4のナイトを交換しにいくのがメジャーな選択肢だ。しばしばNf5Nf6は似たような局面になる。

 

13.Rc1?!

 

自然に見えるけど、残念ながら好手ではない。問題は、黒のよくあるアイディアであるBh6c1のルークにあたってしまうので、白がビショップをc1-h6のダイアゴナルから避けることができない点にある。これはかなり抽象的に聞こえるかもしれないけど、14手目のコメントを見れば、この問題がすぐに現実的なニュアンスを帯びてくることがわかる。13.Bc3 d4をカバーするアイディアの方がよかった。この局面は絶対にやらなければいけないことがあるわけではないので、どちらもマニューバリングを始めることになる。実戦的には、キングズ・インディアンの全てのラインにおいて、白は結局クイーンサイドからの襲撃を準備するしかなく、一方で黒は白の君主に働きかける準備をしなくてはならない。

 

13...Nf6 14.Bg5

 

この手は気に入らないけど、どのみち白にはもう黒マスビショップを救う手がないということだ。14.Bf3のあと、黒は白のルークの不幸な位置を利用して、黒マスビショップを交換することができる14...Bh6! 相手が考えている間、僕は頭の中でいくつかの変化を思い描いていた。そのひとつは15.Bxh6 Nxh6 16.c5!? で、それ以外は白がどうするのかはっきりしない。16...Nxe4 17.Bxe4 ここで僕が気に入ったナイトのマニューバーがある。17...Ng4!? という手が、f6 に戻るのを狙うと同時に、ちょっとかっこいいNxh2! という手を狙っている。 【訳注: Kxh2 には Qh4+ から Qxe4

 

14...h6

 

理想的にはこういう小さな弱点をつくるのは避けたいが、白にビショップ交換を強要する方法は他にない。

 

15.Bxf6 Bxf6 16.Bg4

 

白があっさりビショップをあきらめ、僕のビショップを取らなかったことは驚きだった。たしかに白はe4のマスを完全にコントロールしているけど、それはただひとつの良いピースがあるだけであり、白はアドバンテージを取りに行くことができない。それに、ここからピースの配置を改善するための明確なプランが黒にあるBg7-h6(もちろんh5の後に)、Bd7Qe7Rf7Raf8。実際このゲームで僕は、次の10手でピースの理想的な配置を得ることができた。16.Nxf6+ Qxf6 17.Bf3 が僕の予測していた手順だった。でも白が無味乾燥なポジションをもっているのは明らかだろう。17...Nd4 18.Be4 Bf5 でイニシアティブを握っているのは黒だけれど、もちろん白のポジションはいつも堅く、打ち砕くのは難しい。18...Qg5!?

 

16...b6!?




白が本当に
c5と突きたいのかはわからなかったけど(白のd5のポーンも弱くなるからね)、僕はこの手を指すことにした。僕はどのみち白のセンターにむかってc6とする気にはなれなかったし(これはとてもリスキーだ)、どちらかというとb6-a5とクイーンサイドを閉じる方をやりたかった。このポジションではb3-a3-b4-c5は、白にとって時間がかかりすぎるし、aファイルを僕のルークのために空けて、自分の陣地を僕の陣地より弱めてしまうので、それほど強いプランじゃない。

 

17.Rc3

 

白は駒の組み換えを始めたけど、黒は何も心配する必要はない。そこで僕は自分のプランを実行することにした。白が17.Nb4!? c6にナイトを送り込んでくるのは、それほど怖くない。なぜなら僕が考えたのは、Bd7からQe8Bxc6が間に合って、ただのポーン損になるからだ。実際には白はポーンを損することなく指すことはできそうだけど、この局面でナイトがc6に行くことがそんなに素晴らしいことなのかは疑問だ。例えば17...Bd7 18.Qd3 Bg7 19.Nc6 Qe8 20.Nc3! h5 21.Bf3 Bh6 22.Rcd1 Qf7とナイトを軽くあしらうことができそうだ。

 

17...a5

 

ここから白が出来ることはただじっとして待つことくらいだと、僕は確信していた。

 

18.Ne1 Bg7 19.Nc2 h5 20.Bh3 Bh6

 

約束されていたかのように、ビショップはオープン・ダイアゴナル(開いた斜線)を確保した。

 

21.Re1

 

21.Na3とナイトをb5に送り込むのは可能だけれど、そこで何をするかが、またしても定かではない。

 

21...Kh7 22.Ng3 Qg5

 

クイーンを展開するには絶好の場所だ。

 

23.Rf3 Bd7

 

23...Qd2も可能だった。が、自分のピースを改善するプランを続けることにした。

 

24.b3 Rf7 25.Re4

 

指しただけで、白にはプランがない。

 

25...Raf8 26.Re1 Qe7




ここで
26...Qd2は一考に値する。だけど僕は黒がエンディングを勝つか、少なくともいくつかプランを見つけることができるのに十分なリソース(潜在的手段)があるかどうか、確信が持てなかった。同時にNh4から続くいくつかのトリックを、Qe7というアイデアの中に見つけていた。

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