今年の千葉県選手権は、昨年よりも10名以上参加者を増やし、盛況な中、幕を閉じました。ディフェンディング・チャンピオンとして臨んだ本トーナメントは5勝1ドローで優勝。千葉選手権が毎年恒例のイベントになり、千葉のチェスがさらに盛り上がることを願っています。
□Baba,Masahiro (2406)
■Mitsuya,Naoto (2160)
Chiba 2018(4)
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.0–0 b5 6.Bb3 Bc5
[この手は予定外でした。過去の記憶を呼び戻しながら、Archangelskのメインラインに飛び込みます。]
7.c3 d6 8.d4 Bb6 9.a4 Rb8 10.Na3 0–0 11.axb5 axb5 12.Nxb5 Bg4
[Archangelskで黒は1ポーンと引き換えにアクティブなプレーを目指します。白は正確に対処しないとセンターを含め、一瞬で崩壊します。]
13.Bc2 exd4 14.Nbxd4 Nxd4 15.cxd4 Bxf3 16.gxf3 Nh5 17.Kh1 Qf6 18.Be3 c5!?
[この手は近年、黒のベストとして推奨されています。2016年、New YorkでのWorld Championship matchの大事な1戦でCarlsenもこの手を採用しました。これより先のセオリーは特に研究したことはなく、ここから自分の頭で考え始めます。19.d5には19...c4! で白マスビショップの動きが制限されるため、白マスビショップのラインを開く次の1手がロジカルです。]
19.e5! Qe6
[19...dxe5 20.dxc5 Bc7 21.Be4! Rxb2 22.Qd7! なら、2ビショップの威力がありパスポーンというカードのある白が有利だというのが、19.e5と突いた根底の読みです。]
20.f4
[しかしこれはあまり指されたことはなく、20.exd6と指すのがセオリーのようです。h1-a8のラインを自発的に開くのはQd5+の可能性があり危険に見えますが、それを見越して白クイーンのラインを開きにいきました。三ツ矢さんの知識もここで途切れます。]
20...cxd4!
[いま、21.d5がポジショナルスレットになっているため、20...g6では遅すぎます。]
21.Bxh7+ Kxh7 22.Qxh5+ Kg8 23.Bd2 g6
[gファイルを利用したダブルルークサクリファイス(Rg1→Rxg7+→Rg1+)の可能性があるので、これを未然に防ぎますが、逆にキング廻りを弱めるデメリットもあります。私は23...d3で黒マスビショップのラインを開きにいくのがベストに思いました。]
24.Rg1 Rb7?
[Qd5+に対してはf3と突きます。黒クイーンはg6のポーンを守らなければいけないので、アクティブなカウンターをなかなか作れません。本譜は黒クイーンをフリーにするため、Rxg6-fxg6-Qxg6に対して7thランクを守っておくprophylaxisですが...]
25.Qf3!
[浮いたルークを狙いつつ、弱点のダイアゴナルをカバーします。ここで体制を整え、次のf4-f5を強力にします。]
25...d5 26.f5! Qxe5 27.Rae1 Qd6 28.Bf4 Qc6 29.Be5+-
[こうして全てのピースをアクティブにし、Qh3 or Qh5がスレットになった今、黒は駒損を避けられません。]
29...Re7 30.Rc1 Qxc1 31.Rxc1 Rxe5 32.fxg6 fxg6
33.Qg4 g5 34.Qh5 d3 35.Qg6+ Kh8 36.Qxb6 d2 37.Rg1 Rff5 38.Qd4 1–0
最終結果は以下のサイトで確認できます。
http://chess-results.com/tnr326585.aspx?lan=1&art=1&rd=6&wi=821