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Dresden Dream(10) -Rowson vs Kojima-

スコットランドとの大将戦は歴史に残る大一番となりました。

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ANNOTATED BY

Kojima Shinya

Rowson,Jonathan (SCO,2596,GM)
Kojima,Shinya (JPN,2272)
Dresden 2008 (6)

1.d4 d5 2.Nf3 Nf6 3.c4 c6 4.e3 Bg4 5.h3 Bxf3 6.Qxf3 e6 7.Bd3 Nbd7 8.0–0 Bd6 9.Rd1 0–0 10.Nc3 Qe7 11.Qe2

 

近年非常に良く指されている4.e3 Slav の一変化で、この辺りまでは用意通りでした。

 

11...dxc4!

 

この定跡は黒が早々にダブルビショップを放棄する代わり、すばやい展開とe5からのセンターブレイクで勝負するものです。11...Rfe8 12.c5!? Bc7 13.f4 は黒としてはやや指しにくいと思います。

 

12.Bxc4 e5 13.d5 e4!

 

ここで黒はポーンストラクチャーを乱さぬことよりも、相手の駒を有効に使わせないこと、加えて
e5にマスを作り、自分の駒をより良い位置に持っていくことを優先します。13...cxd5?! 14.Nxd5 Nxd5 15.Bxd5 は白が何の支障もなくBd2-Bc3と組めるので、黒としては指したくありません。

14.dxc6 bxc6 15.Qc2!?

 

ここは試合中どう指してくるのか非常に興味深く待ち、そして感心した局面です。15.Bd2?! Qe5! 16.g3 (16.f4!? exf3 17.gxf3) 16...Qf5! 17.Be1 Bc7 (17...Qxh3!? 18.Qf1! Qxf1+ 19.Bxf1 Be5 20.Nxe4) こうなると明らかに黒が指しやすいです。

 

15...Rad8 16.Bf1 Rfe8 17.Bd2 h5!?

 

このような端のポーンを進める手は私の好みです。h4まで進めることにより、白にg3を突かせない狙いです。

 

18.Ne2 c5

 

18...h4!? 19.Qxc6 Ne5! は試合中は不十分だと読んでいましたが、どうも十分なポーンの代償がありそうです。

 

19.Bc3 Nb6 20.Nf4 Bxf4 21.exf4 Nfd5 22.Bd2 Nb4

 

22...e3 23.fxe3 Nxe3 24.Bxe3 Qxe3+ 25.Qf2 は若干ではありますが、白が良いと思い、指しませんでした。

 

23.Bxb4 cxb4 24.Rxd8 Rxd8 25.Re1 Rd4 = 26.h4 f5 27.g3 Qd6 28.Rc1 Rd2 29.Qb3+ Qd5?

 

これはひどいポカでした。今思えば、どうしてb4が落ちることに気づかなかったか不思議です。29...Kh7=

 

30.Qxb4 Kh7 31.Rc5 Qd6 32.Rb5 Qxb4 33.Rxb4 Nd5 34.Rb7 e3 35.fxe3 Nxe3 36.Re7?!

 

ここは36.Bh3とすれば、まだ白が大きな優勢を保ったまま試合を続けることが出来ました。

 

36...Nxf1 37.Kxf1 Rxb2 38.Rxa7

  

 

こうしてこの局面になりました。ここから白が勝てるのかどうか、それがポイントです。結論として自分はこのエンディングはドローではないかと思っています。これを考える前に、端のポーンを後ろからルークで止められているエンディングを確認しましょう。

 

                              REFERENCE  DIAGRAM

 

この形は明らかにドローです。白が勝つためには自身のルークとキングを入れ替え、プロモーションする以外ありません。そのためにKe1-Kd1-Kc1-Kb1とルークに寄っていった後、キングを前進させますが、Kb6のタイミングでRb1+とされるとチェックが切れずドローとなります。黒はキングをg7h7で往復させるか、ルークをaファイルで移動させて、白のキングがb6に到達するのを待っていれば問題ありません。黒がキングをポーンに寄せようとするのは間違いで、Kf7?? Rh8で白の勝ちとなります。これを理解していないと本譜でも分からない所があると思います。本譜との違いは、クイーンサイドにお互いポーンが3つずつ残っていること、そして白がaポーンを6段目で止めることができる点です。

 

38...Kh6 39.Ra6+ g6!?

 

 

この手はブランダーだと指摘されましたが、果たしてそれは本当でしょうか。本譜の通り黒のキングは身動きが取れなくなりますが、f5を守ったので、ルークでaポーンとgポーンを睨み、Ra8に対してKg7と下がれば良い、と黒にとってやるべきことがシンプルになります。実際白は黒のキングをh6に縛った上で勝つ手段があるのでしょうか。

 

40.Ra7 Rc2 41.a4 Rc1+!

 

ここで黒はチェックを続けることでg3を捨てるか、h3に逃げ込むか白に選択を迫ります。

 

42.Kf2 Rc2+ 43.Ke1!?

 

白はg3をあきらめました。試合中は、キングをh3に逃げられた上でa6までポーンを進められるとまずいのではないか、と考えていましたが、それは間違いでした。

43.Kg1 Rc1+ 44.Kg2 Rc2+ 45.Kh3? Rd2 46.a5 Rb2 47.a6 Ra2!


                                ANALYSIS  DIAGRAM


48.Ra8 Kg7 49.a7 Kh7 これでaポーンをとってドローです

 

43...Rg2(=) 44.a5 Rxg3 45.a6 Ra3?

 

この手でもまだドローのチャンスがありますが、黒にとって非常に難解になってしまいます。ここはもっと簡単にドローを確定させる方法がありました。

45...Rf3! 46.Ra8 Kg7! 47.a7 Ra3!  先述の通り、白のポーンが7段目まで進んでいるためドロー確定です。試合中46...Kg7! に気づきませんでした。

 

46.Kd2 Ra1 47.Kc3 Ra5 48.Kb4 Ra1 49.Kb5 Rb1+ 50.Kc5 Ra1 51.Kb6 Rb1+ 52.Kc7 Rc1+ 53.Kb8 Ra1 54.Ra8 Ra4??

 

 

これはひどいブランダーで、黒の負けになってしまいます。代わりに54...Kg7! でドローでした。

54...Kg7! 55.Kb7 Rb1+ 56.Ka7 Rb4 57.Rd8 Rxf4 58.Kb6 Rxh4 59.a7 Ra4 60.a8=Q Rxa8 61.Rxa8 Kf6!

 

 

                               ANALYSIS  DIAGRAM

62.Kc5 Ke5! 63.Kc4 Kf4! 64.Rg8 f4 65.Rxg6 h4 66.Rh6 Ke3 67.Rxh4 f3=

 

このように最善を尽くせばドローになるのですが、この3ポーンvsルークがどちらにとって間違いやすく難解なエンディングかと言えば、間違いなく黒でしょう。そのため45手目で単純なドローを逃したことは黒にとって痛手だったのです。白がこの後、ブランダーを指して逆転しなければ・・・

 

55.Ra7??

 

この手は私の54...Ra4?? 以上に多くの人を驚かせたと思います。私も目を疑いました。ちなみに白の単純な勝ち筋は試合中、私も気づいていました。

55.a7! Rb4+ 56.Kc7 Rc4+ 57.Kb6 Rb4+ 58.Ka5 で白勝ちです。


55...Rxf4 56.Rc7(=)

今度は白からドローオファーをしてきました。私は持ち時間ぎりぎりまで考えた末、この3ポーンvsルークは黒のキングのポジションが良いため、黒に分があると判断し、オファーを蹴りました。

56...Rxh4 57.a7 Ra4?

 

ここで一度57...Rb4+! を挟んでおけば、白の58手目が成立せず、黒勝ちでした。しかしお互いあまりに時間がなかったため、この辺りのミスは仕方ありません。

 

58.Rc4! Rxa7 59.Kxa7 Kg5 60.Kb6 h4 61.Kc5 h3 62.Rc2 Kf4 63.Kd4 g5 64.Rc1??

  

64.Rf2+! Kg4 65.Ke3 が最後のドローチャンスでした。

 

64...h2!

 

他の手も読みましたが、これでクイーンvsルークにする以外、黒に勝つ手段はありません。

 

65.Rf1+ Kg3 66.Rxf5 h1Q 67.Rxg5+ Kf4


 


かくして生まれて初めてのクイーンvsルークのエンディングとなりました。ここから黒は白のルークによるチェックを気にしつつ、白キングを盤の端に追い詰めます。

 

68.Rc5 Qd1+ 69.Kc4 Ke4 70.Kb5 Qb3+ 71.Kc6 Kd4 72.Rb5 Qe6+ 73.Kc7 Kc4 74.Rb6 Qe7+ 75.Kc6 Qc5+ 76.Kb7 Kd5 77.Rb3 Qc6+ 78.Kb8 Kc4 79.Rb1 Qe8+ 80.Ka7 Qd7+ 81.Ka6 Qe6+ 82.Ka7 Qf7+ 83.Ka6 Qg6+ 84.Rb6 Qe8 85.Rh6 Kc5 86.Kb7 Kb5?!

 

86...Qf7+ 87.Ka6 Qf8! (87...Qa2+ 88.Kb7 Qg2+! 89.Kb8 Qg8+ 90.Ka7 Qg7+ -+ Baba) 88.Rh5+ Kc6 で簡単に黒勝ちです。

 

87.Rb6+ Kc5 88.Rh6 Qd7+ 89.Ka6 Qb5+ 90.Ka7 Kc4 91.Rh4+ Kb3 92.Rh6 Qc5+ 93.Kb7 Kb4 94.Ka6 Qg5 95.Rb6+ Ka4 96.Kb7 Qc5 97.Rb1 Qd5+ 98.Ka7 Qf7+ 99.Rb7 Qf6 100.Rh7 Kb5 101.Rb7+ Kc5 102.Rc7+ Kd6 103.Rh7 Kc6!

 

ようやくキングがc6に到達しました。白はルークチェックによるカウンターができず、ツークツワンクに陥ります。

 

104.Kb8

 

104.Rb7 Qd8! はどんなクイーンvsルークの解説にも使われる典型的なツークツワンクの形です。

 

104...Qd6+ 105.Ka8 Qa3+ 106.Kb8 Qb3+ 107.Ka7 Qa2+ 0–1

 

6時間近くかけ、長い戦いが終わりました。会場で一番遅くまで残っていたのです。お互いにミスの応酬があったとはいえ、非常に面白く勉強になった試合でした。この試合の解説については自分でも自信のない点が多数ありますので、ご意見のある方は遠慮なくおっしゃっていただけると嬉しいです。

残る最後のボードになり、多くのアービターがその結末を見届ける


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