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Slav Defenceの世界-part12- by 小島慎也

また前回からずいぶんと間が空いてしまいました。今回はAnti Slavの一変化を取り上げ、その対策をご紹介します。これはQueen’s Gambit Playerでも使うことのできるアイディアですので、Slav Player以外にも読んでいただきたいと思います。

 

Guerreiro,N(2076,POR)

Kojima,S(2307,FM)

Cappelle la Grande 2010(2)

 

1.d4 d5 2.Nf3 Nf6 3.Bf4!?

 

ビショップをf4で使う試合は、1.d4のメインを外すアイディアとして時々見られます。白はe5のマスを将来的に活用できれば、アドバンテージを取れるでしょう。しかし、黒はd5のポーンに圧力をかけられていないことを利用し、普段白が使うようなアイディアで手を作れば、特に大きな不満はないと考えています。

 

3…c5! 4.e3 Nc6 5.c3

 



この形は
Slav Defenceの世界 Part5でご紹介した1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.e3 Bf5 5.Nc3を逆にしたものと似ています。


 

 

しかし本譜の変化ならば、黒が白マスビショップをポーンストラクチャーの外で使える可能性が残っています 。よくReversed ~~といったように、黒のオープニングを白で一手早く使えば単純に白が優勢になると考えている人もいますが、一手遅れていることによるメリット(このラインであれば、ポーンをまだ突いていないのでビショップが使いやすい)もあるのです。

 

5…Qb6!

 

白黒にかかわらず、クイーンでbポーンを狙うのは、相手がクイーンサイドのビショップを早い段階で動かしてきた際に有効なアイディアです。黒はSlavの一変化を白で指していると考えても、単にAnti Slavの一変化を指していると考えても良いすが、Slavを白でも指すことができるならば、この局面での黒の手の作り方を理解しやすいのは間違いないでしょう。

 

6.Qc1

 

この手は初めて見ました。私の知っていた変化は6.Qb3 c4 7.Qc2 Bf5! 8.Qc1と進み、わざと黒にcポーンを突かせてd4への圧力を弱めるというものです。黒としては白マスビショップをb1-h7のダイアゴナルで利かせることができるならば、大きな不満点はないでしょう。本譜でも同じアイディアを使います。

 

6...Bf5 7.Be2 e6 8.h3

 

8…Nh5からのビショップとナイトの交換を避ける準備です。黒もこのような交換を嫌うのであれば、7…h6と指すでしょう。

 

8…h6 9.Nbd2 Be7 10.0–0 0–0 11.Nh2?!




このナイトのマヌーバリングは妙です。白はクイーンが
b2を守るために不自然なマスにいるため、クイーンサイドのルークが使えていないことがメインの問題であり、それを解決するように指すのが自然です。11.dxc5から局面を開き、どこかでc4突きを狙うほうが良いでしょう。

 

11…cxd4 12.exd4 Rac8=/+

 

クイーンがc1という若干不自然なマスにいることを利用してd4を狙います。ここで初めて多少の優勢を確信しました。

 

13.Ndf3 Rfe8!




この試合で最も頭を使った手です。白が
e4のマスのコントロールを失ったことで13…Ne4が指せそうですが、本譜の手で待たれると白には指せる有効な手がほとんどありません。aポーンを突けばb3のマスが弱くなり、bポーンを突けばc3が弱くなります。そしてクイーンはb2の守りから離れられず、どちらのナイトも動けばポーンが落ちてしまいます。もちろんh6を切るのもやりすぎです。

 

14.Rd1 Ne4 15.Ng4

 

白は14…Ne4のおかげでようやくg4にナイトが跳べるようになった、と考えたかもしれませんが、これこそ黒の望む展開です。15.Nf1からナイトを組み直すほうが良いでしょう。

 

15…Bxg4 16.hxg4 e5

 



これこそ
13…Ne4と急がなかった理由です。ルークがf1から動くのを一手待ったおかげで、黒はf2を狙えるようになっています。もちろんe8のルークは手待ちだけでなく、e5をつくサポートの役目も果たしています。

 

17.Nxe5?

 

ここは17.Be3! exd4 18.Nxd4 Bc5! と指していれば、ピースのポジションの良さで黒が優勢ながら、白は試合を続けられたでしょう。本譜では白には全く望みがありません。

 

17…Nxe5 18.Bxe5 Bg5 19.Qc2

 

19.f4 Bh4!(f6)-/+,19.Bf4 Bxf4 20.Qxf4 Qxb2-/+

 

19…Rxe5-+




20.Bc4 Rxc4 21.dxe5 Nxf2 22.Rxd5 Nxg4+ 0–1

 

1.d4プレーヤーの中にはメインラインの勉強を嫌い、ColleStonewallを指すプレーヤーも多くいるでしょう。確かにそれらも悪い選択肢ではありませんが、黒がきちんと勉強をしていれば、特にオープニングで不満を感じることはないと思います。1.d4の試合では、d4c4にポーンを並べ、スペースとセンターのマスを確保によりアドバンテージを得ることが、白にとって重要であると私は考えます。そんなことが改めて実感できる試合でした。


コメント
9.0-0 0-0 となっていますが、その前に、Be2 Be7 がどこかで入るかと。
  • T.Kitano
  • 2010/04/08 9:32 PM
ご指摘ありがとうございます。
のちほど修正します。
  • bmasahiro
  • 2010/04/09 7:33 AM
修正しました。
  • bmasahiro
  • 2010/04/10 10:25 AM
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