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Slav Defenceの世界-part15- by 小島慎也

Bg4! Introduction



今回は白が
d4c4を遅らせた上で、フィアンケットを組んできた際に利用できるSlavの組み方を扱いたいと思います。私のお勧めする黒の組み方のポイントは、早い段階でBg4と指して、白マスビショップを展開するものです。part15はその導入編として基本的なアイディアをご紹介し、棋譜を交えた解説は次回行います。

 

1.Nf3 d5 2.g3 Nf6 3.Bg2 c6 4.0–0 Bg4!



 

私がこのセットアップを初めて見たのは、2003年柏オープンの松井−塩見戦だったと記憶しています。中学3年生だった当時は、この手が持つ狙いをあまり考えませんでしたが、たくさんの試合を見て自分でも指すうちに、段々とこの手に対する理解が進むようになりました。そこで、この手を初めて見る人が思い浮かべる可能性のある疑問を、以下の3つのようにまとめてみました。

 

(Q1) なぜピンでもないのに、ナイトにビショップを当てるのか?

(Q2) 4…Bf5と何が違うのか?

(Q3) 白が次に5.Ne5と指せば、ナイトをセンターに進められるうえ、ビショップをアタックすることができるので、白にとって都合が良いのではないか?

 

これら3つの疑問に対する私の見解は以下の通りです。

 

(A1) 黒が4…Bg4と指す狙いは、白マスビショップをポーンチェーンの内側に閉じ込めることなく、アクティブに使うことにあります。黒は4…e6と組むこともできますが、その場合はキャスリング後に、白マスビショップの活用方法に頭を悩ませることでしょう。またf3のナイトは、4…Bg4の時点ではピンではありませんが、白がKing’s Indian Attackの駒組みd3-Nbd2-e4を取った場合にピンとなります。さらにはピンにならずとも、f3のナイトに圧力をかけることで(時にはBxf3と取ることで)e5,d4のマスを多少なりともコントロールすることができます。

 

(A2) 日本で4…Bf5の試合と言えば、Dresden Olympiad ルーマニア戦でのVajda-Sano戦を思い出すかもしれません。ポーンチェーンの外でビショップを使うという点では、4…Bg44…Bf5も同じです。しかし、私は4…Bf5を好みません。なぜならば、白がdポーンをd3で止めるか、d4まで進めるか、まだ分からないためです。Mishaの言葉を借りれば、「黒の4…Bf5に対して白はd3-Nbd2-e4と組み、黒はh6-Bh7とビショップを退くだろう。


                          Vajda,L-Sano,T

                          Dresden Olympiad(3)


このような駒組みはよく指されるが、黒の白マスビショップは一時的に
out of playになってしまう。」とのことです。私もこれが嫌であるため、4…Bf5を指しません。ただし、白が早い段階でd4までポーンを進めているならば、黒はビショップをf5に置いても構わないでしょう。



 

h7-b1のダイアゴナルを支配する白マスビショップは非常に強力です。特にe4のマスに利いているため、黒が将来的にNe4と跳びこむサポートになるでしょう。

 

最後のQ3に対する回答は非常に重要で、このポジションでの大きなポイントだと言えるでしょう。

 

(A3) e5は確かにf3のナイトにとって、次に跳ぶ良いマスだと言えます。しかし、あまりに早い段階で跳びこむのはどうでしょうか。5.Ne5 Bh5 6.d4 Nbd7 と進めば、黒は容易にナイトをぶつけ、ナイトを1枚交換するチャンスを得ます。

 


 

このようなピース交換は、スペースの狭い黒にとってありがたいことです。ピースはセンターで良い働きをする、というのは重要な基本ですが、すぐにそのピースを消されてしまうのでは意味がありません。白がナイトをセンターに進めるべき適切なタイミングは、d4-Nbd2-b3-Bb2などと組み、十分に準備をした後だと言えるでしょう。

 

以上がQ1~3に対する私なりの回答です。他にもこういった要素が考えられるのではないか、こういったことが疑問だ、と意見のある方はコメントをよろしくお願いします。


コメント
なるほど、オープニングというのは、ここまで理解して初めて知っている
と言えるんですね。私の場合、かなり多くの「駒組み」は知ってますが、
オープニングは全然知りません。最近猛反省中です。

それはさておき、早速Kojimaさんに質問です。

>ただし、白が早い段階でd4までポーンを進めているならば、
>黒はビショップをf5に置いても構わないでしょう。

の局面で、次に白がNh5としてきた場合、
Bg6
Bd7
e6
辺りが考えられます。

このうち、一見手損しているBd7は、白が明確に良くなるとは言えない
らしいのですが、これは、h5のナイトも結局f3へ引くのに1手かけることに
なるし、黒としてはBd7の状態でe6→c5→Nc6と展開すれば特に不満は
ないということでしょうか?
  • Yosuke
  • 2010/08/21 6:12 AM
コメントありがとうございます。
ご質問は1.Nf3 d5 2.g3 Nf6 3.Bg2 c6 4.d4 Bf5 5.Nh4 と進んだ局面での話ですね。

まず私には5.Nh4と跳ぶ手が自然には思えません。Yosukeさんのおっしゃる通り、f3にナイトを戻すのに一手かかるためです。ビショップを攻撃するためとは言え、ナイトがあまりに早く盤の端に跳ぶのは不自然です。

5...Bd7の狙いはc6-c5の突き直しではなく、Qc8-Bh3からのビショップ交換だと考えられます。e6-c5の組み直しは手数がかかるうえ、ビショップを閉じ込めてしまうのであまり良いとは思えません。

また、私が指すとすれば
Bg4
Be4
Be6!?
の三択から考えるでしょう。

,h3-g4と追い回されてg6で取られても、白のキングサイドを弱めたことで良しと考えます。これはBf5ではなく、Bg4に最初から出た場合によくある考え方です。

△任歪樟榲にビショップの交換を狙います。6.f3から追い返されてg6で取られても、g2のビショップの働きを弱めたことで満足します。

は少し面白い選択肢です。黒の狙いはビショップとナイトとの交換を避け、g6-Bg7と組むことです。Slavのストラクチャーとキングサイドのフィアンケットとの相性は、決して悪くありません。
  • Kojima
  • 2010/08/22 12:59 AM
Kojimaさん、ご回答ありがとうございます。

Caro-KannなんかもBf5の時にNh5とされると
うっとうしいと思いますが、黒としてはそんなに
気にし過ぎる必要もないんですね。

詳しいご説明ありがとうございました。
勉強になりました。
  • Yosuke
  • 2010/08/22 9:43 PM
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