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Slav Defenceの世界-part9- by 小島慎也

Part9では、今まで皆さんがあまり見たことのないかもしれないSlavのラインを紹介します。私はこれをSemi-Slavとともにメインウエポンとしてこの1年半程使っています。

 

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.Nc3 dxc4 5.a4 e6!?

 



 
この5…e65…Bf5に比べれば圧倒的に指される頻度は低いでしょう。一見するとわざわざビショップを閉じ込めるのは不自然に思えます。

 

6.e3 c5 7.Bxc4 Nc6

 


 

この局面を見てQueen’s Gambit Accepted の一変化に似ていると気がつく人もいるでしょう。それは以下の局面です。

 

1.d4 d5 2.c4 dxc4 3.Nf3 Nf6 4.e3 e6 5.Bxc4 c5 6.Nc3!? a6 7.a4 Nc6

 


 

上記のSlavで現れた局面と比較すると、黒がa6を突いているかいないか、だけの違いですね。しかし同じ8手目白番なので、Slavでは黒が一手損をしているようにも思えます。(Slavではc6-c5と二手かけてcポーンを進めたのに対して、Acceptedではc7-c5と一手でcポーンを進めているためです)ところがそれは少し違います。なぜならばSlavの局面では、黒がa6を突いていないにもかかわらず、白はa4を突かされている(b4のマスが弱まっている)と考えられるためです。そこで黒はa6-b5とクイーンサイドのポーンを伸ばすのではなく、Nb4-Nfd5dポーンをブロックするアイディアが有効だと考えられます。

 

8.0-0 cxd4 9.exd4 Be7

 


 

典型的なIQPの局面です。白はスペースアドヴァンテージ、利きの良いダブルビショップを持ちますがd4のポーンが多少弱いことに注意する必要があります。黒はd4のポーンとd5のマスを気にしつつ、(白からのd5ブレイクは強力です)白マスビショップをどう活用するか考えます。それでは私の試合を1つ紹介します。

 

Zude Eric (2409,GER,IM)

Kojima Shinya (2205)

Cappelle La Grande 2008 (6)
 

この試合は私が初めて5…e6!?を公式戦で指した思い出深い試合です。いきなりIMに指すのは随分思い切っていますが、「このオープニングはもう少し勉強してから試合で使おう」と考えているといつまでも先延ばしにしてしまいがちなので、実戦で使うことも勉強の一環と割り切って指してみると良いでしょう。

 

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nc3 Nf6 4.Nf3 dxc4 5.a4 e6 6.e3 c5 7.Bxc4 Nc6 8.0–0 cxd4 9.exd4 Be7

 


 

5…e6!? のラインでは他にも多少変化があるのですが、私が指した試合はほとんどがこの形になっています。5…e6!?の基本形と言えるでしょう。さてここからですが、白としてはまず開いたeファイルを抑えるのが適切に思えます。どちらのピースでしょうか。

 

10.Qe2

 

Zudeは長考の末、こちらの手を選びました。おそらくd4を取られても大丈夫かどうか、そして10.Re1と比較しどちらが良いか考えていたのでしょう。10.Re1も良い手だと思います。

 

10.Re1 0–0 11.Bg5 Bd7 12.Qe2 Nb4 13.Rad1 Bc6 14.Ne5 Nfd5 15.Nxc6 bxc6 16.Bc1 Qa5= Gonda,G (2145) – Kojima,S (2225) Japan Chess Championship 2008

 

10…0–0

 

10…Nxd4?! 11.Nxd4 Qxd4 12.Nb5 Qd8 13.Bf4 は黒にとって非常に危険です。

 

11.Bf4?!

 

ここでd4を捨てるのはやや足りていないように思えます。11.Rd1とルークが回ってポーンを支えておくのが良いでしょう。

 

11.Rd1 Nd5 12.Bd3!? Ncb4 13.Bb1 b6 14.Ne5 14...Bb7 15.Ra3!?

Iinuma,P (2020) - Kojima,S (2277) Japan Chess Championship 2009

 

11…Nxd4 12.Nxd4 Qxd4 13.Be5 Qc5 14.Rfd1 b6

 


 

黒は展開の遅れが気になっていましたが、最後のマイナーピースを配置する準備ができました。このラインでは、黒は白マスビショップを Bd7-Bc6 or Be8 か、b6-Bb7 のどちらかの方法で展開します。どちらを選択するかは白の出方を窺いつつ決めれば良いでしょう。

 

15.b4?!

 

ここで白はさらにポーンを捨ててきましたが、これはやりすぎです。

15.Rac1 Bb7 16.Bb5 ならば黒のクイーンはいける場所が少なく、難しい局面だと思います。

 

15…Qxb4 16.Bd4

 

白は黒クイーンのいける場所を失くし、駒得を狙っていることは明らかです。しかし黒にはうまい対処法がありました。

 

16…Bb7! 17.Rab1 Qd6!

 


 

dファイルは白がルークで支配していますが、敢えてそこにクイーンを退きます。ディスカバードアタックで取られたピースは取り返す方法があります。

 

18.Bxf6 Qc6!

 

もちろんこの一手です。g2でのメイトを狙うことでその隙にピースを取り返そうという算段です。白は普通にg2を守るようでは2ポーンの代償はありません。

 

19.Bd5

 

19.Nd5 Bxf6 20.Bb5 Qxd5!? 21.Rxd5 Bxd5 でも黒が良いでしょう。

 

19…exd5 20.Bxe7 d4

 


 

複雑な駒の取り合いが続きます。黒はルークを無視して再びメイトスレットを作ると同時にc3のナイトを狙います。

 

21.Qg4

 

この手はg2を守りつつf8を取った際、Qxg7がメイトになるため黒にdxc3-c2を実現させない、という意図があります。f8のルークは取らせてしまっても黒が優勢ですが、ここでは私はルークを取られないよう知恵を振り絞りました。

 

21…f5 22.Qh3

 

白はg7のメイトを残そうとしても 22.Qg4 h5で駄目です。23.Qg5?? Rf5! はクイーンが落ちてしまいます。

 

22.dxc3 23.Rbc1

 

こうなれば黒は2ポーンアップでパスポーンもあるため、勝勢は揺らぎようがありません。23.Bxf8 c2 でも当然黒勝ちです。

 

23…Rfc8 24.Bb4 c2 25.Rd2 Qxa4 26.Qxf5 Qxb4 27.Rd7 Qb2 0–1

 

 

カペルは上位者からポイントを取るのが厳しいトーナメントですので、この勝利は大きな価値がありました。初めて5…e6を指したこの試合で流れをつかんだか、このオープニングではFIDE公式戦で43ドローと大きく稼いでいます。次回は1.c4に対してどう対応するかを取り扱いたいと思います。


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