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Bronのスタディから

先日、我が家にTimmanThe Art of the Endgameが届きました。本の前評判通り、濃い内容で、面白いテーマが次々と出てきます。実戦的なものが多く含まれているため、Endgameのスキルアップにもつながります。

 

http://chessplayer.jugem.jp/?eid=718

 

一通り見た中で、一つ非常に考えさせられるスタディがありました。


 

Bron, ‘Sovietskaya Rossiya’ 1957

White to move and draw (incorrect)

 

白は黒の危険なパスポーンを止めに行きます。ここで、R vs BR vs Nは理論的にドローのエンディングだということを予備知識として持っていなければいけません。つまり、たとえルークに取り返されても、ナイトかビショップのどちらかでパスポーンを取れればOKです。

 

1.Nb5 [Nc3-Bg5] 1...d2

 

ルークの横の利きで2.Nc3ができなくなりました。もう、パスポーンは止めようがないので、白は違う狙いを作り出します。

 

2.Kc8 Rf5

 

2...d1Q 3.Nc7+ Ka7 4.Bc5#が白の狙いでした。黒がこれを防ぐには本譜の1手のみです。

 

3.Nc7+ Ka7 4.Bb4 [Bxd2=] 4...d1Q 5.Bc5+ Rxc5 =


 

 

これでステールメイトが完成。

 

極めて簡明で美しいスタディだと思いますが、冒頭で「incorrect」とあるように、実はこのスタディにはグレーな部分があります。どこでしょう?

 

4…d1B!

 


 

このプロモーションがありました!

 

もちろん、エンドゲーム作者のBronはこのプロモーションの可能性にも気付いていた上でこの作品を発表したことでしょう。それなのになぜ?という問いにはこのRB vs NB (ビショップは異色)というマテリアル・バランスに対する評価がからんでいます。このマテリアル・バランスは長い間ドローだと考えられていました。そのため、このスタディは「correct」であり続けたわけです。

 

しかし、人工知能の発達とともにテーブルデータベースなるものが開発され、今では盤上に数個の駒しか残ってない場合には、全てのケースにおいて、結果と手順が解明されています。このマテリアル・バランスも例外ではありません。

 

上のポジションは、79手で黒が白キングをメイトにして黒勝ちです。

双方が最善手を指し続けた結果、黒勝ちになるのです!

 

ここで、OTBチェスのルールに精通している方であれば、50手ルールで白がメイトにされる前にドローになるのではないか?と思われるかもしれません。しかし、50手ルールはあくまでOTBチェスの現行のルールです。そもそも50という数字には特に根拠はありませんし。テーブルデータベースの開発で、色々と真実が見えてきた今日この頃、50手ルールも改めて見直したほうが良いのでは?と考えているプレーヤーも少なくはないでしょうが、それはまた別の話です...

 

さて、上のマテリアル・バランスで黒勝ちの手順は簡単ではありません。以前に私自身のゲームでも、このマテリアル・バランスが現れたことがあります。


 

Kuwata Susumu – Baba Masahiro

TOTOVS 2009 (1)

Position after 84.Ne2xg3

 

黒の最後のポーンが取られたところでこのマテリアル・バランスとなりました。黒はできるだけ白キングを隅に追いやり、メイトを狙います。

 

84...Kg5 85.Ne2 Kh4 86.Bd5 Rd3 87.Be6 Bd6 88.Kf2 Bc5+ 89.Kg2 Re3 90.Bc4 Kg4 91.Ba6 Re8 92.Bb5 Re7 93.Bd3?!




93.Bc4!
なら、作戦を練り直さなければいけなかったことでしょう。

 

93...Rf7! 94.Bb5 Rf2+ 95.Kh1 Kf3 96.Ng1+

 

96.Nc3 Rc2 97.Bc6+ Kf4 98.Ne4でも良かったと思います。このあと黒がどのように指せばよいのか、私はまだ分かっていません。

 

96...Ke3 97.Bc6?

 

勝敗を決定づけるブランダーです。97.Nh3 Rb2 98.Bc6 Bd6 99.Kg1 Be5 100.Kf1で、これまた私には黒の指し方が見えません。

 

97...Bd6! [Rh2#] 98.Nf3 Rc2 99.Bb7 Kf2 0–1

 

 

白はメイトを避けられません。

 

このテーマ1つでも何時間も考えさせられます!


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