JCAのチーム選手権は今年でちょうど10回目。節目の年です。私は過去6回出場しており、今回が7回目の参加です。今は所属するクラブ、グループを持たない放浪の身なので、チーム選手権に参加するにはまずチームを組む(or入る)ことが必要でした。今までは学生主体のチームでプレーしていましたが、今年は自分にとっても節目の年ということもあり、松戸チェスクラブという社会人のチームでプレーすることに決めたのです。
さて、大会前のことを少しお話しておきます。
松戸チームは8月終わり頃に結成され、そこから主にメールで情報交換をしていました。そこで出ていた話でまず驚いたのは、黒番で1.e4に対してチームメンバーはFrenchのRubinstein(1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 dxe4)であわせるというものでした。チーム戦でオープニングをあわせるのは対策されやすくなるというデメリットのほうが大きいと思ったのと、FrenchのRubinsteinは非常にパッシブなオープニングで、あう人とあわない人がいると思いました。終わってみてどうだったかと言うと、松戸チームのFrench Rubinsteinは成功していなかったと思います。
また、大会1週間前の9/11には、北千住にてトレーニングを行いました。主にオープニングの確認とミニゲームでしたが、私は一つの盤を囲んでポジション研究するのもありだったと考えています。いずれにせよ、このように社会人チームが集まってトレーニングするということに、かなりの意気込みを感じました。
こうして迎えた初日。我々松戸Aチームは平均レイティング2024で全20チーム中、トップシードでした。第2シードは平均レイティング2012の東京大学Aチーム(佐野、三阪、栗原、大沢、内田)、その次が平均レイティング1938の慶応大学チーム(桑田、中村(尚)、古谷、田中(未)、篠田)で、初めからメインのライバルはこの2チームと考えていました。
R.1
松戸A(2½) vs 東京大学B(1½)
1B 馬場 (2225) 1-0 石原 (1889)
2B 真鍋 (2042) ½–½ 瀬戸 (1669)
3B 田畑 (1950) 0-1 北谷 (1589)
4B 佐々木 (1879) 1-0 井尻 (1176)
R.1はやはり朝の混乱から開始時刻が少し遅れました。しかし、あらかじめレイティング計算等は済ませてあったので遅れは最小限で済みました。
□Baba Masahiro (2225)
■Ishihara Tatsuma (1889)
Team Championship 2010(1)
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.0–0 Be7 6.Re1 b5 7.Bb3 d6 8.c3 0–0 9.h3 Nb8 10.d4 Nbd7 11.Nbd2 Bb7 12.Bc2 Re8 13.Nf1 Bf8 14.Ng3 g6 15.a4 c5 16.d5 c4 17.Bg5 h6 18.Be3 Qc7 19.Qd2 Kh7 20.Nh2 h5 21.Nf3 Bg7 22.Ra3 Nc5 23.Rea1 Nfd7 24.Qd1 Kg8 25.R1a2 Nb6
Closed Ruy Lopezらしい長いマヌーバリングゲームが始まります。ここでようやく初めての交換です。
26.axb5 axb5 27.Rxa8 Rxa8 28.Rxa8+ Nxa8 29.Qa1 Qb6 30.Qc1 Qc7 31.Bh6 Qe7 32.Kh2 Nb6 33.Bg5 Bf6 34.Be3 Qc7 35.Qa1 Nba4 36.Qa3 Bc8 37.Nd2 Bd7 38.Ne2 Be7 39.f4 f6 40.Nf3 Kh7 41.Qa1 Be8 42.Kh1 Qc8 43.Qc1 Bd7 44.Kh2 Qc7 45.Ng3 Be8 46.Kh1 Qc8 47.Nf1 Bd7 48.Kh2 Qc7 49.N1d2 Qc8
50.fxe5 fxe5 51.Ng5+ Kg7 52.Ndf3 Qg8 53.Nh4 Bxg5 54.Bxg5 Qe8 55.Nf3 Kh7 56.Bf6 Qf8 57.Bg5 Qe8 58.Qa1 Qf8 59.Qa3 Qc8 60.Qb4 Qc7 61.Bxa4! Nxa4 [61...bxa4? 62.Qxc4]
62.Nxe5! Nc5!
62...dxe5? には63.Qe7+ Kg8 64.Bf6でメイトになります。62…Nc5は冷静な1手です。
63.Nf3 Nxe4 64.Bf4 Qc5 65.Qa5! Qxd5 66.Qd8 Qf7 67.Bxd6! Qe8 [67...Nxd6?? 68.Ng5+] 68.Qc7 Nxd6 69.Qxd6 Bf5 70.Nd4 Qd7? 71.Qc5 Bd3 72.Nxb5 Qf7 73.Qe5 Bf1 74.Kg1 Bd3 75.Kh2 Bf1 76.Qc7
長いゲームでやや疲れたので、安全なワンポーンアップのピースエンディングに持ち込みます。このあと、R.2開始時刻の13:00をまわり、先に次のラウンドのペアリングが発表されました。2Rのゲームの準備が行われるとガヤガヤうるさく試合に集中できないので、私のほうからアービターに別室に移ってプレーを再開するよう、要請しました。要請は通ったのですが、アービターはどう動いて良いのか分かっていなかったので、ここできちんと書いておきます。
アービターはペアリングを発表する前に、まず、進行中のボードの時計を止め、プレーヤーに事情を説明します。そのあと、別室に移動させて、試合を再開させます。ペアリングを発表するのはそのあとです。
76…Qxc7+ 77.Nxc7 Kg7 78.Kg1 Bd3 79.g3 Kf6 80.Kf2 Ke5 81.Ke3 Bf5 82.h4 Bd7 83.Na6 Bb5 84.Nb4 Bd7 85.Nc2 Bf5 86.Na3 Be6 87.Nb1 Bf5 88.Nd2 Be6 89.Nf3+ Kd6 90.Kd4 Kc6 91.Ne5+ Kb5 92.Nxg6 Ka4 93.Nf4 Bg4 94.Kxc4 1–0
初戦から疲れるゲームでした。おかげで昼食を取る時間もなく、一息ついただけで次のゲームに臨まなければいけませんでした。チームは何とか2.5-1.5で勝ち。
R.2
松戸A(4) vs Young(0)
1B 馬場 (2225) 1-0 松本(貴) (1856)
2B 真鍋 (2042) 1-0 阿部 (1785)
3B 田畑 (1950) 1-0 小林(優) (1584)
4B 佐々木 (1879) 1-0 寺元 (1220)
R.2はYoungチームと。1BのNurmatovくんが不在で、マッチとしては絶対に勝たなければいけないところでした。
□Matsumoto Takashi (1856)
■Baba Masahiro (2225)
Team Championship 2010(2)
1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6 6.Be2 e5 7.Nb3 Be7 8.0–0 0–0 9.f4 b5 10.Bf3 Bb7 11.Be3 Nbd7 12.Kh1 Rc8 13.Rf2 Rc4 14.Nd2 Rc7 15.Nb3 Qa8 16.Qd3
16…exf4 17.Bxf4 Ne5 18.Bxe5 dxe5 19.Re1 Rd8 20.Nd5 Nxd5 21.exd5 Bxd5 22.Rxe5 Bxf3 23.Qxf3 Qxf3 24.gxf3 Bf6 25.Rc5? Rxc5 26.Nxc5
26…Rd1+ 0–1
27.Kg2 Bd4 28.Re2 Bxc5 29.Re8+ Bf8でバックランクメイトはなく、終了です。このラウンドはどこのボードも問題なく勝ったように見えました。