WRITTEN BY
Kojima Shinya
3月28日に仙台で開催された東北選手権に、私と中村尚広君の二人で参加してきました。今回の仙台行きの話は、全日本の権利獲得と東北大学チェスサークルとの交流のために、私が以前から慶應チェスクラブ内で企画していたものです。直前の百傑戦で尚広君が権利を獲得するという嬉しい誤算があり、慶應内からは他に参加希望者がいなかったため、交流が主目的へと変化しました。
東北選手権の参加者は10名で、慶應と東北大のメンバーが半分以上の6名でした。1R、私は薄葉さん相手に危なげなく勝ち。尚広君は戸川君相手にQueen’s Gambit 5.Bf4を指され、序盤で駒組みに苦労していましたが、中盤できちんと盛り返して勝ちました。
そして2R、早くも小島―中村のペアリングとなりました。東北チェスクラブの代表であり、今回の選手権のTDも務められた高橋さんによれば、仙台ではリスト上同士、下同士が当たりやすいペアリングを採用しているそうです。久々にCatalanを試してみましたが、結果は22手で三回同一局面によるドロー。二人で連勝者を追う展開となりました。
3R、私は戸川君に黒で当たりました。彼は白番では1.d4を指すと聞いていましたが、私には1.e4を指してきました。私同様に黒番でSveshnikovを指す彼のためFrenchではなくSveshnikovで対応し、終盤でドローチャンスを与えてしまいましたが、なんとか勝ちきることができました。Sveshnikovのアイディアについては多少伝えられたと思っています。
尚広君は白で、90年Novi Sad Olympiad代表の渡辺和也さんとの対戦となりました。試合はStonewall Dutchで始まり、中盤、渡辺さんが苦しい局面でピースを切りましたが、尚広君は安定した指し回しで受け切り、問題なく勝ちを収めました。百傑戦の試合を見ていても思いましたが、尚広君にはすでに2000クラスの実力はあると思います。
そして迎えた最終戦、1Bで渡辺‐小島、2Bで中村‐薄葉というペアリングになりました。私は1.e4 c5 2.Nc3 e6!?を採用し、駒の交換がない非常にClosedな局面でポジションの改善をしながら相手のミスを誘い、勝ってトーナメントを締めくくることができました。尚広君は序盤1ポーンアップしたものの、異色ビショップの難しい局面となりました。薄葉さんにもイコアライズするチャンスはいくつかあったと思いますが、最終的には1ポーンアップのルークエンディングとなって尚広君が勝ちました。それぞれの棋譜は以下の通りです。
□Watanabe Kazuya
■Kojima Shinya
Sendai 2010(4)
1.e4 c5 2.Nc3 e6 3.g3 d5 4.Bg2 Nf6 5.d3 Be7 6.f4 Nc6 7.Nh3!? b6 8.0–0 Bb7 9.e5 Nd7 10.Qg4 g6 11.Qe2 Nd4 12.Qf2 h5 13.a4 a6 14.b3 Nb8 15.Bb2 Nbc6 16.Rac1 Qd7 17.Ne2 Nf5 18.c3? Na5 19.b4 Nb3 20.Rcd1 cxb4 21.cxb4 Bxb4 22.Bc3 Be7 23.Kh1 Nc5 [23...d4 24.Rb1 Rc8 25.Rxb3 Bxg2+ 26.Qxg2 Ne3 27.Qf3 Nxf1 28.Nxd4 Bc5–+] 24.a5 b5 25.Nd4 Na4 26.Nxf5 Nxc3 27.Rc1 gxf5 28.Rxc3 Bb4 29.Rc2 Bxa5 30.Rfc1 Bd8 31.Qc5 a5 32.Ng5 b4 33.h4 b3 34.Rc3 Rc8 35.Qa7 a4 [35...Rxc3 36.Rxc3 d4–+] 36.Rxc8 Bxc8 37.Qb8 Bb7 0–1
□Nakamura Naohiro
■Usuba Hiroto
Sendai 2010(4)
1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.e3 e6 5.Nbd2 Nbd7 6.Bd3 dxc4 7.Nxc4 b5 8.Nce5 Bb7 9.0–0 Be7 10.Bd2 0–0 11.b4 Nxe5 12.Nxe5 Nd7 13.f4 Nxe5 14.fxe5 c5 15.bxc5 Bxc5 16.Bxh7+ Kxh7 17.Qc2+ Kg8 18.Qxc5 a6 19.Qd6 Qg5 20.Rf2 Be4 21.Raf1 Rad8 22.Qa3 Rc8 23.Bb4 Rfe8 24.Bc5 Rc6 25.Qc3 Rec8 26.Qd2 Rd8 27.Qe2 Rxc5 28.dxc5 Bd3 29.Qf3 Bxf1 30.Rxf1 Qxe5 31.Qxf7+ Kh8 32.c6 Qxe3+ 33.Qf2 Qxf2+ 34.Rxf2 Rc8 35.Rc2 Rc7? [35...Kg8 36.h4 Kf7 37.g4] 36.Kf2 Kg8 37.Ke3 Kf7 38.Kd4 Ke7 39.Kc5 g6 40.Kb6 1–0
そしてタイブレークです。もうお気づきかもしれませんが、私と尚広君は対戦相手が全員同じです。そのためメディアンやソルコフで決着がつかず、トスをして白を引いた側が優勝と決めました。その結果、私は見事この日4つ目の黒を引き、尚広君の優勝が決定しました。
29日は東北大学チェスサークルの部室を訪ね、午前中から日の沈むまでチェス漬けの1日でした。内容はブリッツからオープニングの相談、試合解説やチェスの勉強方法についての話などです。チェスを始めて日の浅い1年生にはハードだったかもしれませんが、有意義な時間だったと信じています。私にとって今回が初めての仙台訪問でしたが、大会も東北大との交流も満足できるものでした。東北チェスクラブ代表の高橋さん、東北大学チェスサークルの三村君を始めとするメンバーの皆さん、今回は大変お世話になりました。次回はぜひ、慶應に限らず他の大学からもメンバーを募って仙台を訪ねたいと思います。
2010年3月29日
小島慎也