中部快速open 2018

今年の名古屋でのトーナメントは、クラブ創設50周年を記念し賞金総額が大幅にupするため、通年よりハイレベルな戦いが予想されます。今回の中部快速openもその例外ではなく、全国から全日本チャンピオン経験者・FIDEタイトルホルダーが集まりました。

 

台風の影響はさほどなく、定刻通り大会は開始しました。

 

R.5は、R.4まで全勝した私とAlexの対戦となりました。私はR.3R.4Bibbyさんと小島君に、AlexTuさんと松尾さんに勝ってきています。ゲームスタート時点で3位グループとは1P離れていたため、勝った時点で優勝が決まる事実上の決勝戦で、今回はこのゲームを紹介します。

 

Averbukh, Alex (2321)

Baba,Masahiro (2399)

Chubu Rapid Open 2018(5)

 

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. Bb5+

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[流行りの3.Bb5+ライン。私自身、ここ数年、中国のプレーヤーに負け続けているので、対策はしていました。]

3...Nc6 4. O-O Bd7 5. c3 a6 6. Ba4 Nf6 7. Re1 b5 8. Bc2 Bg4 9. h3 Bh5

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[9...Bxf3から10...g6でフィアンケットを組むセットアップもあります。いずれにせよ、白に簡単にd4を突かせないことが重要です。]

10. d3 e6 11. a4 Be7 12. Nbd2 O-O 13. Nf1 Nd7 14. Ng3 Bg6 15. Qe2 Qc7

Ale3.gif

[ここまでお互いスタンダードな駒組です。駒を展開し終わったここで白から仕掛けます。]

16.h4 h6 17. h5 Bh7 18. Nh2 d5

[相手がサイドアタックを見せてきたらセンターからの反撃です。]

19. Ng4 dxe4 20. dxe4 c4

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[c5e5にピースのマスを作り、センターでアクションを起こします。]

21. axb5 axb5 22. Rxa8 Rxa8 23. Qf3?

[これは明らかにテンポロスでした。]

23...Nce5 24. Nxe5 Nxe5 25. Qe2 Bc5 26. Be3 Rd8 27. Ra1

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[ここでAlexからドローオファー。しかし、黒はh7のビショップ以外、不満なところはなく、d3にナイトが跳び込めるので続けるべきポジションです。さらに、ここで勝っても負けてもドローでも最終戦は強敵のTuさんとの対戦になるので、勝ちを目指して戦います。]

27...Nd3 28. b3 Qe5 29. Bxc5 Qxc5

[一瞬、29...Qxc3? に手が伸びましたが、30. Rd1! でピースを取り返せないことに気付きました。]

30. bxc4 bxc4 31. Rd1 Qd6 32. Qe3

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[dファイルで最大限にプレッシャーをかけたところで、悩みの種だったh7のビショップのラインを開きにかかります。]

32...f5 33. e5! f4!

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[ここは勇気をもってポーンを捨てます。こうしないと次にf2-f4で私のビショップは閉じ込められます。]

34. Qxf4 Qc5!

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[これが思い描いていたポジションです。ビショップの道を開き、d3のナイトを遠くからしっかり支えるとともに、fファイルを開き、Rf8からf2にさらなるプレッシャーをかけます。]

35.Bxd3 cxd3 36. Qg4? Qxe5

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[白の36手目は明らかなミスでした。ポーンを取り返し、d3-d2が強力なスレットになっているため、ここで勝ちを確信しました。ここから最後まではストレートです。]

37. Rd2 Qe1+ 38. Nf1 Bf5 39. Qc4 Ra8 40. g4 Ra1 41. gxf5 Qxf1+ 42. Kh2 Qh1+ 43. Kg3 Rg1+ 44. Kf4 Qh4+ 0-1

Ale10.gif

 

最終戦はTuさんとの対戦となり、苦しいながらもルークエンディングでドローとなり、単独優勝を決めました。多少の運はあったものの、今回の名古屋でのプレーは、おおかた満足しています。

 

結果はChessresultsで見ることができます。

http://chess-results.com/tnr366647.aspx?lan=22&art=1&rd=6


Nagoya Open 2017

名古屋でのトーナメントは2012年の東海Open以来、5年ぶりです。初日終わって2.5Pで終え、迎えた2日目の朝のラウンドは大先輩の松尾さんと。初めての対戦が1999年で、実に18年の時を経て、2戦目となります。

 

Matsuo,Tomohiko (2256)

Baba,Masahiro (FM,2410)

Nagoya Open 2017(4)

 

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6 6.Bg5 e6 7.Qe2

Matsuo1.gif

[Najdorf Classicalでの松尾さんの得意ライン。これに対して、2007年のCappelleでカナダのIMに教えてもらったややリスキーなラインを試します。]

7...Be7 8.f4 h6 9.Bh4 Nxe4 10.Bxe7 Nxc3 11.Qc4 Kxe7 12.Qxc3 Re8 13.000 Kf8

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[白は1ポーンを捨てて、速い展開でアタックを目指します。黒は思いのほか展開しづらく、場合によってはどこかでポーンを返すことも念頭に入れます。]

14.g4! b5 15.Rg1 Ra7 16.g5 Rc7 17.Qd3 hxg5 18.Qh7! Qf6 19.fxg5 Qf4+ 20.Kb1 e5 21.Bh3!

[この力強い1手を見逃していました。21.Qh8+ Ke7 22.Qxg7? exd4 23.Re1+ Be6しか考えてなく、これであれば黒問題ありません。]

21...Bxh3 22.Qh8+!

[ここでチェックを挟むのも重要で、黒キングを不安全な方向へ追いやります。]

22...Ke7 23.Qxh3

Matsuo3.gif

23...g6

[Nf5+からRxd6+が強力なスレットになっているのに対して、黒は満足な受け方がありません。ポイントはd4のナイトを取れないところです。23...exd4? 24.Rde1+ Kd8 25.Rxe8+ Kxe8 26.Re1+ Kd8 (26...Re7 27.Qc8#) 27.Qh8+ Kd7 28.Qe8#!]

24.Rgf1 Qxg5 25.Rxf7+! Kxf7

[25...Kd8 26.Ne6+ Rxe6 27.Rxc7は絶望的です。]

26.Qh7+ Kf8 27.Rf1+

Matsuo4.gif

[一連の白のコンビネーションにより、黒はクイーンを捨てざるをえません。]

27...Qf4 28.Qh6+! Rg7 29.Rxf4+ exf4 30.Qxf4+ Kg8 31.b3±

[マテリアル的には損はしていませんが、ポーンが全て弱いのと、白陣に狙えるところが無いので、実質白勝ちと言っても良い局面です。]

31...Re5 32.Qf6! Nd7 33.Qxd6 a5 34.Nc6 Re1+ 35.Kb2 Kh7 36.Nxa5 Ne5

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[黒の唯一のプランはh2のポーンを取って、gポーンをパスポーンにして進めることです。しかし、松尾さんはクイーンをうまく攻守に使い分けてチャンスを与えてくれません。]

37.Qb4! Nf3 38.Qf4 Rf1 39.Qg3 Kg8 40.Qg2 Nxh2 41.Qxh2 g5 42.Qg2 Rf4 43.Nc6! g4 44.Qd5+ Kh7 45.Qh5+ Kg8

Matsuo6.gif

46.Ne7+! Rxe7

[46...Kf8 47.Ng6+もあるので、エクスチェンジを捨てざるをえません。]

47.Qg5+ Rg7 48.Qxf4 g3 49.Qf1 g2 50.Qg1 Kf7 51.Kc3 Ke6 52.a4 bxa4 53.bxa4 Kf5 54.Kd3 Rg3+

[54...Kf4 55.Qf2+! Ke5 56.Qd4+ +-]

55.Ke2 Rc3 56.Qf2+ Ke5 57.Kd2 10

Matsuo7.gif

[松尾さんの強さが光るゲームだったと思います。]

 

ここで一歩後退したものの、残る2試合は連勝し、4.5P/6で終了。2日目に3連勝の小島君に逆転優勝される結果となりましたが、久々の名古屋での大会は大いに楽しめました。名古屋CC代表の堀江さん、ありがとうございます。


東海Open 2012

週末は名古屋でした。数年前までは、だいたい毎年この時期に名古屋オープンが開催されていましたが、日程が入れ替わったようです。名古屋は近くて行きやすく、たまに名古屋料理を食べたくなるのでよく行っています。今回が9度目となります。

 

R.1 馬場(2226 1-0 Lesselさん(1567 Ruy Lopez Zaitsev

R.2 藤澤さん(1804 0-1 馬場(2226 English Four Knights

R.3 馬場(22261-0 鈴木(将)くん(1937French Tarrasch

R.4 Loojmansさん(2040 1-0 馬場(2226 Sicilian Najdorf

 

最終ラウンドに負け、結局3P3位。タイブレークで高田くんに負けました(タイブレークはソルコフ)


Loojmans
さんは昨年7月の名古屋オープン以来のプレーとのこと。最近は滅法忙しく、駒にも触っていないとか...

 

入賞者への賞品は魅力的なものばかりでした。先日発売されたばかりのAnandのベストゲームズ、New In Chess YearbookFritz13Henri Chavetのチェスセットなど。個人的にはなるべく帰りの荷物は少なくしたいので、New In Chess Yearbookあたりがよかったのですが、残ったのがチェスセット。まあ思い出になるからいいかなと思いつつも小さいセットのため、どうも飾り物にしかなりそうもないです!

 

今回も前回、前々回と名古屋に残してきた苦い記憶を払拭することはできませんでした。次回、8月の名古屋オープンでリベンジを図ります。

 

Baba,Masahiro (2226)

Suzuki,Masateru (1937)

東海Open 2012(3)

 

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nd2 Nf6 4.e5 Nfd7 5.Bd3 c5 6.c3 Nc6 7.Ngf3 cxd4 8.cxd4 Qb6 9.0–0 Nxd4 10.Nxd4 Qxd4 11.Nf3 Qb6 [センターのポーンを捨てて主導権を取りにいくこのラインは、白に多くのアタックのプランがあるのに対して黒は陣形をまとめにくく、白に十分な代償があると考えています。]




12.Qa4 Be7 13.Be3
Qd8 [13...Qxb2は危険でしょう。白は局面を大きく開きたいので。] 14.Qg4 Kf8 [14...g6も考えられます。14...0–0? でエクスチェンジを捨てるのは、15.Bh6 g6 16.Bxf8 Bxf8 17.h4±で断然白良しです。] 15.Rfc1 f5




16.Bxf5!?
[16.exf6で白が良いのを知りつつも誘惑に負けました。この語の展開が悪くなることはありませんが、決定的な攻めもありません。] 16...Nxe5? [このカウンターサクリファイスは間違いで、このあと白のアタックが続く形となります。ここは16...exf5 17.Qxf5+ Ke8とするしかなく、私はここで白のほうが指しやすいと判断し、16.Bxf5を敢行したのでした。] 17.Nxe5 exf5 18.Qh5 18...Qe8 [18…Be6 19.Ng6+]




19.Rxc8!
[主導権を手放さないために、アタックを続けるためにはオンリームーブ。ベストであることも疑いようがありません。] 19...Rxc8 20.Qxf5+ Bf6 [20...Kg8?? 21.Qe6+ Kf8 22.Nd7+] 21.Nd7+ Ke7 [21...Kg8 22.Qxd5+ Qf7 23.Qxb7±; 21...Kf7 22.Qxd5+ Qe6 23.Qxb7±] 22.Nxf6 [22.Bc5+!?] 22...gxf6 23.Bd4 Qc6 24.Re1+ Kf7 25.Qh5+ Kf8 [白の理想的な駒の配置と黒のキング周りの弱さから、マテリアル的には不利な白がすでに勝勢と言ってよい局面です。ここからしばらく手を繰り返して時間を稼ぎます。]




26.Qh6+ Kf7 27.Qh5+ Kg8 28.g3 Kf8 29.Bc3
[Bb4+,Re7] 29...Rc7 30.Qh6+ Kf7 31.Qh5+ Kf8 32.Bd2 Rg8 33.Bf4 Rf7 34.Bh6+ Rgg7 35.Qf5 [Qxh7] 35...Kg8 36.Rc1!




36...Qd6
[クイーンがどこによけても黒は駒損を免れません。例えば36...Qd7 37.Rc8+ Rf8 38.Rxf8+ Kxf8 39.Qxd7+-など。] 37.Rc8+ Rf8 38.Rxf8+ Qxf8 [38...Kxf8 39.Qxh7+-] 39.Qxd5+ Kh8 [39...Qf7 40.Qd8+ Qf8 41.Qxf8+ Kxf8 42.Kg2 Kf7 43.Bxg7 Kxg7+-] 40.Bxg7+ 1–0 [40...Kxg7 41.Qxb7+ / 40...Qxg7 41.Qd8+ Qg8 42.Qxf6+]


中部快速選手権2011

3ヶ月前、名古屋に残してきた苦い記憶を拭い去るため、気持ちを新たに望んだ中部快速ですが、42敗の入賞圏外。あらためて苦い記憶を上塗りする形となりました。

 

優勝は小島くんで5.5P。今年の夏以降は完全に彼の一人勝ちになっています。この状況を打破すべく、塩見さんと社会人同士の意地を見せつけようと誓った帰りの新幹線でした。

 

Baba Masahiro (2240)

Yoshimura Kenji (1928)

中部快速選手権 2011(2)

 

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nc3 Nf6 4.Nf3 e6 5.Bg5 dxc4 6.e4 b5 7.e5 h6 8.Bh4 g5 9.exf6 gxh4 10.Ne5 Qxf6 11.Qe2 Bb4?! 12.g3 Bb7 13.Bg2 h3 14.Bf3 a6 15.0–0 Bxc3 16.bxc3 0–0




17.a4 Ra7 18.Qe3?! Qg5 19.Qe2 Rc8? 20.Rfe1
[Nxf7] 20...Rc7 21.Bh5 Ba8 22.f4 Qd8? [22...Qg7] 23.Qg4+ Kh7




24.Nxf7! Qg8
[24...Rxf7 25.Bxf7 Rxf7 26.Rxe6 Rf6 27.Rae1+-] 25.Qxh3 Rxf7 26.Rxe6 [Rxh6+!] 26...Qg7 27.Bg6+ Qxg6 28.Rxg6 Kxg6 29.Qe6+




29…Kh7
[29...Kg7? 30.Qe5+ b8のナイトが浮いているため、黒キングの逃げ方はほぼ強制されます。] 30.Qe4+ Kg8 31.Qg6+ Kh8 [31...Kf8 32.Qd6+] 32.Re1 Rae7 33.Rxe7 Rxe7 34.Qf6+ Rg7 35.Qf8+ Kh7 [35...Rg8 36.Qxh6#] 36.Qxb8 Bb7




37.f5 bxa4 38.Qe8 a3 39.f6 a2! 40.Qe4+ Rg6 41.Qe7+ Kh8 42.Qf8+ Kh7 43.Qa3 Rxf6 44.Qxa2 c5? 45.Qb1+ Kg8 46.Qxb7 cxd4 47.cxd4 c3 48.Qc8+ Kg7 49.d5 Kf7 50.Qc7+ Kf8 51.Qxc3 1–0


名古屋Open 2011 -2日目-

名古屋Open終了。優勝は小島くんで、55ポイントのパーフェクト・スコア―でした。

 

私はと言うと... 今年の名古屋Open消し去りたい思い出となりました。詳細は後ほど。もしかしたら書かないでスルーする可能性もありますが。


名古屋Open 2011 -1日目-

7/30-31)は名古屋Openです。

 

初日が終わり、小島、馬場、高田の3人が2ポイントでフルポイント。参加人数が少ないせいか、R.2から小島-野口戦と言う好カードが出てきています。

 

試合後は、小島くんと野口さんと3人で会食。その後、それぞれのホテルに向かいました。

 

明日、3戦で決着がつきます。


名古屋Open 2010 結果速報

今年の名古屋Open3.5/5Rで終了しました。5Rしかないので、1試合でも失敗してしまうと入賞に絡みづらくなってしまうのはこのトーナメントの難点です。

 

Round3

Baba M. (2207) – Iwasaki Y. (2113) 0-1

 

Round4

Horie T. (1861) – Baba M. (2207) 0-1

 

Round5

Watanabe A. (2375) – Baba M. (2207) ½-½

 

最終結果は以下の通りです。

 

優勝 4P 渡辺 (馬場½ 入江½

24P 入江 有樹(渡辺½ 藤沢½

3 4P Amgalanbaatar Ravdanlkhumbuu(木下½ 高橋½

4 4P 岩崎 雄大(渡辺0

 

今日は疲れたので、詳細は明日以降にします。


名古屋Open 2010

今日と明日は名古屋オープンです。今年の参加者は20名くらいで、トップシードが暁さん、私が2番目です。残念ながら全日本チャンピオンの二人の参加はありませんが、明日も十分盛り上がりそうです。

 

昨年はアイルランドの二人が完全にトーナメントを支配しましたが、今年はいかに?

 

Round1

Baba M. (2207) – Fujisawa H. (1733) 1-0

 

Round2

Suzuki M. (1903) – Baba M. (2207) 0-1

 

明日の上位ボードの組み合わせは、今日2連勝した4人の顔合わせとなります。おそらく


入江
-渡辺

馬場-岩崎


となるでしょう。


中部快速オープン2009 -First Victory with Perfect Score-

6:33東京発の「こだま」に乗って名古屋に向かいました。1R9:50開始なので、この時間に出なければ間に合いません。ちなみに「こだま」を使うのは、JR東海に「ぷらっとこだまプラン」というものがあり、多少制約はあるものの、片道7,900円で名古屋に行けるからです。もっと交通費を惜しめば夜行バスという手もありますが、2年前の教訓から今回は無難に新幹線を選びました。

 

さて、今回は5度目の名古屋訪問です。過去の4大会ではいずれも優勝を逃しているので、まずは名古屋で優勝することを目標に、今大会に臨みました。

 

1R  馬場(2213 1-0 浜根さん(1756 French Tarrasch

 

今回は序盤で下手に時間を使わないように、最も経験のあるラインで戦うことに決めていました。中盤は私の好きな戦型になり白駒はそれぞれ向かうべきポジションへきちんと配置されました。32手で勝ち。

 

2R  鈴木(将)さん(1799 0-1 馬場(2213 Sicilian Najdorf

 

今回初顔合わせの鈴木(将)さんと。今年から社会人で名古屋に来られたとのこと。すでにインターネット上では数年やっているためか、指し手に熟練さが見られました。最終的に2位優勝となりましたし、これからもっとレイティングは上がると思います!

 

ゲームはEnglish Attackの逆サイドキャスリングでの攻め合いとなりましたが、この戦型での経験の差がやや出た形となり、28手で勝ち。

 

3R  馬場(2213 1-0 川嶋さん(1844 Sicilian Dragorf

 

DragorfとはDragonNajdorfをかけあわせた造語です。黒からa6g6を突くのでこう呼ばれています。さて、ゲームは黒から早期にe7-e5と突いてきたので、ストラクチャー的に簡単に白がアドヴァンテージを取りました。一度ストラクチャーを崩すと取り戻すことはできません。(ポーンはうしろに退がれません!)19手で勝ち。

 

この時点で全勝は私一人だけになりました。

 

4R  Fuzik Mykolaさん(UR 0-1 馬場(2213 Grunfeld

 

今大会、唯一危なかったゲームです。起死回生のタクティクスが決まらなければ、中盤で即リザインというところでした。

 


               Fuzik Mykola-Baba Masahiro

                             position after 21.Rf1-f3?!

 

本譜の代わりに21.Qxc5なら完全に白勝ちでした。21.Rf3Rh3-Qh6を狙う黒にとって恐ろしい手ですが、次の1手でだいぶ様相は変わります。

 

21...bxc4! 22.Rh3 Rxb2! 23.Rxh4? [正しくは23.Rxb2で、23...Qe1+ 24.Qxe1 Bxe1はまだ白が良いものの、黒も戦える局面] 23...Rxb1+ 24.Kf2 Be1+

 

 


これが
21手目から始まる黒のタクティカル・トリックのポイントです。

 

25.Kf3?! [ここは25.Qxe1とクイーンを返すしかなく、25...Rxe1 26.Kxe1 gxf5 27.exf5 c3で黒やや良し程度] 25...Bxh4 26.Qh6

 


 

駒はアップしましたが、27.Qxh427.fxg6 hxg6 28.Qxg6+からQxa6のラインをしっかり防ぐ手を考えなければいけません。幸い、次の手が完璧に働きます。

 

26...Rf1+! 27.Kg4 [27.Ke2?! c3+ 28.Ke3 Bf6 -+] 27...Bf6 28.fxg6 Bc8+! [28...hxg6? 29.Qxg6+ Bg7 30.Qxa6] 29.Kh5 hxg6+ 30.Qxg6+ Bg7

 


 

これ以上白にアタックはありません。またしてもJapan Openの龍二さん戦のようにg6を取らせてBg7でディフェンスする形です。

 

31.Bxc4 Rf6 32.Qg5 Rh6+ 01

 

ちなみにMykolaさんはウクライナの人で、現在は調査で半年ほど長崎大学にいるそうです。チェスのほうはと言うと、MykolaさんはFIDEレイティングを持っておらず、実力は未知数でした。あとで聞いてみたら、ウクライナの国内レイティング(FIDEとだいたい同じ程度)は21002200の間だそうです。先にその情報を知っていれば良かったです...

 

5R  馬場(2213 1-0 鈴木(陽)さん(1767 Sicilian Kan

 

このゲームも割と慣れたタイプのポジションになり、盤面全体を抑え込みました。24手で勝ち。

 

5R終了時で暫定2位以下と1.5Pの差がつき、ここで単独優勝が確定しました。

 

6R  唐堂君(1622 0-1 馬場(2213 Reti/Queens Pawn Opening

 

優勝がすでに確定して迎えた最終戦。ここで勝つと自身のJCAレイティングのベストを更新できる可能性が高いことから、あくまで勝ちを目指します。序盤は特に自分から局面を動かさずに黙って待つことに。ピースの交換が進み、だいたいイコールというところで白からクイーン交換しにきた手が悪手。黒がワンポーンアップします。結局ルークも交換して最後はポーンエンディングに。白からドローにできる手筋もあったように見えましたが、最後のポーンレースは黒のほうが速く、先にクイーンができました。57手で勝ち。

 

ちなみにあとで聞いたところ、唐堂君とお母様は私と同じ「ぷらっとこだまプラン」を使って名古屋に来られたとのこと。皆さん、考えていることは同じですね...

 

最終結果です。

 

優勝 馬場 雅裕 (2213) 6P

2 鈴木 将照 (1799) 4.5P

3 上原 慎平 (1922) 4P

Aクラス1 (1622) 3.5P

 

名古屋での大会はいつも快適です。TDの堀江さん、お疲れ様でした。






名古屋オープン2009 レポート3

4Rはポール戦を終えたばかりの暁さんと。暁さんとは通算5戦目です。

 

Watanabe Akira (2383,FM)

Baba Masahiro (2205)

名古屋 2009 (4)

 

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 d5 4.cxd5 Nxd5 5.Bd2

 

サイドラインの一つです。ちなみに昨年の名古屋オープンの4Rにも暁さんと当たり、色も同じでグリュンフェルドとなりました。その時は5.Na4でこれまたレアなラインでした。どちらのラインも暁さんの「Open Your Eyes」で紹介されています。昔読んだことはあるものの、全く忘れていたので、このあたりから自力で考え始めます。しかし、書いた本人の暁さんも忘れていたのでどっこいどっこいだったようですw

 

5...Bg7 6.e4 Nb6 7.Be3 0–0 8.Nf3 Bg4 9.Be2 Bxf3 10.gxf3

 

10.Bxf3 Nc4 11.Qb3 Nxe3 12.fxe3は黒満足です。

 

10...Nc6 11.d5 Ne5




この手と前の手にかなりの時間を費やしました。直感と記憶を合わせると、
11...Na5だったのですが、12.Bd4のあと、どうするのか思いつきませんでした。例えば12...e5?なら13.Bc5! Re8 14.b3! a5のナイトの行き場を奪われます。あとで「Open Your Eyes」を読み直すと、12...c5! という好手があり、以下13.Bxc5 Nac4 14.Bxc4 Nxc4 15.Qe2 Nxb2! 16.Qxb2 Qc7 17.Bb4 a5 18.Nb5 Bxb2 19.Nxc7 Bxa1 20.Nxa8 axb4 21.Ke2 Bd4で黒優勢だそうです。しかし盤上で12...c5! を見つけるのは無理がありそうで、やはりここはきちんとラインを勉強しないといけないと感じました。

 

12.Bd4 c6 13.f4 Ned7 14.Bxg7 Kxg7 15.dxc6 bxc6

 

センターを少し崩すことができました。白が若干有利だとは思いますが、黒は十分指せる局面だと考えていました。

 

16.Qd4+ f6?!

 

ここは3通り考えました。まず16...Kg8h4-h5が面倒であったので却下。黒はe7-e5としてセンターで対抗すべきと考え、本譜を選びましたが、キングの周りを少し弱くしてしまう、ややリスキーな手でした。最も手堅いのは16...Nf6で、これが一番良さそうです。

 

17.Qe3 Qc7 18.h4 e5 19.fxe5

 

19.f5?! gxf5 20.exf5 Nd5は黒の理想的な展開です。

 

19...Qxe5 20.0–0–0 Rad8 21.f4 Qe7

 

21...Qc5?には22.Qh3!d7のナイトの良い行き場所がなく、さらにh4-h5のスレットが強力です。

 

22.h5 g5 23.h6+ Kh8 24.fxg5 fxg5 25.Rh5!




25.Rdg1
しか考えていませんでした。これには25...Rf4で問題はありません。しかし本譜で25...Rf4と返すと、26.Qd4+が非常に厄介です。dファイルのピンのため、駒を挟むことができません。仕方がないのでg5は捨てて、少しでも駒をアクティブにしようとします。

 

25...Ne5 26.Rxd8 Rxd8 27.Qxg5 Qxg5+ 28.Rxg5 Ng6

 

28...Nf7 29.Rg7 Nxh6 30.Rxa7は壊滅的です。7thランクへのルークの侵入は防がなければなりません。

 

29.Ra5 Nc8?

 

指した後に次の30.Bg4が見えました。29...Rd7のほうが良かったでしょう。

 

30.Bg4 Nge7 31.Ra6?

 

結果論ですが、ここで31.e5としておけば次の黒の手は防げました。ここはややチャンスだと思いました。

 

31...Rd6!

 

明らかな手ですが、まずはh6のポーンを取り除くことが最優先事項です。32.Nb5? には32...cxb532.Nd5? には32...cxd5で大丈夫だと確認して指しました。

 

32.Kc2 32...Rxh6 33.Kb3 Rg6 34.Bh5 Rg5 35.Be8




c6
のポーンは弱いのでいずれ落ちる運命にあります。ここで黒の唯一の切り札はhポーンであり、a6のルークがなかなかパスポーンを止めに戻ることができないのを見て、とにかくポーンを進めます。

 

35...h5 36.Bxc6 h4 37.Bd7 Kg7 38.Nd5 Rg3+ 39.Kb4 h3?

 

ここで39...Nxd5+ 40.exd5 h3 41.Bxh3 Rxh3ならおそらく黒はドローにできます。しかし本譜でも白はビショップを切らざるを得ないと考えていました。私が見落としていたのは次の白の1手です。

 

40.Nf4! Re3

 

信じられないことに40...h2には41.Nh5+ Kg8 42.Nxg3でパスポーンの昇格はありません。

 

41.Nxh3 Rxe4+ 42.Ka3 Rd4 43.Bxc8 Nxc8

  

これはドローを取るのが厳しい局面だと分かったのはここから数手進んでからでした。ナイトがaポーンに縛られ、さらにキングがaポーンに遠いのが重く響きます。

 

44.Ng5 Rg4 45.Ne6+ Kf7 46.Nc5! Ke7 47.b4 Kd8 48.Ka4 Kc7 49.Ka5 Rh4 50.b5 Kb8 51.Rg6 Rh5 52.Na6+ Ka8 53.Rg8 Kb7 54.Rg7+ Ka8 55.Rg8 Kb7 56.Rg7+ Ka8 57.a4 Rf5 58.Nb4! Rf6 59.Nc6 Rh6 60.Ka6 Rh4 61.a5 Rh8 62.b6! axb6 63.axb6 Nxb6 64.Ra7# 1–0

 


 

このラウンド、BaburinSamが勝って3.5Pで並びました。

最終ラウンドはBaburin−ポール、暁さん−Samとなり、どちらも均衡した試合でしたが、Irishが勝ち切りました。

 

私は高田君(1617)に白で勝って3Pで終了です。ポールと暁さんが負けると3Pでみんな並ぶのかな、と思っていたら、権田さんが最後勝って3.5P。権田さんも最後勝っても3Pだと思い込んでいたので、かなり衝撃的でした。5R始まった時点で私より上のボードに座っていたので、状況をもっと早く理解すべきでした。

 

かくして4.5PBaburinSamが並び、同率優勝です。しかし、トロフィーの関係上、タイブレークを行わなければいけなかったのですが、タイブレークは2つしか用意されていなかったので、ブリッツで決めるという前代未聞の決定戦が行われたのでした。本当はタイブレークを45個用意しておくべきで、最後にルール変更するというのはあってはなりませんが、見ているほうとしては2人にブリッツをしてもらいたいという気はしました。結果は意外にあっさりSamが勝ちました。



 

新幹線の時間が迫っていたので、表彰式後はすぐに会場を後にしました。

 

今回は特に何もやらず、優勝者の引き立て役にさえなりもせず、物足りなさだけが残ったトーナメントでした。しかし、夏に向けて再スタートということで、今後勘を取り戻しつつ、ステップアップしていこうと思います。


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