Japan League 2017

FIDE Master , finally!

 

この夏は大会選びから始まりました。直前までジャパンリーグの招待選手が発表されず、それならジャパンリーグにこだわらず、海外トーナメントも視野に入れていました。アメリカのワシントンやベルギーのブルージュでのトーナメントはスケジュール的にはOKだったので、ちょこちょこ大会HPや航空券サイトは見ていました。そんな中、ジャパンリーグに中国からGM Xu YinglunIM Xu Yi2名が参加との発表がありました。2600GM 2人とWGM 2人が参戦した昨年の大会に比べると、ややレベルは落ちるものの、インターナショナル・トーナメントとしては良いレベルになったと考え、ジャパンリーグへの参加を決めました。

 

国内のFIDE戦ではいつもそうですが、目標は良いゲームをすること、そしてレイティングをプラスにすることです。2300までレイティングを上げたい自分にとっては、underratedなプレーヤーが集う国内のトーナメントに出るのはややリスキーですが、挑戦しないことには始まりません。(過去、ジャパンリーグではレイティングを落とすことが多かった。)

 

はじめの3Rを勝って、4RIM Xu Yiと。このゲームは互いにリスクは冒さず、一瞬でドローになりました。ゲームが早く終わったため、Xu Yiと検討戦の後、何局かブリッツをしている間に同じくドローに終わったXu Yinglunと小島君が検討室に入ってきました。この検討戦の後、暇になったXu Yinglunとブリッツをしないかとチーフ・アービターのYumiさんに声をかけられましたが、Xu Yinglunとはまだ試合をする可能性があったため、手の内を明かすことはせず、丁重にお断りしました。思えば、この判断は後の大会の流れを考えると、正解だったと思います。

 

さて、続く5Rはコメントなしでゲームだけ紹介します。今大会、不調だった南條君との対戦です。

 

Nanjo,Ryosuke (IM,2338)

Baba,Masahiro (2262)

Japan League 2017(5)

 

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.c3 Nf6 4.h3 Nc6 5.Bd3 d5! 6.e5 Nd7 7.Bb5 a6 8.Bxc6 bxc6 9.00 e6 10.Re1 Be7 11.Qa4 Qc7 12.Qg4 00 13.d3 f5 14.Qg3 c4!? 15.dxc4 Nc5 16.Nd4 Ne4 17.Qd3 c5 18.Nf3 Bb7 19.cxd5 exd5 20.c4 d4 21.Bf4 g5! 22.Bh2 g4 23.e6 Bd6 24.Bxd6 Qxd6 25.Nfd2 Qf4 26.Re2 Rf6! 27.g3 Qd6 28.Nc3 dxc3 01

 

このゲームを勝ち、4.5Pとし、続く6Rのトップボードは日本人対決となりました。ドロー以上を目標に、リスクは冒さず指すことを心がけます。

 

Baba,Masahiro (2262)

Kojima,Shinya (IM,2401)

Japan League 2017(6)

 

1.e4 c6 2 Nf3 d5 3.exd5 cxd5 4.Ne5

2300-1.gif

[Caro-Kannのメインから外します。このラインは2015年のクラブ選手権の時に用意したものです。局面が序盤早々シンプルになるので、白は多くは望めませんが、安全なラインです。]

4...Nc6 5.d4 e6 6.Bb5 Qc7 7.00 Nf6 8.c4 Bd6 9.Bf4 Bd7?!

2300-2.gif

[このあと、黒は強制的にパッシブなポジションで戦わなければならなくなるので、9...dxc4と取って勝負かと思います。その場合、10.Nd2と返すつもりでした。]

10.Bxc6 bxc6 11.c5 Bxe5 12.Bxe5 Qd8 13.Nc3 00

2300-3.gif

[ビショップの差とスペースアドヴァンテージで白優勢は明らかです。ここから黒の反撃を抑えつつ手を作りにいきます。]

14.Bd6 Re8 15.Re1 Bc8 16.Re3 Nd7 17.Qa4 Bb7 18.Rae1 Nf8

2300-4.gif

[一瞬、18...Nb6から19...Nc4が見え焦りましたが、19.Qb4!で解決です。]

19.Ne2 Ng6 20.Rb3 Qd7 21.Nf4 Nxf4 22.Bxf4 f6 23.h4 Qc8 24.Rbe3

2300-5.gif

[新たな弱点のe6にプレッシャーをかけます。]

24...Qd7 25.Bd6 a5 26.f4!

2300-6.gif

26...f5

[27.f5 exf5 28. Re7がスレットになっているので、これを防ぐ1手ですが、e5のマスが弱くなりました。e6は弱点のままなので、eファイルから突破できるよう、さらにプレッシャーをかけにいきます。]

27.Qd1 Ba6 28.g4! Qf7 29.h5 a4 30.Rg3

[いったん、gxf5-Be5からg7をアタックするスレットを見せます。]

30...Ra7 31.Re5 Bc4 32.Rge3

2300-7.gif

32...fxg4 33.Qxg4 Bxa2 34.f5 Bc4 35.Rxe6

[35.fxe6? Qf1+には注意です。なお、私は見えていませんでしたが、35.Rf3! としてルークをfファイルに重ねるほうが強力だと、翌日、小島君が指摘してくれました。]

35...Rxe6 36.Rxe6 Bd3 37.Qg5! (Qd8+) 37...Rd7 38.Re5 Be4

2300-8.gif

[キング以外の白駒は全てベストポジションにいるので、ここから白キングのポジションを改善します。はじめは、クイーンサイドに逃がそうかと考えましたが、それだとこれ以上局面を進展させられないと考え、キングサイドでアタックに参加です!]

39.Kf2 Bd3

[小島君の解説にあるように、ここは39...g6! がベストディフェンスでした。ただ、キングの前のポーンを突くには勇気が必要です。]

40.Ke3 Be4 41.Kf4 Bc2?!

[41...g6のラストチャンスでした。ちなみに39手目では気付いていませんでしたが、この時には...g6の可能性に気付きました。]

42.Re6! Bd1 43.h6 Bh5 44.hxg7 Qxg7 45.Be5!

2300-9.gif

[45.Qxh5も可能なようですが、45...Qxd4+から黒にチェックさせるのは賢いチョイスではないと思います。本譜のように、c6を落として勝ちのエンディングに持ち込むのが正解でしょう。]

45...Qxg5+ 46.Kxg5 Be2 47.Rxc6+- Kf7 48.Rh6 Ke8 49.c6 Re7

2300-10.gif

50.Bd6 Rg7+ 51.Kf6 Rf7+ 52.Ke5 Bc4 53.Re6+ Kd8 54.c7+ Kd7 55.Re8! 10

2300-11.gif

[55...Ba6 56.Rd8+ Kc6 57.c8Q+]

 

4時間半にわたるゲームを制し、5P/6Rで単独トップに。

 

帰りの電車の中で、ここまでのレイティングの変動を計算すると、2262から+37.6で、2300まで上がる(レイティングは四捨五入)ことが判明しました。FIDEのルール上、どこかのタイミングで(Live Ratingで)2300に達していれば、FIDE Master獲得なので、この時点で目標達成です。このゲームが記念すべきゲームとなりました!

 

翌日、会場に早く行って、チーフ・アービターのYumiさんに本当にFIDE Master獲得の条件をクリアしているか確認をお願いしました。Yumiさんは知り合いのオーストラリアのインターナショナル・アービターに連絡を取ってくれ、その回答は「おそらくOKだけど、FIDE Masterを確定させるためにもう1ゲーム戦いましょう」とのこと。ただ、相手は中国のGM Xu Yinglun2528)なので、ポイントを取るのはそう簡単ではないですが...

 

Xu,Yinglun (GM,2528)

Baba,Masahiro (2262)

Japan League 2017(7)

 

1.Nf3 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 d5 4.cxd5 Nxd5 5.Qb3 Nb6 6.d4 Bg7 7.Bf4 Be6 8.Qc2 00 9.e3 c5 10.dxc5 Nd5 11.Nxd5 Bxd5 12.e4 Bc6 13.Bd2 Nd7 14.Rd1 b6 15.Bc3 Bxc3+ 16.Qxc3 bxc5 17.h4 Qb6 18.h5 Qb4 19.Qxb4 cxb4 20.hxg6 hxg6 21.Rd4 Rab8 22.e5 Kg7 23.e6 Bxf3 24.Rxd7 ½–½

 

最後は完全なイコールのポジションで相手からドロー・オファー。このゲームをドローで切り抜け、レイティングは2306まで上がる予定でFIDE Masterを確定、優勝というおまけも付いてきました。200610月に初めて2200を超えて以来、10年以上アップ&ダウンを繰り返してようやく2300の壁を乗り越えた形となります。

 

「次の目標は?」と聞かれると「IMです」と簡単には答えませんが、以前、Chessbase Newsでピノーさんにコメントして頂いたように、「and Baba, who could reach a level of up to 2350, if he had more opportunities to participate in international tournaments I suspect

http://en.chessbase.com/post/che-and-shogi-chernin-in-japan-part-2-)まずは2350を目標にやっていこうかなと思っています。


Japan League 2015

4年ぶりに出場したジャパンリーグはひと夏の悪夢に終わりました。簡単にゲームを見直したら、今年のトーナメントはしばらく忘れようと思います。
 
さて、今回、特別に中国からNi HuaGM,2713)とZhao XueGM,2533)が来日し、Ni Huaがレクチャーと同時対局を担当し、Zhao Xueが本戦に参戦しました。ジャパンリーグにGMが参戦するのは20062007年、2008年のNakamura Hikaru以来です。あの時は、当然GMが優勝すると予想しており、予想通り、3年ともHikaruの全勝優勝でした。Hikaruとまではいきませんが、Zhao Xueもレイティングでリスト2以下を100以上離しているわけですから、優勝は堅かったはずです。そんな中、小島くんがZhao Xueを抑えて6P/7で優勝。日本のIMがホームで意地を見せました。
 
大会はスムーズに進んだかのように見えたのですが、運営側のミスにより、R.3のペアリングが当日の朝に変わるというハプニングが。しかも、前日にペアリングが発表された直後に、プレーヤーからおかしいと指摘されたにもかかわらず、(すぐに分かるレベルのミス)確認しなかったのは問題でした。入力ミスは誰にでもあることで、間違ったペアリングを発表したのは仕方ありません。しかし、このミスに対して何一つ説明が無く、そのまま新しいペアリングでゲームが進みました。一言謝罪が欲しかったと感じていたのは私だけではなかったと思います。
 
さて、そんなR.3のゲームは青嶋くんとの対戦になりました。非常に複雑な中盤を過ぎた後、私にミスがあり、完全に敗勢となりました。


Aoshima,Mirai (2407) - Baba,Masahiro (2312)
                         Position after 36...Rf1
 
私が36...Rf1と指したところです。青嶋くんは残りの持ち時間が少なく、30分が加算される40手目まで手を繰り返します。このポジションがカギとなるので、よく覚えておいて下さい。
 
37.Qc6+ Kb8 38.Qe8+ Kb7 (上の局面と同じです。2回目) 39.Qc6+ Kb8 40.Qe8+
 
40手目を指し、ここで白に30分加算されました。私が普通にやり過ごしてしまうと、白が時間をかけて勝ちの1手、41.Qe4! を見つけられるので、3回同時局面かどうか確かめました。数分かけて、次に40...Kb7と指せば3回同時局面で、しかも手番も同じため、正しいアピールをすればドローが成立することに気付きました。FIDEのルールに則り、40...Kb7と棋譜用紙に記入し、時計を止めてアービターを呼びにいって、確認してもらい、ドローが成立しました。
 
40...Kb7 ½-½
 
実際のゲームでは、注意深く手を追わないと、3回同時局面かどうか確認するのは簡単ではありません。このゲームでも、Kb7という手が3回同時局面となる手だったのですが、1回目の局面はRf1と指したときに現れたのです!
 
 
Baba,Masahiro (2312)
Kinoshita,Akira (1949)

Japan League 2015(6)
 
1.e4 d5 2.exd5 Qxd5 3.Nc3 Qd6 4.d4 Nf6 5.Nf3 c6 6.Ne5 Nbd7 7.f4 Nb6 8.g4 Nbd5 9.Bg2 g6 10.g5 Nxc3 11.bxc3

11...Nd7! [11...Nd5? 12.c4 Nc7 13.c5 Qd8 14.d5!! cxd5 15.c4! e6 16.Bb2 Bg7 17.Nc6 bxc6 18.Bxg7 Rg8 19.Be5 Bd7 20.00 Rb8 21.Qa4 Rb7 22.Rab1 Qc8 23.Rxb7 Qxb7 24.Rf2 d4 25.Qa5 Kd8 26.Be4 10 Shirov,A (2749)-Tiviakov,S (2637)/Hoogeveen 2010 は、おそらくこのラインで最も有名なゲームで、たいていの白のプレーヤーは、Shirovのこの勝ちをリピートしようとして、このラインに飛び込んでいると言えます。11...Nd7! は白にセンターのポーンを調子良く突かせない、improvement1手です。] 12.a4 [GM Vachier Lagraveは、New In Chess Magazineでこのゲームの解説をしていますが、(12.Qe2 Nxe5 13.fxe5 Qc7 14.00 Bf5 and I definitely don't think that White is better at all.)ということです。2ナイトを交換されると、白がアドヴァンテージを取りにいくのは難しくなります。] 12...Nxe5 13.fxe5 Qc7 14.00 Bf5 [fファイルを閉じて0-0-0する準備。私は他に14...Be614...h6を考えていました。本譜は、問題ありませんが、次のエクスチェンジサクリファイスを誘う挑戦的な1手です。]

15.Rxf5!? gxf5 16.e6!? [エクスチェンジを切った後、さらに1ポーンを捨てます。このポーン捨ては、正しいかどうか簡単には言えませんが、少なくともh2-b8のダイアゴナルを開くのと、黒のビショップの動きを制限する意味があります。] 16...000 [16...fxe6 17.Qh5+ Kd7はアンクリアーですが、攻めている白の方が指しやすいと判断していました。] 17.Qf1! [クイーンのベスト・スクエアー。dファイルから避けつつBf4をサポートし、c4に飛び出せるようにします。さらに、バックランクでルークと繋がっているのもポイントです。なお、17.exf7?! e5! は、センターからのカウンターにあいます。]

17...fxe6 18.Bf4 [試合中、プロブレムのような18...Qd7 19.Rb1 h6 20.Qa6! を期待していました。] 18...Rd6! [カウンター・サクリファイス。悲しいことに、すぐにルークをとると、exd6で黒ポーンの形が改善する上に、白は1ポーンダウンのままです。白はもう少しプレッシャーをかけ続けなければいけません。] 19.Re1 Qd7 20.a5 a6

21.Qc4 Rg8! [白としては、そろそろプレッシャーをかける手がなくなってきたので、Bxd6からRxe6で駒を取り返しにいく予定でした。21...Rg8g5のポーンを睨むことで、Bxd6を指しにくくさせます。] 22.h4 h6 23.Qc5 [Qa7-Rb1-Qa8-Rxb7] 23...hxg5 24.hxg5 Kb8 25.Rb1 [Bxc6]

25...e5?! [シンプルにBxc6の狙いを避ける25...Ka8! が黒のベストで、こうなると白が有効な狙いを作り出すのは難しくなります。] 26.Qc4! e6 [26...exf4 27.Qxg8 Qe8 28.Qb3! Qc8 29.Qf7! は、白のgポーンが強力です。] 27.Bxe5 Rxg5? [これが勝負を分ける1手となりました。黒はここでも27...Ka8! で耐えることができます。]

28.Qxa6 [このポーンが落ちると、白はa5-a6から黒キングの前を崩せるので、黒キングはもはや安全とは言えません。時間切迫もあり、すぐに黒ポジションが崩れます。] 28...f4 29.Bxf4 Rb5 30.Rxb5 cxb5 31.Qb6+- Kc8 32.Bxd6 Bxd6 33.Bxb7+! 10 [33...Qxb7 34.Qxd6 Qg7+ 35.Kf2 で、Qf6+にはKe2Qf7+にはKe1でチェックが途絶えます。]

Japan League2011 -Complicated Battle-

Nakamura Ryuji (2190)

Sano Tomu (2129)

Japan League 2011(4)

 

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 c5 4.d5 exd5 5.cxd5 d6 6.e4 g6 7.h3 Bg7 8.Nf3 00 9.Bd3 a6 10.a4 Nbd7 11.00 Nh5

 

黒は12.Bf4を止めながら、キング周りのピースを組み替えます。

 

12.Re1 Re8 13.Bg5 Bf6 14.Be3 Ne5 15.Be2 Nxf3+ 16.Bxf3 Ng7




黒マスビショップは
f6、ナイトはf6にいるのが普通ですが、面白いことに2つのピースのマスが入れ替わりました。しかし、ピースはこちらのマスのほうが良く働きます。f6のビショップはe4-e5のブレークスルーをしっかりおさえ、次にe5にいきます。そのあと、f7-f5の突きで黒からセンターを崩しにいきます。この時、f7-f5の突きをサポートするのにg7はナイトにとってとても良いマスだと言えます。

 

17.Qd2 Be5 18.a5 Rb8 19.Na4 Bd7 20.Nb6 Bb5 21.Rac1 f5 22.b4 fxe4 23.Bxe4 cxb4 24.Qxb4 Qh4 25.Qb1 Re7 26.Nc4 Rbe8 27.Nxe5 Rxe5 28.Bf3 Nf5



 

ここまで黒は流れるようなプレーで満足なポジションを得ました。佐野くんのベノニの指し廻しに感銘を受けたのは私だけではなかったと思います。

 

29.Bb6 Qe7 30.Rxe5 Qxe5 31.Qb4 g5?!

 

Nf5-h4をサポートした手ですが、32.Bh5! があるので良くありません。

 

32.Qc3?! Nh4! 33.Bg4 Qxd5 34.Qg3 Bc6




g2
に圧力をかけ、g2を落としにいきます。白が35.f3g2ポーンを守ると、35...Re2 36.Bf2 Ng6くらいで1ポーンアップを保ったまま黒の駒がとてもアクティブになります。白はg2を捨てて勝負です。

 

35.Rd1!? Qxg2+ 36.Qxg2 Bxg2 37.Rxd6 Re1+ 38.Kh2 h5




このあたりからゲームを見ており、黒にメイトの筋はないか考えていました。
38...h5は思いがけない手で、取るとどうなるのかはっきりしませんでしたが、あとで考えてみると、39.Bxh5 Rh1+ 40.Kg3 Rxh3+ 41.Kg4で何もありません。さらに、ここで白から39.Rd8+ Kh7 40.Rd7+ Kg6 41.Rd6+でドローにするラインがあったとのことです。単純に考えれば白はポーンダウンですから、ドローで満足して良いところですが、龍二さんは勝ちを狙って前進します。

 

39.Be6+ Kf8 40.Bc5 Ke8 41.Bd7+ Kf7 42.Bb4 Rh1+ 43.Kg3 Rg1

 

佐野くんによると、43...Bf3! 44.Be6+ Kg7 45.Bc3+ Kf8で、次にRg1+からキングを攻めて勝っていただろうということです。例えば、46.Rb6?! Rg1+ 47.Kh2 Rg2+ 48.Kh1 Rxf2+ 49.Kg1 Rg2+ 50.Kf1 Be2+ 51.Ke1 Nf3#!



                               ANALYSIS  DIAGRAM

 

という美しいメイトの筋も潜んでいました!

 

44.Be6+ Kg7 45.f3!?



 

ポーンを捨て、ダブルビショップを持っている龍二さんが勝負に出ました。持ち時間が少ないながら、驚くべきファイティングスピリットです。

 

45...Bxf3+ 46.Kf2 Rg2+ 47.Ke3 Bc6 48.Bc3+ Kf8 49.Bf6!




ルークと
2ビショップで完全に黒キングの動きを封じました。白キングはフリーなので、今度注意しなければいけないのは黒のほうです!

 

49...Rg3+ 50.Kd4 Rg1 51.Rd8+ Be8 52.Kc5 Rc1+ 53.Kd6 Rc6+ 54.Kd5 Nf3 55.Rb8 Rc1 56.Ke4 Re1+




57.Kf5??

 

ここにきて痛恨のブランダーです。57.Kxf3 Rxe6 58.Bxg5ならドローだったでしょう。

 

57...Nh4+!+ 58.Kxg5 Rxe6

 

59.Kxh4には59...Rxf6があるので、白はピースを取り返せません。あとは丁寧に指して黒勝ちです。

 

59.Rxb7 Nf3+ 60.Kf5 Rc6 61.Be7+ Kg7 62.Kf4 Rc4+ 63.Ke3 Ne5 64.Bd6+ Nf7 65.Be5+ Kg6 66.Rb6+ Rc6 67.Rxc6+ Bxc6 68.Bg3 Kf5 69.Be1 Ng5 70.h4 Nf3 71.Bg3 Kg4




72.Kf2 Nxh4 0
1

 

両者のファイティング・スピリットが見られた熱いゲームでした!


Japan League2011 -Saving the game-

ゲームをたくさんすれば、たとえ相手がレイティング下位であっても必ず自分の局面が悪くなる場合があります。ジャパンリーグのR.6では、まさに自分がこの状況に陥りました。悪い状況下でいかに負けずにドローに逃げ切れるかは、レイティングを保つためにもトーナメントで生き残るためにも非常に重要です。今回解説するのは、首の皮一枚でドローに逃げ切ったゲームです。

 

Uehara Shinpei (2016)

Baba Masahiro (2237)

Japan League 2011(6)

 

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.00 Be7 6.Re1 b5 7.Bb3 d6 8.c3 00 9.h3 Na5 10.Bc2 c5 11.d4 Qc7 12.Nbd2 Nc6 13.d5 Nd8 14.Nf1 Ne8 15.Ng3 g6 16.Bh6 Ng7 17.Nh2 f6 18.a4 Rb8 19.b3 Nf7 20.Bd2 Bd7 21.axb5 axb5 22.Ng4 Qb7



 

ここまで白も黒も指す手に選択肢が少ないのでほとんどノータイムです。このルイロペス・チゴリンのややマイナーなラインは、黒の組み方が分かりやすく今まで何回か指していますが、手の可能性は乏しいのでおそらくこれから指すことはないと思います。

 

23.Qf3 Bxg4?

 

私はめったに自分からマイナー・エクスチェンジ(自分のビショップを相手のナイトと交換する)をすることはありませんが、この時は、23...Ng5 24.Bxg5 fxg5 25.Nh6+ Kh8 26.Nf7+ Kg8 27.Nh6+のパペチュアルのラインを嫌ってこの交換に行きました。しかし、f6を受ける手として23...Kh8!? という手があり、24.Nxf6? には24...Nd8 25.Bg5 Ne8でピンを利用してピースを落とせます。b5の弱いポーンを守るビショップを自ら手放すことにより、このあと黒は苦しくなります。

 

24.hxg4 Ra8 25.Qe2 Rfb8 26.Bd3 Ra6?

 

27.Rxa6なら27...Qxa6aファイルを取り、ここを黒のカウンターの拠点としようと考えていましたが、次の1手でaファイルを制圧するのは白になります。

 

27.Qf1! (△28.Rxa6 Qxa6 29.Ra1 27...Rxa1 28.Rxa1 Qd7 29.f3?!

 

これは白キング周りの黒マスを弱くするため、私だったら、堅く29.Qe2と指したいところです。

 

29...Bd8 30.Kh2



 

これで黒が何もアクションを起こさないと、Ra6-Qa1aファイルから侵入され、黒がディフェンス一方になります。私はそういう戦い方は好きではないので、この手を見て自分からゲームを動かそうと決めました。具体的な思考としては、以下の通りです。

 

クイーンをh4に持っていってチェックすればg3のナイトを落とせる→そのためにはf6-f5としてQe7-h4のルートを開けなければならない→今、f5を突くと単純に駒が足りないのでf5に利いている白の駒を一つ減らしたい

 

次の1手は自ずと見えてきます。

 

30...c4!? 31.bxc4 bxc4 32.Bxc4

 

ポーンを1つ捨てることでg1-a7ダイアゴナルとbファイルを開き、クイーンサイドでディフェンスに徹していたルークとビショップにアクティビティーを与えました。次は予定通りキングサイドを開きます。

 

32...f5 33.gxf5 gxf5

 

ここで33...Qe7をしばらく考えましたが、34.Be1! Qh4+ 35.Kg1 Bb6+ 36.Bf2 Qxg3 37.Bxb6 Rxb6 38.Ra8+は白が良い形でピースを取り返せます。

 

34.Nxf5 Nxf5 35.exf5 Qxf5




36.Qd3 Qh5+ 37.Kg1 Qh4!

 

h4は黒クイーンのベスト・スクエアーだと思います。c4のビショップに当てておくのもポイントです。狙いは38...Bb6+ 39.Be3 Bxe3+ 40.Qxe3 Qxc4 -+

 

38.Be3 Ng5

 

ここでもスレットを作ります。狙いは39...Nxf3+ 40.gxf3 Qg3+

ゲーム中、本譜のナイト跳びしか考えていませんでしたが、今思えば38...Rb2! も強力です。

 

39.Bf2 Qf4 40.Qe2 Bb6 41.Bxb6 Rxb6 42.Qf2 Rb7 43.Bd3 Kg7 44.Kf1



 

30...c4!? で勝負に出て以降、私も上原くんもかなりベストな手の応酬をしています。このボードを見に来る多くのプレーヤー達は、優勢な上原くんがこのあとどう勝つか期待していたと思います。

44...h5 45.Ra6 Nf7 46.Qc2 h4?! 47.Ra4!

 

この手は完全に見落としていました。黒キングに危険が迫ります。

 

47...Qh2 48.Rg4+ Kf8 49.Qa2 Rb8




50.Bh7?!

 

自然な流れですが、次のディフェンスの1手がばっちりと決まります。おそらく白は50.Qa7! Qh1+ 51.Qg1! Qxg1+ 52.Kxg1 Rb3 53.Rc4±としてクイーン交換するのが最もアドヴァンテージがはっきりする形だったと思います。黒のh4のポーンが落とされるのは時間の問題です。

 

50...Nh6! 51.Rg6

 

51.Qa7? Qh1+ 52.Ke2 Rb2+はいきなり黒勝勢と逆転します。

 

51...Qf4 52.Qc2 h3

 

白キングのガードを崩します。このあと、黒にとってドローに十分なカウンターが入ります。

 

53.gxh3 Qxf3+ 54.Kg1 Rb7!

 



55.Rg2

 

55.Rxh6 55...Qe3+?? とすると56.Qf2+! で失敗しますが、55...Rf7! とすれば白が危険です。ここまでスリリングなゲームを戦い、白黒これ以上ファイトする気は起きず、ゲームはパペチュアルでドローに落ち着きました。

 

56.Qg6 Qf1+ 57.Kh2 Qf4+ 58.Kh1 Qf1+ 59.Kh2 ½–½


Japan League2011 -Second Weakness-

ジャパンリーグの熱戦からいくつか取り上げたいと思います。

 

チェスの一般的な原則として、「相手に明らかな弱点が一つあっても、それだけでは勝てない」というものがあります。弱点が1つだけだと、ディフェンス側は全ての駒を集めてそこを守ればよく、オフェンス側はなかなか食い破ることができません。しかし、弱点が2つになると、ディフェンス側は双方を同時に守るのが難しくなり、オフェンス側は両方を攻めながら最終的にどちらか落とすことができます。

 

そのため、優勢なほうは勝つために相手陣に2つ目の弱点を作りにいきます。R.4の野口-唐戦では、まさに少し優勢な局面から2つ目の弱点を作って勝つという、非常にインストラクティブなテクニックが見られました。ちなみにこのゲームは5時間半にも及ぶ熱戦でした。

 

Noguchi Koji (2059)

Tang Tang (UR)

Japan League 2011(4)

 

1.Nf3 Nf6 2.g3 g6 3.Bg2 Bg7 4.c4 c6 5.00 00 6.b3 Ne4 7.d4 d5 8.Bb2 Nd7 9.Nc3 Ndf6 10.Ne5 Nxc3 11.Bxc3 Ne4 12.Bb2 f5 13.Qd3 Be6 14.Rfc1 Rc8 15.c5 Qc7 16.e3 a6 17.b4 Ra8 18.a4 Bd7 19.Ra3 e6 20.Rb1 Rfb8 21.f3 Ng5 22.Qb3 Nf7 23.Nxf7 Kxf7 24.e4 Kg8 25.Rd1 Bh6 26.Bc1 Bxc1 27.Rxc1 Kg7 28.Qe3 Re8 29.Bf1 Rf8 30.b5 fxe4 31.b6 Qd8 32.fxe4 Qf6 33.e5 Qe7 34.a5



 

駒交換が進み、この局面に落ち着きました。マテリアルはイコールで、ビショップのマスの色も同じです。しかし、白は自分のポーンが全て黒マスにあるのに対し、黒は全て白マスにあります。白黒両方、ビショップは白マスなので、相手のポーンをビショップでアタックできるのは白のみということになります。そして、a6のポーンは守られてはいますが、どこかでBxa6のチャンスがあり、このポーンは、はっきり弱点だと言えます。しかし、弱点が1つだけでは勝てません。白は2つ目の弱点をどこに作るのでしょうか?

 

34...Rf7 35.Be2 Raf8 36.Raa1 Bc8 37.Rab1 Qd8 38.Rf1 Rxf1+ 39.Bxf1 Rf7 40.Be2 Qf8 41.Kg2 Qe7 42.Rb2 Qf8 43.Bd3 Kg8 44.h4!



 

教科書的なプランです。もし、キングサイドのポーンを1つ交換できれば、黒陣には弱いポーンが1つ残ります。これが2つ目の弱点になります。

 

44...Qe7 45.Rb1 Kg7 46.Rh1! h6(×g6


 

 

このポーンは突かざるを得ません。黒が何もしなければ白からh4-h5で、例えば黒がg6-g5で受けてきたらh5-h6+からRh1-h5と入ってgポーンを落とせます。また、黒がg6-g5で受けてこない場合には、hxg6g6に弱点を作れます。

 

47.Qe2 Qe8 48.Qg4 Rf8 49.Rb1




ここで白は狙いを
g6の弱点からa6の弱点にシフトします。スレットは50.Bxa6! bxa6 51.b7です。このb6-b7の突きを止めるため、黒は49...Rf7でディフェンスしたいところですが、g6ポーンが弱点になっているためできません。また、49...Qf7でそのスレットを防ぐと、50.Rf1! からルーク交換をされ、g6を落とされます!

 

49...Bd7 50.Kg1!

 

ツークツワンクです! 黒には手がありません。まず、クイーンとキングはg6を守っていなければいけないので動けません。ここでも50...Qf7? には51.Rf1! があります。また、ルークを動かそうとするとg8h8しかありませんが、ルークがfファイルからどいた瞬間、51.Rf1! で、Rf1-f6のスレットが決定的です。そして、50...h5には51.Qg5でもう一度ツークツワンクです。

 

50...Bc8 51.Bxa6!

 

片方の弱点がついに落ちました!

 

51...bxa6 52.b7 Bxb7 53.Rxb7++-

 


 

白は2つの弱点を攻めながら目的を達成しました。このポジションを勝ちきるのは難しくありません。

 

53...Rf7 54.Rb6 Qc8 55.Kg2 Kh7 56.h5 gxh5 57.Qxh5 Kg7 58.Qg4+ Kh7 59.Qe2 Ra7 60.Qf3 Kg7 61.Qd3 Ra8 62.Qb1 Ra7 63.Rb8 Qc7 64.Qb6 Qd7 65.Rd8 Qe7 66.Qb8 Kg6




67.Rg8+ Kh7 68.Rh8+ Kg6 69.Qb1+ Kh5 70.Qd1+ Kg6 71.Qd3+ Kh5 72.g4+ Kh4 73.Rxh6+ Kg5 74.Rg6+ Kf4 75.Qf3# 1
0


Japan League2011 -Two Giants -

昨日は更新せずに寝てしまいましたので、今日は最終ラウンドの結果もあわせて書きます。結論から言うと、最後まで調子の上がらないトーナメントでした。先々週の名古屋オープンに続いて切れのないプレーが多かったと思います。

 

5R 馬場(2237 1-0 山田くん(2088 French Tarrasch

6R 上原くん(2016½-½ 馬場(2237 Ruy Lopez Chigorin

7R 小島くん(2300 1-0 馬場(2237 English-Grunfeld

 

南條、小島 6P

馬場、佐野、中村(龍)、山田、野口、岩崎 4.5P

 

トーナメント自体は南條、小島両君の圧勝でした。他が付け入る隙がないプレーを見せていました。専業の小島くんには、ぜひこのまま続くマレーシア・オープンでIMノームを獲得してほしいと思います。また、南條くんには、賞金を軍資金に海外大会へチャレンジしてほしいと思います。

 

冴えないトーナメントながら、1ゲームうまく指せたので、そのゲームを紹介します。

 

Baba Masahiro (2237)

Yamada Kohei (2088)

Japan League 2011(5)

 

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nd2 Nc6!? 4.Ngf3 Nf6 5.e5 Nd7 6.Be2 f6 7.exf6 Qxf6 8.Nf1 Bd6 9.Ne3 [黒からのe6-e5を防ぐため、ナイトはd5を睨んでおけるマスに置きます。] 9...00 10.00 Qg6 11.c4 Nf6 12.b3 Bd7?! [自然に見える手ですが、このあと黒は厳しくなります。12...Ne7] 13.Bb2 Bf4 14.Ne5!




14...Qh6
[14...Bxe5? 14...Nxe5? も、15.dxe5からd5のポーンが落ちます。] 15.N3g4 Nxg4 16.Nxg4 Qg6 17.g3 Bd6 18.Ne5! Qe8 19.Bg4 [スレットはNxd7からcxd5。ここは19.Bh5!? をいれるかどうか迷いました。] 19...Bxe5 [山田くんは19...Nxe5 20.dxe5 Bc5 21.cxd5 Bb5 22.Bxe6+ Kh8 で黒を持ちたくないと検討で話してくれましたが、私にはエクスチェンジダウンに見合う白のアドヴァンテージがそこまであるようには見えませんでした。おそらく黒はこのラインで勝負したほうが良かったでしょう。] 20.dxe5 Ne7 21.Ba3 c6 22.cxd5 cxd5 23.Rc1 [白のダブルビショップが活きる形となり、白大きく優勢です。]




23...Rf7 24.Rc7 Nc6 25.Bd6 Bc8 26.Rxf7 Qxf7 27.Qd2
[白のプランはシンプルです。bポーンを突いていってc6のナイトを追い払ったあと、Rc1からRc7への侵入を狙います。] 27...Bd7 28.Rc1 Rc8 29.h4 h6 30.h5 [キングサイドも固定し、黒クイーンの白陣への侵入を一切断ち切ります。] 30...Kh8 31.Rc3 Rg8 32.b4 Qe8 33.b5 Na5 34.Rc7 Nc4 35.Qb4 g6?! 36.Be7! gxh5 37.Bf6+ Kh7 38.Qb1+!
1
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Japan League2011 -It’s his day-

ペアリングは予想を外れ、3Rは南條くんと。今日は彼の日でした。彼は私に勝ったあと、続く4Rで小島くんに勝ち、4連勝の単独首位となりました。

 

3R 馬場(2237 0-1 南條くん(2259 Sicilian Najdorf

4R 北神さん(2056 0-1 馬場(2237 Queens Pawn

 

今日一番のゲームは、4Rで最後まで残っていた中村-佐野戦だったと思います。このゲームの棋譜は入手したのですが、途中で解読不能になりました。棋譜をアップするのは後日ということでよろしくお願いします。

 

4R終了して、

 

南條 4P

佐野 3.5P

小島、馬場、塩見、山田 3P

 

です。明日は佐野-南條、小島-塩見、馬場-山田の当たりです。


Japan League2011 -Kick Off!-

今日から4日間の日程でジャパンリーグです。ジャパンリーグは全日本選手権と並び、国内で数少ないFIDE公式大会です。昨年からの変化をあげると、今年からリストはJCAレイティングでなく、FIDEレイティングで作られました。ここにきてFIDEレイティングがやっと重要視されるようになったのはよい風潮だと言ってよいでしょう。ちなみに参加者29名中19名がFIDE持ちでした。

 

1R 馬場(2237 1-0 野口さん(2059 Pirc

2R 前田さん(1749 0-1 馬場(2237 French Classical

 

初日は何とか2連勝です。野口さんとは2週間前の名古屋の最終ラウンドで負けて以来の再戦でした。名古屋では野口さんのカバ・ディフェンスに負けていたため、今回は違うセットアップで臨みましたが良くならず、苦しい時間が続きました。最終的には相手にミスが出、勝利をものにしました。前田さんとは初対戦。アレキンを指したつもりがフレンチになりました。中盤、こちらに鈍い手が多かったのですが、結果オーライ。楽なゲームは一つもありません。

 

明日は小島くんとの対戦になるでしょう。知らない間にマンガ本の監修までしちゃったりとチェス一直線の相手に対し、病み上がりの状態で勝負になるのでしょうか...


JAPAN LEAGUE 2010 Day4

7Rが終了しました。優勝は最後まで安定したプレーを見せた小島君でした。2位には最終ラウンドに塩見さんと引き分けた中内君が入りました。

 

優勝 6P小島 慎也(¥200,000

2 5.5P 中内 (¥120,000

3 5P 南條 遼介、塩見 亮、Amgalanbaatar3人で¥80,000

 

私は最終ラウンド、南條君とでした。

 

Nanjo Ryosuke (2251,JPN)

Baba Masahiro (2232,JPN)

Japan League 2010(7)

 

The final round starts 10:00 AM. Today I woke up 9:41 AM!. It means I was going to be late. 1.e4 c5 The clock showed 1:07. It was serious penalty especially against one of the great Japan champions! 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6 6.Bc4 e6 7.Bb3 b5 8.0–0 b4 9.Na4 Bd7




My favorite. Even I don't consider this line is the best.
10.f3 Nc6 11.Be3 Rb8 12.Rc1 Nxd4 13.Qxd4 Be7 14.Nb6?




A Serious mistake. After the game Nanjo told me that he only thought 14...Bc6? which I didn't consider even one second. White should open c-file by 14.c3,otherwise his previous move doesn't make sense.
14...Bb5! Here not 14...e5 because of 15.Qc4! 15.Nc4 d5 16.exd5 Nxd5 17.Bf4? White cannot take g7. [17.Qxg7? Bf6 18.Qh6 Bxc4 19.Bxc4 Nxe3 20.Qxe3 Bd4-+] 17.Bf2 0–0³ is better. 17...Nxf4?! Black could win the exchange. [17...Bxc4! 18.Qxc4 Nxf4 19.Qxf4 Bg5 20.Ba4+ Kf8] 18.Qxf4 Bc5+ 19.Kh1 0–0 20.Rfd1 Qe7 21.Rd2 a5




22.Ne5
22.Nxa5? is impossible because 22...Qa7 23.Nc4 Bxc4 24.Qxc4 Be3 wins the exchange. 22…Qa7 23.Re1 Qc7 24.Bc4 Bd6 25.Rd4 Bxc4 I knew it was not the best way to convert my advantage. But at least it seemed safe. 26.Rxc4 Bxe5 27.Rxe5 Rbd8




This is the point. Black takes d-file.
28.h4 Rd1+ 29.Kh2 Qb6 30.Rec5 h6 31.Qe5 Kh7 32.Rg4 Rg8 33.c3 bxc3 34.bxc3?! After this, Black's queen penetrate to White's camp via b1. 34...f6! 34...Qb1? 35.Qe4+ is what White was hoping for. 35.Qc7 There is no way for White to get out of trouble. [35.Qh5 Qb1; 35.Qe3? Rd5 36.Rgc4 Rc8 37.Qe4+ f5 38.Qxd5 exd5 39.Rxc8 dxc4] 35...Qb1




Back-rank strategy; My favorite theme in attack.
36.Re4 Rh1+ 37.Kg3 Qg1 37...Qc2! with the idea Rg1 is crushing. 38.Rcc4 Qh2+ 39.Kf2 Qg1+ 40.Kg3




40…Qh2+
40...Rb8!!–+ is the winning move and really beautiful in aesthetic view.



                                ANALYSIS  DIAGRAM

 

41.Re2 (41.Qxb8 Qh2+) 41...Rb1 The party begins! 42.Qf4 Qh2+ 43.Kf2 Rhf1+ 44.Ke3 Qg1+ 45.Ke4 Rfe1 46.Rxe1 Rxe1+ 47.Kd3 Qf1+ 48.Kc2 Re2+ 49.Kb3 Qb1+ 50.Ka4 Rxa2# 41.Kf2 Unfortunately I found Rb8!! here... 41...Qg1+ 42.Kg3 White claimed threefold repetition. Draw agreed.
½–½

 

今回、大会終了後、優勝した小島君からジャパンリーグの運営について新たな提言があり、オーガナイザー側に快諾されました。提言の内容は以下の通りです。

 

1.対戦者が誰だか分かるように各ボードにネームプレートを置く

2.ペアリング、スタンディング等はアルファベットで発表する

3.ペアリングをインターネットにて事前に公開する

 

そして私からも一つ提言。これは前々から主張していることですが、一向に改善されないので

 

賞金で端数が出る場合、1000円未満は切り捨てる

 

賞金を分ける場合は、本来であればオーガナイザー側できちんと分けてから手渡すのが当たり前だと思います。今回も8万円を3人で分けるのに8万円を3人に渡して、「あとはあなたたちで分けてください。一人あたり26,666円です。」というのではあんまりです。ここは26,000円ずつ渡して余りはJCAの収益にするべきです。

 

今年のジャパンリーグはNakamura Hikaruがいなくなったものの、大会としては面白いことには変わりありませんでした。また、今回初対戦のゲームが4つあり、非常にフレッシュな感じがしました。

 

ジャパンリーグは終了しましたが、熱い夏はまだ続きます。次は松戸サマートーナメントに参加予定です。


JAPAN LEAGUE 2010 Day3

今日は疲れました。特に2ゲーム目は5時間にも及ぶハードなゲームでした。ということで詳しくは明日以降に書くことにします。

 

明日の当たりは

 

中内−塩見

岩崎―小島

南條−馬場

 

です。


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