全日本選手権以来の初公式戦でした。
この大会、タイムコントロールが40+15sと全日本の半分もないラピッド・ゲーム4試合の1dayトーナメントで、試合に集中する前に大会が終わってしまう可能性もありました。しかし、結果は3勝1ドローでタイブレークの結果、優勝。まだ全日本後半戦の良い流れが残っていました。相手にアドヴァンテージを与えるところは一度もなかったと思いますし。優勝賞品はDGT North American。訳あって、今年の初め頃から手元にDGTがなかったため、タイムリーな賞品となりました。
余談ですが、会場ではBobby Fischer 魂の60局が販売されていました。主にタイトルをめぐって白熱した議論があったようですが、ここにきてようやく日本語訳版が出版となりました。会場内での売れ行きは良かったように見えました。今後、多くの人がこの本でフィッシャーのゲームを学ぶことになるでしょう。この本については後日、ここでも扱いたいと思います。フィッシャーのゲームを見る時のポイントなんかも併せて紹介できたらと思います。
8/27(土)-29(日)には、松戸CC主催のサマートーナメントが開催予定です。今回参加できなかった方は次回ぜひどうぞ!
□Nanjo Ryosuke (2337)
■Baba Masahiro (2240)
Matsudo Spring 2011 (4)
1.e4 e6 2.Nf3 d5 3.Nc3 Nf6 4.e5 Nfd7 5.d4 c5 6.dxc5 Nc6 7.Bf4 Bxc5 8.Bd3 f6 9.exf6 Nxf6 10.Qe2 0–0 11.0–0–0 a6
[“Russian Roulette” MoskalenkoのFlexible Frenchの影響で近年、日本でも指し始められるようになったサイドライン。白黒、逆サイドにキャスリングし、純粋な攻め合いとなります。] 12.Ne5 Nxe5 13.Bxe5 b5 14.g4 b4 15.g5 bxc3 16.gxf6 cxb2+ 17.Kb1 Rxf6!□
[明らかにOnly Moveです(17…gxf6?? 18.Bxh7+!)が、この手の裏にあるディフェンスのアイディアは注目に値します。このディフェンスのアイディアは次のゲームから学びました。1.e4 e6 2.Nf3 d5 3.Nc3 Nf6 4.e5 Nfd7 5.d4 c5 6.dxc5 Nc6 7.Bf4 Bxc5 8.Bd3 f6 9.exf6 Nxf6 10.Qe2 0–0 11.0–0–0 Bd7 12.Rhe1 a6 13.Ne5 Nxe5 14.Bxe5 b5 15.g4 b4 16.g5 bxc3 17.gxf6 cxb2+ 18.Kb1 Rxf6! 19.Rg1 Be8! 20.Qg4 Bf8! 21.Qh4 Rg6! 22.Qh3 Qb6 23.Rg2 Rc8 24.Rdg1 Bf7 25.Rxg6 hxg6 26.Rxg6 Qxf2 27.Qh8+ Kxh8 28.Rh6+ Kg8 29.Bh7+ Kh8 30.Bg6+ Kg8 ½–½ Smirnov,Igor (2451) - Erdos,Viktor (2420) World ol U16 Denizli 2003 ] 18.Bxf6 Qxf6 19.Rhg1 Bd7□ 20.Qh5 h6 21.Rg6 Be8 22.Rxf6 Bxh5 23.Rg1 Bf7 24.Rxh6 Bxf2 25.Rg4 Bd4 [このダイアゴナルにビショップを落ち着かせてしまえば、黒良しです。黒にはe6-e5-e4とセンターのポーンを進めていく分かりやすいプランがあります。そこで、次の白の手は1手に決まってきますが、私はベストだと思います。]
26.Rxe6!? Bxe6 27.Rxd4 Kf7 28.Kxb2?! g5! [h2ポーンを”固定”します。狙いはRh8からRxh2で、gポーンをパスポーンにすることです。白はa6ポーンを落としにいくことになりますが、私は黒のgポーンと白のaポーンのレースは黒に分があると考えていました。] 29.h4? [これは黒のお助けにしかなっていません。] 29…g4 30.h5?! Kf6 31.h6 Ke5 32.Rb4 g3 33.Bf1
33…d4?! [ルークの4thランクの利きを遮断しRb4-Rg4を防いだあとに、Be6-Bd5からg3-g2と突いて黒勝ちの予定でした。しかし、これには次の白の1手が白のポジションを救います。正しくは33...Bf5! で、次にBe4からgポーンを突いて黒勝ちです。] 34.c3! dxc3+ [34...Bd5? 35.Rxd4 g2?? 36.Rxd5+! Kxd5 37.Bxg2+は酷いので、安全に指します。] 35.Kxc3 Bxa2 36.Rg4= Rh8 37.Rxg3 Rxh6 38.Rg5+ Kf4 39.Ra5 ½–½