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チーム選手権の課題

今回のチーム選手権では白熱した戦いになった一方、いくつか大きな課題を残したと思います。

 

1.開始時間の遅れ

 

これは普段の大会でも良くあることですが、今回は特に参加人数も多く、さらに組み合わせが変則的なこともあり、30分以上遅れました。私自身は開始時間が遅れるのはそれほど気にはならないのですが、その分、昼休みを削るというのはいかがなものでしょうか。ちなみに今回は2日とも昼を食べている時間がありませんでした。そもそもかなりキツキツなスケジュールですので、やはり1Rの開始時間が遅れたら、2Rの開始時間もその分、遅らせてほしいものです。

 

今回も当日申し込みのチームがあったかもしれませんが、参加申し込みの締め切りを前日の24:00などにして、それ以降に申し込みがあったチームは1Rbyeにするという処置を取るべきなのかもしれません。その上で、遅れて申し込んできたチームが2チーム以上あったら、1Rはその中で組み合わせるという手法は取れると思います。

 

2.空白ボードの扱い

 

何らかの理由で欠員が出た場合の扱いについてです。4Bがいない場合はそのまま戦えば良いでしょうが、13Bで欠員が出た場合、そのままそのボードを空けるのか、それとも詰めて座るのか、どちらが妥当でしょう?

 

特に1Bが欠けた場合、チームとしては窮地ですから、13Bで戦うよりなるべく24Bで戦った方が勝てる可能性は高いでしょう。

 

3.タイブレーク

 

今回、私が最も焦点を当てて議論すべき点だと思っています。今後のルール決めのためにも、今回の結果を検証してみましょう。

 

全てのチームの結果を検証するのは大変なので、ここでは4P3位タイの4チームの結果を比較したいと思います。



 

先日もタイブレークの優先順位の2番目に来るのは何が妥当かを考えてみましたが、上の表を見るとそれぞれのタイブレークによって順位が変動してしまうことが分かります。

 

マッチポイントの合計では、やはり最終ラウンド、1B2Bで戦っていた麻布OBと本郷が上に来ました。本郷は3Rで優勝チームを打ち破っているので、当然、当たりは厳しかったのです。

 

チームの獲得ポイント(ゲームポイント)の合計では、慶応OB Aがトップでした。これは最終ラウンド、東北大学A4-0で大勝したことが大きく影響しています。個人的な話にはなりますが、先日、東北大学にお邪魔して指導(?)した身としては、東北大学にはもう少しポイントを削ってほしかったという思いはあります...

 

ドレスデン・ルールで2番目のタイブレークにあったのは、(マッチポイント×獲得ポイント)の合計でした。これは、獲得ポイントに"ある種の重み付け"がなされたものです。マッチポイントの高いチームからたくさんポイントを取っているほど高くなり、逆にマッチポイントの高いチームに大敗してしまうと低くなってしまいます。麻布OB4Rで慶応Aに大敗してしまったことがこのタイブレークポイントの低さにつながっています。

 

以上、3つのタイブレークを加味して総合的に評価すると、やはり3位は本郷が妥当ではないでしょうか。我々はどのタイブレークでも勝てず、残念です...

 

4.個人賞

 

このチーム選手権では単純に勝率で個人賞を決めています。そして普通はボードごとに賞を用意するべきなのでしょうが、このチーム選手権ではボードによる区別はありません。確かに、4人のチームと5人のチームが入り混じっている状況では、ボード賞を設けるのは不可能です。しかしやはり単純な勝率で決めてしまうことには私は反対です。

 

過去のオリンピアードではこのように単純勝率でボード賞が決められていましたが、最近のオリンピアードではパフォーマンスが採用されています。ですから、ドレスデンでは1Bのボード賞がLekoGelfandTopalovというそうそうたる顔ぶれになったことは容易に理解できるでしょう。

 

パフォーマンス計算は手計算では不可能です。しかし、ペアリングソフトを活用すれば、参加者のパフォーマンスは瞬時に算出されます。さすがに全勝であると、パフォーマンスは出ない(はず)ので、そこは考慮する必要がありますが...


コメント
貴重な問題提起、とても勉強になります。選手の一人として、感謝です。やはり、ルールと実例と両方をにらみながら改善を考えていくのが大切ですね。

2.空白ボードの扱い
 これは、「当該チームに任せる」ではどうでしょうか。
 1番ボードが不可抗力で遅刻の不戦敗になれば、結果として2/3/4番ボードで戦うことになります。
 1番ボードからチームキャプテンの携帯に「欠席」の連絡があった場合、もしも「レーティング順に並ぶべきだから、詰める」ルールで行うと、正直に公表して自分たちを不利にするか、連絡があったことを握りつぶし、素知らぬ顔で相手選手に待ちぼうけを食わせるか、の究極の選択をしなければならなくなります。
 その点、「当該チームに任せる」ならば、「ごめんなさい。これこれの理由で、1番は欠席です」と公表し、相手はゆっくりチームメイトの観戦やライバルチームの偵察が行えます。
 どうでしょうか?
  • みとじん
  • 2009/09/25 8:27 AM
これは課題ではなく「新規提案」ですが、チームとしての一体感をはぐくむ趣旨から

「チームキャプテンに限り、また、ドロー提案に限り、チームメイトに助言を与えることができる」

具体的には、
1.ある局面で「相手にドロー提案しなさい」と助言できる。
2.相手からのドロー提案に対し、「受けなさい」または「拒否して指し続けなさい」と助言できる。

です。外国の大会で、団体戦のときに認められることがある、と聞いたものですから。
 どんなもんでしょう?
  • みとじん
  • 2009/09/25 8:34 AM
少し話がそれますが、全勝の場合は相手の平均レート+800で計算すると思いますよ。
  • ゆーだい
  • 2009/09/25 1:40 PM
実は1Rが始まる前に、今回のチーム戦はオリンピアード同様、キャプテンにドローを受けるかの指示を仰げるらしい、と阿部さんより窺いました。しかしそのような説明はありませんでしたね。

第一キャプテンは選手も兼ねていますから試合中相談されるのはどうなんでしょう。海外ではどうですかね。
  • kojima
  • 2009/09/25 2:46 PM
空白ボードの件ですが、やはり当該チームに任せては混乱が起きるだけです。ここはきっちりしたルールが必要だと思います。

また、キャプテンの権限ですが、やはり試合中に相談することはおかしな気がします。プレーヤー以外にキャプテンを用意するのはOKにしてもよいと思います。

いずれにせよ、全チームのコンセンサスが取れれば良いはずなので、チームキャプテンによるミーティングを設けるべきなのでしょう。
  • bmasahiro
  • 2009/09/25 6:47 PM
ご参考まで。

オリンピック、世界、アメリカのNationalリーグのルールは
少しちがいますが、

アメリカのOTBの「普通の」チーム選手権、チームリーグ戦では

1.「チームキャプテンに限り、また、ドロー提案に限り、チームメイトに助言を与えることができる」

認められています。普通はキャプテンが選手もかねています。
ただキャプテンのみならず、各選手も他のボードの状況判断もしながら
チームの勝ちのためにはどうするべきかということを考えつつ
自分のチェスもすすめていくというのがチーム戦です。

2. 空白ボードの件

欠席があったばあい、上のボードに順にくりあがって
対戦しなければいけません。
欠席すると非常に迷惑がかかることになります。
300チームのチーム戦は真冬に行われるので
風邪などでの欠席、交通事情などでの当日キャンセルもありうるので
Alternateを加えているチームも多いです。

地域リーグ戦の場合は仕事帰り、学校帰りの平日夜に
行われる事が多いので、「遅れる」選手もでてきます。
あらかじめ遅れることがわかっている場合はそのボードを
空白のまますすめられますが、一定時間に選手が来なかった場合、
あるいは結局は欠席となった場合、
その空白ボード以下のボードは棄権と見なすなどの
厳しいルールを設けている地域もあるようです。
つまり、2番ボードが遅れる場合、
1、3、4ボードですすめていて、ついに2番ボードが
現れなかった場合、2、3、4とも負けとなってしまう場合が
あるということです。

いずれにしても
突然の欠場はチームに迷惑がかかるので責任重大、
チームの状況を把握しながら戦っていく、
というのはほかのチームスポーツと同じだと思います。
  • Amie
  • 2009/09/25 10:07 PM
>Amieさん

詳細な説明ありがとうございます。しかし、一人欠席すると他も負けとなる場合があるとは...

厳しいですが、そこがチームプレーということなのでしょうかね。
  • bmasahiro
  • 2009/09/25 10:36 PM
詳しい事例紹介はとても貴重です。このHP読者の一人として感謝します。

まったく違う観点からの問題提起ですが、今回のチーム選手権、過去最多の20チームが参加したのはとてもおめでたい話ですが、しかし東京周辺以外となると、「東北大学」だけでしょう(もしも他にあったらごめんなさい)。これで「全日本」チーム選手権と称するには苦しいです。各地域からできるだけ多く出場できるような方策(交通費援助や参加費割引)が必要だと思われます。あるいはやっているのかも知れませんが、JCAのHPには何も公示されていないので、その限りでは「何もしていない」と判断せざるを得ません。ちなみに松戸クラブの大会(特別例会)では、遠隔地からの参加者への支援策が大会要項に記載されて公表されています。
  • みとじん
  • 2009/09/26 8:20 AM
ここであがったテーマについて、いくつかMishaに聞いてみました。以下、Mishaの回答です。


1.タイブレーク

実際に自分がプレーしたほとんどすべての国において、”チームの獲得ポイント(ゲームポイント)”が2番目のタイブレークでした。しかし、本当は2番目のタイブレークは”マッチポイントの合計”であるべきでしょう。そして、特に6ラウンド以上でチーム数が18以上の場合、3番目のタイブレークが”チームの獲得ポイント(ゲームポイント)”であるべきです。

2.空白のボードの扱い

チーム構成を発表したあとは、もしプレーヤーが欠席しても他のチームメンバーに影響は与えません。しかし、チームは1B抜きには組めません! 例えば、以下のようにプレーすることはできません。

1B:
2B: Kojima
3B: Baba
4B: Misha

この場合、チームは次のように組まなければいけません。

1B: Kojima
2B: Baba
3B: Misha
4B:

4Bは負けとなりますが、これ以外の組み方はありません。

もしくは、チーム構成を次のように発表することもできます。

1B: Nakamura
2B: Kojima
3B: Baba
4B: Misha

もしマッチのスタート時に1Bがいない場合、1Bは負け扱いとなり、厳しいルールであれば、そのプレーヤーはレイティングも失うことになります。もちろん何か特別な理由があれば、アービターの判断により、レイティングまでは失わずに済むこともあります。

3.キャプテンの権限

プレーヤー兼キャプテンについてのFIDEのルールは分かりませんが、自分の参加したトーナメントでプレー中のキャプテンが他のメンバーにアドバイスできるものは結構ありました。しかし、そのためにはもちろんトーナメントのルールに明記しなければいけません。
  • bmasahiro
  • 2009/09/26 11:08 AM
歴史あるヨーロッパのチーム戦と
ほぼ同じル−ルをアメリカも使っている事がわかり、
大変参考になりました。
ありがとうございました。
独自に?採用されるものを含め
ルールがしっかり明記されているのは
こちらも同じです。
(Mishaもノルウェーから戻ってきて、
しばらくはスイスのようですね)
  • Amie
  • 2009/09/26 12:52 PM
ルールを明記することもさることながら、プレーヤーはもう少しルールに敏感にならなければいけないのだと思います。

>Mishaもノルウェーから戻ってきて、しばらくはスイスのようですね

ノルウェーで何かイベントがあったのですかね?
  • bmasahiro
  • 2009/09/26 12:59 PM
>Misha
ちょうど移動してきたときに
連絡をいただいたのですが、
FIDEサイトをみると
大会にでていたようです。
FIDEサイトもまたすこし改善され、
Normをどの大会でとったかなどが
わかりやすく表示されるようになりましたね。
  • Amie
  • 2009/09/27 7:27 AM
ノルウェーの大会は小さなものだったようですね。
  • bmasahiro
  • 2009/09/27 4:53 PM
だいぶ遅れてのコメントですみません。

1.開始時間
今回は特にひどかったですが(特に直前の松戸が素晴らしい運営だったので、文字通り「雲泥の差」でした)、そもそもJCAの大会に「受付開始時間」の設定がないのが不思議です。例えば1R開始の1時間前を「受付開始時間」、30分前を「受付締切時間」として、そこまでに参加費の支払がなければ、(事前登録をしていたとしても)参加不可、とすれば済むことと思います。今のJCAスタッフのPCスキルでは30分で組み合わせソフトの入力が終わるかは、微妙かも知れませんが。

2.空白ボード
AmieさんとMishaの説明でよくわかりましたが、いずれにせよこういうルールは事前に決めて「各ラウンドの何分前までに提出」ということがチームキャプテンに周知されるべきですね。

3.タイブレーク
マッチポイントの合計優先に賛成です。チーム戦なのですから、いかに沢山のゲームを勝ったかではなく、2.5-1.5のような僅差で強いチームにいくつ勝ったか、が評価されるべきと思います。

4.個人賞
これ自体は馬場君の意見に賛成ですが、そもそもチーム賞が「盾」なのは、JCAはこれをどう保管してもらうつもりなのかな、と考えてしまいます(現役学生なら部室に飾っておくのかも知れませんが)。人数分のメダルを用意すべきなのではないでしょうか。

以上、勝手気ままな感想です。
  • manabe
  • 2009/09/28 10:46 PM
真鍋さん、ご意見ありがとうございます。

1.開始時間
今回は慣れないチーム戦ということもあり、スタッフの能力と作業量を考えて、いつもよりペアリングの時間を多めに取るべきでした。そして、当日申し込みの参加チームはもっと早く来るべきでした。受付締切時間を設け、遅れて申し込んでくるチームは1Rをbyeにするなど、厳しい対応をしていったほうが良さそうですね。

2.空白ボード
今回、5人以上いるチームには試合が始まってからチーム構成を提出させていましたね。それとは別に結果も出させていました。これについては初めに説明がなければプレーヤーは混乱するだけです。

3.タイブレーク
ペアリングはマッチポイントをベースにしているので、タイブレークにもやはりマッチポイントが優先されるべきだとおもいます。

4.個人賞
>人数分のメダルを用意すべきなのではないでしょうか。
全くその通りだと思います。

これだけ問題点と改善案が出たので、来年はスムーズに運営してもらいたいと思います。同じ過ちを繰り返してはいけませんね。
  • bmasahiro
  • 2009/09/28 11:55 PM
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