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Cappelle la Grande 2012 -Round 7-

WRITTEN BY

Kanda Daigo

 

プレゼント、あれこれ38日(木)、第7ラウンド]

38日(木)の試合直前、篠田さんがちょっと嬉しいハプニングに見舞われました。

 

彼にとって前日の勝利は、実は余り気分の良くない勝ちでした。勝勢の局面で相手が考え込んだので、気分転換に会場のあちこちを見学してから席に戻って来てみると、相手がいない。そうか、もう指してどっかに行ったのか、と思って自分も考え始めると、「あれっ?」、ナイトが一枚足りない!あるはずの所に、無い!困惑した篠田さん、慌ててアービターを呼び、事情を説明している所へ相手が戻って来て、リザインの意思表示。なんだよ、それ・・・気付かなければ、誤魔化そうとしたのか?

 

白星が付いたけれどもすっきりしない、もやもやした一日を過ごした篠田さんでしたが、翌8日(木)の試合前、その問題の人物が近寄って来て「昨日はごめんなさい。これはお詫びの印です」と言って、ワインを一本くれました!

 

一方的な負けゲームで頭に血が上ったおじちゃん、つい魔が差してしまったけれど、一晩寝て冷静になってみれば深く反省したのでしょう。中国の格言に「過ちて改めざる。これを過ちと言う」があります。過ちを何とか償おうとした努力に免じて、前回のレポートでは敢えて「紳士」と書いた次第です。

 

気分がすっきり晴れた篠田さん、この日の相手はルフィニャックRouffignac, Marie(1657)さんです。私が第5ラウンドで負けかかり、辛くもドローにした相手を、篠田さんは全く寄せ付けずに完勝しました。これで勝率五割に到達!

 

南條さんはル・パップLE PAPE, Valery (1987)さんに楽勝。格下相手とのゲームが続くので、連勝したとは言え、南條さんはやや欲求不満気味の様子でした。ちなみに、この人の苗字を翻訳すると「法王」です。スゴイ名前ですね!

 

野口さんはブルガリアのGMジャネフJanev, Evgeni (2484)さんと対戦。以下の図は、戦いが始まる直前の局面です。


 

                Position after 17...Qd8-e7

 

ここから白のジャネフさんは18.d4 cxd4 19.f4と強引に中央をこじ開けて来ました。eファイルが開けば、ルークが黒クイーンを縦ピンするのでd5のナイトを落とせる。そこに賭けた、思い切った手です。狙いを看破した野口さんは19...Rbd8と一歩も引かずに強く応戦します。続く20.fxe5に対し、20...Ne3を効かせれば黒が優勢となったようですが、実戦では20...Bxe5と単に取ったため、白のパンチ21.Rxe5が炸裂します。以下、盤上のあちこちで駒がぶつかり合う激戦となりました。全棋譜がhttp://www.chessgames.com/perl/chessgame?gid=1659707に掲載されています。

 

22...Rxd6 ?が間違いで、白が主導権を取りました。代えて22...d3なら黒のセンターが厚く、黒優勢だったと思います。また、25.c4 ?もおかしく、25...Rd7 !なら黒優勢です。試合中は全く気付かず、ノータイムで25...Nxc4とやってしまいました。」(野口さん談)

 

この一局、GMの底力を感じた所はどこでした?の問いに対し、野口さんは「特にありません」とキッパリ答えてくれました。「3.g315分使い、18.d4のところでは残り27分と、Janevは無理をして勝ちに来ている印象があります。レート400以上差があるので、なめてしまうのはしょうがないですね。無理をとがめられなかったところに敗因がありました。GMIMといっても間違えないわけではなく、日本人が彼らを神聖視してしまう傾向が弱まればいいのに、と思っています。」と、ゲームを静かに振り返ってくれました。

 

中村(尚)さんはフランスのIM SIMON, Olivier (2323)さんと対戦しました。「Caro-Kann Advance Short Variationになりました。複雑なミドルゲームで、1ポーンを切ってアタッキングチャンスをつくりました。攻めが決まったと勘違いして勝ちにいったら、やや読みにくいタクティクスのカウンターを食らって負け。正確に指していれば強制ドローでした。悔しい試合のひとつです。」

 

最後に私です。昨日まで連日、四苦八苦する姿を哀れに思ってくれたか、チェスの女神様が「プレゼント」をくれました。13手目で相手のルークをタダ取りです。いくら調子の悪い私でも、さすがにこれは勝てます。ちょっと拍子抜けする不思議なゲームでしたが、でもとにかく勝ちは勝ちで、この結果、今大会で初めて勝率五割に到達。喜びのあまり、会場でまだ戦いを繰り広げている日本人の同僚たちを見捨て(ごめんなさい!)、バスに飛び乗りダンケルクに戻った私は、町で一番と評判のケーキ屋さんでケーキを買い込み、部屋で一人、祝杯ならぬ祝ケーキをしたのでありました(笑)。

 

翌日、もっとビッグな「プレゼント」が贈られることを、この時の私は未だ知りませんでした。

(続く)


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