WRITTEN BY
Inoue Sho
第1回Closed Training、無事に全試合を終えることができました。今回、このインターネット上でのラウンドロビントーナメントの発案者ということで、馬場君から今最も日本チェス界で注目されているであろうblog、Behind the sceneへの原稿の依頼を受けました。自分はただの言い出しっぺであり、実際動いてくれたのは他ならぬ馬場君、小島君なのですが、せっかくの機会ですし、筆を取らせて頂きたいと思います。見苦しい点もあるかと思いますが、御容赦下さい。
2009年4月から新社会人として働き始め、チェスにかける時間が学生の頃とは比較にならないほど取れなくなってしまいました。それでもやはりチェスをしたいという気持ちに変わりはなく、暇を見つけては大会に参加はしていたものの結果が出る訳もなく、2008年には2000近くあったJCAレイティングも1876まで下がってしまいました。
「時間がない中で出ている大会だ」「楽しめれば良い」「レイティングが下がったって仕方ない」と情けない自分を守る言葉はたくさん出てきます。それでもやはり出るからには勝ちたいと思いますし、レイティングだって下げたくないものです。そしてチェスをやってしまえばもっと強くなりたいと思うし、またやりたい!と思うものです。
しかし、「大会に出て試合をする」というのが純粋に楽しいことである一方で、「試合で結果を残すためにチェスを勉強する」というのはなかなか大変なことですし、勉強したからといって必ずしも結果に結びつくわけではありません。大会や試合がある程度途切れない中で勉強へのモチベーションを絶やさないことは比較的容易であると思いますが、次参加できる大会がいつか分からないような状態ではついついサボってしまいがちです。
そんな中で思い付いたのが今回のインターネットを介したラウンドロビントーナメントでした。小島君に提案して話し合い、こんな感じでやっていこう、という概要を作りました。概要作成後、ほとんど自分は関与しない中で小島君、そして馬場君が実現に向けて動いてくれました。そして立派なトーナメントを作り上げてくれました。1週間に1試合というペースはチェスへのモチベーションを絶やすことなく、チェスから離れることなく継続できるペースです。試合後の検討、試合前の対策こそが、チェスの勉強になります。
そして第1回を終えた今、結果は2ポイントと奮いませんでしたが、毎週毎週がとても刺激的で、楽しませてもらいました。何より、名実共に日本チェス界の第一人者である小島君、馬場君初めチェスに意欲的な8人が集まり、いい加減な気持ちで指された試合は一試合もなかったと思います。
第2回は色を変えてもう一巡するにしても、今後どのような形で継続していくかはまだ定かではありません。とりあえずは第1回が無事に終わったことを参加者の皆さんに感謝したいと思います。そしてチェスをやりたい、と思う人に新しいトレーニングの形式を提案できたのであれば幸いです。
昨年は、JCAレイティングは大幅に下がったとはいえ、運良く休みがとれてMalaysian Chess Festivalにも参加し、ドーハ・アジア大会の銅メダリストであるPourkashiyan Atousaを破るなど、良い年でした。2009年今後も1年に1回は日本のメジャートーナメントに出場し、2年に1回は海外大会出場、くらいのペースでチェスを続けていきたいと思っています。そして大会参加の機会があった時にはいつでも参加できるように、トレーニングを続けていきたいと思っておりますし、Closed Trainingでの厳しい試合経験が生きるのではないか、と思います。
さて、だいぶ長くなってしまったのでそろそろ終わりにしたいと思います。せっかく書くからにはできる限りしっかりしたものを、と思えたのは麻布中・高の頃からずっとチェスを一緒にやってきた馬場君からの依頼であったこと、そして東北大の三村君が東京オープンの時にチェス通信に寄稿した記事を読んでくれていた、と自分を調子に乗せてくれたことです。本当にありがとう。社会人として多忙な中でチェスに取り組んでいる皆さん、チェスをあきらめずにがんばっていきましょう!
井上 祥(いのうえ しょう)
2002年麻布高等学校卒
2007年全日本快速選手権2位
2008年全日本選手権6位、北京頭脳五輪WMSG日本代表
2009年横浜市立大学医学部医学科卒
現在は横浜市内の某病院で研修医として日夜働いております。医者として様々な人に接している経験を生かしながらチェス普及活動にも少しずつ取り組んでいきたいと思っております。