6:33東京発の「こだま」に乗って名古屋に向かいました。1Rは9:50開始なので、この時間に出なければ間に合いません。ちなみに「こだま」を使うのは、JR東海に「ぷらっとこだまプラン」というものがあり、多少制約はあるものの、片道7,900円で名古屋に行けるからです。もっと交通費を惜しめば夜行バスという手もありますが、2年前の教訓から今回は無難に新幹線を選びました。
さて、今回は5度目の名古屋訪問です。過去の4大会ではいずれも優勝を逃しているので、まずは名古屋で優勝することを目標に、今大会に臨みました。
1R 馬場(2213) 1-0 浜根さん(1756) French Tarrasch
今回は序盤で下手に時間を使わないように、最も経験のあるラインで戦うことに決めていました。中盤は私の好きな戦型になり白駒はそれぞれ向かうべきポジションへきちんと配置されました。32手で勝ち。
2R 鈴木(将)さん(1799) 0-1 馬場(2213) Sicilian Najdorf
今回初顔合わせの鈴木(将)さんと。今年から社会人で名古屋に来られたとのこと。すでにインターネット上では数年やっているためか、指し手に熟練さが見られました。最終的に2位優勝となりましたし、これからもっとレイティングは上がると思います!
ゲームはEnglish Attackの逆サイドキャスリングでの攻め合いとなりましたが、この戦型での経験の差がやや出た形となり、28手で勝ち。
3R 馬場(2213) 1-0 川嶋さん(1844) Sicilian Dragorf
DragorfとはDragonとNajdorfをかけあわせた造語です。黒からa6とg6を突くのでこう呼ばれています。さて、ゲームは黒から早期にe7-e5と突いてきたので、ストラクチャー的に簡単に白がアドヴァンテージを取りました。一度ストラクチャーを崩すと取り戻すことはできません。(ポーンはうしろに退がれません!)19手で勝ち。
この時点で全勝は私一人だけになりました。
4R Fuzik Mykolaさん(UR) 0-1 馬場(2213) Grunfeld
今大会、唯一危なかったゲームです。起死回生のタクティクスが決まらなければ、中盤で即リザインというところでした。
Fuzik Mykola-Baba Masahiro
position after 21.Rf1-f3?!
本譜の代わりに21.Qxc5なら完全に白勝ちでした。21.Rf3はRh3-Qh6を狙う黒にとって恐ろしい手ですが、次の1手でだいぶ様相は変わります。
21...bxc4! 22.Rh3 Rxb2! 23.Rxh4? [正しくは23.Rxb2で、23...Qe1+ 24.Qxe1 Bxe1はまだ白が良いものの、黒も戦える局面] 23...Rxb1+ 24.Kf2 Be1+
これが21手目から始まる黒のタクティカル・トリックのポイントです。
25.Kf3?! [ここは25.Qxe1とクイーンを返すしかなく、25...Rxe1 26.Kxe1 gxf5 27.exf5 c3で黒やや良し程度] 25...Bxh4 26.Qh6
駒はアップしましたが、27.Qxh4と27.fxg6 hxg6 28.Qxg6+からQxa6のラインをしっかり防ぐ手を考えなければいけません。幸い、次の手が完璧に働きます。
26...Rf1+! 27.Kg4 [27.Ke2?! c3+ 28.Ke3 Bf6 -+] 27...Bf6 28.fxg6 Bc8+! [28...hxg6? 29.Qxg6+ Bg7 30.Qxa6] 29.Kh5 hxg6+ 30.Qxg6+ Bg7
これ以上白にアタックはありません。またしてもJapan Openの龍二さん戦のようにg6を取らせてBg7でディフェンスする形です。
31.Bxc4 Rf6 32.Qg5 Rh6+ 0–1
ちなみにMykolaさんはウクライナの人で、現在は調査で半年ほど長崎大学にいるそうです。チェスのほうはと言うと、MykolaさんはFIDEレイティングを持っておらず、実力は未知数でした。あとで聞いてみたら、ウクライナの国内レイティング(FIDEとだいたい同じ程度)は2100と2200の間だそうです。先にその情報を知っていれば良かったです...
5R 馬場(2213) 1-0 鈴木(陽)さん(1767) Sicilian Kan
このゲームも割と慣れたタイプのポジションになり、盤面全体を抑え込みました。24手で勝ち。
5R終了時で暫定2位以下と1.5Pの差がつき、ここで単独優勝が確定しました。
6R 唐堂君(1622) 0-1 馬場(2213) Reti/Queen’s Pawn Opening
優勝がすでに確定して迎えた最終戦。ここで勝つと自身のJCAレイティングのベストを更新できる可能性が高いことから、あくまで勝ちを目指します。序盤は特に自分から局面を動かさずに黙って待つことに。ピースの交換が進み、だいたいイコールというところで白からクイーン交換しにきた手が悪手。黒がワンポーンアップします。結局ルークも交換して最後はポーンエンディングに。白からドローにできる手筋もあったように見えましたが、最後のポーンレースは黒のほうが速く、先にクイーンができました。57手で勝ち。
ちなみにあとで聞いたところ、唐堂君とお母様は私と同じ「ぷらっとこだまプラン」を使って名古屋に来られたとのこと。皆さん、考えていることは同じですね...
最終結果です。
優勝 馬場 雅裕 (2213) 6P
2位 鈴木 将照 (1799) 4.5P
3位 上原 慎平 (1922) 4P
Aクラス1位 唐 堂 (1622) 3.5P
名古屋での大会はいつも快適です。TDの堀江さん、お疲れ様でした。