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Slav Defenceの世界-part13- by 小島慎也

今回から二回連続で1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.Qc2!?という変化をご紹介したいと思います。Slav PlayerSlavに対して何を指そうか迷っている人には、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

 

Nguyen Ngoc Truong Son (2567,VIE,GM)

Kojima Shinya (2272,JPN)

38th Olympiad Dresden 2008 (4)

 

この試合は短手数でドローになったため、ドレスデンでの日本チームの試合の中でも、さほど注目されなかったと思います。しかし、私にとってはベトナムの強豪からポイントを奪った貴重な一試合です。

 

1.Nf3 d5 2.d4 Nf6 3.c4 c6 4.Qc2!?




この手の狙いはシンプルに
c4を守り、dxc4に対してクイーンでポーンを取り返せるようにすることにあります。序盤でクイーンを動かしすぎるな、という原則には反しますが、4.e3と異なり黒マスビショップのダイアゴナルを閉じてしまわないことがポイントです。

 

4…dxc4

 

ここでは他にも2つほど代表的な変化があります。

 

a)4…e6 5.g3 Nbd7 6.Bg2 Be7 7.0-0 0-0 8.Nbd2 b6 9.e4と進めばCatalan Closedの一変化になります。これは私も白で何度か指したことがあります。

 

b)4…g6!? 5.Bf4 Bg7(5…Bf5 6.Qb3) 6.e3 0-0 7.Nc3 Na6 8.Be2 c5 9.0–0 cxd4 10.exd4 dxc4 11.Bxc4 Bg4= ½–½ Romanishin-Kasparov URS-ch49 Frunze 1981

 

5.Qxc4 Bf5

 

黒はポーンチェーンに閉じ込めることなくビショップを展開でき、大きな不満はありません。もう一つの変化である5...Bg4は、次回扱います。

 

6.g3

 

白はキングサイドにフィアンケットを組むことで、黒マスビショップの位置を確定させる前にキャスリングすることができます。しかも、c4はすでに取り返しているため、安心して白マスビショップをg2に配置することができます。

 

6…e6 7.Bg2 Nbd7 8.Nc3 Be7 9.0–0 0–0 10.Re1 Ne4

 

白にe4を突かせてしまうと、スペースアドバンテージを与えてしまううえ、黒の白マスビショップも使いづらくなってしまうため、ここはきっちりとe4を止めます。

 

11.Qb3 Qb6 12.Nh4!

 



このラインでの特徴的な手です。一見すると、
e7のビショップが利いているh4にナイトを跳ばすのは、取られた際にポーンストラクチャーが乱れるため、12.Nh4は妙な手に思えます。しかし、ナイトを取ってしまうと黒はe4のナイトをキープすることができず、白はセンターの厚みで優位に試合を進めることができます。

 

12…Qxb3!?

 

Nguyen Ngoc Truong Son4.Qc2を好むことは事前に調べていたので、Mishaと共に準備をしていた手です。ここでは他にもいくつかの変化があります。

 

a)12…Bxh4 13.gxh4 Nef6 14.e4 Bg6 15.Qxb6 axb6 16.Bf4 Rfe8 17.Rad1 b5 18.Bd6 e5 19.d5 Nh5 20.Bf1 f6 21.b3 Nf4 22.a4 bxa4 23.bxa4 Bf7 24.Rb1 Ra7 25.Red1 Rc8 26.Ne2 Nxe2+ 27.Bxe2 cxd5 28.exd5 Nf8 29.Bb5 Raa8 30.Be7 Ng6 31.d6 Nxe7 32.Bd7 Nc6 33.Rxb7 Nd4 34.Bxc8 Rxc8 35.Rdb1 Rf8 36.Rb8 Be8 37.a5 Nf3+ 38.Kf1 Nd2+ 39.Ke1 Nxb1 40.a6 Bc6 41.a7 Kf7 42.d7 Ke7 43.Rxf8 Kxd7 44.a8Q Bxa8 45.Rxa8 h5 46.Ra7+ Ke6 47.Rxg7 Kf5 48.Rg3 1–0 Aronian –Anand Morelia/Linares 2007 個人的にはこの試合でAronianが勝利を収めたことで、12.Nh4は大きく注目されるようなったのだと考えています。

 

b)12…Bb4!? 13.Nxf5 exf5 14.Qc2 Qxd4 15.Bxe4 Bxc3 16.Rd1 Qxe4 17.Qxe4 fxe4 18.Rxd7 Bf6 ½–½ Nguyen,N-Zhang,Ziyang Manila Pichay Cup 2008

 

13.axb3 Bb4 14.Bxe4!?

 

この手は驚きでした。14.Nxf5 exf5 15.Bxe4 fxe4 16.Bd2と端に跳んだナイトを消すほうが自然に思えます。

 

14...Bxe4 15.Ra4!

 

この手以外では15…Bc2と指され、b3のポーンが落ちてしまいます。

 

15…Bxc3 16.bxc3 c5!=




ビショップの退くマスを確保し、黒に不満の無い展開です。しかし、
c5が突けるかどうかは慎重に読みました。

 

17.dxc5 Nxc5 18.Rc4 b6

 

b4でナイトを追い払い、ビショップ取りがスレットになっているため、ナイトを守る方法は18…b6以外ありえません。

 

19.Ba3 Bd5 20.Bxc5 bxc5 21.Rxc5 Bxb3 22.Ra1 h6

 

ここではまずバックランクメイトを外しましたが、試合後、Misha22...Rac8! 23.Rxc8 Rxc8 24.Rxa7 h6=という手がよりシンプルだと指摘されました。確かにa7を取らせてしまってもすぐにc3を取り返せるならば、黒には何も問題はありません。

 

23.Ra3 Rfb8 24.f4 Bd5 25.Kf2 Rc8 26.Rca5 Rc7 27.Nf5

 

この手にはひやりとしました。ずっと使えていなかったナイトがここにきて参戦するとなると、多少厄介です。しかし、しばらく考えた後、ドローで構わないのであればナイトとビショップを交換してしまえば良いことに気付きました。

 

27…exf5 28.Rxd5 g6 29.Rda5 Rac8 30.Rxa7 Rxa7 31.Rxa7 Rxc3= ½–½




黒にはダブルポーンがありますが、
f5のポーンはeポーンの前進を止める役割を果たしており、白にはパスポーンを作るプランがありません。加えて、お互いに狙えるポーンもありません。規定の30手も超えたためドローオファーをしてみたところ、すぐに手が差し伸べられ、ドローとなりました。

 

さて、4.Qc2の特徴は何であるかと言えば、この試合を見ても分かる通り、白が使いづらいピースを抱えることなく、穏やかに試合を進められることでしょう。これはSemi-SlavBotvinnikAnti-Moscowのような激しい変化を嫌うプレーヤーにとってはありがたいことです。しかしそれは一方で、ゆるい手を指せば黒に簡単にイコアライズされてしまう、ということでもあります。1.d4を指すプレーヤーには様々な変化を勉強し、お気に入りの指し方を見つけてほしいと思います。


コメント
読みました
参考になります
Bg5よりNh4の方が良いですね

  • ooyama
  • 2010/07/09 9:52 PM
コメントありがとう。
4.Qc2は面白いラインだと思うので、是非たくさん指してみてください。
次の記事も近いうちに書くつもりです。
  • Kojima
  • 2010/07/10 11:14 AM
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