<< Sam Collins Chess Collection Part3 | main | IGB - 6th Dato’ Arthur Tan Malaysia Open Chess Championship 2009 >>

Slav Defenceの世界-part3- by 小島慎也

今回は白としてSlavのメインを外す手順の1つを紹介します。Slavのメインとは1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.Nc3の形のことであり、そこからClassical Slav, Semi-Slav, そしてChameleon Slav 3種が代表的な変化であることを前回書きました。これらのメインを外す手順も多数存在し、Exchange Variation (1.d4 d5 2.c4 c6 3.cxd5)は特に有名だと思いますが、ここでは詳しい説明は省きます。最初に紹介するメイン外しは1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nc3 Nf6 4.e3!? で、part3は丸々これに費やそうと思います。

 

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nc3 Nf6 4.e3!?

 

 


この白の
4手目は、一見するとビショップのダイアゴナルをすぐに閉じてしまうため、損な手に見えます。しかし前回見てきたようにClassical Slavを黒が選択すると、白はc4のポーンを取り返すのに一工夫必要になります。その手間を省くため、つまりClassical Slavを避けるためにこの手順が生み出された、と考えられます。確かにc4をすぐに守ってしまえば黒はClassicalのアイディアが使えないので、Classicalをメインで使うSlavプレーヤーには、この手順への別の対策が必要です。

 

4…e6

 

3.Nc3, 4.e3に最も多く指されているのが4…e6です。白の次の手は自然に考えればそんなに多くありません。

 

5.Nf3

 

これでSemi-SlavMeran型になりました。Meranに関しては前回少ししか説明していないので、いくらか補足をします。

 

5…Nbd7 6.Bd3 dxc4 7.Bxc4

 

これがSemi-Slav Meranと呼ばれる変化です。前回Semi-Slavを紹介する際に例として出した変化はこれを避けるAnti-Meran(6.Qc2 Bd6 7.Be2 or 7.Bd3) でした。いずれにせよSemi-Slavの代表的な変化であり、Semi-Slavプレーヤーにとっては1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nc3 Nf6 4.e3!? Meran型になるだけで特別、対策の必要な手順ではない、と言えると思います。逆に白としては、この手順を使う意図は、「Classical Slavは避けたいがSemi-SlavならMeran型で迎え撃ってやるぞ」ということです。Meranの変化についてはもうすこし詳しく扱いたいですが、別の機会にします。では次は私の棋譜を交えてもう1つの4.e3 対策を紹介します。

 

 

Nakamura Naohiro

Kojima Shinya

慶応チェスクラブ日吉トレーニング

 

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nc3 Nf6 4.e3 a6!?

 

もう1つの対策とはChameleon Slavにすることです。白がこのムーヴオーダーの時だけChameleon SlavにするSlavプレーヤーは多数存在します。

 

5.Nf3 b5

 


 

6.b3

 

c4のポーンを守ると同時に、黒マスビショップをb2に組むことができるため自然な手だと言えます。6.b36.cxd5も有力なので2つ試合を紹介します。

 

6.c5 Nbd7 7.Bd2 a5 8.a3 Qc7 9. Rc1!? e5 10.dxe5 Nxe5 11.Nxe5 Qxe5 12.Nxb5!! (強力なピースサクリファイスです) 12…cxb5 13.Bxb5+ Ke7 ( 13…Bd7 14.c6 )14.Bc3 Qg5 15.0-0 h5 16.f4! Qf5 17.Bxf6+ Kxf6 (17…Qxf6 18.Qxd5, 17…gxf6 18.e4! )18.Qd4+ Ke7 19.e4 Qf6 20.Qxd5 Rb8 21.Rfd1 Bg4 22.f5! 1-0  Cmilyte,VRasmussen,C, 2009, 47th Xtra Con TCh-DEN,

 

6.cxd5!? cxd5 7.Bd3 Bg4!? (7…e6) 8.Bd2 Nc6 9.Rc1 Rc8 10.a4 b4 11.Ne2 Bxf3 12.gxf3 Qb6= Laxman,RKojima,S, 2009, Thailand Open Chess Championship

 

6…Bg4 7.h3!?

 

白はより安定したポジションを目指すならば、7.Be2 e6 8.0-0 Nbd7 9.h3 Bh5

10.Bb2 Bd611.Ne5 Bxe2 12.Nxe2 Qc7 13.cxd5 cxd5 14.Rc1 Qb8 15.Nxd7 Nxd7 16.e4! dxe4 17.d5! と指すべきだと思います。この一時的なポーン捨ては2003年にSasikiranが考案し、白が高い勝率を誇っています。近年は対抗策として9.h3 Bf5!? 15.Nxd7 Kxd7!? が指されています。

 

7…Bxf3 8.Qxf3!?

 

次の黒の手を知らなければクイーンで取り返すのが自然だと考えるでしょう。

私としては8.gxf3 Nbd7 9.f4 e6= のほうが厄介です。

 

8…e5!?

 


 

9.cxd5?!

 

この手が悪い理由は以下のラインと本譜を見ていただければわかると思います。

白は 9.dxe5 Bb4 10.Bd2 Bxc3 11.Bxc3 Ne4 12.Bb4 bxc4 13.Bxc4 と指すべきです。

 

9…cxd5 10.dxe5 Bb4 11.Bd2 Bxc3 12.Bxc3 Ne4

 

Qa5+はメイトまでいってしまうので、黒マスビショップがd2-a5のダイアゴナルを離れられないことがポイントです。

 

13.e6!? Ra7! 14.Bb4

 

14.Rc1? Nxc3 15.Rxc3 Qa5 16.Kd2 Rc7 17.exf7+ Kf8 は駄目です。14.Qg4!? fxe6 15.Rc1ならば白は指せそうです。

 

14…Nc6!

 

c6のマスが空き、この手が指せることが上記のラインとの一番大きな違いだといえるでしょう。黒マスビショップはもう逃げ場がありません。

 

15.a3?

 

ここは難しい判断ですが、15.Bd3! Nxb4 16.Bxe4 0-0! (16…dxe4 17.Qxe4 a5 18.Rd1∞)17.Bb1 fxe6 とすれば黒がやや指しやすそうですが、まだ白にもチャンスがありました。

 

15…Nxb4 16.axb4 0-0

 

 


焦らずキャスリングをすれば、すでに黒の勝勢です。

 

17.Bd3 fxe6 18.Qh5 Rf5 19.Qg4 Nxf2 20.Bxf5 Nxg4 21.Bxe6+ Kh8 22.hxg4? Qf6 0-1

 

 

今回、1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nc3 Nf6 4.e3 の紹介のつもりでしたが、お見せした試合はChameleon Slavのメインラインの1つでした。1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nc3 Nf6 4.e3の手順には、固有の変化があまりないのが特徴だといえます。白はSemi-Slav MeranChameleon Slavの中から自分の好きな変化を選んで準備しておくだけでよいので、1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nc3 Nf6 4.e3 は手間のかからないSlav対策だと言えるでしょう。逆に黒はClassical Slavをメインで扱うつもりなら対策は必須です。また、Semi-Slav メインで指す人もMeranに自信が持てないならばChameleonを調べてみると指し方の幅が広がるので良いと思います。もちろん逆もまたりです。


コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック
calendar
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    
<< June 2020 >>
selected entries
categories
archives
recent comment
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM