百傑戦 2018

先週末の百傑戦から。厚彦くんには昨年、Summer OpenJapan Open2連敗を喫しているので、これはどうしても勝ちたいゲームでした。

 

Baba,Masahiro (2415)

Kobayashi, Atsuhiko (2240)

百傑戦 2018(5)

 

1.e4 c5 2.Nf3 e6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nc6 5.Nc3 Qc7 6.Be3 a6 7.Qf3 Ne5 8.Qg3 h5

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[1ヶ月前の千葉で尚広くんもこの手を試してきました。そのときはこのラインの知識がなかったので、普通に9.0-0-0と返しましたが、今回はちょっとしたサプライズを準備していました。]

9.Nf5!?

[MamedyarovGiriとのゲームで実戦投入したサクリファイス。黒が9...exf5でサクリファイスを受け入れるなら、10.Nd5 Qb8 11.Bb6 h4 12.Qc3 Nc6 13.Bc7 Qa7 14.000で白は非常に強力な主導権とアタックを得ます。]

9...f6!

[これが上記のゲームでGiriが見つけ出したディフェンスで、g7のポーンとe5のナイトを同時に守ります。Nxg7+に対してはKf7でナイトをトラップします。]

10.000 Kf7?!

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[これだと黒は展開で大きく遅れるので、Mamedyarov-Giriのようにexf5でナイトを取って勝負だと思います。]

11.f4 Ng4

[11...Nc4? 12.Bxc4 Qxc4 13.Qxg7+! Bxg7 14.Nd6+があるので、本譜の1手です。]

12.Bd4 b5 13.h3 N4h6 14.Nh4!

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[14.Nxh6+ Nxh6で黒の展開をお助けするよりg6のホールを狙ってみるほうが強力だと考えました。クイーンのピンを利用した14...g5というディフェンスに対し、15.Ng6! という跳び込みがあります。(15...Kxg6? 16.f5+)]

14...Ne7 15.Be2 Nhg8

[窮屈ですが、15...g6で守ると、16.Nxg6! Nxg6 17.Bxh5 Rg8 18.Qh4! Be7 19.f5 exf5 20.Nd5くらいでアタックが決まりそうです。]

16.Qf2 b4 17.Na4 Bb7 18.Nc5 Nc6 19.Nxb7 Qxb7 20.f5 Nge7 21.Rhf1!

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[不安定な黒キングのポジションを利用して、fxe6からのBxf6を狙います。]

21...e5 22.Bc5 Ke8 23.Rd2

[ルークを重ねてバックワードのdポーンを狙いにいくのは、非常にシンプルです。]

23...Rc8 24.Rfd1 Nb8 25.Bd6

[e4d7のポーンの交換だったら、dファイルを食い破りにいくべきなので、d7のディフェンダーを消しにいきました。]

25...Qxe4 26.Bxb8 Rxb8 27.Rxd7 a5

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28.Rxe7+?!

[しかし、ここはベストが見つけられませんでした。28.Qa7! だとビショップとナイトがダブルで浮くので、これを気にしてしまいました。]

28...Bxe7 29.Ng6 Kf7 30.Bf3 Qxf5 31.Nxe7

[ナイトを捨てて黒キングをおびき寄せる31.Bd5+のラインを集中して考えましたが、31...Kxg6 32.Bf7+ Kg5 33.h4+ Kg4なら黒OKです。]

31...Qf4+ 32.Kb1 Rhd8!

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[32...Kxe7? には33.Qa7+で白勝ちになるので、黒がナイトを取り返せないのは読み通りでしたが、dファイルからのカウンターが思いのほか強いのは誤算でした。]

33.Nd5 Qg5 34.Qc5 Kg8 35.Ne7+ Kh8 36.Rc1 a4 37.Be4 Rd4! 38.h4 Qe3 39.Ng6+ Kh7 40.Bf5 Kh6 41.Ne7 Rbd8

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42.Bd3

[42.Nc6?? などとすれば、42...Qxc1+! 43.Kxc1 Rd1#です。]

42...g6 43.Qc6?! R4d6

[ここは黒のチャンスで、43...Rxd3! 44.cxd3 Qxd3+ 45.Ka1 a3なら、黒はパペチュアルチェックでドローに逃げられそうです。]

44.Qc4 e4?!

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[検討戦で私が指摘したように、44...Kg7! とすれば黒は特に怖いことはなかったでしょう。次の1手でクイーンが黒キングに忍び寄り、メイトスレットを絡めて駒得しにいきます。]

45.Qf7! f5 46.Ng8+ Rxg8 47.Qxg8 Qd4

[47...exd3 48.Qh8#があるので、黒はピースを取り返せません。]

48.Qf8+ Kh7 49.Bc4!

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[メイトはありませんが、Bg8+〜Bd5+! のディスカバードでルークを落としにいくのが狙いです。]

49...Rd8 50.Qxb4! e3

[もちろん50...Rc851.Bg8+! でクイーンを引き抜かれるのでダメです。黒の危険なクイーンサイドのポーンを取り除き、白勝勢です。]

51.a3 Kh6 52.Bd3 Qe5 53.Qxa4 Rd4

54.Qa8 Rxh4 55.Qf8+ Kg5 56.Qd8+ Kh6? 57.Qxh4 10

[最後はブランダーで幕を閉じましたが、56...Kg4 57.Be2+ Kg3 58.Qg5+ Rg4 59.Bxg4 hxg4でも白が勝つにはそう難しくありません。]

 

東京予選も終わり、全日本選手権まで残り1ヶ月半です。今年はどんな大会になるのでしょうか。


百傑戦 2017

望んでいた結果とは程遠い結果に終わった百傑戦からは、1戦だけ振り返ろうと思います。

 

Baba,Masahiro (2379)

Hiebert,Kenji (2063)

百傑戦 2017(3)

 

[初日を連勝で迎えた3Rはユース代表のHiebert君と。当然ですが、2015年の全日本で当たった時よりパワーアップしているので、要警戒です。]

1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Qc7 5.Nc3 e6 6.Be3 a6 7.Qf3

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[Sicilian Taimanovに対するトレンディーなライン。クイーンをg3 or h3にセットし、アタックを目指します。]

7...d6

[b8-h2のダイアゴナルを閉じると、g3で白クイーンが安定するので、個人的には7...Bd6 8.000 Be5と戦うほうがベターだと思います。]

8.Qg3 Bd7 9.000 b5?

[g7が狙われている黒は、キングサイドのピースをいかに展開するか悩みどころですが、この手は典型的な3ポーンvsピースのサクリファイスを誘導してしまいます。]

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10.Bxb5! axb5 11.Ndxb5 Qb7 12.Nxd6+ Bxd6 13.Rxd6

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[g7を狙いつつ、dファイルにルークを重ねます。白のプレーは非常にシンプルなのに対し、黒は局面をまとめるのが難しいところです。]

13...g6

[黒マスを弱くするので指したくない手ですが、他にアドバイスできることがありません。]

14.Rhd1 Rd8 15.Kb1

[このキング寄りはあまり意味はありませんが、メインに考えていた15.Na4(△Nc5)に対して、15...Nb4が思いの他、カウンターになっているので、有用な手で1手待つことにしました。]

15...Bc8 16.Rxd8+ Nxd8

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17.a4!

[b5にナイトのための足場を作り、Nb5から決定的なNc7+ or Nd6+を狙います。]

17...Qc6 18.Nb5 Nb7 19.Qb8!

[敵陣にクイーンが侵入してNc7+ or Na7でビショップを取りに行きます。個人的には非常に美しい手で気に入っています。c8のビショップを守るには次の1手ですが…]

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19...Ne7 20.Nc7+ Kf8 21.Bh6+ Kg8 22.Qxb7!

[d8のディフェンダーを消し去り、バックランクメイトを完成させます。22...Bxb7 23 Rd8+] 10

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百傑戦2013 終了

Alexと小島くんの同時優勝でした。(2人の直接対決は20手以内でドロー)

 

上位陣が当たり尽くしていないところを見ると、6Rで順位を決めようというのは難があります。あの参加人数だと、やはり78Rは必要でしょう。

 

2日目の夕方から私も会場に顔を出し、そのまま打ち上げへ。チェス仲間に会うのは今年になって初めてです。打ち上げは久しぶりにさくら水産を選択。懐かしい思い出がいっぱいの店。結局、17人くらいの大所帯でした。

 

皆さんのプライベートな近況や、Asian Indoor Games7,韓国)に関してのトラブルや、最近の学生チェス界についてなど。。。 久しぶりに話ができて良かったです。

 

最近、ほとんどチェスに関わらない生活を送っていますが、たまにこういう場に顔を出すと、またプレーに戻りたくなります。ゴールデンオープンにでも参加しようかな♪


百傑戦2013

明日からです。

エントリーリストが出ています。

 

http://plaza.rakuten.co.jp/denga/diary/201303150000/?scid=we_blg_tw01

 

2日コースは思いのほか盛況で、現在60名のエントリーがあります。古株が減り、新しい人が増えた印象を受けました。2日目にはちょっと顔を出そうかなと考え中。スケジュールを調整しています。


百傑戦2010 -躍進&課題-

百傑戦が終了しました。簡単に結果と総括を記しておきます。

 

まずは最終結果です。

 

優勝 南條 遼介 (2252) 7P

2 権田 源太郎 (2054) 6.5P

3 中村 尚広 (1828) 6P

4 真鍋 (2074) 6P

5 栗原 大地 (1943) 5.5P

6 野口 恒治 (2074) 5.5P

 

やはり何と言っても中村尚広君の3位入賞が目立ちました。慶応CCでのトレーニングも功を奏したか、43ドロー1bye(最終日は南條君と権田さんとのドロー)の堂々たる戦績でした。今年9月のチューリッヒでのユニバーシアード(http://chessplayer.jugem.jp/?eid=318)に向け、自信をつけてくれたと思います。ちなみにユニバーシアードには他に小島慎也君、山田弘平君、佐藤要君の3名が参加予定です。若くてエネルギーのあるメンバーです。ぜひ彼らの活躍を期待したいと思います。

 

今回は多くの番狂わせとも言える対戦があったようです。若手もベテランも上から大きくポイントを削っていました。そのためか、リスト上位のプレーヤーが入賞できませんでした。1Rから多くの上位のプレーヤーがポイントを落とすのを見て、良い意味で非常に荒れたトーナメントだったのだと思います。

 

今大会、参加者の運営に対する不満の声を多く聞きました。

まず、今回から「事前申し込みのない場合は
1Rを強制byeとする」というルールが追加されたのにもかかわらず、1Rが定刻の9:40AMに始まらなかったこと。定刻通りに試合を開始するための事前申し込みであったはずなのに、それが機能しなかったことに参加者は大いに不満を募らせたということです。

また、
1Rに不戦byeとなったプレーヤーの組み合わせポイント。どうやらbye0Pとして組み合わせていたようですが、張り出されていた結果には0.5Pとなっており、プレーヤーの多くが混乱していました。結局組み合わせが正しかったかどうかは定かではありませんが、全日本予選を兼ねた重要な大会ですので、参加者の混乱を招くようなペアリングだけは絶対に避けてほしいものです。

最後に各ラウンド間の時間の短さ。会場の関係もありますのでただただ延ばせばよいというわけではありませんが、
60分フィッシャーのゲームでインターバルが3時間では、やはり短いということです。60手を超えると3時間をオーバーしてしまう可能性があります。少なくとも3時間半あれば、80手のゲームでも次のラウンドまで10分の休みがあり、こちらのほうが良いことは間違いありません。多少終了時刻が遅くなるかもしれませんが、プレーのクオリティーを保つためには必要な措置だと思います。まあそもそもは定刻通りに開始していることが前提ですが。そしてどうしても試合が長引いてしまった場合、そのボードを除いて次のラウンドの試合を開始するのは仕方がないと思いますが、その時はせめてアービターが試合を一時中断させ、プレー中のプレーヤーを検討室に移動させてからそこで試合を再開させるという手段をとるのがごく一般的であると思います。プレーに集中している最中に周りでばたばたと次の試合の準備をされては集中力をそがれ、試合が台無しになる可能性がありますからね。

 

大切なのは今回の反省を次にどう生かすかです。次は国内最大のイベントである全日本選手権です。プレーヤーがベストな状態で試合に臨める様な環境が用意されていることを願っています。


百傑戦 優勝者のゲーム

百傑優勝者の勝ちゲームの棋譜です。

 

Noguchi Koji (1997)

Moriuchi Toshiyuki (2145)

百傑 2009 (5)

 

1.Nf3 Nf6 2.g3 d5 3.Bg2 g6 4.b3 Bg7 5.Bb2 0–0 6.0–0 c5 7.c4 d4 8.e3 Nc6 9.exd4 cxd4 10.Re1 Re8 11.d3 e5 12.b4 Bf5 13.b5 Nb4 14.Nxe5 Nd7 15.Nf3 Qb6 16.Rxe8+ Rxe8 17.Bf1 Bg4 18.Nbd2 Ne5 19.h3 Nbxd3 20.hxg4 Nxb2 21.Qb3 Nxg4 22.Ng5 d3 23.c5 Qf6 24.Nde4 Qe7 25.Re1 d2 26.Nf6+ Bxf6 27.Rxe7 Rxe7 28.Be2 Bxg5? [28...h5] 29.Bxg4 Re1+ 30.Kg2 d1Q 31.Bxd1 Nxd1 32.c6 bxc6 33.bxc6 1–0

 

Kojima Shinya (2277)

Nakamura Ryuji (2207)

百傑 2009 (7)

 

1.Nf3 c5 2.c4 Nf6 3.Nc3 e6 4.g3 b6 5.Bg2 Bb7 6.0–0 Be7 7.d4 cxd4 8.Qxd4 d6 9.Bg5 0–0 10.Rfd1 Nc6 11.Qd2 Qb8 12.Rac1 Rd8 13.e4 h6 14.Bf4 Ne5 15.Qe2 a6 16.Nd4 Qc7 17.b3 Rac8 18.h3 Ned7 19.Ndb5 axb5 20.Nxb5 Qb8 21.Bxd6 Bxd6 22.Nxd6 Nc5 23.Nxc8 Rxd1+ 24.Rxd1 Qxc8 25.e5 Nfe4 26.Qc2 Ng5 27.Qd2 Nf3+ 28.Bxf3 Bxf3 29.Qd8+ Qxd8 30.Rxd8+ Kh7 31.Rd6 b5 32.cxb5 Kg6 33.b4 Nb7 34.Rd7 f6 35.a4 Kf5 36.exf6 gxf6 37.a5 Ke5 38.a6 Nd6 39.b6 Bc6 40.b7 1–0

 

Nanjo Ryosuke (2216)

Noguchi Koji (1997)

百傑 2009 (7)

 

1.d4 g6 2.e4 Bg7 3.Nc3 d6 4.Bc4 Nf6 5.Qe2 Nc6 6.e5 Nd7 7.Nf3 Nb6 8.Bb3 0–0 9.Bg5 Bg4 10.0–0–0 Qc8 11.Rhe1 Qf5 12.Qe3 Bxf3 13.gxf3 dxe5 14.dxe5 Qxe5 15.Qxe5 Bxe5 16.Bxe7 Bf4+ 17.Kb1 Rfe8 18.Bf6 Rxe1 19.Rxe1 Bxh2 20.Ne4 Nd7 21.Bc3 Be5 22.Rd1 Nb6 23.Bxe5 Nxe5 24.f4 Ng4 25.Rg1 Nh6 26.a4 Kg7 27.Nc5 Re8 28.a5 Nc8 29.Nxb7 Nf5 30.Rd1 h5 31.Nd8 Nfd6 32.Nc6 Re2 33.c4 h4 34.c5 Ne4 35.Rh1 Nxc5 36.Bc2 Rxf2 37.Rxh4 Rf1+ 38.Ka2 Rc1 39.Rh2 Rf1 40.Rh4 Rf2 41.Kb1 Kf6 42.b4 Ne6 43.f5 gxf5 44.Rh8 Nd6 45.Nxa7 Nd4 46.Ba4 Ne4 47.Rh3 Nd2+ 48.Kb2 Ne4+ 49.Kb1 f4 50.Nb5 Nd2+ 51.Kc1 Nxb5 52.Bxb5 Ne4 53.Ra3 Nd6 54.Bd7 Rf1+ 55.Kd2 f3 56.Bh3 Nc4+ 57.Kd3 Ne5+ 58.Ke4 Rh1 59.a6 Rxh3 60.a7 f2 61.a8Q f1Q 62.Qd8+ Kg7 63.Qg5+ Ng6 0–1


百傑戦2009(3日目) Dramatic End

最終ラウンドの決定的なゲームをお届けします。




Kojima Shinya (2277)
Sam  Collins(2429,IM)
百傑
2009 (8)

 

1.Nf3 d5 2.d4 Nf6 3.c4 e6 4.g3

 

小島君がカタランを指し始めたのはごく最近のことです。Cappelleの最終ラウンドもカタランでした。

 

4...Bb4+ 5.Bd2 Be7 6.Bg2 0–0 7.0–0 c6 8.Qc2 b6 9.Bf4 Nbd7 10.Nc3 dxc4 11.Nd2 Nd5 12.Nxc4 Ba6 13.Ne5 Nxe5 14.Bxe5 f6 15.Nxd5 cxd5 16.Bc7?!

 

これは意外な手です。あとあとビショップがcファイルでピンにならないよう、16.Bf4のほうが良いと思います。

 

16...Qd7 17.Rfc1 Rac8 18.Qc6 Qxc6 19.Rxc6




19...Rf7?!

 

狙いはBd8です。Cファイルのピンを利用するのは自然なプランですが、ここは19...Bb5! 20.Rc2 g5! と白のビショップの退き場であるf4を奪うアイディアがありました。このあと21.Rac1 Bc4 22.e4 Rxc7 23.exd5 b5 24.b3 exd5 25.bxc4 dxc4は白が頑張ってドローにしに戦う局面です。

 

20.Rac1 Bc4 21.e4?!

 

21.Rxe6! Bxa2 22.Bh3で白に悪いところはありません。

 

21...Bxa2 22.exd5 Bxd5 23.Bxd5 exd5 24.Bd6 Rxc6 25.Rxc6 Bxd6 26.Rxd6 Kf8!

 

冷静な一手です。私だったらすぐに26...Rc7とルークをアクティブにしようとしそうですが、Samは急ぎません。

 

27.Rxd5 Ke8 28.Kg2 Rd7!



 

これが黒の狙いでした。ルーク交換後のポーンエンディングはクイーンサイドのアウトサイドパスポーンがものを言い、単純に黒勝ちです。例えば29.Rxd7 Kxd7 30.Kf3 Kd6 31.Ke4 a5など。

 

29.Rh5 Rxd4 30.Rxh7 Kf7³ 31.Rh8 Rb4 32.Rd8 a5 33.Rd2 g5!

 

このあたりの黒の手は、決して相手にチャンスを与えることなく一手一手局面を良くするマスターのテクニックがよく表れていると思います。

 

34.h3 Kg6 35.Re2 a4 36.Kh2 b5 37.Kg2 Rb3 38.Kh2 Kf5 39.Kg2 b4 40.Kh2 Rd3

 

ここは40...a3! と突くチャンスで、41.bxa3 bxa3 42.Ra2 Ke4で黒勝ちです。

 

41.Kg2 Rd5 42.Re8 Ra5 43.Re2 a3 44.bxa3 bxa3 45.Ra2 Ra4?

 

白にパスポーンを作らせないよう、h3-h4を防いだ手ですが、次の白のキングの上がりで、黒キングがb3のマスまで到達しにくくなりました。正着は45...Ke4! 46.h4 gxh4 47.gxh4 Kd4 48.h5 Kc4 49.h6 Kb3であとはhポーンをルークで落としにいくだけです。

 

46.Kf3! g4+!? 47.hxg4+ Kg5 48.Kg2 Kxg4 49.f3+ Kf5 50.Kf2 Ke5 51.Ke3 Kd5 52.Kd3 Ra8 53.Kc3 Rc8+ 54.Kd3 Ra8 55.Kc3 Kc5 56.g4 Kd5 57.Kd3

 

難しいですが、57.f4 Ke4 58.g5 f5 59.g6 Kxf4 60.Kd2 Rg8 61.Rxa3 Rxg6 62.Ke1=はドローポジションです。

 

57...Ra4



58.Ke3??

 

勝負はいつも一手の違いで決まるものです。もし58.Kd2だったら本譜のようにb3に黒キングが来るのを防げ、ドローでした。こうブランダーが出るのはエンディングを知らないというよりは、Rowson言うところの、「それまでの過程でプレーヤーは憔悴しきっている」ためだからだでしょう。

 

58...Kc4 59.f4 Kb3 60.Ra1 a2 61.Rg1 Kb2 62.Rg2+ Kc3 63.Rg1 a1Q 64.Rxa1 Rxa1 65.Ke4 Ra5 66.f5 Re5+ 0–1

 

ドラマチックな終幕でした!


百傑戦2009(3日目) 小島、野口同時優勝!

百傑3日目の速報です。

7Rの上位5Bの結果は以下の通りです。

 

小島 慎也 (2277) - 中村 龍二 (2207) 1-0

南條 遼介 (2216) – 野口 恒治 (1997) 0-1

石井 伊知郎(1925) – 桑田 (1831) 0-1

上原 慎平 (1984) – 森内 俊之 (2145) 0-1

Sam Collins (2429) – 坂井 延寿 (1929) 1-0

 

そして、注目の最終ラウンド、Samが意地を見せました!

 

小島 慎也 (2277) - Sam Collins (2429) 0-1

野口 恒治 (1997) – 桑田 (1831) 1/2-1/2

森内 俊之 (2145) – 南條 遼介 (2216) 1-0

中村 龍二 (2207) – 権田 源太郎 (2088) 1-0
 

最終順位は

 

優勝 小島 慎也 (2277) 6.5P

優勝 野口 恒治 (1997) 6.5P

3 森内 俊之 (2145) 6P

4 中村 龍二 (2207) 6P

5 桑田 (1831) 6P

6 Sam Collins (2429) 6P

 

で、小島君と野口さんの同時優勝(タイブレークを行えば小島君のほうが上)となりました。

おめでとうございます!


百傑戦2009(2日目)

4Rの大一番です。小島君と森内さんが激突しました。


 

Moriuchi Toshiyuki (2145)

Kojima Shinya (2277)

百傑 2009 (4)

 

1.e4 c5 2.Nc3!?

 

少し驚きですが、小島君のスベシニコフのテリトリーに入らないようにするには正しい選択かもしれません。

 

2...e6 3.g3 d5 4.exd5 exd5 5.Bg2 Nf6 6.d3 d4 7.Ne4 Nxe4 8.dxe4 Nc6 9.Ne2 Bd6 10.0–0 0–0 11.Nf4 Bxf4 12.Bxf4 Be6 13.Qh5 c4?!

 

13...b6のほうが手堅いと小島君も認めていました。

 

14.Rad1 Qd7 15.Qc5

 

私の直感は15.h3でした。

 

15...Rfd8 16.Bg5?

 

白はf4を突かないと始まらないので、ビショップをf4から動かしますが、これは黒を助けるだけでした。

 

16...f6 17.Bc1 Rac8 18.f4 b6 19.Qa3 b5 20.f5

 

e5にナイトの強力なアウトポストができます。この時点で白がどうすれば良いかいまいちプランが見えないのに対し、黒はセンターを開いて勝負という明確なプランがあり、黒優勢だと思います。

 

20...Bf7 21.g4 d3!



 

白クイーンがh3,g3へ行くのを遮断する好手です。そしてd3のパスポーンが勝負を決めます。

 

22.cxd3 Qd4+ 23.Kh1 cxd3 24.g5 Bh5 25.Rd2 Ne5 26.gxf6 gxf6 27.Qe7 Qd6 28.Qxa7 Nc4 29.Rg1 Kh8 30.Rf2 d2–+ 31.Bxd2 Nxd2 32.Qe3 Qd4! 33.Qf4 Rd7 34.Qh4 Rg7 35.Rf4

 

35.Rxd2には35...Qxd2 36.Qxh5 Qxg2+!で以下メイトです。

 

35...Rxg2 36.Kxg2 Rg8+ 37.Kh3 Rxg1 0–1



 

続く5Rの上位3Bの結果は以下の通りです。

 

小島 慎也 (2277) - 南條 遼介 (2216) 1-0

野口 恒治 (1997) – 森内 俊之 (2145) 1-0

Sam Collins (2429) – 上原 慎平 (1984) 1-0

 

1Bで南條君を下した小島君が5連勝で抜け出しました。また、森内さんが2連敗と大波乱です。野口さんは好調です。

 

6Rの上位対決の結果は、

 

野口 恒治 (1997) - 小島 慎也 (2277) 1/2-1/2

南條 遼介 (2216) - Sam Collins (2429) 1-0

塩見 (2036) -中村 龍二 (2207) 0-1

 

となりました。このラウンド、南條君が強いプレーを見せてくれました。


 

Nanjo Ryosuke (2216)

Sam Collins (2429,IM)

百傑 2009 (6)

 

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4 4.Nf3 c5 5.Qd3!?

 

非常に珍しい手に見えます。

 

5...0–0 6.Bg5 h6 7.Bh4 cxd4 8.Nxd4 Nc6 9.Nxc6 dxc6 10.0–0–0 Qxd3 11.Rxd3 g5 12.Bg3 Bxc3 13.Rxc3 Ne4 14.Rd3 f6 15.f3 Nxg3 16.hxg3 Kg7 17.e4 e5 18.Rd6!

 

黒ビショップの唯一の展開先であるe6のマスを抑えるとともにdファイルを支配します。

 

18...Rf7 19.Be2 Rd7 20.Rhd1 Re7 21.Rd8±



21...c5 22.R1d6 b6 23.f4!

 

黒が展開する前に白から仕掛けます。おそらく最も良いタイミングだと思います。

 

23...exf4 24.gxf4 Rxe4

 

24...gxf4には25.e5! fxe5 (25...Rxe5 26.Bf3 Rb8 27.Rc6+-) 26.Bh5で次の狙いの27 Rg6+ Kh7 28 Rgg8が厳しいです。

 

25.Bd3 Re7 26.Bf5 Bxf5

 

黒はエクスチェンジをあきらめざるを得ません。26...Bb7?には27.R6d7! Kf7 28.Rxf7+ Kxf7 29.Rd7+で黒はビショップを失います。

 

27.Rxa8 Be4 28.fxg5 hxg5 29.Rad8 Bxg2 30.R6d7 Kf7 31.Kd2 f5 32.Rxe7+ Kxe7 33.Rg8 Kf6 34.Ke2 f4 35.Kf2 Bh3 36.Ra8 g4 37.Rxa7 g3+ 38.Kf3 Bf5 39.Ra8 Bg4+ 40.Kg2 Ke5 41.Re8+ Kd4 42.b3 Kd3 43.Rg8 Bh5 44.Rg5 Be2 45.Rg6 b5?

 

これはやや自滅に見えます。45...Ke3のほうがずっとタフです。

 

46.cxb5 Ke3 47.Re6+ Kd2 48.b6 Ke1 49.Rf6 Bf1+ 50.Kg1 1-0



 

私の知る限り、南條君のIM戦初勝利です。おめでとう!


百傑戦4R速報

4Rの速報です。上位2Bの結果は以下の通り、若手の勝利となりました。

 

森内 俊之 (2145) - 小島 慎也 (2277) 0-1

南條 遼介 (2216) - 中村 龍二 (2207) 1-0

 

ちなみにSam4R体調不良でbyeでしたが、5Rから復活したようです。5Rの上位3Bの組み合わせは、

 

小島 慎也 (2277) - 南條 遼介 (2216)

野口 恒治 (1997) – 森内 俊之 (2145)

Sam Collins (2429) – 上原 慎平 (1984)

 

となっています。そろそろまだまだどうなるか分かりませんね。


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