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Slav Defenceの世界-part10- by 小島慎也

Part10では白が1.d4,2.c4と組んでこない場合でもd5-c6-Nf6Slavの駒組みで対応できる例を紹介します。

 

Vo Thanh Ninh (2340,VIE)

Kojima Shinya (2323,JPN,FM)

Ho Chi Minh,Zonal 2009(8)

 

1.c4 c6



 

1.c4の対策に悩むプレーヤーは少なくないと思います。この初手はなかなか不思議なもので、あらゆるd4のメイン定跡に手順前後する可能性を残しながら(つまり白が2.d4と指してくる)、d4はつかずにg3b3と組んでくる可能性もあります。また黒としては2.d4と指してくることを期待し、自分の得意なd4対策になるよう初手を返すこともできますし、1...e5,1...c5のような1.c4独自のラインにすることも可能です。私も少し前までは1...e5を指していましたが、今回は思い切って1...c6を試してみました。しかしSlavを指すので単純に1...c6を返そうとすると落とし穴にはまる可能性があります。

 

2.g3

 

Slavの駒組みが応用できないケースが2.e4です。これはCaro-Kann Defence Panov Botvinikになります。Slavd4対策として用意している人が1...c6と指すかどうかは、このPanovにされても構わないと考えているかどうか、がポイントだと思います。私は1.e4に対してCaro-Kannを指したことはありませんが、Caro-Kannの中でもPanovだけ勉強して1.c4 に備えてきました。実際ベトナムで行われたゾーン選手権の2RではフィリピンのGM Mark ParaguaPanovになり、その試合は以下のように進みました。1.c4 c6 2.e4 d5 3.exd5 cxd5 4.cxd5 Nf6 5.Nc3 Nxd5 6.Nf3 Nc6 7.d4 Bg4 8.Qb3 Bxf3 9.gxf3 e6 10.Qxb7 Nxd4 11.Bb5+ Nxb5 12.Qxb5+ Qd7 13.Qxd7+ Kxd7 14.Nxd5 exd5 15.Be3 Bb4+ 16.Ke2 Rhc8= Paragua,M (2487)-Kojima,S (2323)

Ho Chi Minh,Zonal 2009(2)

 

2...d5 3.Nf3 Nf6 4.Bg2 dxc4!?



 

この試合のために前日に用意した手です。センターをキープしたまま、白マスビショップを出したければ4...Bf54...Bg4Semi-Slavのように組みたいならば4...e6でも良いでしょう。

 

5.0–0

 

先日行われたチーム選手権の薄葉さんとの試合では 5.Qc2 g6!? 6.Qxc4 Bg7 7.0-0 0-0と進みました。

 

5...Nbd7 6.Na3 Nb6 7.Qc2 Qd5!?

 

g2にビショップがいるので危ないように見えますが、すぐには有効なディスカバードアタックがないためこの手でポーンを守ります。黒としてはポーンを守りきることにこだわらず、ポーンを返した際に満足なポジションになることを目指します。

 

8.Qc3!?

 

私のデータベースではこの手は見つかりませんでした。しかしNe5からc4のポーンを取り返そうというアイディアは理解できます。

 

8...Ne4

 

この手は時間をかけて指しました。c4をすぐに返す8...g6も考えましたが、取り返された後にセンターにポーンを伸ばされてしまい、白が優勢に試合を進められそうです。少し形は変になりますが黒はまだポーンをキープしておきます。

 

9.Qe3 Nd6 10.Nd4 Nf5!?



 

この手も時間をかけました。8手目の段階では10...Qc5と指すつもりでしたが、11.b4!?が気になりました。11...Qxb4ならばNac2-Ba3 or Bb2 ですし、11...cxb3ならばルークがcファイルに回ってきます。どちらにしてもポーンの代償がありそうだと判断し、より安全なクイーン交換を選択しました。

 

11.Bxd5 Nxe3 12.Bxf7+

 

白はここでポーンを取り返します。12.Bxc6+ bxc6 13.dxe3 Bd7= も考えられます。

 

12...Kxf7 13.fxe3+ Ke8 14.Nf3?!

 

この手は不自然に思えます。d4はナイトにとって悪い位置ではなく、わざわざ退く必要があるのか疑問です。14.b314.d3でお互いのダブルポーンを解消し、展開の良さvsダブルビショップで勝負すべきではないでしょうか。

 

14...g6! 15.d3 Bg7!?

 

試合中、より自然に思える15...cxd3と進んだ局面の優劣は良く分かっていませんでした。黒はダブルビショップですが、白のセンターが厚みを持って活きると思ったためです。しかし15...cxd3 16.exd3 Bg7 17.d4 Bf5 で黒が良いようです。e3-d4と黒マスにポーンを固めれば白マスビショップの利きが通り、d3-e4と白マスに固めれば黒マスビショップの利きが通るためです。

 

16.d4 Bg4 17.Bd2 c5

 

白に18.Rac1からc4を取られてはたまりませんのでここで仕掛けます。

 

18.Bc3 Rc8 19.Rad1?!

 


 

黒の次の手を見落とした明らかなミスです。私の試合中の読みは19.Rac1で以下、19...cxd4 20.Bxd4 Bxd4 21.exd4 Rf8=と進んでお互い満足でしょう。本譜の悪手により、試合中初めて自分の優勢を確信しました。

 

19...Nd5! 20.dxc5

 

この手はやや予想外でした。e3を守る20.Kf2には20...Bh3からNf6-Ng4+を考えていました。

 

20...Nxc3

 

もちろんこれでも黒優勢ですが、20...Bxc3 21.Rxd5 Be6! という手順がありました。確かにこれならばb2もすぐに取ることができ、cポーンが強力なパスポーンとなります。

 

21.bxc3 Rxc5 22.Rb1 b6 23.Nd4 Bh6

 

d4はがっちりブロックされているのでビショップのダイアゴナルを切り替えます。ビショップはより良いダイアゴナルへ、はビショップ好きな私のモットーです。

 

24.Nac2 e5 25.Nb5 Ke7 26.Nxa7 Ra8 27.Nb5 Bxe2 28.Rfe1 Bd3 29.Nba3 Rca5



 

ようやくはっきりと黒が駒得になります。ルークの進入を許しますが、やはりルークより2ピースです。

 

30.Rxb6 Rxa3 31.Nxa3 Rxa3 32.Rb7+ Kf6

 

もちろん2ピースとルークを交換する以前にf1を抑えていることは確認済みです!

 

33.g4

 

33.Rxh7 Bg7! だと唯一の反撃要員であるルークが閉じ込められてしまいます。

 

33...Rxa2 34.h4 Bf8 35.Rb6+ Kf7 36.Rb7+ Be7 37.g5 Ke6



 

Kf5-Kg4と白キングに迫るチャンスを窺います。局面はエンディングと呼べる状況ですが、黒からは十分メイティングスレットが作れます。7段目でルークが白キングの動きを縛っていることが大きなポイントです。

 

38.Rc7 Bd6

 

h7を取らせてもキングが上がれば勝ちとの判断です。

 

39.Rxh7 Kf5! 40.h5

 

時間の増える40手目で嫌な手を指してきました。キングサイドのポーンを全て消せば黒勝勢には変わりないですがダブルルークによる抵抗が続きます。私も持ち時間ぎりぎりまで考え、勝ちを読みきりました。

40...Kg4!!



 

これも無視してキング前進です!

 

41.Rd7 Kh3

 

41...Kg3 42.Rxd6 Rg2+ 43.Kh1 Rh2+ 44.Kg1 Be4 45.Kf1 Bf3


 

                               ANALYSIS  DIAGRAM

 

でもメイト受けなしです。私はこれとは違うメイトの形をイメージしていました。

 

42.hxg6

 

私が考えていたのは42.Rxd6 Rg2+ 43.Kh1 Be4


 

                               ANALYSIS  DIAGRAM

 

このメイト受けなしです。このためにはキングはh3にいなければいけません。Kg3では44.Rg1!でメイトが消えてしまいます。

 

42...Rg2+ 43.Kh1 Be4 44.Rh7+ Kg3 45.Rg1

 

上記と同じRg1によるディフェンスですが、今度は黒マスビショップが生きています。

 

45...Bc5! 46.Rf7

 

46.Rh2 Rxg1+ 47.Kxg1 Bxe3+ ならばメイトは防げますが、ルークが落ちてしまいます。もちろんプロモーションもできません。46.Rxg2 Bxg2+ 47.Kg1 Bxe3#も終わりです。

 

46...Bxe3 47.Rff1 Rxg1# 0–1

 

d4を一切つかない1.c41.Nf3にもSlavの考え方で対応できるケースが多々あり、今回の試合はその一例として参考にしていただければ幸いです。これらはちょっとした手順の違いや白の応手により変化が膨大にあるので、全てを準備しようとすると大変です。そこで次回は色々と応用が利くd5-c6-Nf6-Bg4の組み方を紹介しましょう。


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