2019全日本チャンピオン Aoshima Mirai

全日本選手権が閉幕しました。

 

http://chess-results.com/tnr429627.aspx?lan=22&art=1&rd=10

 

5日間、10Rの大会を制したのはFM青嶋未来くんでした。91ドローの圧倒的な戦績で、初優勝を果たしました。Congratulations

 

彼は大会に出始めた初期のころから全日本選手権優勝とFMタイトル獲得を目標にしていて、それを両方わずか4年足らずで達成したのですから、あらためてそのポテンシャルの高さには舌を巻きます。(私は全日本選手権優勝まで10年、FMタイトル獲得まで20年かかりました...

 

2位は1P差の8.5PIM小島慎也くんでした。2012年以降、ほぼ毎年惜しくも優勝を逃し続けてきた彼ですが、今年も2位に甘んじてしまいました。(私は今年こそは優勝すると信じていたのですが...)もちろん、全日本選手権が全てではありませんが、日本トップランカーとしての全日本チャンピオンをまた見てみたいものです。

 

3位は7PIM南條遼介くんでした。彼は序盤にポイントを落としたのち、12位の2人との直接対決を落としましたが、最終的には単独3位に落ち着きました。1位〜3位は2300+のプレーヤーであり、彼らがなぜ2300+なのかを示した結果だと思います。

 

4位はオーストラリアの10代、Asaka Samuelくんでした。全日本選手権前の4月に、キャンベラとシドニーで立て続けにオープントーナメントがありましたが、日本の大会を選び、入賞。彼は今回レイティングを大きく稼ぎ、次の計算で2200+になる予定です。近い将来、マスターのタイトルを獲得するのは間違いないでしょう。

 

大会を通して見ると、前半戦良かったものの後半戦崩れたり、前半戦悪かったものの後半戦で追い上げたり、または勝ったり負けたりを繰り返したり... 様々な参加者がいたと思います。

 

チェスは技術とメンタルと体力の3点が備わっていないとなかなか結果には結びつかないものです。全日本選手権の参加者は「チェスを楽しみたい」というよりは「強くなりたい、結果を残したい」と考えている人のほうが多いと思うので、また1年足りなかった部分をトレーニングし、来年の全日本選手権に再チャレンジしてもらえば良いですね!

 

今大会はNCSとなって初の全日本選手権ですが、参加者の皆さんの意見を聞いていると、会場が綺麗で便利、運営全般も良く満足だったとのことで、これが日本の大会のスタンダードになると良いと思います。

 

大会期間中、大会の進行をずっと中国から見ていましたが、非常に楽しめました。Thanks for all!!


全日本選手権2019

4/295/4(5/3rest day)の日程で全日本選手権、5/24の日程でゴールデンウィークオープン(以下、GWO)が開催されます。平成から令和へ、JCAからNCSへのまさに変換期のイベントです。エントリーリストもほぼフィックスで、全日本に57名、GWO50名の参加が見込まれています。

 

大会に先立ち、今回の全日本で昨年までの慣習・ルールから変更された点がいくつかあるので、それを簡単にまとめました。

 

 

全日本選手権2019と開催年と大会名が一致した

昨年までは次の年のチャンピオンを決める()というような良く分からない理由から、全日本選手権の大会名の年は次の年となっていました。(例えば、2018年の全日本は全日本選手権2019であった) これは前々からおかしいと感じていましたし、そもそも対外的な説明に困るので、開催年と大会名を合わせるよう、JCAに提言してきました。それがようやくここでリセットされた形になります。

 

会場が蒲田から大井町に移動

今回、大会会場が生活センター、産業プラザ、大田区民センターという蒲田の施設から大井町の公共施設に移りました。JR駅の目の前で交通の便は良いと思いますので、大方の参加者に賛成されているのではないでしょうか?昔、中学の担任に、全日本選手権の大会が蒲田だと話したら、「蒲田〜??」とかなりネガティブな返しを受けたのを覚えています。個人的に蒲田の会場が嫌いなわけではありませんが、より魅力的な大会にするには、環境も重要です。

 

チャンピオンは日本チェス国籍の者に限る

今までは全日本で優勝すれば、特に日本籍に限らず、外国籍のプレーヤーも全日本チャンピオンとして認定されてきました。しかし、今回から「チェス国籍が日本でなくても出場・入賞はできるが全日本チャンピオンは日本国籍の者に限る」というように変更になりました。全日本はナショナルチャンピオンを決める大会であるので、この決定は分かりますが、外国籍のプレーヤーの参加を認め続けると、例えば海外から10人強いプレーヤーが参加して1位〜10位を独占、11位の日本プレーヤーがチャンピオン?というような事態も発生するので、ゆくゆく参加資格は日本チェス国籍のプレーヤーのみになることも考えられます。

 

2020年のオリンピアードの選考大会ではなくなった

今までは、オリンピアードイヤーの前の年の全日本が選考大会でしたが、今年の全日本はスキップされ、オリンピアードの選考大会ではなくなりました。2020年のオリンピアードの選考方法については大きく変わっていませんが(全日本とジャパンオープンの上位者が優先)、急な変更ということもあり、モチベーションが変わってくる参加者もいると思います。今回は選考方法に大きな変更はありませんが、2022年からのオリンピアードの選考方法には議論の余地があると思います。私はFIDEレイティングが最優先されるべきだという考えに変わりはありません。

 

 

今年は大型連休が取りやすいのというのと、新たな組織への期待があいまった影響か、全日本の参加者は57名ととても多いです。長いタイムコントロールでじっくりチェスに漬かる5日間は、参加回数の浅いプレーヤーにとってはかけがえのない経験になるでしょうし、上位者でまだチャンピオンの冠を手に入れたことのないプレーヤーにとっては、全日本チャンピオンを掴むチャンスです。

 

私は国内のFIDEレイティングがどのように変動するか、非常に楽しみに見ています。


Japan Championship 2018

本日から始まります。

 

アメリカではShanklandbig 3を抑えて優勝しそうな勢いであり、必ずしもレイティングの高いプレーヤーが優勝するとは限りません。見ている側としては、いろいろ波乱があったほうが面白いので、良くも悪くも期待しています。

 

http://chess-results.com/tnr349011.aspx?lan=22

 


全日本選手権2016

過去最高レベルと見られた今年の全日本選手権が閉幕しました。昨年、優勝したトーナメントでFIDEレイティングが+11だったのに対し、今年は入賞しなくとも+30。これが大会のレベルを物語っていると思います。今回は上位陣の潰し合いで、トーナメント・リーダーが毎ラウンドのように変わる波乱の展開でしたが、最終的には優勝候補最有力と見られていたTuさんの単独優勝で終わりました。あらためてTuさん、Congratulations!
 
今大会では、事前byeの管理が徹底されていたため、これまで問題となっていた不戦勝のような事態は一切ありませんでした。しかし、代わりに時計のトラブルが多かったことは今後の運営に課題を残したことになりました。トラブルの原因は設定ミス・時計が古く感度が悪かったなど、いろいろあると思いますが、アービターだけで判断できないような事態になった時もありました。そんな時、問題を解決するのに、実際に全日本に参加しているプレーヤーで組織されるAppeals Committeeのような裁定機関があっても良いのかなと個人的には思ったりもしました。
 
さて、私はと言うと、今回はハードな相手の連続で、とても緊迫したゲームが続きました。敗れたIM2試合は、どちらも相手の指し回しが完全に上回っていました。特に最終ラウンドの小島戦は、彼のページに解説があるように、なかなか日本ではないような美しい負けでした。負けはもちろんありましたが、大会を通じてそれなりのパフォーマンスは示せましたし、思い出に残るようなゲームはできました。今回のベストはイングランドのベテランFM Andrew Lewisさんとのゲームです。私のゲームでは珍しく、難しいエンドゲームに突入しました。
 
Lewis,Andrew (FM,2267,ENG)
Baba,Masahiro (2232,JPN)

Japan Ch. 2016(9)
 
[このゲームの時点でAndrew6.5Pで首位を走っていました。すでにAndrewは上位陣とほとんど当たり尽くしていたため、このゲームに勝つことができれば優勝も現実的なものになっていたことでしょう。そんな大会のシチュエーションの中、1番ボードでのゲームです。]
1.Nf3 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 d5 4.cxd5 Nxd5 5.Qa4+

[メインに準備していたのは5.e4 Nxc3 6.dxc3 Qxd1+ 7.Kxd1 f6 8.Be3 e5 9.Nd2 Nd7でした。外されはしたものの、この手も経験ありなので動揺はしません。]
Andy1.gif
5...Nc6 6.Nxd5!?
ここでは6.Ne5と入るのが一般的ですが、正しいディフェンスをすれば、黒がイコアライズするのはそう難しくはありません。本譜はセンターにポーンを並べるグリュンフェルドの主流のプランです。]
6...Qxd5 7.e4 Qa5
[
ゲームの早い段階でクイーンを交換しにいくのは好みではありませんが、クイーンの引き場所に自信がなかったので、ぶつけにいきました。]
8.Qxa5 Nxa5 9.d4 Bg7 10.Bf4

[c7をアタックする強い手に見えますが、私は10.Be3のほうが自然だと感じました。黒はc7のポーンを守る必要がありません。]
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10...00! 11.000
[11.Bxc7 Nc6 12.Rd1 (12.d5 Bxb2) 12...Bg4 13.d5 Rac8なら、展開でだいぶ黒が有利です。1ポーンの代償も十分あります。白の0-0-0は有りですが、0-0に比べるとリスキーに見えます。]
11...Bg4 12.Be2

[12.d5 b5!?]
12...Nc6 13.d5 Bxf3 14.Bxf3 Nd4 15.Rd3 e5

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[白のセンターをc7-c6で崩しにいきたいのですが、すぐに15...c6だと、16.dxc6 Rac8 17.c7 e5 18.Rxd4!? exd4が可能です。]
16.Be3 c6 17.dxc6 Rac8 18.Rc3 Nxc6 19.Bc5 Bh6+ 20.Kb1 Rfd8 21.Bg4 Ra8 22.Bd1 Rd2 23.Bb3 Nd4?
[f2をアタックするために、黒マスビショップのラインを閉じにいきます。ただ、白の25手目を見落としていました。23...Rad8dファイルのコントロールを強めるのが正しい手筋だと思います。]
24.Bxd4 exd4

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25.Rf3
[本譜はダイレクトでアタッキングな手ですが、ここは25.Rc2!±というクールな1手がありました。7thランクに侵入した唯一アクティブな黒駒を換えられてしまうと、白のアドバンテージがはっきりします。25...Rxc2 26.Kxc2 Rc8+ 27.Kd3で、白はg3-f4-e5とポーンを突いて、黒マスビショップを抑えにいければ白の勝ちは近いです。]
25...Rf8 26.Re1

[
少し期待していたのは、26.Rc1? Re2 27.Rc7 Re1+ 28.Kc2 Rc1++]
26...Kg7?!

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[ここはチャンスで、26...d3! と突けば十分勝負できていました。ロングダイアゴナルを開いてb2を狙いにいきます。ポイントは、27.Bc4 Bg7 28.e5のとき、28...Bxe5! があることです。(29.Rxe5? Rd1#]
27.e5!
[f7の弱点を固定する好手]
27...Bg5 28.g3 h5 29.h4 Bh6?!

[なぜ将来性の少ないほうに引いたのか自分でもよく分かりませんが、29...Be7 30.Rc1 Re2 31.Rc7 Rxe5 32.Rxb7も苦しいことに変わりありません。]
30.a3 b5 31.Rd1

[
一瞬、f8のルークをフリーにしてくれるので、この手には助けられました。31.Rc1! Re2 32.Rc7 Rxe5 33.Rxa7±なら、29手目のコメントのラインのように、黒はf7のディフェンスから解放されません。]
31...Rxd1+ 32.Bxd1 Rc8 33.Bb3 Rc7

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34.Rf6?
[これは白の大きなミスと言えるミスでした。白は次にf4を突いてから、Rd6に回ってしまえば簡単に勝ちですが、このプランを防ぐ強力な1手がありました。正しくは、34.Rd3f2-f4を目指し、まだ白が優勢です。]
34...Bd2!

[
e1から白の3つのキングサイドのポーンを狙います。今度は逆に白ルークがf2のポーンの守りに縛られることになります。]
35.Rf3 a5 36.e6 fxe6 37.Bxe6 Be1 38.Bd5

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[
この手とともに
Andrewからドローオファーが来ました。ここまでのゲームの流れを考えれば、ドローは十分満足できる結果ですが、よくポジションを観察すると、ルークのアクティビティーの差から黒にチャンスがあることが分かります。ここから30分が加算される40手まで時間落ちしないように気を付け、時間が増えた41手目で勝負をかけます。]
38...Rc5 39.Be4 Rc7 40.Bd5 Rd7 41.Bc6 Rf7! 42.Rxf7+ Kxf7 43.Bxb5 Bxf2
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[ルークを交換して黒にチャンスのあるエンディングに持ち込みます。ただ、この異色ビショップを勝ち切るにはまだまだ先は長いです。]
44.g4!
[Andrewはここで時間をかけて、もっとも粘れる手を指してきました。このあたりの判断に、彼のベテランらしさが感じられます。]
44...hxg4 45.Kc2 Kf6 46.Kd3 Ke5 47.Be8 Bxh4 48.b4!

[48.Bxg6 g3 49.Be4には、本譜と同じように、49...a4! と突きます。50.Bc6 Bf6 51.Ke2 Kf4 52.Bxa4 d3+ 53.Kf1 Bxb2 54.Bb5 d2 55.Ba4 Bxa3で黒勝ちです。]
48...g3 49.Bc6

[49.Ke2? g2]
Andy9.gif
49...a4!
[この手がポイントです。間違って49...axb4 50.axb4だと、白にb7までポーンを進められ、黒はb8のマスを常に抑えておかなければいけないので、前に進めず、勝ちの希望は消えます。]
50.Ke2 Kd6!
[
白ビショップをa4-e8のダイアゴナルから外します。51.Bxa4 g2はプロモーションが止まらないため、白ビショップはh1-a8ダイアゴナルから動けません。このあたりで、h4のビショップはgポーンのプロモーションと相性が良いことに気付きます。実際、これがあとで黒が勝つ重要なカギとなります。]
51.Be4 g5 52.Kf3

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52...g2!
[gポーンに重なったパスポーンは1つ捨て、ビショップのラインを開いてキングサイドのポーンを狙いにいきます。]
53.Kxg2 Be1 54.Bc2 Bxb4! 55.Bxa4

[55.axb4 a3 56.Bb3 d3 57.Kf3 g4+は黒パスポーンが止まりません。]
55...Bxa3
+
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[こうして2ファイル離れた2パスポーンの異色ビショップエンディングとなりました。この形はたしかドローがあったような気がしたのですが、それはビショップの色が逆だった場合です。つまり、g1を白のビショップがコントロールできる場合はドローにするディフェンスがありますが、この場合、白のビショップは白マスなので、g1をコントロールできません。さらには、先に白がd3のマスをキングで抑えることができればドローになりますが、きっちり1手先に黒がd3を抑えにいけます。黒が勝ちにいく条件はすべてそろっていて、あとは正しいプランを見つければ勝てます!]
56.Kf3 Kc5 57.Ke4 Kb4 58.Bd1 Kc3
[黒キングのベストポジションです。これ以上dポーンを突かせるわけにはいかないので、白ビショップはf1-a6ダイアゴナルから離れることはできません。]
59.Be2 Bd6 60.Kf5 Be7 61.Ke4 Bd8 62.Ba6 Bf6
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[なんとかgポーンを進めたいところですが、具体的にどう進められるか分かっていませんでした。ここで唯一、黒が局面を進展させられる手があります。それは、62...Bc7 63.Kf5 Bf4 64.Ke4 Bg3! 65.Kf3 Bh4!
Andy12.gif
ANALYSIS  DIAGRAM
これでどちらかのポーンを進めることができ、黒勝ちです!]
63.Bb5 Kd2
[まだ勝ちは逃していませんが、黒キングがパスポーンの前に入るのは正しくありません。勝つためにはミスを認め、次にc3に戻らなければなりません。]
64.Kf5?
[
時間切迫の中、ここでAndrewにミスが出ました。]
64...Ke3!
[
ビショップを捨ててもパスポーンが止まらないことを確認し、フィニッシュの1手を決めます。]
65.Kxf6 g4

Andy14.gif
[最後は「Congratulations」という言葉とともにAndrewが手を差し伸べてきました。日本語で言う「おめでとう」という意味合いではないと思いますが、相手のプレーを褒め称えてリザインするというのはなかなかできないこと であり、最後まで紳士のプレーを見せられました。彼とはまたどこか対戦したいですし、日本でもっとプレーしてもらいたいですね。] 01
 


全日本選手権2015 -アルゼンチンカップ-



2015年、6日間の接戦を制し、アルゼンチンカップを手にしました。全日本での優勝は3回目となりますが、単独での首位は初めてです。
 
2006年、小島君と9.5P/13Rで並んだ全日本は、パフォーマンスは私のほうが若干、上でしたが、bye1つ入れていたため、タイブレークで敗れ、カップを逃しました。2011年、今度は中村龍二さんと8.5P/11Rで並んだ全日本は、2.5P/5Rスタートと低調なこともあり、単純にタイブレークで敗れ、カップを逃したのです。
 
この2年間、FIDE公式戦並びにJCA公式戦から遠ざかっていましたが、こうして1つ結果を残せたことは嬉しく思っています!
 
Baba,Masahiro (2251)
Kuwata,Susumu (2130)

Japan Ch. 2015(11)
 
1.e4 c6 [今大会、白番6試合のうち5試合がカロカンとなりました。] 2.d4 d5 3.e5 Bf5 4.Nf3 e6 5.Be2 c5 6.c3 Nc6 7.00

7...Bg4 [ここで早くもプリパレーションを外れます。本譜のラインに対して私がメインに用意していたのは7...cxd4 8.Nxd4 Nxd4 9.cxd4 Ne7 10.Nc3でした。] 8.Nbd2 cxd4 9.Nxd4 Bxe2 [9...Nxd4 10.Bxg4 Nc6 11.f4 Bc5+ 12.Kh1f4-f5を見せ、白が少しやりやすいと思います。] 10.Qxe2 Nxd4 11.cxd4 Qb6 12.Nb3 Ne7 13.Be3 Nc6 14.Rfc1 [白のスタンダードなプランは、Nb3-Nc5と跳んで、クイーンサイドから圧していくもので、こう指せば白はリスクなく、やや優勢です。しかし、黒キングサイドも守りが薄いので、直接キングサイドから手を作っていくことも考慮に入れます。]

14...Be7 15.Qg4 g6 16.Bh6 g5!? [白ビショップを閉じ込める面白いアイディア。17.Bxg5?? Rg8 18.h4 h6はもちろんダメですし、白ビショップが閉じ込められる前に対処する17.Bg7 Rg8 18.Bf6 Bxf6 19.exf6 Rg6もパッとしなかったので、白ビショップがh6に閉じ込められたまま戦うことにしました。]

17.h4 Rg8 [17...gxh4? には18.Qg7と突っ込みます。] 18.hxg5 Rg6 19.Rc3 a5! [a5-a4がスレットになり、d4ポーンが狙われています。また、b3のナイトがどかされるとb2のポーンが取られます。いろいろ考えた挙句、ここはa5-a4を止めるのが最重要だと考えました。] 20.a4 Bb4 21.Rf3 Rc8 22.Rc1 Rc7 23.Qf4 Nd8 24.Qe3 Nc6 25.Rf6 Ne7

26.Qd3 [クイーンの位置を徐々に改善します。ここでは、c4のマスを守りつつNe7-Nf5からの当たりを避けます。f5のマスを抑える26.g4?!には、26...Rc4! 27.Rxc4? dxc4 28.Nc1 Nd5!とナイトフォークがあり、注意しなければいけません。] 26...Rxc1+ 27.Nxc1 Qc6 28.Ne2 Qxa4 [1ポーンは返しましたが、白ナイトがアクティブになりました。] 29.Nf4 Rxf6 30.gxf6 Nf5 31.Bg7 [ 32.Nxd5]
 
31...Qa1+? [これが決定的なミスでした。31...Qc6! なら黒十分なカウンターで、どちらにもチャンスがあったと思います。] 32.Kh2 Qxb2 [32...Qa4 33.Nxd5!] 33.Qb5+ Kd8 34.Qb6+ Kd7 [34...Kc8 と避けると、35.Nxe6! fxe6 36.Qxe6+ Kb8 37.Qxf5 a4 38.f7 a3 39.e6 a2 40.f8Q+ Bxf8 41.Qxf8+ Ka7 42.e7 a1Q 43.e8Q+-] 35.Qxb7+ Kd8 [桑田君はおそらく白のベストはパペチュアルだと読んでいたかもしれませんが...]

36.Nxe6+! fxe6 37.f7! [38.Bf6+38.f8Q+がダブルスレットです。bファイルのピンがポイント。]
 
37...Nxg7 [37...Qxd4 38.Bf6+ Be7 39.f8Q#] 38.f8Q+ Bxf8 39.Qxb2+- [こうしてマテリアルアップ。あとは一本道。]
 
39... Bb4 40.g4! Ke8 41.Qc2 Kf7 42.Qxh7 a4 43.Qb1 Be7 44.f4 a3 45.f5 exf5 46.gxf5 a2 47.Qxa2 Nxf5 48.Qxd5+ Ke8 49.Qg8+ Kd7 [49...Bf8 50.Qg6+] 50.Qg4! [50...Ke6 51.Qg6+で黒ナイトが落ちます] 10

全日本選手権2013 -最終日-

最終日は思いがけない逆転劇でした。

 

11R 南條くん(2327 0-1 馬場(2235 Sicilian Najdorf

 

Nanjo Ryosuke (2327)

Baba Masahiro (2235)

Japan Chess Championship 2013(11)

 

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6 6.Be3 e5 7.Nb3 Be6 8.Be2 Be7 9.00 00 10.f4 exf4 11.Rxf4 Nc6 12.Nd5 Bxd5 13.exd5 Ne5 14.a4 Nfd7 15.Rb4!? b6 16.a5 b5 17.c4 bxc4 18.Nd2 Nd3 19.Bxd3 cxd3 20.Nc4 Ne5 21.Nb6  Rb8 22.Bd4 f5




[
白のクイーンサイドでの一連の手はおそらくベストではなかったと思います。黒にはキングサイドから十分なカウンターのチャンスがあります。ゲームは非常にシャープになってきました。] 23.Rb3 f4 24.Kh1 f3 25.gxf3 Nxf3 26.Rxd3 [26.Qxd3には26...Qe8で、Qh5Qxh2#をスレットする予定でした。] 26...Nxd4 27.Rxd4 Bf6 28.Rd2 Be5 29.Qg4 Rb7 30.Rg1 Kh8 31.Rc2 Rbf7 32.Rc8 Rf2 33.Rgc1! [思いもよらぬ返し。h2を捨てて戦うプランは見えていませんでした。私は33.Rg2 Rf1+ 34.Rg1 R1f2でドローになると考えていました。] 33...Qe7?? [これは酷いケアレスミスでした。なぜ次の簡単な1手が見えていなかったのか... 33...Qf6 34.Rxf8+ Qxf8 35.Rc8 Rf1+ 36.Kg2 Rf2+ 37.Kh1 Rf1+ならドローです。] 34.Nd7!+-




[
完璧なショット。黒はどうにもこうにもピースダウン以上を免れません。(34...Rf1+ 35.Rxf1 Rxc8 36.Nxe5 etc よっぽど投げようかとも考えましたが、最後の可能性にかけてみました。] 34...Rxh2+ 35.Kg1 h5 36.Nxf8??




[36...hxg4 37.Ng6+ Kh7 38.Nxe7
で華麗にナイトフォークを決めて駒得。の予定が実は罠でした。正しくは36.Rxf8+ Qxf8 37.Nxf8 hxg4 38.Ng6+ Kh7 39.Nxe5で白のピースアップ。] 36...Qa7+!+




[
これが南條くんの見落としでした。白は駒を捨てなければf2でのメイトを回避できず、ゲーム・オーバーです。] 37.R1c5 hxg4 38.Ng6+ Kh7 39.Nxe5 Rc2 40.R8c7 Qxc5+ 41.Rxc5 Rxc5 42.Nc6 Rxd5 43.b4 Rd2 44.Nb8 Rb2 45.Nxa6 d5 46.Nc7 Rxb4 47.Nxd5 Rb5 48.Ne3 Rxa5 49.Kf2 Kg6 50.Nxg4 Kg5 51.Ne3 Ra2+ 52.Kf1 Kf4 53.Nd5+ Kf3 54.Kg1 g5 55.Ne7 g4 56.Ng6 Ra1+ 57.Kh2 g3+ 58.Kh3 Rh1# 01

 

今年の全日本は6.5Pで終了。(組み合わせ上は7.5P


もし
3,4Rを事前にbye申請していたら入賞でしたが、4試合もやっていないプレーヤーが入賞するのは妥当ではないと思うので、これで良かったと思います。

 

一応、目標としていたFIDEレイティングを上げることには成功しました。(FIDEレイティング戦はたったの3戦ですが...


おそらく次の集計では
2250+となり、ようやく1st Category2250-2275)に届きます。ここまで長かったです。

 

優勝は池田惇多くんで9.5P。次いで小島くんが8.5p、尚広くんと暁さんが7.5Pで入賞です。尚広くんは終始トップグループでプレーし続け、堂々の3位入賞でした。入賞者の顔ぶれが変わることは喜ばしいことです。

 

今年も最も熱い1週間が終了しました。皆さま、お疲れ様でした。また、来年もよろしくお願いします!


全日本選手権2013 -5日目-

9Rでは、今大会最大の見せ場を作りました。これまで7P/8Rでトップを走り続けてきた小島くんを強制ストップ。

 

9R 小島くん(2384 0-1 馬場(2235 Grunfeld

10R 馬場(2235½-½ 小林くん(2011 Ruy Lopez

 

Kojima Shinya (2384)

Baba Masahiro (2235)

Japan Chess Championship 2013(9)

 

1.Nf3 Nf6 2.c4 g6 3.g3 Bg7 4.Bg2 d5 5.cxd5 Nxd5 6.00 Nc6 7.d4 Nb6 8.Nc3 00 9.d5 Na5 10.Qc2 Bd7 11.Rd1




11...Qc8 12.b3 c6 13.d6 exd6 14.Ba3 c5 15.Rxd6 Re8 16.Rad1 c4 17.b4 Nc6 18.b5 Ne5 19.Bb2 Bf5 20.Qc1 Ng4? 21.h3 Ne5 22.g4 Be6 23.Nxe5 Bxe5 24.Ne4 c3 25.Bxc3 Bxc3 26.Qxc3 Qxc3 27.Nxc3




[
代償なしの1ポーンダウン。黒はかなり厳しくなりました。] 27...Rac8 28.Ne4 Kg7 29.R6d2 Nc4 30.Rd4 Nb2 31.R1d2 Rc1+ 32.Kh2 Nc4 33.R2d3 a6 34.bxa6 bxa6 35.g5 h6 36.Nf6 Rh8 37.f4 hxg5 38.fxg5 Ne5 39.Re3 Rc5 40.Ra4 a5 41.Rae4 Nc4 42.Rg3 Nd6 43.Ra4 Nf5 44.Rd3 Nh4 45.Bd5 Bc8 46.Rc4 Rxc4 47.Bxc4 Nf5 48.Bb3 Ne7 49.Re3 Nc6 50.Ne8+! Kf8 51.Nd6 Bd7 52.Nxf7 +-




[2
ポーン目が落ちて絶望的な状況。正直、投了も考えましたが、タダでは終われません。奇跡を信じて指し続けます。] 52...Rh4 53.Rd3 Bf5 54.Rc3 Nd4 55.Nd6 Bd7 56.Re3 Nxb3 57.axb3 a4 58.bxa4 Rxa4 59.Ne4 Bf5 60.Ng3 Bb1 61.Rb3 Bc2 62.Rb7 Rd4 63.Kg2 Rf4 64.e3 Rh4 65.Rc7 Bb1 66.Rc1 Ba2 67.Rd1 Be6!




[
まず、ポーンを1つ取り返します。68.Rh168...Bd5+ があり、69.e4 Bxe4+ 70.Nxe4 Rxe4はドローのルークエンディングです。ここからこのゲームが始まる前から応援して下さった方々の精神的な後方支援もあり、2ポーンダウンから1ポーンアップ(!)へ奇跡の大逆転が起こります。] 68.Rf1+ Kg7 69.Rf6 Bxh3+ 70.Kf3 Bg4+ 71.Kf4 Bc8+ 72.Ke5 Rg4 73.Ne4 Bb7 74.Rf4 Rg1 75.Nd6 Rxg5+ 76.Ke6 Bd5+ 77.Kd7 Re5 78.Ne8+ Kh6 79.Nc7 Bg2 80.Rh4+ Kg5 81.Rh2 Bf3 82.Ne6+ Kg4 83.Nf4 g5 84.Nh3 Rxe3 [気をつけなければいけないのは、84...Kg3 85.Nxg5 Kxh2? 86.Nxf3+] 85.Nxg5 Kxg5




[
ここから50手以内に白キングをメイトにするor白ルークを引き抜けば黒勝ちです。明確な勝ちの手筋を覚えていたわけではありませんが、白キングをコーナーに追い詰めるように指します。] 86.Kd6 Kf5 87.Rh8 Rd3+ 88.Kc5 Bg4 89.Kc4 Rd7 90.Re8 Bh5 91.Re1 Rd8 92.Kc5 Bf3 93.Kc4 Be4 94.Kc5 Ke5 95.Re2 Rc8+ 96.Kb6 Rc1 97.Rh2 Bd5 98.Rh5+ Kd6 99.Rh6+ Be6 100.Rh5 Rc6+ 101.Kb5 Rc3 102.Rh4 Rb3+ 103.Rb4 Rc3 104.Rb2 Bd5 105.Kb4 Rc8 106.Rh2 Ke5 107.Rh4 Be4 108.Kb5 Kd4 109.Kb6 Rb8+ 110.Kc7 Rb7+ 111.Kd6 Rb6+ 112.Kd7 Rg6 113.Rh5 Bd5 114.Rh4+ Be4 115.Rh5 Bf3 116.Ra5 Bd5 117.Kc7 Rh6 118.Kd7 Ke5 119.Kc7 Rh7+ 120.Kb6 Kd6 121.Ra7 Rh8 122.Rg7 Rb8+ 123.Ka6



 

[ここで小島くんが声を上げたので、メイトがあるのかなと思って見てみると、白の時間が落ちていました。実際はここまで来ると黒勝ちで、123...Kc5 124.Rh7 Rb1 125.Ka7 Ra1+ 126.Kb8 Ra8+ 127.Kc7 Ra7+で強制的にルークを引き抜いて勝ち。50手ルールにも引っ掛かりません。人生最長手数となったこのゲーム、内容はどうにせよ、大きな勝利です。] 01

 

10R終わって池田くんが8.5P、小島くんが7.5P。池田くんは最終ラウンド、負けても優勝。小島くんが同時優勝するのはかなり難しい状況です。

 

まずはいち早く全日本チャンピオンに輝いた池田くん、おめでとう!


全日本選手権2013 -4日目-

今日もタフなゲームでした。負けることはない、リスク・フリーなゲームを指し続けているので、いまいち決め手に欠けます。今日もキングとクイーンを動かしまくり、何とか1.5ポイント獲得です。

 

7R 薄葉くん(1883N.R.))½-½ 馬場(2235 English

8R 馬場(22351-0 三ツ矢さん(1894N.R.)) Queens Gambit Declined

 

今日は、会場にGM Nielsenが現れたため、夜は彼を交えて食事会。帰ってきたのは23:30を超えていました...

 

明日は小島戦です。頑張ります。 


全日本選手権2013 -3日目-

全日本選手権は2日目を飛ばして3日目です。今日からようやくプレー開始です。

 

5R 高月さん(1636N.R.)) 0-1 馬場(2235 Alekhine

6R 馬場(2235½-½ 馬屋原くん(2045N.R.)) Ruy Lopez

 

実は5Rはミスペアリングで、本来であれば3,4Rbye1R開始後の申請なので0ポイント扱い)はペアリングを組む時には1/2ポイントと扱わなければいけないのでした。(ちゃんとルールに明記されていました。) ですので、5R1ポイントグループの人とではなく、2ポイントグループの人と当たらなければいけないはずでした。このミスペアリング方法は、6Rのペアリング時には直りました。

 

馬屋原くんとは93手のロングゲームの末、ドロー。ゲームの早い段階でメジャーピースエンディングとなったため、両者、キングとクイーンを動かしまくりました。

 

【キングとクイーンを動かした手数】

白キング:26手  白クイーン:28

黒キング:31手  黒クイーン:31

 

大会は小島くんが6連勝で独走していますが、明日は池田-小島戦があります。今晩、惇多くんは小島邸に宿泊とのことですから、2人は「気まずいルームメイト」。

 

明日からゴールデンオープンも始まり、賑やかになりそうです。


全日本選手権2013 -1日目-

全日本選手権は初日から波乱の模様。まずは昨年の優勝者の南條君に早くも土が付きました。また、暁さんが中村尚広くんに負け。優勝候補同士の対戦となった惇多くんとAlexのゲームはドロー。

 

運営面では、ペアリングで色々と問題発生したとのこと。先行き不安です。

 

私自身はもう2Rbyeを追加し、5/3から参戦することにしました。R.3R.4byeR.1が始まってから申請したbyeですので、0ポイント扱いです。1P/4R5Rを迎えることになりますが、終わりのほうには何とか浮き上がれるようにプレーしたいと思います。


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