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Selected Games(24)

ジャパンオープン2009がいよいよスタートします。今回のジャパンオープンは来年のオリンピアード代表選考会も兼ねており、1位・2位が代表候補となります。このことを除いても、本オープンは秋の最大のイベントであることは間違いありませんし、大会を多いに荒してくれるダークホース的な存在が出てくることを実は期待したりしています。

今回は3年前のジャパンオープンの大一番を振り返りたいと思います。

Nanjo Ryosuke (2198)

Ikeda Junta (FIDE 2142)

Japan Open 2006(7)

 

キャンベラ生まれ、オーストラリア在住の池田惇多君が来日してプレーしたジャパンオープンは2006年でした。彼がジャパンオープンでどんなプレーをして、どの程度の成績を残すのか、初めはそれほど注目していませんでしたが、ラウンドを追うごとにポイントを重ね、6R終了時点で5Pと、優勝争いに加わっていました。このゲームは7R、それまで全勝で優勝が確実視されていた南條君との対戦です。

 

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nf3 c5 4.d5 b5



 

Blumenfeld Gambit?

奇策として知られるこのオープニングは非常にアクティブで私は好きです。南條君は白でBenoniを相手にするのを非常に得意にしているため、この作戦は客観的に見て正しかったでしょう。

 

5.Bg5

 

5.dxe6 fxe6 6.cxb5 d5がメインラインです。黒はBd60-0a6などやることは分かりやすいですが、ワンポーンダウンであることを常に忘れてはいけません。

 

5...d6

 

5...exd5 6.cxd5が多いようです。

 

6.Nc3 b4 7.Ne4 Be7 8.Bxf6 gxf6 9.Ng3 f5 10.dxe6 fxe6 11.e4!



 

黒のポーンの形を崩しておき、攻めるためセンターを開きます。一瞬11.Nxf5? が見えますが、11...exf5 12.Qd5 Qc7 13.Qxa8 Nc6で白クイーンは閉じ込められます。

 

11...fxe4 12.Nxe4 Bb7 13.Bd3 Nc6 14.Nfg5 Nd4!

 

当然の1手ですが、このゲームを隣で見ていて「黒のアイディアが面白いな」と思っていました。キングサイドがスカスカなので黒はキングをどうするのか興味深いですが、d7に置くことを考え付いたようです。

 

15.Qh5+ Kd7 16.0–0–0

 

おそらく小島君がこのポジションで白を持ったら、16.0–0と指すと思います。キングサイドキャスリングのほうがずっとリスクが少ないからです。しかしシャープな戦いを求める南條君はよりダイレクトなアプローチを試みます。

 

16...Kc7 17.Rhe1 Qd7 18.Bc2 a5

 


 

19.Nf3?!

黒のベストピースである
d4のナイトを消しにいくのは正しいプランですが、次に意外な手がありました。

 

19...e5?!

 

その意外な手というのは19...Nxc2!で、20.Kxc2には20...Qa4+ 21.Kc1 (21.Kb1?Bxe4+でクイーンがd1のルークに当たっているので取り返せない) Bxe4 22.Rxe4 Qxa2 23.Qf7 Qa1+ 24.Kd2 (24.Kc2 b3+) Qxb2+ 25.Ke1 Qf6で単純に黒のクイーンサイドのポーンが止まりそうにありません。なかなか読めないラインですが...

 

20.Nxd4 exd4 21.f4 a4 22.Bd3 Raf8 23.g3 h6 24.Rd2 Ba6?

 

この手の意味はよく分かりません。おそらく25.Rde2に対して25...d5でしょうが、これには26.Nc3!で失敗します。このラウンド、私は小島君を相手にしていたのでこのあたりではあまり横を向いている余裕はありませんでした。

 

25.Rde2 Bd8

 


 

26.Nd2?!

 

ここは26.Nxc5! dxc5 27.Qxc5+ Kb8 28.Re7! Bxe7 29.Rxe7 Qxe7 30.Qxe7 +-で白がすぐに勝つことができました。

 

26...Bb7 27.Re6 Qf7 28.Bg6 Qg7

 

27...Qf7は巧妙な1手だと思います。もしクイーン交換なら白の攻撃を緩和できますし、本譜のようにビショップをg6におびき出させることで本譜のような反撃の筋を作り出すことができます。すぐに27...Qg7だと28.Rg6の可能性があります。

 

29.Ne4 d3!?

 

状況が状況ですから、黒は何とか有効な反撃を見つけなければいけません。次のa3とあわせてb2を狙うアイディアはベストプラクティカルチャンスだと思います。

 

30.Rxd6 a3 31.Qxc5+ Kb8 32.Qxb4?

 

食欲旺盛すぎです。おそらく南條君は32..Be7のほうは見えていて、それには33.Qxa3d6のルークを取られても何ともないと考えていたでしょうが、もう1手見えていなければいけない手がありました。32.Qd4と白の狙いを完全に断つのが最も簡単でした。

 

32...Ba5!

 


 

このあたりで彼らのボードにギャラリーが集まり始め、何かあったかとボードを覗き込むと、見たこともないような串刺しでした。33.Qxa5? 33...Qxb2+ 34.Kd1 Qc2#ですので、e1のルークを抜かれます。

 

33.Qxa3 Bxe1 34.Qxd3

 

いきなり局面を引っくり返されて南條君は動揺していましたが、実はこの局面で気を付けなければいけないのは黒です。少し白に都合のよすぎる考え方だとは思いますが、この盤面からe1のビショップとh8のルークを取り除いてみましょう。そうすると白が圧倒的ですね?それでは取り除く前と大きく変わったかというと、そうではないと思います。つまり、h8のルークとe1のビショップは今、プレーに参加していないと考えることができます。白の攻めを受けるには正確な手順が必要です。

 

34...Rc8?!

 

これでh8のルークがプレーに参加できそうですが、次の35.Rd7が強力です。34...Qc7として、35.Rd7に対しては35...Rd8で受けるようにすべきでした。

 

35.Nf6?!

 


35.Rd7 Qg8 36.Nd6 Rc7 37.Rxc7 Kxc7 38.Nb5+ Kb8 39.Qd6+ Ka8 40.Qa3+ Kb8 41.Qa7+ Kc8 42.Bf5+
は白勝ちの手順です。


もちろん黒にはもっと良いディフェンスがあるでしょうが、危険なことには変わりません。

 

35...Bb4 36.Nd7+ Kc7 37.Rd4 Rhd8 38.Bf5 Qe7 39.Kc2 Bc5 40.Nxc5 Qxc5 41.Rxd8?

 

41.Rd7+ Rxd7 42.Qxd7+ Kb6だったらおそらく黒がゆっくりやって勝つとは思いますが、まだ粘れました。

 

41...Rxd8



42.Qe2 Qxf5+ 0–1

 

このあと南條君と池田君は最終ラウンドを勝ち、7/8Rで同時優勝しました。


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