<< IGB - 6th Dato’ Arthur Tan Malaysia Open Chess Championship 2009 | main | Slav Defenceの世界-part5- by 小島慎也 >>

Slav Defenceの世界-part4- by 小島慎也

今回から数回に渡り、私が最も着目しているSlavのサイドライン、1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.e3!? を紹介したいと思います。こちらは前回紹介した3.Nc3,4.e3と異なり、固有のラインが多く存在します。私がこの変化について詳しくなったのは、南條君が私に白番を持った際に多用し、苦しめられてきたことが大きな要因だといえます。そして現在、1.e4から1.Nf3に転向した私にとっても白番での重要な武器となっています。

 

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.e3

 


 

この手の最も単純なアイディアは前回と同様、c4を早い段階で守ることにより、Classical Slavを指させないことだと思います。それでは3.Nc3,4.e3と何が異なるかといえば、このライン固有の黒からの変化、4…Bf5, 4…Bg4等を白で受けても良いと思うかどうか、がポイントでしょう。また、自分のように1.Nf3からSlavになる場合(1.Nf3 d5 2.d4 Nf6 3.c4 c6)Slavをメインで受けないならば、こちらのラインしか選ぶことはできません。黒の4手目は代表的なものが4つ挙げられると思います。

 

a) 4…e6

b) 4…Bf5

c) 4…Bg4

d) 4…a6

今回は最も多いa) 4…e6を紹介しようと思います。

 

4…e6


 

 

この手はSemi-Slavプレーヤーが指すであろうことは容易に予想がつくでしょう。黒は5.Nc3と白が指し、Semi-Slav Meranに手順前後することを期待しているのです。当然ですがSemi-Slavを調べていなければ、白が5.Nc3と指した際に困ってしまいます。私も以前は4…e6を指していました。しかし近年はSemi-Slavを外す白の5手目の研究が進み、4…e6の人気は下火にあるように思えます。とはいえ統計的には最もよく指され、重要な変化ですのできちんと扱います。

 

5.Nbd2!?

 

これがSemi-Slav外しの1つのアイディアです。白はc4のポーンをナイトで取り返せればe5の支配が強まるので、黒はc4のポーンを取りづらくなります。

 

5…Nbd7 6.Bd3 Bd6 7.0-0 0-0 8.e4

 


 

8…e5

 

白は黒マスビショップを活用しようとセンターを開き、黒も白マスビショップを活用するため同様のアイディアを用います。8…dxe4 9.Nxe4 Nxe4 10.Bxe4 h6 (10…Nf6?! 11.Bc2 e5のマスが弱まってしまうので黒として好ましくありません。10…e5? 11.dxe5 Nxe5 12.Nxe5 Bxe5 13.Bxh7+! )11.Bc2 e5 12.Qd3 f5 13.c5 Bc7 14.dxe5 Nxe5 15.Qb3+ Kh8 16.Re1! Qf6 17.Bf4 Be6 18.Bxe5 Bxb3 19.Bxf6 Bxc2 20.Re7! Bxh2+ 21.Kxh2 Rxf6 22.Rxb7 Be4 23.Ne5 Matlak,Mare (2477) - Bulski,K (2409) TCh-POL Extraliga Ustron POL (5),06.09.2006

こちらは”Play the Slav and Semi-Slav”で紹介されているラインで、白が指しやすいと思います。

 

9.cxd5 cxd5 10.exd5 exd4

 

10…Nxd5?! 11.dxe5 Nxe5 12.Nxe5 Bxe5 13.Bxh7+! Kxh7 14.Qh5+ Kg8 15.Qxe5

 

11.Ne4


 

 

11…Nxe4 12.Bxe4 Nf6 13.Bg5 Be7 14.Bc2!?

 

この手はつい先日見つけました。わずかですが白が指しやすいと思います。

14.Bxf6 Bxf6 15.Qd3 h6 16.Nxd4 Qb6 Wang Yue (2576) - Bu Xiangzhi (2630) Torch Cup Xiapu (15), 22.06.2005

こちらは日吉のトレーニングで実際に桑田君と指してみましたが、白がセンターにパスポーン、黒がダブルビショップを持つため、判断の難しい局面です。

14…Nxd5 15.Bxe7 Qxe7 16.Re1 Qf6 17.Qd3 g6 18.Qxd4 Qxd4 19.Nxd4

Baburin,A (2526) - Jessel,S (2294) ch-IRL Dublin IRL (7), 11.07.2008

 


 

白がやや良さそうですが、それを勝ちに結び付けられるかはまた別問題です。このような局面を好まないならば、他の変化を試してみるべきでしょう。ちなみにこのBaburinの試合はChess Gamesで解説を見ることができます。http://www.chessgames.com/perl/chessgame?gid=1497411

 

もう1つ、4…e6の中でお勧めの変化を紹介します。

 

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.e3 e6 5.Nbd2 c5!?

 

 

 

この黒の5手目は私が長らく指したいと思いながら、なかなか機会に恵まれなかった手です。黒は早くにc6-c5とポーンをつき直しているため、一見すると手損のようです。このアイディアを理解していただくためにはQueen’s Gambit Semi-Taraschについて説明する必要があります。

 

1.d4 d5 2.c4 e6 3.Nc3 c5!?

 


 

これをQueen’s Gambit Tarrasch Variation と呼びます。黒は早い段階で白のセンターを崩しにいき、IQPを抱えながらも、アクティヴなピースでバランスを取ります。

 

4.e3!?

 

自分としては白は4.cxd5 exd5 5.Nf3 Nf6 6.g3 Nc6 7.Bg2 Be7 8.0-0 0-0 9.Bg5 と指してd5のポーンをフィアンケットビショップで長期的に狙うべきだと思います。

 

4…Nf6 5.Nf3 Nc6

 

このように白がフィアンケットを組まないのがSemi-Tarraschです。白がいずれセンターを捌いた際にはd5IQPが残りますが、黒としてはd5への圧力がゆるい分、Tarraschのメインに比べて指しやすいのではないか、というのが私の持論です。この辺りは実際にTarraschを指す塩見さんに伺ってみたいですね。さきほどのSlavのラインでc6-c5とつき直すのは、一手遅れても構わないのでこのSemi-Tarraschのようなストラクチャーにしようとのアイディアなのです。では5…c5に戻ります。

 

 

 

さらにここでは白のナイトがd2にいます。これはSemi-Slav Meranを外そうというアイディアでしたが、d5への圧力がより薄くなっています。このことも黒がc6-c5とつき直すアイディアを正当化していると言えるでしょう。

 

6.dxc5!?

 

白はd4に圧力をかけられているため、e4をつき直すアイディアは使えません。そうなると黒マスビショップはb2に配置するのが自然です。もう少しセンターのテンションを残しておきたい場合は、6.b3 Nc6 7.Bb2 と組むべきでしょう。6…Bxc5 7.a3 0-0 8.Bd3 b6 9.b4 Be7 10.Bb2 Bb7 11.0–0 Nbd7 12.cxd5 Nxd5 13.Qb1 h6 14.Rc1 Bf6 15.Nc4 Qe7= Predojevic,B (2615) - Adly,A (2586) 38th Olympiad Dresden GER (9), 22.11.2008

 

以上で1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.e3 e6 の紹介を終わりにしたいと思います。私は現在5.Nbd2と並ぶもう1つのMeran外し、5.b3を研究していますが、そちらの説明は割愛させていただきます。興味のある方はKojima-Li Hanbinの解説が過去の記事から見られますので、そちらをご覧ください。


コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック
calendar
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    
<< June 2020 >>
selected entries
categories
archives
recent comment
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM