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Selected Games(9)



ジャパンリーグから数局お届けします。まずはセンセーショナルな
1戦となった1Rのこのゲームです。 

 

ANNOTATED BY

Yamada Kohei

 

Yamada Kohei (2037)

Watanabe Akira (2339,FM)

Japan League 2009(1)

 

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6

 

FM渡辺暁さんとの対戦は昨年のジャパンリーグ、今年の全日本に続いて3度目です。3局目にして初めての白番を引きました。

 

6.Bc4 e6 7.Bb3 b5?!

 

この手自体は普通の手ですが、激しい展開になるため相当準備をしていなければ指せません。7...Nbd77...Be7という堅い手を予想していた僕にとっては少し意外な手でした。局後の暁さんの口調から察するに予定の作戦ではなかったように思います。

 

8.Bg5 Be7 9.Qf3 Qc7 10.0–0–0 0–0?




Dresden Olympiad
のタジキスタン戦の項で馬場さんも解説していますが、この手は黒にとって非常に危険な一手です。というのも次の仕掛けが見た目以上に強力だからです。

 

11.e5 Bb7 12.exf6 Bxf3 13.fxe7 Re8 14.gxf3




僕は去年の北京(
WMSG)に出るときにこの周辺のラインを少し調べていたので、迷わず踏み込みます。10...0-0からここまでは必然の手順です。一見13...Bxd1 14.exf8Q+ Kxf8 15.Rxd1 d5で黒も戦えそうですが、13...Bxd1に対して14.Nxe6!という絶妙の切り返しがあり白勝ちです。

さて、本譜も3ピースvsクイーンなのでいい勝負に見えますが、次の黒の指し方が難しいところです。e6へのサクリファイス、gファイルからのアタックなど懸念すべき材料が多く、黒がすべて受け切るのは容易ではありません。この試合も次の一手が明暗を分けました。

 

14...Nc6? 15.Nxc6 Qxc6 16.Ne4 d5

 

14...Nc6e7のポーンと働いているナイトに狙いをつけてピースを展開する自然な一手ですが、この場合はまずかったようです。僕の読みは14...Nd714...Kh8の二択でしたが、前者は14...Nd7 15.Nxe6 fxe6 16.Bxe6+ Kh8 17.Nd5でピースの代償は十分です。ということで黒は14...Kh8 15.Rhg1 h6 16.Bh4 d5という感じで指さなければいけなかったようです。

さて、試合中次に指す手はすぐに決まりましたが、慎重に読みを入れて指しました。




17.Nf6+! Kh8 18.Nxe8 Rxe8 19.Rhe1 a5 20.a3 Qc5

 

もちろん17.Nf6+が好手です。17...gxf6 18.Bxf6は次のRg1#を受けるために駒を捨てなければなりませんから、黒はキングをよけるしかありません。これで白の駒得になり、優勢になりました。

ところが帰りの電車の中で18.Rd4!!(△Rh4という絶妙手を発見し愕然としました。

 


                               ANALYSIS  DIAGRAM

 

なんと、黒キングにはうまい受けがありません。なかなか面白い局面なので興味のある人は確認してみてください。

さて、優勢は確保したものの、ここから百戦錬磨の暁さんが力を出してきます。20...Qc5は対応に困るいい手です。もちろん白の優勢には違いありませんが、一歩間違えるとあっという間に逆転してしまうシャープな局面です。

 

21.Re2 h6 22.Bh4 a4 23.Ba2 b4 24.Re3 bxa3 25.Rxa3 Qb4 26.Bg3 Rxe7

 

ポーンを取り返され、センターポーンやcbファイルのプレッシャーが大きくなってきました。そのため反対側に追いやられたビショップを戦場に呼び戻します。

 

27.Be5 f6 28.Bd4 Rd7?!




局後、暁さんが真っ先に悔んだ一手です。確かにここは
28...Rb7とプレッシャーをかけ続けなければなりませんでした。僕はこの手には29.Re3?と指そうと思っていましたが29...Qd6と指されると白にはうまい手がなくイコアライズされてしまいます。実際には29.Rd2 Qb5 30.f4で駒得の分、白が残しているようですが、発見できたかどうかは微妙です。

 

29.f4! Qd6 30.Be3 Qc6 31.Rd4

 

29.f4とセンターを押えてここではっきりと優勢になったと思いました。あとは使えていないピースを働かせていきます。

 

31...e5 32.fxe5 fxe5 33.Rdxa4 Qg6

 

もちろん狙いの33...d434.Ra8+ Kh7 35.Bg8+ Kg6 36.R8a6で白勝ちです。

 

34.c3 Qg1+ 35.Kd2 Qxh2 36.Ra8+ Kh7 37.Bb1+ e4 38.R3a7

 



ピースアップしている局面は、ピースを交換して局面をシンプルにしていくのが簡明に勝つコツです。黒の狙いは
hポーンを昇格することだけなので、それに気をつけながら手を進めていきます。

 

38...Rd6 39.Rf7 Rf6 40.Raa7 Rxf7 41.Rxf7 Qh1 42.Bc2 h5

 

実戦は持ち時間が増えたこのあたりから、実際に勝つ手順を読み始めました。パスポーンの進撃を直接止めることはできそうにないので、パスポーンをビショップで切ってしまい、その間に他のポーンをルークで回収する作戦を立てました。そうなれば黒キングがout of playなのでbポーンを進めていって勝つことができます。

 

43.Bd4 h4 44.Rxg7+ Kh6 45.Rd7 h3 46.Rd6+! Kh7

 

細かい手順ですが46.Rd6+をはさんでキングを白マスによんでおきます。最終的にBxe4がチェックになる仕掛けです。

 

47.Rxd5 h2 48.Re5 Kg8 49.Bxe4 Qxe4 50.Rxe4 h1Q




数手前に思い描いていた局面です。もう負けはありません。あとは
Re5で黒キングを縛っておき、クイーンからのチェックをかわしながらbポーンを進めていきます。

 

51.Re1 Qd5 52.b4 Kf7 53.Kd3 Qb5+ 54.Kc2 Qc4 55.Kb2 Qd5 56.Re5 Qc4 57.b5 Qd3 58.b6 Qd2+ 59.Kb3 Qd1+ 60.Kb4 Qb1+ 61.Kc5 Qb3 62.Kc6 Qa4+ 63.Kc7 Qc4+ 64.Rc5 1–0


長いゲームでしたが、
3試合目にして初めて暁さんから勝ちを奪うことができました。しかしこのあと大会後半で中村龍二さんに大逆転負けを喫して崩れてしまい、大会全体では課題が残りました。このゲームの後立ち直って5連勝した暁さんから学ぶべきことはまだまだ沢山ありそうです。


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