新潟日中友好対抗戦 結果

今日の新潟日中友好対抗戦の中国側のレポートです。

 

http://cca.imsa.cn/archives/74865

 

Bai Jinshi (GM,2599) 31

Xu Xiangyu (GM,2584) 31ドロー

Lei Tingjie (GM,2498) 4

Zhai Mo (WGM 2360) 211ドロー

 

13-3で中国側の勝利でした。選手の皆さん、お疲れ様でした。

 

中国チームに同行していたGM Xu Junも言うように、友好対抗戦なので、結果は二の次、文化交流が第一です。

 

なお、中国チームが23()に新潟入りするはずだったのが24()に予定変更になったのは、中国リーグが23()まであって、それに出るためだったようです。


Summer Open 2018

今年も暑い夏が始まりました。先週のSummer Openから1ゲーム紹介します。

 

Baba,Masahiro (2399)

Kakutani,Yuta (1870)

Summer Open 2018(1)

 

[角谷君との対戦は2010年のSummer Open以来、実に8年ぶり。FIDEレイティングは2100あるため、1R目の相手としては簡単ではありません。]

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.00 Be7 6.Re1 b5 7.Bb3 00 8.h3

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[Marshall Attackを避ける手順の1]

8...d6 9.c3 Nb8 10.d4 Nbd7 11.Nbd2 Bb7 12.Bc2 Re8 13.Nf1 Bf8 14.Ng3 g6 15.a4

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[先月の快速選手権では三ツ矢さんに対して15.b3を指しましたが、今回はBreyer Variationのメインの本譜に戻しました。]

15...c6 16.Bg5 h6 17.Be3 Bg7 18.Qd2 h5 19.Bg5 Nb6 20.b3 Qc7 21.a5 Nbd7 22.Nh4

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[f2f4でキングサイドを開きにかかります。これに対し、黒はセンターを開いて勝負します。]

22...exd4 23.cxd4 c5 24.Rac1

[24.d5 Nh7! 25.Rad1 Nxg5 26.Qxg5は黒の狙い通りです。白としては、e4-e5で白マスビショップのラインを開き、g6をターゲットにしたいところです。]

24...b4 25.e5!?

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[プラン通り、ポジションを開きにかかります。]

25...dxe5 26.dxc5 Qxa5 27.c6 Bxc6 28.Bxg6 Qd5!

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[これは非常に強い1手で、g2のメイトを視野に入れつつ、クイーン交換を強要することで白の攻めを緩和します。28...fxg6 29.Rxc6なら、アクティブなピースとg6の弱点が残るので、白有利と考えていました。]

29.Bxh5 Nh7?

[しかしこれが間違いで、白ピースを呼び込んでしまいます。29...Qxd2 30.Bxd2 Bd5 31.Bxb4 Rab8 32.Bd6 Rxb3ならお互い戦力不足でドローでしょう。]

30.Ngf5! e4

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31.Rxc6! Qxc6 32.Nxg7 Kxg7 33.Nf5+

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[マストではないですが、31手目のエクスチェンジ・サクリファイスからここまでの流れが一番分かりやすく感じました。]

33...Kf8 34.Rc1 Qb5 35.Qd6+

[35.Bf6! から強制メイトがあるようですが、本譜でも勝ちに変わりありません。]

35...Kg8 36.Nh6+ Kg7 37.Nxf7!

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[この手を見つけるのにしばし時間を要しました。Bh6+からQg6#がスレットなのと、37...Nxg5 38.Qh6+ Kg8 39.Qh8#h8でメイトになるのがポイントです。]

37...Nhf6 38.Rc7

[ルークも攻めに参加し、勝負ありです。]

38...Nxh5 39.Rxd7 Qd3 40.Qh6+ Kg8 41.Qh8# 10

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千葉県選手権2018

今年の千葉県選手権は、昨年よりも10名以上参加者を増やし、盛況な中、幕を閉じました。ディフェンディング・チャンピオンとして臨んだ本トーナメントは51ドローで優勝。千葉選手権が毎年恒例のイベントになり、千葉のチェスがさらに盛り上がることを願っています。

 

Baba,Masahiro (2406)

Mitsuya,Naoto (2160)

Chiba 2018(4)

 

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.00 b5 6.Bb3 Bc5

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[この手は予定外でした。過去の記憶を呼び戻しながら、Archangelskのメインラインに飛び込みます。]

7.c3 d6 8.d4 Bb6 9.a4 Rb8 10.Na3 00 11.axb5 axb5 12.Nxb5 Bg4

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[Archangelskで黒は1ポーンと引き換えにアクティブなプレーを目指します。白は正確に対処しないとセンターを含め、一瞬で崩壊します。]

13.Bc2 exd4 14.Nbxd4 Nxd4 15.cxd4 Bxf3 16.gxf3 Nh5 17.Kh1 Qf6 18.Be3 c5!?

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[この手は近年、黒のベストとして推奨されています。2016年、New YorkでのWorld Championship matchの大事な1戦でCarlsenもこの手を採用しました。これより先のセオリーは特に研究したことはなく、ここから自分の頭で考え始めます。19.d5には19...c4! で白マスビショップの動きが制限されるため、白マスビショップのラインを開く次の1手がロジカルです。]

19.e5! Qe6

[19...dxe5 20.dxc5 Bc7 21.Be4! Rxb2 22.Qd7! なら、2ビショップの威力がありパスポーンというカードのある白が有利だというのが、19.e5と突いた根底の読みです。]

20.f4

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[しかしこれはあまり指されたことはなく、20.exd6と指すのがセオリーのようです。h1-a8のラインを自発的に開くのはQd5+の可能性があり危険に見えますが、それを見越して白クイーンのラインを開きにいきました。三ツ矢さんの知識もここで途切れます。]

20...cxd4!

[いま、21.d5がポジショナルスレットになっているため、20...g6では遅すぎます。]

21.Bxh7+ Kxh7 22.Qxh5+ Kg8 23.Bd2 g6

[gファイルを利用したダブルルークサクリファイス(Rg1Rxg7+Rg1+)の可能性があるので、これを未然に防ぎますが、逆にキング廻りを弱めるデメリットもあります。私は23...d3で黒マスビショップのラインを開きにいくのがベストに思いました。]

24.Rg1 Rb7?

Mitsu5.gif

[Qd5+に対してはf3と突きます。黒クイーンはg6のポーンを守らなければいけないので、アクティブなカウンターをなかなか作れません。本譜は黒クイーンをフリーにするため、Rxg6-fxg6-Qxg6に対して7thランクを守っておくprophylaxisですが...]

25.Qf3!

[浮いたルークを狙いつつ、弱点のダイアゴナルをカバーします。ここで体制を整え、次のf4-f5を強力にします。]

25...d5 26.f5! Qxe5 27.Rae1 Qd6 28.Bf4 Qc6 29.Be5+-

Mitsu6.gif

[こうして全てのピースをアクティブにし、Qh3 or Qh5がスレットになった今、黒は駒損を避けられません。]

29...Re7 30.Rc1 Qxc1 31.Rxc1 Rxe5 32.fxg6 fxg6

Mitsu7.gif

33.Qg4 g5 34.Qh5 d3 35.Qg6+ Kh8 36.Qxb6 d2 37.Rg1 Rff5 38.Qd4 10

Mitsu8.gif

 

最終結果は以下のサイトで確認できます。

http://chess-results.com/tnr326585.aspx?lan=1&art=1&rd=6&wi=821


Club Championship 2017

150人を超える参加者が集う国内最大規模の大会であるクラブ選手権には、今年も麻布OBチームの一員として参戦、残念ながらチームはもう一つの麻布OBチームに大敗し、タイトルは逃しました。ただ、個人的には51ドローと、Japan Leagueに継続して好調を維持しました。

 

初日終わってチームは3連勝し、迎えた2日目の朝のラウンドは麻布OB-Bチームとの対戦。ちょうど前日の夜は両チームで夕食に行き、一杯ひっかけたのですが、途中でペアリングが発表されたのを見て、場の雰囲気が...

 

Aoshima,Mirai (2403)

Baba,Masahiro (2396)

Club Championship 2017(4)

 

1.d4 Nf6 2.Bg5 Ne4 3.Bf4 c5 4.f3 Qa5+ 5.c3 Nf6

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[実を言うと、彼がTrompowskyを指すのを完全に忘れていて、早くもプリパレーション外となります。]

6.d5 d6 7.e4 g6 8.Na3 Bg7 9.Qd2 00 10.Bh6 Nbd7 11.Bxg7 Kxg7

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12.Nc4 Qc7 13.a4 b6 14.Ne3 Bb7 15.g4 e6 16.000 e5

[センターを閉じるのは本意ではありませんでしたが、16...exd5 17.g5 Nh5 18.Nxd5 Bxd5 19.Qxd5は十分な反撃がないままd6が落ちます。この後、白はキングサイドから、黒はクイーンサイドからアタックを目指すことになります。黒はg7にビショップがいない分、白はa4を突いている分、キング廻りを弱めているため、だいたいチャンスはイコールかなと考えていました。]

17.h4 h5? [白のキングサイドアタックを止めようと、よく考えずに突き返したこの手は大きな間違いでした。]

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18.gxh5! Rh8

[前の手でh5を突いた時に私が見落としていたのは、18...Nxh5 19.Nf5+ Kg8 20.Qh6のあと、Nh3-Rg1とされると黒に受けが無い点です。本譜ではポーンダウンになりますが、戦えるよう手を作りにいきます。]

19.hxg6 fxg6 20.Nh3 Nf8

[20...Rxh4? 21.Ng5+-(×e6]

21.Bc4?!

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[d1のルークをg1に廻すために展開しますが、a6-b5で黒にテンポよく追い返されるので、ややケアレスな1手でした。]

21...a6 22.Ng5 b5 23.Be2 Bc8 24.Rdg1 bxa4 25.Nf5+!

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[準備が整ったところでアタック開始です!]

26...Bxf5 26.exf5 Rh6

[27.Ne6+ Nxe6 28.Rxg6+! に対して、先にg6を守っておきます。]

27.fxg6

[この手を見て、黒に反撃のチャンスが回ってきたと感じました。キングの目の前の敵ポーンは逆にディフェンダーとして働いてくれることが多く、この局面でもghファイルがオープンでないので白の攻めがスローダウンします。正しくは27.h5! で、プレッシャーをかけ続けるべきでした。]

27...a3! 28.bxa3 Rb8

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[クイーンサイドから反撃です!]

29.Bd3 Qa5 30.Nf7 Qxa3+ 31.Kd1 Rh5

[Qxh6+に対する唯一の受けですが、効果的です。]

32.Nxd6 Rb2

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[反撃に参戦している黒駒はクイーンとルークだけですが、大駒が2つあれば、十分なカウンターを作れます。]

33.Bc2 Qa1+ 34.Qc1 Qa2 (△Qxd5+ 35.c4 Qa3 (△Qxf3+ 36.Rh3 Qc3 (△Qd4+ 37.Rg5 Ra2!

Aoshima8.gif

38.Nf5+ Kg8 39.Ne7+ Kg7 40.Nf5+ Kg8

[Ra1に対して満足な受けが無い白は、少なくともパペチュアルチェックでドローに持っていくことはできますが・・・]

41.g7!?

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[ドローを蹴って勝負してきました!ちょうどこの頃、他のボードが全て負け、チームとしては負けが確定していましたので、相手チームのキャプテンの篠田君は青嶋君にドローで良いとアドバイスしていましたが・・・]

41...Ra1 42.Bb1

[42.gxf8Q+ Kxf8は、白のアタックが止まります。]

42...Qb3+ 43.Ke2 Rxb1 44.Rxh5

[44.Ne7+ Kf7f6のナイトがいい働きをしているため、g8Q+はありません。]

44...N8h7?!

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[気をつけなければいけないのは、44...Nxh5? 45.gxf8Q+ Kxf8 46.Qh6+での一発逆転です。また、44...Ng6? 45.Rh8+! Kf7 (45...Nxh8 46.gxh8Q+ Kxh8 47.Qh6+ Kg8 48.Qg7#) 46.Rf8+! も白勝ちを許してしまいます。いずれにしても、白クイーンだけはゲストに招かないことです! 試合中は本譜が唯一の受けだと思っていましたが、ここで黒にはっきりした勝ちがありました。44...Qa2+! 45.Qd2 Qxc4+ 46.Ke3 Nxh5 47.gxf8Q+ Kxf8+ 白キングがクイーンの道をふさいでQh6+ができません!]

45.Ne7+?!

[ここで両者気付いていなかった1手をチームキャプテンの塩見さんが指摘してくれました。45.Rg3! で、Nh6#がスレットになっているため、黒は慎重に手を模索しなければいけません。45...Qa2+ 46.Qd2 (46.Kd3? Rb3+ 47.Qc3 e4+! 48.fxe4 Rxc3+ 49.Kxc3 Nxe4++) 46...Qxc4+ 47.Ke3 Qf4+ 48.Ke2 Qc4+は黒の最善で、パペチュアルでドローに落ち着きます。]

45...Kxg7 46.Qh6+

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[クイーンをゲストに招き入れても黒ナイトのコンビがさらなるアタックを阻みます。]

46...Kf7 47.Qg6+ Kf8!+

[47...Kxe7? 48.Rxh7+ (48.Rxe5+? Kd8+) 48...Nxh7 49.Qxh7+は白に主導権があり、攻めが継続します。]

48.Kf2

[48.Qh6+ Kxe7 49.Rxe5+ Kd8はチェックが止まり、勝負ありです。]

48...Qb2+

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[49.Ke3 (49.Kg3 Rg1#) 49...Re1+ 50.Kd3 Rd1+ 51.Ke3 Qd2# A big fight, A crazy game!] 01


Summer Open 2017

夏の大会はこのサマーオープンを皮切りに、ジュニア・シニア・小学生・女子選手権、ジャパンリーグと続きます。今大会では初日に小林厚彦君に敗れるものの2日目3連勝で、幸運にも1位タイ(タイブレークでは2位)に終われました。今大会からは、先日、CMのタイトルを獲得した若手のホープ、逢阪拓真くんとのゲームを紹介します。

 

Osaka,Takuma (1967)

Baba,Masahiro (2363)

Summer Open 2017(2)

 

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 d5 4.Nf3 Bg7 5.Qb3 dxc4 6.Qxc4 00 7.e4 a6

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[Hungarian Variation. Grunfeld Russianに対する私のメインの受け方です。]

8.Be2 b5 9.Qb3 c5 10.dxc5 Bb7 11.00 Nxe4 12.Nxe4 Bxe4

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[センターポーンが消えて局面がオープンになり、ここからピースプレーとなります。黒としてはcのパスポーンがやや気がかりですが、このポーンを焦って取りにいく必要はありません。]

13.Be3 13...Bd5

[13...Nc6 14.Rfd1 Qc7 15.Rac1は単純に白良しなので、まずはdファイルを閉じるべきだと判断]

14.Qc2 Nc6 15.Rfd1 e6 16.Nd4?

Osaka3.gif

16...Bxd4!

[はじめは16...Nxd4 17.Bxd4 Bxd4 18.Rxd4 Qg5で黒満足なゲーム展開だと考えていましたが、すぐに本譜のコンビネーションを見つけました。]

17.Bxd4 Bxg2! 18.Bg7!

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[白は予想通り一番面白い変化に飛び込んできました。この他の手に対しては、黒は単純に1ポーンアップです。]

18...Bd5!

[このビショップの強さを正確に評価しての本譜なので、エクスチェンジを捨てるのは構想通りです。ただ、焦って18...Qg5?と出ると、19.f4!で失敗します。]

19.Bh6!?

[19.Bxf8 Qg5+ 20.Kf1 Qg2+ 21.Ke1 Rxf8

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ANALYSIS  DIAGRAM

は、黒圧倒的です。これは両者共通の認識でした。本譜ではこの攻撃の要となるg5のマスを奪いますが...]

19...Qh4! (このマスもあります!) 20.Qd2

[20.Rxd5 exd5 21.Bxf8 Rxf8と戦うのが比較的白のベストだと思いますが、黒は安定した1ポーンアップです。]

20...Qh3

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21.f3

[21.Bf1?? Qg4+は即終了。少し面白いかなと考えていたのは21.Qg5 f6 22.Qg4 Qxh6 23.Rxd5 exd5 24.Qe6+ Kh8 25.Qxc6ですが、25...Qd2で白駒が足りていません。]

21...Nd4!?

[おそらく21...Rfd8として何ら問題ありませんが、h6にビショップが居座られると気持ちが悪いのと、22.Qxd4 Qxh6なら1ポーンアップを維持したまま安全に指し続けられるので本譜を選択。]

22.Bxf8

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22...Bxf3!

[拓真くんの考えていた22...Nxe2+ 23.Qxe2 Bxf3 24.Qc2 Bxd1 25.Rxd1 Rxf8 26.c6 Qg4+ 27.Kh1は白のパスポーンが強力で、黒がどう勝つか定かではありません。]

23.Bf1 Qg4+

[ここで23...Ne2+ 24.Kf2 24...Qxh2+ 25.Kxf3 Ng1+ 26.Ke4

Osaka8.gif

ANALYSIS  DIAGRAM

と、もう1つピースを捨ててセンターにキングをおびき寄せる変化も考えましたが、これ以上続ける手が見えませんでした。(実際無い)]

24.Kf2

[24.Bg2?には24...Ne2+で白はクイーンを捨てざるをえません。]

Osaka9.gif

24...Qh4+!

[24...Bxd1? 25.Rxd1だとd4のナイトがアタックされているのでf8を取り返せません。このチェックを挟み、キングとクイーンをフォークポジションに強制するのがポイント。]

25.Kg1

[25.Ke3 Bxd1 26.Rxd1 (26.Qxd4 Qe1+ 27.Kd3 Qxf1+ 28.Kc3 Qe1++) 26...Nf5++]

25...Bxd1 26.Qxd1

[26.Rxd1?? Nf3+なので、クイーンで取り返すのがオンリーです。]

26...Rxf8+

Osaka10.gif

[駒を取り返し、黒の2ポーンアップ。若干、白のパスポーンが脅威ですが、白キング廻りが弱く、本譜の通り黒のアタックが先に決まります。]

27.Bg2 Rd8 28.Rc1 Qg5(Qxc1) 29.Rc3 Nf5 30.Qc1

[30.Rd3には30...Qe3+!? 31.Rxe3 Rxd1+ 32.Kf2 Nxe3 33.Kxe3 Kf8+を用意していました。]

Osaka14.gif

30...Qg4 31.Kf2 Rd1 32.Qc2 Qh4+ 33.Rg3

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[キングがよけるとナイトフォークで白はクイーンを失います。]

33...Qd4+ 34.Ke2 Rg1 35.Qe4 Nxg3+ 36.hxg3 Qxb2+ 37.Kd3 Rd1+ 38.Ke3 Re1+ 01

Osaka13.gif


千葉県選手権2017

全日本選手権の地区予選として開催された千葉県選手権は、東京近郊ということもあり、地区予選としては多い32名の参加者を集めました。スタンダードなタイムコントロールのゲームを楽しめるため、また、全日本の権利枠(8名につき1名)を増やすのに貢献するため、参加を決めました。

 

余裕のある会場スペース、スケジュール・ルールにシビアな大会運営と、クオリティーの高い大会でしたので、また機会があれば参加したいと思います!

 

Furuya,Masahiro (2079)

Baba,Masahiro (2379)

Chiba 2017(5)

 

[ここまで4連勝で迎えた5R目は、初対戦となる古谷くんと。] 1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 d5 4.cxd5 Nxd5 5.e4 Nxc3 6.bxc3 Bg7 7.Nf3 00 8.Be2 c5 9.Be3 Qa5

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[少し種々のラインがミックスされていますが、あらかたスタンダードなグリュンフェルドです。] 10.Qd2 Nc6 11.Rc1 Bg4 12.d5 Rfd8 13.00 e6 14.Rfd1 exd5 15.exd5 b6?

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[15...Ne7 16.c4 Qxd2 17.Rxd2 Nf5 のときに、c5のポーンが浮いているため、あらかじめ守りをつけた手ですが、18.Bxc5? には18...Bh6! があるので不要な手です。クイーン交換が無ければ、黒クイーンがa5で孤立してしまうので、感覚的にもおかしな手です。] 16.Bg5! f6 17.Bh6?! [黒にf6を突かせ、a2-g8ダイアゴナルを開かせるのは良いアイディアですが、ラインの閉じた黒マスビショップを交換しにいくのは、やや一貫性に欠けます。17.Bf4! とビショップをキープすべきでしょう。] 17...Ne7 18.Bxg7 Kxg7 19.Qe3

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19...Nf5 [19...Nxd5 20.Rxd5 Rxd5 21.Qe7+ Kh6 22.Qe3+ Kg7 23.Qe7+でパペチュアルによるドローなら黒としてはOKですが、22.Qxf6!? で勝負されると厄介です。] 20.Qe4? [これは黒にテンポを取らせるので明らかにミスです。20.Qf4! で、c7への侵入を見せつつ黒ビショップをアタックすべきでした。] 20...Bxf3 21.Bxf3 Re8 22.Qf4 Re5!

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[eファイルを取りつつ、白クイーンの侵入を防ぐ絶好のアウトポストを見つけ、形勢が黒に傾き始めます。] 23.a4?! [このあと黒にブロッケードを築かれてしまうと白ビショップが働かなくなるので、ここは23.d6と仕掛けるしかなかったと思います。その場合、黒は23... Rd8 24.d7 Qxa2でポーンを取った後、クイーンサイドのポーンで勝負します。] 23...Rae8 24.g3 [バックランクが弱いので、もう24.d6と突けません。(24...Qxc3!] 24...Nd6!

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[センターをブロックし、黒は理想のポジションを得ました。白にはc3a4のポーンが弱点として残っています。] 25.Kg2 c4 26.Qg4 R8e7 27.Rd2 Qxa4 28.Re2 Rxe2 29.Bxe2 Qa3 30.Rc2 Qc5

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[あとはクイーンサイドのポーンを突いていくだけです。]31.Bf3 a5 32.Qf4 b5 33.h4 b4 34.cxb4 axb4 35.Be2 c3 01

furu7.gif

 

最終結果はChess-results.comで確認できます。

http://www.chess-results.com/tnr260897.aspx?lan=22

 


Japan League & 新潟 2016

Fighting against Chinese masters

 

この夏は中国のマスター達との連戦でした。

 

ジャパンリーグにはZhou JianchaoGM,2616)、Lu ShangleiGM,2607)、Ni ShiqunWGM,2398)、Wang JueWGM,2369)の4人のマスターが招待され、他の参加者に交じって熱戦を繰り広げました。私はZhou JianchaoNi Shiqun2人と当たりましたが、どちらも負け。途中、中国のマスター同士の対戦もありましたが、最終的にはLu ShangleiZhou Jianchaoがワン・ツーフィニッシュを決めました。

 

日本勢が大敗した中、R.3で、青嶋君がマスターに黒星をつけました。

 

Aoshima,Mirai (2207,JPN)

Ni,Shiqun (WGM,2398,CHN)

Japan League (3) 2016

 

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 d5 4.cxd5 Nxd5 5.e4 Nxc3 6.bxc3 Bg7 7.Nf3 c5 8.Rb1 00 9.Be2 Nc6 10.d5 Ne5 11.Nxe5 Bxe5 12.Qd2 e6 13.f4 Bg7 14.00 exd5 15.exd5 Qd6 16.c4 b6 17.Bb2 Re8 18.Bd3 f5 19.Rfe1 Bd7 20.Bxg7 Kxg7 21.Qb2+ Kf7 22.Re5 Re7 23.Rbe1 Rae8 24.g3 b5 25.Kf2 a6 26.R1e3 b4 27.Rxe7+ Rxe7 28.Qh8 h5 29.Re5 Re8 30.Qh7+ Kf8

Ni1.gif

[Find the combination!] 31.Qh6+! Kf7 32.Bxf5! Qf6 [32...gxf5 33.Qxd632...Bxf5 33.Rxf5+ gxf5 34.Qxd632...Rxe5 33.fxe5 Qxe5 34.Bxd7も白勝ちです。] 33.Qh7+ Kf8 34.Qxg6 Qxg6 35.Bxg6 Rb8 36.Rxh5+-

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[黒ポーンをかすめ取り、あとは丁寧に指して白勝ちです。] 36...Ke7 37.Bc2 a5 38.d6+ Kxd6 39.Rd5+ Ke7 40.Rxc5 a4 41.Re5+ Kf6 42.Rd5 Be8 43.Rf5+ Kg7 44.Re5 Bc6 45.Re6 Rc8 46.Ke3 Kf7 47.Rxc6 Rxc6 48.Bxa4 Re6+ 49.Kf3 Re1 50.h4 Rf1+ 51.Kg4 Kf6 52.h5 Rc1 53.Bb3 Rc3 54.f5 Rc1 55.h6 Rh1 56.c5 Rxh6 57.c6 Rh1 58.Bd5 Rf1 59.Be6 Rc1 60.Bd7 Rc4+ 61.Kf3 Ke5 62.g4 Rc3+ 63.Ke2 Kd6 64.g5 Rc2+ 65.Kd3 Rxa2 66.Kc4 Rb2 67.g6 Ke7 68.Be6 Kf6 69.Kd3 b3 70.c7 Rc2 71.c8Q 10 [青嶋君自身も上手く指せたという、good gameです。]

 

また、最終ラウンドには篠田君がWang Jueを撃破!

彼がこれまで指してきた中でbestということなので、このゲームの解説はそろそろどこかのページに上がってくると思います。

 

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新潟の日中対抗戦では、中国からZhao JunGM,2623)、Wang ChenIM,2508)、Zhang XiaowenWGM,2364)、Gu XiaobingWGM,2324)の4名のマスターが、日本の4名のプレーヤーと対戦しました。昨年よりも若干、相手の平均レイティングは落ちていますし、下2人は2300台なので、そこからは何としてもポイントを取りたいところでした。データベースで相手のゲームをチェックし、準備して臨みました。

 

Baba,Masahiro (2263,JPN)

Gu,Xiaobing (WGM,2324,CHM)

Niigata 2016(1)

 

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6 6.Bg5 e6 7.f4 Be7 8.Qf3 Qc7 9.000 h6 10.Bh4 Nbd7 11.Be2 b5 12.e5 Bb7 13.Qg3!?

Gu1.gif

[昨年のIVLでの篠田戦の焼き直し。45分指し切りなので、この後に続くピース・サクリファイスが必ずしも正しくはないと思いつつも、まずは自分の土俵に持ち込みます。ここからしばらく白も黒もオンリー・ムーブの応酬ですが、相手のGu Xiaobingは、時間を使いこんで考えていたため、オープニングのチョイスは成功だと言えます。] 13...dxe5 14.Nxe6!? fxe6 15.Qxg7 Rh7 16.Bh5+ Kd8 17.Qg6 Kc8

Gu2.gif

18.Rxd7!? [17手目まで全てプリパレーション。ここから自分の頭で考え、この手が思い浮かびました。サクリファイスではなく、単に駒交換になります。] 18...Nxd7 [18...Qxd7 19.Bxf6 Bxf6 20.Qxf6は明らかに黒が悪いので、こう取り返すしかありません。] 19.Qxh7 Bxh4 20.Rd1 Bc6 21.g3 Bf6

Gu3.gif

22.Ne4 [これで使いづらかったc3のナイトをうまく捌けます。] 22...Bxe4 23.Qxe4 Ra7 24.Qg6 [Rxd7-Qxf6] 24...Qc4!

Gu4.gif

[強力なカウンター。25.Rxd7?? Rxd7 26.Qxf6 Qf1+では白がメイトになります。] 25.b3 Qc3 26.Qe8+ Bd8 27.Rd3 Qa1+ 28.Kd2 e4! [これも強力な1手で、白はルーク交換を余儀なくされます。白としてはビショップでe6のポーンを取りに行きたいのですが、その時間を与えてはくれません。] 29.Rc3+ Rc7 30.Rxc7+ Kxc7 31.Qxe6 Qd4+ 32.Ke2

Gu5.gif

[どちらのキングもノーガードですが、すぐにチェックはありません。白は厄介なe4のポーンを消しにいくことが、黒はピースをうまく連携させることが、最優先事項です。] 32...Nb6 [局後、Gu Xiaobingは、a6e4を守れる32...Nc5のほうが良かったと話していました。] 33.Bg4 [Nb6-d5を防ぎます] 33...h5 34.Bf5 [34.Bxh5?! Nd5 35.Qe5+ Qxe5 36.fxe5 b4! は、エンドゲームで負けそうです。] 34...Qg1? [クイーンがセンターから離れるのは危険です。] 35.Qe5+ Kc6 [35...Kb7? 36.Bxe4+ Kc8 (36...Ka7 37.Qg7+ Kb8 38.Qb7#) 36.Qe6+ Kb8 38.Qc6 Qxh2+ 39.Bg2+-] 35.Bxe4+ Kd7

Gu6.gif

[チェックで厄介なe4のポーンを消し、主導権もまだ白にあります。しかし、持ち時間もなくなってきて、勝ちのラインを見つけられません。37.Qxh5! なら、白にチャンスがありますが、エキサイティングなゲームはパペチュアルでドローに落ち着きます。] 37.Bf5+ Kc6 38.Be4+ Kd7 39.Qg7+ Be7 40.Bf5+ Kd8 41.Qh8+ Kc7 42.Qe5+ Bd6 43.Qg7+ Kd8 44.Qf6+ Kc7 45.Qc3+ Kd8 46.Qh8+ Kc7 47.Qg7+ Kd8 48.Qf6+ Kc7 49.Qf7+ Kd8 50.Qf6+ Kc7 ½–½


クラブ選手権 2015

麻布の1つ上の先輩である井上さんから声がかかり、今年は麻布OBチームで参戦しました。今回、麻布OBチームはもう1チームありましたが、そちらは小林厚彦君がチーム編成し、我々のチームとは、まったく別の動きをしていました。(そのチームの当初、予定していた1番ボードが病欠で休んでくれたのは、本人には申し訳ないですが、我々のチームにとっては嬉しい誤算でした。)
 
塩見さんをゲストに、あとは麻布OBで固めて1日目は順調に3連勝。優勝候補と見られていた麻布OBに勝っての3連勝だったので、チーム内の士気も上がり、2日目へ。R.4が山場で、慶応OBチームと対戦。あとにチームメイトがチームのハイライトと称してくれたゲームを紹介します。
 
Kojima,Shinya (2465,IM)
Baba,Masahiro (2297)

Club Ch. 2015(4)
 
1.Nf3 Nf6 2.c4 g6 3.d4 Bg7 4.g3 d5 5.cxd5 Nxd5 6.Bg2 00 7.00 Nc6 8.Nc3 Nb6 9.e3 Re8 10.Nh4!? [この手は自分の中で初めてだったので、ここから考えます。過去、試合経験があるのは10.Re1のみです。]

10...a5 [クイーンサイドのスペースを拡げる1手。過去の試合経験から学んだアイディアです。9...Re8との一貫性を考えると、ここで10...e5と突くのが自然に見えますが、11.d5と突かれると黒が指しにくくなります。] 11.f4 [こうして黒のe7-e5を抑えるのが10.Nh4の狙いの1つです。] 11...a4 12.Rf2 Ra5 [12...Nxd4 13.exd4 Bxd4でマテリアルバランスを崩して戦う手を考えましたが、13.Rd2! があるので、12...Nxd4はダメだと気付きました。本譜のRa5も変に見えますが、ルークを5段目でアクティブに使うのはよくあるアイディアです。] 13.Nf3 h6 [ここで一時的にやることが見つからなかったため、被害の少なそうな手を指して、相手の出方を待ちます。本譜はg6を弱めるので、小島君は13...Bf5と指すのではと、局後に指摘してくれました。] 14.Ne5 Nxe5 15.fxe5 c6 16.Bd2 Ra7 [Ne4-c5が見えたので、b7を守る位置にひきました。]

17.Qf3 Rf8 18.Rd1 Nc4 19.Bc1 Be6 20.h3 Qa5 21.Ne2! [Nf4からe6のビショップをアタックしにいく好手] 21...a3?! [ナイトをどこかにやって、c4のマスをビショップの逃げるマスにしようと考えた手ですが、白の24手目を見逃していました。小島君からは21...Nb6とさがってa2をアタックするのでは、と指摘されましたが、ピースをさげるアイディアはなかなか見つけられませんでした。] 22.bxa3 Nxa3 23.Nf4 Bc4 24.Bf1! Bd5 [24...Bxf1 25.Rdxf1は、次にNxg6がスレットになっています。]

25.e4 Be6 26.Nxe6 fxe6 27.Qb3 Rxf2 28.Kxf2 Nb5 29.Qxe6+ Kh7 30.Bc4 [Qg8#] 30...Ra8

[このゲームを見ていたチームメイトも、白が勝ちそうだと思っていたそうです。しかし、冷静に局面を分析すると、黒キングは安全なのに対し、白キングのガードが薄く、さらにRf8Qc3からの黒のアタックが強力です。e6ポーンという肉を切らせて反撃を得るのは、Grunfeldらしい戦い方だと思います。] 31.Kg2?! [白のベストは31.Bxh6! Bxh6 32.Qxe7+ Bg7 33.Qh4+ Bh6 34.Qe7+でパペチュアルでした。] 31...Qc3! [Qc2+Nxd4Rf8などのスレットを白が同時に防ぐことはできません。] 32.Rf1 Nxd4-+

[たしかこのあたりだったと思います。4番ボードの佐野-勝田戦も進行中で、佐野君がブランダーを指した後に気付いてドローオファーをしました。勝田君は続ければ良くなると分かっていたと思いますが、ドローオファーを受けてよいか、チームキャプテンの小島君のところに確認に来ました。(おそらく、チーム内でそういう取り決めになっていたのでしょう。)そのとき、小島君の持ち時間は1分を切っており、しかもどう受ければよいか分からないこの局面。小島君は4番ボードの局面を見ずに、勝田君にドローオファーを受けてよいと指示しました!まさかその判断がマッチの勝敗を決めることになるとは思っていなかったでしょうが、小島君は自分のゲームを捨てて、そちらのゲームを見に行っていたら、チームは2-2の引き分けになっていたかもしれません...] 33.Qf7 Qc2+ 34.Qf2 [34.Kg1 Rf8 35.Qxf8 Bxf8+] 34...Qxc4 01 [結局、これがチーム唯一の勝ち星となり、チームは2.5-1.5で慶応OBチームに勝利しました!]

新潟&IVL 2015

新潟国際親善チェス大会は今年も規模を拡大し、総勢100名の愛好家が新潟 天寿園に集いました。新潟は、東京から上越新幹線「MAXとき」で2時間。決して遠くはありませんが、新幹線の本数が少ないため、前日入りするか、当日朝早く行くかの2択です。私は今回、前者を選びました。
 
昨年からこの大会の目玉の1つとなっている日中対抗戦では、中国からZhou JianchaoGM,2601)、Ju WenjunGM,2550)、Lou YipingIM,2457)、Guo QiIM,2436)の4名のマスターが、選抜された日本の4名のプレーヤーと対戦しました。中国選手は、皆、20代の若いプレーヤーです。
 
初戦、南條君が開始時間に間に合わないというハプニングがありましたが、補欠を用意していたので、ここは無事に収まりました。
 
私の対戦はというと、これといって見せ場も無く、淡々と終わりました。1日にこれだけ多くのマスターと連戦するのは正直、しんどいですが、国内にいるとなかなか当たれないレベルの相手ですので、良い経験を積ませてもらいました。(思い返せば、直近のGM戦は2010年のZhao Xue戦?)

Ju.gif 
Ju,Wenjun (GM,2550) - Baba,Masahiro (2262)
                       Position after 30...Kh7
 
31.Bd5 Rc8 32.Bb3 Rce8 33.Bd5 Rc8 34.Bb3 Rce8 35.Bd5 ½–½
 
ドライなゲームは最後まで熱くならず、パペチュアルでドロー。これが私の唯一のポイントとなったのでした。ちなみに、GM Ju Wenjunはこの日、ファイティングムードではなかったように見え、50%の2Pで終了。
 
結局、日本チームは3-13で敗れました。中国のマスターとの対戦は、8月のジャパンリーグに持越しです。(まだオフィシャルな情報ではありませんが、GM2人、参戦する予定です)
 
==================================
 
さて、翌週は、スウェーデンのFM Kockumさん、プロ棋士の羽生さんと青嶋くんを交えた10名でのIVLを表参道で。ここのところIVLの活動は活発になってきました。私は塩見さんと羽生さんに敗れ、またも50%で終了。そんな中、ちょっとしたタクティクスを見せた1戦を。
 
Baba,Masahiro (2312)
Makita,Hiroshi (1867)

IV League 2015(1)
 
1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6 6.Bg5 e6 7.f4 Qb6 8.Qd2 Nc6
Maki1.gif
9.000 Qxd4 10.Qxd4 Nxd4 11.Rxd4 Be7 12.Be2 Bd7 13.Bf3 Bc6 14.Re1 Rd8 [カウンターを狙うなら、14...Rc8がベターです。] 15.Nd5!
Maki2.gif
[白の一連のセットアップは、このナイトの跳び込みを意識したものでした。(特にeファイルを開きたい)] 15...exd5? [15...Nxd5 16.exd5 Bd7 17.dxe6 fxe6 18.Bxe7 Kxe7 19.Bxb7+-も、15...Bxd5 16.exd5 h6 17.Bxf6 Bxf6 18.Rb4±も白が勝つ展開です。また、黒が何もしてこなければ、16.Nxe7 がスレットになっていて、16...Kxe7 17.e5でピースアップです。ただ、15...e5! と突いて白のe4-e5を防いでおくと、まだ分かりません。] 16.exd5 Bb5 17.Bxf6 gxf6 18.a4
Maki3.gif
[これが思い浮かべていた白の理想の図です。黒のビショップが行くマスがありません。(18...Bd7 19.Rde4!] 18...Bxa4 19.Rxa4 Rc8 20.Rb4 Rc7 [20...b5には21.Re3からRa3で、クイーンサイドのポーンを狙いにいきます。] 21.Rb6 Kd8 [21...Kf8なら22.Re3からReb3で、b7のポーンを落とせます。] 22.Bh5 Bf8 23.g3 Rg8 24.Re3 f5 25.Reb3 Kc8 26.Re3
Maki4.gif
26...Bg7?! [これではすぐにポーンが落ちますが、26...Kd8でも27.Be2で次のBd3が決定的です。] 27.Rxd6 Rc5 28.Bxf7 10
 
トーナメントは羽生さんの全勝優勝。近頃、日本の誇る2人のIMがいまひとつ本調子ではないため、羽生さんの強さが目立っています。

快速選手権 2015

いくつかの理由から、長い間、JCAの快速選手権へは不参加でした。全日本の後で参加者の層が薄いことや、25+10/手という時間ではまともにプランを組み立てられないことだったのですが、今年はトレーニングの一環と考え、参加を決意。結果は521ドローという貧弱な成績でありましたが、いくつか研究しがいのある局面に出くわしました。優勝は青嶋(将棋)4段で、7P/8R。チェスにかける情熱と成長スピードがヤバいです...
 
Baba,Masahiro (2286)
Shioguchi,Tatsuya (2064)

JCA Rapid 2015(7)
 
1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nd2 Nf6 4.e5 Nfd7 5.Bd3 c5 6.c3 Nc6 7.Ngf3 g6 8.h4 h6

9.Nf1!? [GM Moskalenkoは自身のベストセラーFlexible Frenchでこの手に言及していません。ただ、すぐに黒がこれを咎める手もなく、十分指せる1手だと思います。他には9.Nb19.b39.Qe29.a3など] 9...b6!? 10.Ng3 cxd4 11.cxd4 Nb4 12.Bb1 [12.Be2? には12...Qc7c2を狙われるので、ここに下がる他ありません。] 12...Ba6 13.a3 Nc6 14.Ne2 Na5 15.Nf4 Rg8 [Nxe6-Bxg6を防ぎ、のちにg6-g5からのカウンターの準備にもなる1]

16.Bd3 [ここはキャスリングするためにビショップを交換しにいきます。黒としては、一般的に使えないとされる白マスビショップを交換できて作戦成功です。] 16...Bxd3 17.Qxd3 Qc7 18.b4 Nc4 19.00 000 [白黒、逆サイドにキャスリングし、ここから攻め合いです。] 20.Bd2 Be7 [検討でも出ましたが、ここですぐに20...g5はあったと思います。] 21.Nh3

21...Bxh4! [21...g5 22.hxg5 hxg5 23.Nfxg5は、黒にポーンを捨てた代償は無さそうですし、次の22.Bxh6も防がなければいけないので、納得の1手です。] 22.Nxh4 g5 23.Nf5 [最も黒のポーンの形を崩せるピースの返し方だと考えました。] 23...exf5 24.Rfc1 Qc6! [24...f4には25.Qh7! で、f7h6のダブルアタック] 25.Qxf5 Qe6 26.Qd3 Kb8 27.a4 f6

28.f4! [キングの守りを弱め、gファイルまで開けてしまうので指すのをためらいそうな手ですが、out of playのビショップとナイトを何とかするために、ここは局面を開きにかかります。] 28...fxe5 [28...gxf4 29.Nxf4 Qg4 30.e628...g4 29.f5は白にチャンスありです。本譜ではg5にポーンが残るので、Nf4Bf4も指せず、ピースの問題は残りますが、黒からもg5-g4と突きづらいので、ジレンマと言えばジレンマです。] 29.fxe5 Rdf8 30.b5 Rf7 31.Bb4 [ビショップをアクティブにし、このダイアゴナルを抑えます。] 31...g4 [f4の守りがなくなったところでようやくこのポーンを突けます。] 32.Nf2 h5 [32...g3 33.Nh3は十分キング廻りをガードできているように見えました。]

33.Rxc4! [狙いのエクスチェンジ・サクリファイス] 33...dxc4 34.Qe4! [ポイント。△35.Bd6+ Kc8 36.Qa8+] 34...Rc8? [ここで黒はBd6+に対してQxd6と取れるように34...Re8と指すしかありませんが、35.Qc6! Qxc6 36.bxc6 Nf8 37.Ne4で白が勝つ形です。] 35.Bd6+ Rc7 36.Qc6+- Nf8 37.Ne4

[ナイトも参戦し、勝負ありです。] 37...Qd7 38.Bxc7+ Qxc7 39.Qe8+ 10 [緊迫したgood gameでした。]

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