Khanty-Mansiysk Olympiad Review (14)

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Yamada Kohei

 

 

最後に

 

オープンセクションはウクライナが悲願の優勝を果たしました。前回大会で最終ラウンドを負け、表彰式に現れなかったIvanchuk6連勝でチームが勢いに乗り、10Rでフランスを3.5-0.5と圧倒しそのままゴールイン。終始大会をリードした印象でした。地元ロシア12位と面目を保ち、3位にはイスラエルが入りました。ひそかに僕が応援していたハンガリーは競争相手イスラエルに負けたのが大きく4位。5位、6位は中国、アルメニアと前回大会の入賞チームが入りました。大会前半好調だったベトナムはグルジアに0.5-3.5と圧倒され、以降やる気がなくなったのか(?)引き分けが続き最終ラウンドでイランに負かされ52位に沈みました。

 

また何と言っても話題になったのは47位(121位から!)に入ったザンビアでしょう。まさか我々もザンビアがここまで上がるとは夢にも思いませんでした。最終ラウンド、勝ちが見えたところでプレイングエリアを歩きまわっていたときに、ザンビア−トルクメニスタン戦を見に行ったのですが、ちょうどKelvinがリザインしたところだったので、後でそのマッチに勝ったと知ってびっくりしました。

 

札幌チェスクラブ出身(!?)のGM Anish GiriBoad 4でパフォーマンス3位。彼がBoad 4というチーム構成もなかなかすごいですが、KarjakinEfimenkoに続く成績でのボードプライズでまた株を上げたといっていいでしょう。ボードプライズでやや驚きだったのは地元ロシア2の若手GM Ian NepomniachtchiBoad 13位入賞したことでしょうか。1990年生まれのプレイヤーですが最近頭角を現してきて12月のRussian Superfinalで優勝を果たしました。個人的には今注目のプレイヤーです。またBoad 26.5/8でパフォーマンス2895Sutovsky1位。Gelfandがおとなしかった分、活躍が目立ちました。ドレスデンでは若手に代表の座を譲りましたが、今大会で改めて存在感を見せつけた格好です。

 

ウーマンセクションはHou YifanJu Wenjunの調子がよく中国優勝もあるかと思っていたのですが、ふたを開けてみればロシア1の圧勝でした。地元ということもあり負けられないプレッシャーの中、パーフェクトスコアでの優勝です。閉会式でも一番盛り上がったのは女子の表彰の瞬間でした。しかし世界女子選手権で大活躍したRuan Rufeiはこのときメンバーに入ってなかったわけですから、中国の層の厚さも侮れません。次のイスタンブールは優勝候補筆頭でしょう。強豪グルジアは、タイブレークでキューバ、アメリカ、アゼルバイジャンなどを上回って3位入賞でした。

 

ボードプライズはKosintseva姉妹が独占。Boad 12で勝率70%超えという驚異の勝率でした。個人的には日本チームの部屋の向かいだったラトビアのBoad 3WGM Berzina Ilze9.0/11で入賞していたのに驚きました。メンバーをみるとBoad 3はかなり激戦区だったようですね。

 

日本は男子が96位、女子が104位。女子のほうは初出場のメンバーが二人おり、経験不足から苦戦した感はありますが、次回大会ではぜひその二人がチームの中心となって戦ってほしいと思います。男子のほうは言い訳できる戦績ではなく、前回大会の成績を大きく下回ったことも含め、反省しなければならないことはたくさんあると思います。実際に戦ってみて、ヨーロッパ、アメリカのレベルはまだ遠く、急成長するアジア、アフリカのレベルも決して無視してはいけないところまで来ているということを感じました。

 

今回、オリンピアードに出場したことで、技術的に吸収したものはたくさんあります。オープニングレパートリーの構築、準備から中終盤のプランの組み立て方、読みの技術など数え上げればきりがありません。しかし何よりも収穫だったのはチェスに対する意識が大きく変わったことでしょう。個人レベルでいえば、やはり22002300クラスの相手は倒しに行き、2400+からはしっかりドローを取る。そういうことを普段のトレーニングの時から意識する必要があるということを痛感しました。また今大会は日本のチェスがヨーロッパやアジアのレベルに少しでも近づくために、何をしなければならないか、ということを考えるきっかけにもなりました。この問いに対する答えはまだ見いだせずにいますが、これは僕だけの問題ではありませんから日本のチェスプレイヤーのみなさんとともに考えていこうと思っています。ドレスデンでの躍進と、今大会での不振を糧に、イスタンブールの日本チームにはライバル国に引けを取らない戦いをしてほしいと思います。2年あれば日本のチェスのレベルはもっと上がると信じています。

 

最後になりましたが、この場を借りて感謝の気持ちを述べさせていただきたいと思います。

 

まずは大会中、技術精神両面からチームを支えてくれたコーチのMisha、一生懸命応援をくれて心の支えとなってくれた通訳のアーニャ、そして日本で(あるいは海外で)我々を応援してくださったチェスファンのみなさん、本当にありがとうございました。

 

また今回、オリンピアードのレポートを書くきっかけを与えてくださった神田さん、アップロードの場を提供してくれた馬場さん、ありがとうございました。このレポートが日本チェス界の発展に少しでも役立ってくれれば、これ以上の喜びはありません。

 

そして2週間をともに戦ったチームメイトのみなさん、ありがとうございました。また海外で一緒に戦える機会が来るのを楽しみにしています(ほんとは一人一人にコメントもらおうかと思ったのですが、流石に無茶ぶりがすぎるので、やめましたw)。

 

最後に長々と駄文に付き合ってくださったこのレポートの読者の皆様、お付き合いいただき本当にありがとうございました。毎回悩みながらのレポートで、勢いだけで乗り切った感はありますが楽しんでいただけたなら幸いです。

 

20111月 山田弘平



Khanty-Mansiysk Olympiad Review (13)

WRITTEN BY

Yamada Kohei

 

Day 11

 

今大会、日本チームは全体的に良い成績を残せず、後半の3連敗を喫したところでは日本で応援してくださっている皆様に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。せめて最後は2連勝して帰りたいというところで、Mishaのミスがあり塩見さんが出場できず、代わりに僕がケニア戦の3番ボードを務めることになりました。そんな背景もあり、このゲームは今大会で一番本気でプレパレーションしました。試合前日の深夜まで相手の使うラインから指す予定のライン、指し手の傾向までしっかり頭に入れて挑みました。

 

Yamada Kohei (2071,JPN)

Mukabi John (2074,KEN)

Khanty-Mansiysk Olympiad Men (11)

 

1.e4 e5

 

予想通りの2手目です。彼のメインラインはe6SicilianPetroffでした。Sicilianの場合はこちらが望めばSveshnikovにトランスポーズすることが分かっていたので、Sveshnikov対策をしていました。ただ今オリンピアードでのチョイスから考えて、1…e5の可能性が高いだろうと考えていたので、こちらをメインに対策を立てていました。

 

2.Nf3 Nf6 3.d4 Nxe4 4.Bd3

 

プレパレーションの段階では4.dxe5も考えていましたが、Mishaとも少し話してこちらにしました。確実に勝てそうなラインが見つからなかったことと、何よりこのオリンピアードではシャープなラインよりもポジショナルな感覚が要求される局面を優先的に選んできたということがあります。棋譜を見て実力は間違いなくこちらが上だと思っていたので、力の差が出やすい局面にもっていきます。

 

4…d5 5.dxe5 Be7 6.0–0 0–0 7.c4!




Misha
推奨の手です。すぐにセンターに反撃することで、黒の展開の遅れをつきます。

 

7…Be6?

 

7…c6 8.Qc2が前日に準備していた手順でした。流石にd5をビショップで支える手は考えに入っておらず、ここから自力で考え出します。

 

8.cxd5! Bxd5 9.Qe2!?

 

この場合ぶつかったポーンはすぐに取ります。ビショップで取ろうがクイーンで取ろうが、Nc3と指されると引く必要があるので、その分他のピースの展開が遅れます。

9手目は悩んだところで、9.Qc2 f5 10.Rd1 Nc6 11.Bc4 Nb4 12.Qb3 c6の局面で指す手が分からず切り捨てましたが、普通に13.Nc3くらいで十分でした。

 

9...Nc5 10.Bc2 Qc8?

 

7手目に続く衝撃の一手です。Rd1をあらかじめ避けたのでしょうが、そんなことをしている暇はありません。10…Nc6ととにかくピースを展開しにいくところでしょう。

 

11.Nc3 Be6!?

 

僕の読みは11…Bxf3 12.Qxf3 Nc6でした(正確には12…c6でしょう。12…Nc6には13.Nd5!があります)。スペースが足りないところでビショップを引くのは駒組みに苦労しそうです。

 

12.b4!




白としては
e4のマスが自由に使えるようになれば攻めの好形を築くことができます。そのため、ナイトを中央から追い出します。さらにb2にビショップのためのマスを作り、ダブルビショップを働かせることができます。

 

12…Nca6?!

 

12…Ncd7 13.Bg5! Re8 14.Bxe7 Rxe7 15.Ng5 g6 16.Rad1+/-が僕の読みでしたが、コーヒーを取りに行って戻ってくると指されていたのはこの手でした。

 

13.a3!

 

この手によってa6のナイトが戻ってくるには、c6Nc7と二手使わなければならなくなりました。スペースアドバンテージおよび駒の展開の差から白の優勢がはっきりしました。

 

13…c6 14.Nd4 g6




この局面がオリンピアードの自分のゲームで、一番印象に残っている局面です。この局面で長考に入ります。最初は
15.f4で普通に優勢だろうと思ったのですが、15.f4 Bg4 16.Qf2 c5は少々面倒なことに気がつきました。Bg4は面倒なので15.h3?!を次に考えましたが、15…Rd8と指されてc5という反撃も残ります。ダメなのは15.Ne4?15…c5! 16.bxc5 Nc6はやや良しながら、黒もピースが展開できるので少々楽にさせてしまうでしょう。

 

最初は良い手が見えず焦りました。20分ほど局面を眺めて、仕方ないので15.f4を指そうかなと考え始めたころ、ふとある手が見えました。

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Khanty-Mansiysk Olympiad Review (12)

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Yamada Kohei

 

Day 10

 

男子チームは3連敗を喫し、この時点でスタート順位を大きく上回ることはできなくなりました。スタート順位はチームメンバーのレーティング平均で決まるため、2000そこそこしかない僕の成績がチーム浮上のカギになるはずでした。3番ボードを自ら引き受けておいて、結局勝負どころでポイントを落としたという事実に、責任を感じていました。最終日は局数的に僕が欠場し、塩見さんが出場することがほぼ確定だったため、10Rのボツワナ戦が僕の最後のゲーム(になる予定)でした。

 

前回大会でも男子は10Rでボツワナとあたっており、IMノームがかかった小島がNjobvuに負かされたものの他を全部勝って31勝ちでした。プレパレーション段階ではNjobvu-Yamada戦を負けなければ勝つだろうと思っていました。

 

実際試合は小島が終始リードし、完勝。龍二さんも時間切迫で若干ふらつきながらも勝ち。しかし最後の0.5Pを奪うのはなかなか大変でした。僕は序盤でうっかりポーンを取られたものの、相手の指し手がぬるくすぐに完全ドローの局面に。周りの形勢をみてドローオファーしましたが、相手は全く受けてくれません。最初はチームのためかと思っていたのですが、対局後にNjobvuが言うには勝てばFMだったとのこと。最後まで勝ちを狙いに来たため、最後は僕にチャンスが生まれましたが(Misha曰く「山田さんが勝ちに気付くよう、念をおくるべきだった!」)、隣の南條のゲームを見て何も考えずドローにしました。その南條のゲームは100手を超える激戦でした。

 

Nanjo Ryosuke (2257,JPN)

Oatlhotse Providence (2213,BOT)

Khanty-Mansiysk Olympiad Men (10)

 

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.e3 Bf5 5.cxd5 cxd5 6.Qb3

 

南條が得意とする形です。彼の4.e3には僕もだいぶ負かされました。

 

6…Qc8 7.Bd2 e6 8.Bb5+ Nc6 9.0–0 Bd6 10.Bb4!

 

このラインの急所となる一手です。黒のマイナーピースの中で一番働きそうなd6のビショップを消します。

 

10…Qc7 11.Nbd2!?N




11.Qa3 Bxb4 12.Qxb4 Qe7 13.Qxe7 Kxe7 14.Bxc6 bxc6 15.Ne5!? Benjamin-Christiansen, USA-ch fin Chandler(1) 1997
という変化があり、これは白を持っていて悪い気はしませんが、黒としてもNd7c5という反撃がありイコールでしょう。僕はこの局面で白を持つことはほとんどありませんが、11.Rc1!? 0-0 12.Bxd6 Qxd6 13.Bxc6 bxc6 14.Qa3! は黒から見ていやな順だと思います。いずれにせよこの局面で白がe4をつくことはあり得ないので、ナイトはc3a3を目指すのが普通でしょう。

 

11...0–0 12.Bxc6 Bxb4!?

 

素直に12…bxc6と応じるべきでしょう。12…bxc6 13.Bxd6 Qxd6 14.Rac1 Nd7でやや指しづらそうな気もしますがイコールです。Nb3Nc5c5のマスを抑えられる可能性を与えるのは、黒からみてやりたくありません。

 

13.Qxb4 Qxc6?!

 

Slavプレイヤーの感覚からするとここは13…bxc6と取ってc5突きを狙う一手です。特にこういった変化ではb7のポーンはターゲットにしかなりません。

 

14.Rfc1 Qa6 15.Rc3

 

15.Ne5 Rac8 16.f3!でもOKです。

 

15...b6 16.Rac1 Rac8 17.a3 Rxc3 18.Qxc3

 

ここでcファイルを制圧し、黒からのクイーンサイドへの反撃はなくなりました。黒はキングサイドで勝負を仕掛けます。

 

18.Qe2 19.h3 h6 20.Ne5 a5 21.f3!




南條らしい冷静な一手で、
f6ナイトのためのマスを奪っていきます。最初に隣を見たときこの局面になっており、e2のクイーンをみて一瞬ぼこぼこになっているのかと思い焦りましたが、よく見ると黒の攻撃は手になっていません。

 

21…h5!?

 

しかし相手もひねり出してきます。狙いはh4Nh5Ng3です。これを食らっては優位が消えてしまうので…

 

22.h4!

 

当然受けます。このあたり隣で見ていた僕は(そしておそらく小島も)南條のゲームを勝ち勘定にいれました。

 

22…g5?

 

追い詰められての勝負手ですが、流石にやりすぎです。22…g6 23.Nf1 Qb5 24.Ng3で白優勢ですが、実戦ではまだまだです。

 

23.hxg5+- h4 24.Nf1

 

ここは派手に24.Ndc4!! Nh5 (24…dxc4?! 25.Re1 Qc2 gxf6+-) 25.Re1 Ng3 (25…Qc2 26.Qxc2 Bxc2 27.Nxb6+-) 26.e4! dxe4 27.fxe4 Bg6 28.Nxb6+-という勝ちがありました。

 

24...Nh7 25.Qd2 Qxd2 26.Nxd2 Nxg5 27.Nd7!




本譜でも
b6ポーンを落とし簡単に勝ちのように思えますが、ここから相手がいい粘りを見せ、少しずつ局面が複雑になっていきます。

 

27…Rd8 28.Nxb6 Kg7 29.Kf2!?

 

29.Nb3 Rb8 30.Rc6!ならばわかりやすかったでしょう。

 

29...Rb8 30.Na4 e5!

 

ここで鋭い反撃がきました。黒はマイナーピースを働かせないことには粘りようがありません。30…h3!? 31.g4 Bd3 32.b3+-は黒ピースがばらばらで白が悩むところはありません。

 

31.dxe5 Bd7 32.b3 Bxa4 33.bxa4 Rb2 34.Ke1?!

 

本譜は黒のルークが強力になり難しくなりました。この局面も難しいですが、34.Ke2ならばまだ優勢を保てていたでしょう。

 

34...Ne6!




ここで
d4がスレットになり、急に忙しくなりました。

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Khanty-Mansiysk Olympiad Review (11)

WRITTEN BY

Yamada Kohei

 

 

あけましておめでとうございます。

 

2010年はカペル、オリンピアード、アジア大会出場と、僕自身にとっては貴重な経験を積む良い一年になりました。逆にそれを活かそうとするあまり後半はフォームを崩してしまい、思うようなチェスが指せませんでしたが、それもまた強くなるためには必要なことかと思います。今年の目標はまだ考えていませんがw、学生チャンピオンの座を要君に明け渡してしまったこともあるので、全日本クラスのタイトルを狙いに行きたいと(ひそかに)考えています。

 

また昨年は吉祥寺チェスクラブ設立があり、上智、早稲田など各大学でチェスの活動が活発化したこともあるので、(僕らの世代よりもさらに)若い世代の育成などにも少しずつかかわっていけたら、と思います。何はともあれ、今年もよろしくお願いいたします。

 

さて、昨年のベストゲームは?と聞かれると、自分で納得いく答えがなかなか見つかりません。勝ってもミスの目立つ試合だったり、良い内容でもブランダーで負けたりとなかなか安定しないゲームが多かったためです(しいて挙げるならちょうど一年前のYamada-Nanjo 学生選手権でしょうか)。そんな中で今回紹介するゲームは、結果は別にして、今の自分の実力がそのままでたゲームではないかと考えています。

 

Day9

 

チームは2連敗。後がなくなりました。9Rの当たりはナイジェリア。トップボードの2200台以外は全員レート無し。ここで勝って上のボードに上がらなければならなかったのですが…。

 

まず試合前のことです。3時試合開始なので、われわれは毎日ホテルから2時のバスに乗っていました。僕と小島は12時半ころに昼食を食べに行き、先に食べ終わった小島はプレパレーションのため部屋に戻りました。1時頃に僕が部屋に戻ると小島の姿がありません。どこ行ったのかと首をひねっていると、突然バスルームから音が…。

 

どうも鍵が開かなくなってしまい、バスルームに閉じ込められてしまったようです。外側からあくかと試してみますが、鍵そのものが役に立たなくなったらしく、全く開きません。とりあえず下に降りて行きフロントに事情を説明すると、人をよこすから待っていろ、との返事。上に戻ると日本チームはみんなにやにやしながら小島と会話しています。Mishaも「No problem!」とまったく気にしていない様子で、MさんとKさんはなぜか写真撮影まで。なんでもいいけど電気を消すのはひどいんじゃないか…。

 

結局20分後(!)に工具を持ったおじさんがドアを破壊し、小島は試合1時間前に救出されたのでした。


 

Yamada Kohei (2071,JPN)

Ajibowo Olamide (UR,NGR)

Khanty-Mansiysk Olympiad Men (9)

 

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6 6.Bc4 e6 7.Bb3 Nbd7 8.Bg5 Nc5 9.f4 Be7 10.Qf3 Qc7 11.0–0–0 Nxb3+ 12.axb3 0–0 13.Rhe1 b5




またしても
Sicilianです。馬場さんも言っていましたが、海外大会ではSicilian遭遇率が跳ね上がります。この試合、前ラウンドまでの反省を活かして序盤にはあまり気を使わないことにしました。棋譜をチェックした相手の印象は、中盤のタクティカルな局面は強いが、それ以外、特に終盤の力はあまりない、という感じでした。しかし彼が先攻したゲームは白黒関係なしに優勢になっていたので、こちらから仕掛けを狙いに行きます。

 

14.e5 Bb7 15.Qg3 dxe5 16.fxe5 Nh5?!

 

正直この仕掛けには自信がありませんでしたが、この手には驚きました。16…Ne8以外の手が飛んでくるとは思っていなかったからです。

 

17.Qg4 Bxg5+ 18.Qxg5 g6 19.Ne4?

 

このあたりは時間を使ったにも関わらず、少々楽観気味でした。19.g4! Ng7 20.h4は局後南條に指摘された手で、こちらのほうが強力だったでしょう。このあたりは「このゲームは意外と早く終わるのではないか」と思っていました。

 

19...Bxe4 20.Rxe4 Rac8 21.c3

 

このあたりから自分の形勢判断が少々甘いことに気がつきました。長い時間をかけてアタックを考えましたが、なかなか決まりません。最初はRh4g4Qh6が早そうなので、白が良いかと思っていましたが、黒からRd8Rd5のようにe5のポーンを狙いにいく順があり大変です。

 

21…Rfd8!? 22.Rh4!




この手はかなり時間をかけました。この手が決め手にならないことはわかっていましたが、正確にディフェンスするのは大変だろうとも思っていました。白から
Rxh5g4という手があるので、ここまで早指ししてきた相手はここで長考に入ります。僕は余裕のふりをして席を立ちました。攻め合いを目指す22…b4には、23.Rxh5! bxc3 24.Rh3! で白勝ち。かといって22…Ng723.Qh6でひどいことになるので、ここはディフェンス力が試されます。

 

22…h6!!

 

僕も読んでいた手でほとんどオンリーの受けです。この手を見てただのノンレーターでないことはわかりました。気を引き締めて席に戻ります。23.Qxh6? には23…Qxe5で、このポーンを取られるとh5のマスにきいてくるので攻撃失敗です。

 

23.Qe3 Rd5!?

 

この手も僕の読みの第一候補でしたが、23…b4!という“ディフェンス“も有力でした(23…b4 24.c4!? Qc5! 25.g4? Nf4!=)。これには24.Rh3! bxc3 25.bxc3で何もないと思っていましたが、25…Qb7! 26.g4 Rxc3! 27.Qxc3 Nf4!! 28.Qf3! Qc7 29.Nc2 Rxd1 30.Kxd1 Nxh3 31.Qxh3 Qxe5という反撃があります。ピースが足りませんが、ポーンの数が多く、キングの安全性は黒のほうが勝っています。32.Qg3! くらいで白良しでしょうが、これを勝つのは実戦では大変でしょう。

 

24.Re1?




ここもかなり時間を費やしたところですが、チャンスを逃しました。僕のプランは
e5を押さえておき、ゆっくりg4をつきにいくというものでしたが、24.Nf3!d5のルークを消しに行くのが正しい手でした。24.Nf3 Rcd8 25.Rxd5 Rxd5 26.Qxh6 Qa5 27.Kc2!で次のg4を見せて白良しです。24.Nf3自体は見えていたのですが、一時的にキングがセンターに近づくので指しきれませんでした。というよりg4が受からないのは本譜も同じだと思っていたので、危険に見えるこの手はあまり掘り下げていなかったのです。

 

24...Qd8!?

 

ここからは非常に読みの入ったディフェンスが続きます。24…Qc5 25.b4 Qe7 26.Nf3 (26.g3?! Qxb4!) 26…a5! というカウンターも読んでいましたが、27.Kb1! axb4 28.Rxb4は白がやや良さそうです。

 

25.Nf3 Kg7!

 

このあたりで相手の真の狙いに気がつきました。その上、こちらに選択肢があまりないことに気がつき愕然としました。

 

26.Kc2




この一手です。
26.g4? Rd3! 27.Qe4 Rxf3が黒の狙いなので、d3のマスをキングでサポートします。これで次のg4が受からないように見えますが…。

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Khanty-Mansiysk Olympiad Review (10)

WRITTEN BY

Yamada Kohei

 

 

Day8 -Second Part-

 

この日は女子の試合も見ていましたので、前田さんのゲームを紹介しましょう。負けたゲームですが、非常に良いゲームです。

 

Sanchez Rodriguez Wilmai (1812,PUR)

Maeda Haruno (UR,JPN)

Khanty-Mansiysk Olympiad Men (8)

 

1.e4 e6 2.d3 d5 3.Nd2 Nf6 4.Ngf3 Bb4




フレンチです。白はKIAを目指したようですが、珍しい手で返します。4...c5 5.g3 Nc6 6.Bg2 Be7 7.0-0 0-0が良くある進行です。また僕の個人的な好みはNc6-Nge7-g6-Bg7のセットアップです。Selected game 39 Vozovic-Yamada Cappelle la Grande 2010(http://chessplayer.jugem.jp/?eid=342)を参照してください。いずれの変化でも、白はキングサイド、黒はクイーンサイドで戦うことになります。

 

5.c3 Be7 6.g3 0–0 7.e5 Nfd7 8.Bg2 c5 9.d4 Nc6 10.0–0 b6 11.Re1 h6 12.Nf1 cxd4 13.cxd4 Ba6! 14.a3

 

13…Ba6はこの形でよくある飛び出しです。14.Qa4には14…Qc8 15.Bd2 b5 (15…Qb7)16.Qb3 b4で、c4のマスをコントロールしにいって黒が面白い形勢だと思います。

 

14...Na5 15.b3 Rc8 16.Bd2 Bd3!




僕が最初気付かなかった上手い手です。このようにクイーンサイドだけで戦える展開になれば黒満足でしょう。浮いた
a3b3を守るために白はいろいろ工夫する必要があります。

 

17.Bxa5 Bc2 18.Qd2 bxa5 19.Re3?

 

19.Rec1 Bxb3 20.Rxc8 Qxc8 21.Qxa5 Qc6! =/+は黒の駒がさばけていて白不満ですが、こう指すより仕方ありません。

 

19...Qb6!

 

白の弱点であるb3d4に圧力を加えていきます。フレンチのポイントを良く押さえた指し方です。

 

20.Rc3 Bh7?!

 

怖いところだと思いますが、20.Bxb3とポーンを取ってa4と突けば優勢でした。

 

21.Ne3 f6!?




この手は検討で僕が真っ先に指摘したところです。確かにフレンチで
f6を突くのはよくある反撃の一つです。たとえば「g7にビショップがいて、d4への圧力が増す」「c8のビショップがd7e8g6と使える」「f8のルークが使えるようになる」などのメリットがあれば、f6は良い手になります。


しかしこの局面では
f6を突く必要はありません。白マスビショップは十分働いていますし、黒はすでにクイーンサイドで主導権を握っているので、そちらに目を向けるべきでしょう。

実戦で21…Rxc3 22.Qxc3 Rb8! 23.Nd2 Nxe5! 24.dxe5 (24.Bxd5 Rd8!) 24…d4という順をしっかり読むのは難しいですが、大事なのはクイーンサイドに目を向けるという方針です。

 

22.Bh3?

 

22…Rxc3 23.Qxc3 fxe5がスレットになっているので(ポーンが取り返せません!)22.exf6 Nxf6 23.Rxc8 Rxc8 24.Ne5と進めておくのが無難でしょう。

 

22...fxe5 23.Nxd5 exd5 24.Bxd7?




一見上手いタクティクスでピンチを脱したようですが、先に
24.Rxc8を入れておかなければなりません。黒がf6をついたことによって、fファイルからの攻めも可能になっていますから、黒のルークはfファイルからどかさなければならないのです。

 

24...Rxc3 25.Qxc3 e4?

 

このあたり前田さんの持ち時間はすでに23分というところでした。おそらく5分あれば、彼女の力なら気付いたことと思います。正解は25…Qf6! 26.Bg4 e4!です。

 

26.Ne5 Qf6 27.Rf1 Bxa3 28.Qxa5 Qd6




黒が決め手を逃し、ここでは逆転しています。
28…e329.Qxd5 Kh8 30.f4!があってはジリ貧でしょう。そして、次の手が上手い決め手です。

 

29.Bc6! e3 30.Bxd5+ Kh8 31.Nf7+ Rxf7 32.Bxf7 e2 33.Re1 Qe7 34.Rxe2 Qxf7 35.Qxa3 Bd3 36.Re3 Bb5 37.Qe7 Qd5 38.Qe4 Qd7 39.d5 Qc7 40.Re1 Qc3 41.Qe3 Qc7 42.Rc1 Qd7 43.Qe6 Qxe6 44.dxe6 Kg8 45.Rc8+ 1–0

 

内容のいいゲームで、今日は勝つかな、と思って見ていたのですが、時間切迫もありポイントを取ることはできませんでした。今大会はこのパターンが多く、内容に結果がついてこなかったような印象があります。ですが、指し手そのものはしっかりしていますし、何より最近の努力を見れば、2年後にはきっと女子チームのポイントゲッターになってくれると信じています。


Khanty-Mansiysk Olympiad Review (9)

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Yamada Kohei

 

 

Day8 -First Part-

 

ルクセンブルグ戦の最中、40手目を超えたところで僕は自分が相当疲れていることに気がつきました。持ち時間がない中で15手近く指したこともありましたが、それまでの疲れが40手目を超えて持ち時間が増えた瞬間、どっと押し寄せてきました。長丁場の大会ですから、体調管理も大事になってきますが、慣れない土地で(特に乾燥はつらかったです)、長時間試合をするとなるとどうしても疲労は避けられません。

 

8R、バルバドス戦も非常に大事な勝負どころだったので、指したいのはやまやまでしたが、体力は最終盤に取っておこうということで、8Rは自ら抜け番を申告しました。どうも風邪をひいたようだったので、会場にはいかず部屋で寝ていましたが、1時間半ほど寝ると体調は良くなったのでさっそくパソコンをつけ、ライブゲームをチェック。女子も含めて8試合を見るのは難しいので、流れをチェックしてみるゲームを絞ります。

 

男子は開始2時間弱といったところですが、すでに小島、龍二さんが形勢を損ねています。南條は白でしたが序盤から消極的な手が続き一瞬でドロー。これをみて南條も体調が悪いのではないかと心配しました(事実、彼は39度の熱で戦っていたのだそうです。試合後は医務室送りになりました)。唯一快調に試合を進めているのは、4番ボードの塩見さんでした。

 

Shiomi Ryo (2105,JPN)

Del Castilho,Martyn (2218,BAR)

Khanty-Mansiysk Olympiad Men (8)

 

1.e4 c5 2.c3 Nf6 3.e5 Nd5 4.Nf3 e6 5.d4 cxd4 6.cxd4 d6 7.Bc4 dxe5

 

塩見さん得意のアラピンですが、少々珍しい手がやってきました。7…Nc6 8.0-0 Be7ならばメインラインに戻ります。

 

8.dxe5 Be7 9.0–0 0–0 10.Qe2 b6 11.Rd1




個人的にはこう進むなら白をもって指したいところです。黒は駒の連携が良くないので、気軽にクイーンサイドのピースを展開するわけにはいきません。

 

11…Bb7 12.Bxd5!

 

機敏な一手です。スペースの足りない黒に対して、ピースの交換を挑むのは一瞬ためらいそうですが、この交換は黒に問題を突きつけます。黒はb8のナイトを展開する上手い術がありません。

 

12…Bxd5

 

12...exd5 13.Nc3 Na6 14.Nxd5 Bxd5 15.Qxa6 Rc8 16.Be3の進行は白がやや良いでしょう。

 

13.Nc3 Bxf3??

 

いきなりのブランダーです…が、僕がライブを見始めたのはこの数手後なので、この手がブランダーだということに気がついたのは夜の検討の時でした。

 

14.Qxf3 Nd7




15.Bf4?!

 

13…Bxf3がブランダーである理由は、ここで15.Qb7!があるからです。ナイトがただです。ここからは僕の想像ですが、Del Castilhoはシシリアンプレイヤーではないか、あるいはアラピンを全く用意してなかったのではないかと思います。ライブを見ていて黒には不自然な手が目立ちました。

 

15...Qe8

 

いずれにせよd1のルークは強力で白が良いことには変わりありません。僕がパソコンをつけると、ちょうどこの手が指されたところでした。最初は変な手で驚きましたが、よく見るとこれ以外に手がありません。僕は15…Rc8くらいだと思っていたのですが、16.Qd3! Nc5 17.Qg3!で終わりです。15…Qc816.Rac1なので、Qb7を防ごうと思ったらこれしかありません。

 

16.Qg3 Kh8?!

 

根性で16...f6 17.exf6 Nxf6 18.Be5 Rc8と頑張るくらいでしょう。

 

17.Nb5!±




自然に指して優勢です。

 

17…Qd8 18.Rac1 Rc8 19.Nxa7 Rxc1 20.Rxc1 Qa8 21.Rc7 Qe4

 

黒は必死に手を作ってきます。21…Nc5という勝負手がありますが(22.Rxe7?? Qd8=/+; 22.Nb5? Qxa2 23.h3 Bd8=)22.Qf3! Qd8 23.Nb5という切り返しがあり、白良しは変わりません。

 

22.h3!?

 

キングのためにh3のマスを確保しておいて22.h4!がより正確でした。

 

22...Bc5 23.Be3?!




僕が読んでいたのは
23.Kh2!?でした。一例は23.Kh2 Qe1 24.Be3 Bxe3 25.fxe3 Qxg3+ 26.Kxg3 Nxe5 27.Nc8 b5 28.Nd6で、これなら本譜よりもキングの位置が良いエンドゲームになります。

 

23...Bxe3?

 

悪くても23…Nxe5と勝負に行くところでしょう。本譜は白の注文通りです。

 

24.Qxe3! Qxe3 25.fxe3 Nxe5 26.b4

 

26.Nc8!

 

26...g6 27.Kf1 Rd8 28.Rc8?




ここまで気持ち良い指し手が続いた塩見さんですが、この手はらしくないミスです。ルークを残して
28.Ke2のほうが勝ちやすかったと思います。ですが、僕もこの手は指すかも知れません。なぜならば…

 

28...Rxc8 29.Nxc8 Nc4 30.Ke2 b5 31.Na7 Nd6 32.Kd3 e5 33.Nxb5!?

 

白にはこのような狙いがあるからです。おそらくちゃんと黒が受けると(この局面では)成立しておらず、ドローだと思いますが、実戦的には好手だと思います。




33...Nxb5?

 

そしてこういう手をしっかり受けるのは非常に難しいところです。ここは33…e4がオンリームーブで、たとえば34.Kc3 Nxb5 35.Kc4 Nd6 36.Kc5 f5!! 37.g3 g5 38.Kxd6 f4 39.gxf4 gxf4 40.b5 fxe3 41.b6 e2 42.b7 e1Q 43.b8Qでドローです。途中ナイト取りを無視して36…f5と突くのはエンドゲームでは頻出の手筋です。本譜よりも黒の手が一手早いことに注意してください。

 

34.a4 Nc7 35.b5 f5 36.Kc4 e4 37.a5 g5

 

ちょうどここまでみて僕は別のゲームを見ることにしました。日本チームはすでに1.5Pを落としており、小島も負けそうだったのでチームとしては敗勢です。小島を応援しつつ、女子のゲームと上位国のゲームの観戦にまわります。ですが、勝負は下駄をはくまでわからないものです。このゲームにもまた、ドラマが潜んでました。

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Khanty-Mansiysk Olympiad Review (8)

WRITTEN BY

Yamada Kohei

 

 

Day7

 

7Rの相手はルクセンブルグ。日本と相対した4人のメンバーの年齢は上から47216021となかなか興味深い構成です。対局前の印象としては非常にプレパレーションしやすい相手であり(事実塩見さんのプレパレーションは的中しました)、ここを2.51.5くらいで取れれば後半戦を気持ちよく戦えると思っていました。といっても小島の相手はかなり強いので、2~4番ボードで2.5P取るつもりで挑みました。

 

僕の相手はLinster Philipe、後で知ったことですが、ワールドジュニア出場経験があり、そこで現在日本でプレーしているAmgalanbaatarさんと対戦しています。

 

本当はこのゲームを載せるつもりだったのですが、互いに悪手を連発しまくる珍ゲームとなり結局時計のたたき合いを経て引き分け。まるで今年の日本シリーズのように「長いだけでミスばかり」というゲームでは、流石に書く気が起こりません。そこで、試合のチョイスはかなり迷ったのですが、2日連続で日本の観戦者に衝撃を与えたであろう、龍二さんのゲームです。

 

Mossong Hubert (2184,LUX)

Nakamura Ryuji (2187,JPN)

Khanty-Mansiysk Olympiad Men (7)

 

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Bxc6 dxc6 5.d3 Bd6 6.h3 Ne7 7.0–0 0–0 8.Re1N




Ruy Lopez
Exchange Variationの一変化ですが、僕は8.Re1をあまり好みません。おそらく黒からf5と突かれたときに、eファイルのポーンが当たるようにしておくことで、カウンターをけん制する狙いだと思いますが、それを防ぐためだけだとしたらやや消極的です。とりあえず8.Nc3と指しておきたいところです。

 

8...Ng6 9.Nc3 Be6 10.Ne2 f6 11.Ng3 Qd7

 

黒は非常にロジカルな駒組みを続け、すでに不満はありません。いつでもNf4からc1のビショップを換えることができるので、事実上ダブルビショップの利を得たと思ってもいいでしょう。

 

12.Kh2?!

 

12.Be3が本筋です。

 

12...Rad8 13.Qe2 Kh8

 

万全の態勢を整えます。13…Nf4 14.Bxf4 exf4 15.Nf1 Rfe8でももちろん黒十分です。本譜のキング寄りはNf4の後にRg8g5を視野に入れた手でしょう。

 

14.Kh1 Rg8[14…Nf4!] 15.Bd2 c5 16.b3 Nf4

 

理想の跳ね出しです。頑張るなら17.Qf1 Rge8くらいですが、これでは何も主張するところがありません。

 

17.Bxf4 exf4 18.Nf5?




形勢が芳しくないと見ての勝負手ですが、流石にワンポーン分のコンペンセーションはありません。もっとも
18.Nf1 Bf7 19.Qd1 Bh5 20.N1h2 Rge8の展開は黒にとってわかりやすいと判断したのかも知れませんが。

 

18…Bxf5 19.exf5 Rge8 20.Qd2 Qxf5

 

ここにきて序盤で得たアドバンテージがワンポーンの得にかわりました。しかしチェスは難しいもので、ここから勝つにはまだまだテクニックを見せる必要があるのです。

 

21.Rxe8+ Rxe8 22.Re1 Qd7 23.Re4

 

23.Kg1くらいかと思いましたが、本譜はdファイルを開けてQd5と勝負しに行きます。

 

23...Rxe4 24.dxe4 Qe7 25.Qd3 g6!




正確な一手です。キングは
g7から使います。さらにNh4~Nf5のカウンターも消しており、白のf3ナイトを働かせません。

 

26.Kg1 Kg7 27.Kf1 b5!?

 

ここは激辛流で27…c6d5のマスを奪っておく手も有力でした。

 

28.Qd5!

 

ここまで来た以上当然のカウンターです。ピースが少なくなる中終盤において、クイーンは絶大な威力を発揮します。ここにクイーンが来たことで、黒のクイーンの動きが制限されます。

 

28…Qe8 29.Ke2 a5 30.c4 bxc4?!




この日の検討で問題になったところです。ここは
30…b4もしくは30…a4とすべきだったようです。黒はセンターからクイーンを使うのが難しいので、キングサイドに侵入経路を作ろうとするわけですが、aファイルとbファイル、どちらをあけるかは難しいところです。龍二さんはおそらくa8のマスが抑えられているために、bファイルを選択したのだと思います。優勢をキープするなら、30…b4と指し、aポーンを交換→Qd7c6で白クイーンを追う→Kf7Ke6Be5を狙う、という方針が考えられます。

 

しかし一つ重要な事実があります。それは「時間切迫の中では、わかりやすい手を選ばざるをえない」ということです。

 

31.Qxc4 Qb8 32.a4=

 

黒のクイーンサイドのポーンは、すべて黒マスに固定されビショップが働けなくなってしまいました。ワンポーンアップながら、ここはすでにイコールの局面です。

 

32...Qb6 33.Ne1 Qb7 34.Nd3 Qb6 35.h4 Qb7 36.Kf3 Qb6

 

はっきりとは覚えていませんが(僕はこのとき、隣で非常にシャープな局面で時計のたたき合いの真っ最中でした)、おそらく龍二さんの持ち時間は3分をきっていたのではないかと思います。そのことを考えると白に楽しみが多い局面です。龍二さんとしては、持ち時間が増えた後の勝負に賭けるしかないのですが…。

 

37.Qe6!?

 

悩ましい手です。37.Nxf4! Bxf4 38.Kxf4 Qd6 39.Ke3が成立していますが、実戦心理としてキングの近くに相手のクイーンが突っ込んでくるのは非常に嫌なものです。

 

37...Qb4??




このとき僕はあと数手で
40手というところでした。負けの局面をごまかし続け、ようやく希望が出てきたところで、突然隣から悲鳴(?)が聞こえました。

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Khanty-Mansiysk Olympiad Review (7)

WRITTEN BY

Yamada Kohei

 

 

Day6

 

6Rはネパールとの対戦。僕はIPCA戦でひどい内容のチェスを指し、抜け番も覚悟しましたが、「そろそろ白をもって指しましょう」というMishaの提案で、出場することになりました。流石にここは落とすわけにいきません。相手が格下だということもありますが、この日は2番ボードで戦う南條の、22回目の誕生日だからです!

 

Yamada Kohei (2071,JPN)

Malakar Prachand Man (1959,NEP)

Khanty-Mansiysk Olympiad Men (6)

 

1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 Qb6 6.Nb3 e6 7.Be3 Qd8!?

 

プレパレーションの段階でも、相手が何を指してくるか予測は立ちませんでした。ある程度考えられる変化は準備していましたが、流石にこの手にはショックを受けました。さほど相手は考えずにひいたので準備段階で後れを取った可能性もあります。このあたりから小考を重ね、慎重に進めていきます。

 

8.Bd3




かなり悩んで指した手です。この
8手目で方針が決まるので、いろいろな手を比較検討しました。通常シシリアンに対しては、Be2Be3のセットアップが普通だと思います。ですが、e6シシリアンは黒からBb4と指してe4のポーンを狙う手があるので、d3にビショップを出しておきセンターを支えておく手はそれほど不自然ではありません。

 

またどちらの側にキャスリングするかも重要なポイントで、激しい攻め合いを好むならば8.f3と指しておきQd20-0-0を目指す手も考えられました。キングサイドにキャスリングするにしても、本譜のようなセットアップの他に、f4Qf3を早めに決めておく手も考えられます。

 

結局一番無難そうな本譜を選択したのは、勝とうと焦るあまりひどいブランダーを指した前ラウンドのことが頭にあったからでした。

 

8…Be7 9.0–0 0–0 10.f4 d5 11.e5 Nd7 12.Nb5

 

ここもかなり時間を使ったところです。ピースの展開とキャスリングは終わったので、クイーンとルークの位置、具体的な攻め筋を考えたいところです。しかしゆっくりしていると黒はf6からセンターに反撃してきます。

 

この反撃を防ぐ手としてひねり出したのが本譜でした。ナイトでd4のマスを埋めておくことで、f6を突きづらくしようという発想です。他には12.Qh5 g6 13.Qh6として、間接的にf6突きをけん制することも可能です。いずれにせよf6がつけなければ、黒はc8のビショップをどうするか考えなければなりません。

 

12...f5 13.Kh1

 

12…f5も良く分からない手です。センターの反撃がなくなることよりも、d3のビショップの利きを止めることを優先したのでしょうが、g6がつける間は白から決定的なアタックはありません。こちらとしてはf5に反応してすぐに13.g4も考えましたが、自重します。

 

13...a6 14.N5d4 Nxd4 15.Bxd4 b6 16.c3 Nc5 17.Bc2




このあたりはあくまでゆっくり指す方針を貫きます。一手一手に時間をかけすぎたおかげで、持ち時間がだんだん無くなってきましたが、優勢になりさえすれば逃さないという気持ちでいました。白の狙いは体勢が整ったところで
g4とキングサイドに直接攻撃を仕掛けることです。そのために必要な白マスビショップはキープしておきます。黒マスビショップは交換になってもd4にナイトが来れば問題ありません。

 

17...Bb7 18.Qe2 a5 19.Qe3 Rc8 20.Rad1 Qc7 21.Nd2 Ba6!?

 

この手は意外でした。黒としても局面を打開するすべがない以上、21…g6とひたすら待つところではないかと考えていたからです。

 

22.Rg1 Kh8?!

 

この手は白にチャンスを与えます。22…Qc6 23.g4 g6 24.gxf5 exf5 25.Nf3と進めばイコールです。しかしながらこの形は白からBxf5Ng5など攻めの形がたくさんあります。こういう展開になるならば、21…Ba6は黒から飛び込む変化ではないような気がします。

 

23.g4 g6 24.Rg2

 

この手はやや不正確です。というのはすぐに24.gxf5 gxf5 25.Rg2ならば白が優勢だったからです。試合中は25…Rg8があるので深く掘り下げませんでしたが、25…Rg8には26.Bxf5!という手があります。取るとe6を突かれるのでこのビショップはとれません。以下26…Rxg2 27.Kxg2 Rg8 28.Kh1で優勢です。ですが、序盤から「アタックよりも負けない手」という方針で来た以上、24.Rg2はおかしな手ではありません。

 

24...Nd7?

 

逆に黒はここで24…fxg4 25.Rxg4 Rf7と、ポーンを交換しなければなりませんでした。このあたり白のキングサイドアタックを軽視していたようです。

 

25.gxf5 gxf5 26.Rdg1±




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Khanty-Mansiysk Olympiad Review (6)

WRITTEN BY

Yamada Kohei 


Day5

 

5日目はIPCAとの対戦になりました。上からGMIMIMとならぶ強いチームです。前日のザンビア戦で奇跡的な勝ちを収め、チームの勢いを考えれば勝てるのではないかと思いませんでしたが、そう甘くはありません。マッチは34番ボードが一瞬で負けて事実上負けが決まってしまいました。そんな中頑張っていたのは、2番ボードの南條(結果はドロー)、そして大将席でGM Lutherと戦っていた小島でした。


ANNOTATED BY

Kojima Shinya

Luther Thomas (2545,GER,GM)

Kojima Shinya (2334,JPN,FM)

Khanty-Mansiysk Olympiad Men (5)

 

1.e4 c6 2.d4 d5 3.Nd2 dxe4 4.Nxe4 Bf5 5.Ng3 Bg6 6.h4 h6 7.Nf3 Nd7 8.h5 Bh7 9.Bd3 Bxd3 10.Qxd3 e6 11.Bd2



 

Caro-Kann Classicalのメインラインでは、ここが一つの分岐点だと思います。11.Bf4 に対しては、11…Qa5+ 12.Bd2 Qc7 として11.Bd2に手順前後させる変化が主流でしたが、11…Qa5+ 12.Bd2 Bb4!? 13.c3 Be7 14.c4 Qc7 c4を突かせ、ショートキャスリングする変化も現在流行っています。Lutherは非常に経験豊富なドイツのGMであり、11.Bd2,11.Bf4の両方を指します。

 

11…Ngf6 12.0–0–0 Be7

 

私はショートキャスリングを好みます。12…Qc7 からロングキャスリングをしても黒は何ら問題ありません。

 

13.Kb1 0–0 14.Ne4 Nxe4 15.Qxe4 Nf6 16.Qe2 Qd5 17.Be3!?

 

17…Qe4からクイーン交換を避ける狙いです。私はちょうど16手目までのポジションを、3週間前にマレーシアで持っていました。17.Ne5 Qe4 18.Qxe4 Nxe4 19.Be3 Rfd8 20.g4 c5 [20...Rac8!?] 21.f3 cxd4 22.Bxd4 Bc5 23.Bxc5 Nxc5 24.c3 Kf8 [24...f6!?] 25.b4N Na4 26.Kc2 b5 27.c4 bxc4 28.Nxc4 Ke7= Xu Yuhua-Kojima Shinya, Malaysian Open 2010

 

17…Bd6!?

 

GM Schandolffの本に書いてあるのはここまでであったため、ここから自分の頭で考え始めます。この手の狙いは、白が17.Ne5とすぐに入ってこなかったことを見て、e5のマスを抑えることにあります。

 

18.Nd2

 

Caro-Kann Classicalで黒がショートキャスリングした際、最も怖いのはg4-g5からgまたはhファイルを開かれることです。18.Nd2はその準備になっており、黒はこれに備えなければいけません。

 

18…Qb5!



 

重要なディフェンスの一手です。白のキングサイドアタックを緩和する方法として、クイーン交換は非常に有効でしょう。

 

19.c4

 

19.Qxb5?! cxb5と進めば、黒はd5のマスをコントロールし、ナイトを安定させることができます。

 

19...Qf5+

 

これが18…Qb5のさらなる狙いです。白にc4を突かせf5でチェックを入れることで、白にg4を突かせません。

 

20.Ka1 b5!

 

このようなポーンストラクチャーで有効な手です。c4のポーンを消すことができれば、やはりd5をナイトのマスとして活用できます。

 

21.c5 Be7

 

18…Qb5と同様に時間をかけて指した手です。最初の考えでは21…Bc7と退いて、b8-h2のダイアゴナルをキープし、e5,f4を抑え続けるつもりでした。しかし、将来的なg4-g5に備えるのであれば、ディフェンスを重視した21…Be7もありだと考えました。

 

22.f3 Nd5

 

悪い手ではありませんが、黒はより強力な手を逃しました。22...Qc2! と白陣にクイーンを突入させておいてからd5にナイトを跳ばせば、黒が指しやすかったでしょう。

 

23.Ne4!



この局面ではビショップを生かすよりも、黒クイーンが
c2に侵入することを防ぐほうが重要です。加えて、私はd5にナイトを置くことばかりに捉われ、白のナイトもe4でよく働くことを見落としていました。

 

22…e5 24.g4

 

クイーンを追い払うと同時にh5を守ります。h5のポーンはエンドゲームで弱点となりうるため、このように守っておくアイディアはシンプルですが効果的です。

 

24…Qe6 25.dxe5 Qxe5 26.Bd4 Qe6 27.Rhe1 Bh4 28.Bf2 Nb4 29.Nc3

 

Luthera2を守るために、迷わずクイーン交換を選びました。残り時間が少なく、白の中央突破からのアタックを警戒していた私には、このクイーン交換はありがたく思えました。(実際、黒はさほど大きな問題を抱えていません。)しかし、ここからベテランGMとの経験の差が現れます。

 

29…Qxe2 30.Rxe2 Bxf2 31.Rxf2 a5

 

これは白にa3-b4を突かれることを防ぐ手です。c5を守られてしまっては、d6,c6に弱点を抱える黒が苦しい展開となります。

 

32.Rfd2 Na6?!



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Khanty-Mansiysk Olympiad Review (5)

WRITTEN BY

Yamada Kohei

 

 

Day4 -Second Part-

 

少し時間が空いてしまいましたが、4日目の続きです。僕の相手は2200台でしたが、ここまで、それほど内容が良くなかったようなので、勝つチャンスは十分にあると考えていました。

 

Chumfwa Kelvin (2224,ZAM)

Yamada Kohei (2071,JPN)

Khanty-Mansiysk Olympiad Men (4)

 

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nc3 dxc4 4.Nf3 Nf6 5.a4 Bf5 6.e3 e6 7.Bxc4 Bb4 8.0–0 0–0 9.Nh4 Bg4

 

メインラインは9.Qe2ですが、9.Nh4も悪くない選択です。黒の応手は本譜のように白のキングサイドを乱しておくか、おとなしく9…Nbd7 10.Nxf5 exf5 11.Qc2 g6e4のマスをコントロールし続けるかのどちらかです。

 

10.f3 Bh5 11.g4 Bg6 12.Nxg6 hxg6 13.Qb3 Qe7

 

実戦は白のキングサイドを乱して戦う方針を選びます。下手をするとそのままつぶされる可能性もありますが、うまく立ち回ることができればキングサイドの伸びすぎをとがめることができます。力が試されるところですが、相手の悩みの種は多いほうがいいだろうと判断しました。

 

14.g5

 

14.e4 Nbd7 15.Bg5には15…e5!と反撃されるので、ナイトを押し込めておくのは悪くない選択だと思います。

 

14...Nd5 15.e4 Nb6 16.Be2 a5!?N




このゲームで僕は序盤から小刻みに時間を使っていました。そのほとんどはこの手への評価に使いました。
Slavの考え方の基本はセンターにどう反撃するかです。このa5の意図はb4のビショップをポーンとNa6で支えておき、Nd7e5(あるいは単にe5)とセンターに反撃するというものです。さらには白からのa5も一時的にではありますが、消しています。ダイレクトにセンターに反撃するなら16…c5 17.dxc5 Bxc5 18.Kh1 Nc6 19.a5 Nd4! Polugaevsky–Torre,TolucaInterzonal 1982もありますが、どちらが勝るかは難しいところです。

 

17.Na2 Na6 18.Be3

 

18.Bxa6には18…Rxa6!と取り返すことができます。

 

18...Nd7 19.Rac1 e5!

 

ここでセンターへの反撃です。

 

20.Nxb4

 

20.d5?!には20…Bc5! 21.Kh1 cxd5 22.exd5 Bd4!を用意していました。白にはg5d5b2と守るべきポーンが多く、次のNac5にも備えなくてはなりません。23.Bxa6!?には23…bxa6!で次にRab8とさせれば黒大成功です。

 

20...Nxb4 21.dxe5 Qxe5 22.Rfd1 Rad8 23.Rd2 Qe7! 24.h4

 

黒はルークにひもをつけつつ、g5を狙います。もし23.Rcd1?!ならば23…Nc5!です。次の手にもかなり時間をかけました。

 

24...b6!

 

Nc5の準備です。この手を指して手ごたえを感じました。相手はダブルビショップを持っていますが、いい使い途が見当たりません。

 

25.Kg2 Nc5 26.Bxc5 bxc5=




相手はアフリカの選手にしては珍しく、長考を繰り返していました。こちらも序盤の小考があったので、時間に関してはお互いさまでしたが、ここまでのところ相手の読みを上回っている自信はありました。しかし、周りを見渡すと思ったほど景色がよくありません。悪くなかったはずの塩見さんがだんだん押し込まれており、小島、南條もどうやって勝つのかわからない局面になっています。僕の局面も悪くないとは言え、勝つほどのチャンスがあるわけではありません。

 

27.Rcd1 Rxd2 28.Rxd2 Rd8 29.Qd1 Rxd2 30.Qxd2 Qe5

 

ルークを2枚換える間に2度の小考を挟んで、持ち時間の差はほとんどなくなりました。後10手はラピッドチェスを覚悟しなければなりません。

 

31.Bc4 Qd4 32.Qe2

 

普通ならこのあたりでドローを考え出すところです。上相手に黒ならここでオファーしてドローでも十分なはずですが、どうやらこのまま進むと14番ボードで1.5Pは取られそうだという結論に達しました。次の手はかなり悩みましたが、手数と相手の持ち時間を見て勝負を仕掛けることにしました。

 

32…Kf8!?

 

白の将来的な狙いであるh5g6をあらかじめ外しておいた…というのは建前で、実際の狙いはキングサイドのポーンを突くために、キングをb7b6まで持っていこうというものです。相手に持ち時間があるとまずいですが、相手はこの構想をとがめるだけの時間を持っていません。下手に咎めようとクイーンが動くと、その瞬間に黒のクイーンも白陣に入ってきます。そして僕がこの手を指したもっとも大きな理由は、相手が「中終盤のタクティカルな局面では安全な手を優先させる」ということを、事前のプレパレーションで知っていたということです。

 

33.b3 Ke7 34.Qf2 f6?!

 

キングが離れる前にf7を取られないようにしておきます。34…Qd6が普通だと思いますが、とにかく40手目に到達する前にキングを安全な場所に逃げておこうと思いました。このあたりは「どの手が正しいか」よりも「どの手なら相手が悩むか」を基準に手を選択していました。

 

35.Qg3!? Kd7?

 

もちろん悪手です。ですが、あえて指しました。すでにチームは1.5Pを落としており、南條もドローっぽいエンディングになっていました。相手の持ち時間は56分というところでしたから、勝負をかけるならここだと思いました。

 

36.Qh3+?




そしてその勝負手が通りました!チェックするなら
36.Qg4!とチェックし、36…Kc7 37.gxf6 gxf6 38.Qxg6!とやって白優勢です。しかしこのラインを選択されることはない、と確信していました。ひとつは黒のクイーンが残っているところで、白のクイーンが離れてしまうため。そしてもう一つはb4で眠っていたナイトが38…Nc2と生還するためです。実際には38…Nc2 39.Kh3!と指して問題ないのですが、時間がない中ではそう冷静に指せるものではありません。

 

36...Kc7 37.Qg3+ Kb7 38.gxf6 gxf6?! 39.Qf2?

 

そして持ち時間が2分を切ったところで「安全な手」が来ました。黒のキングはb7に逃げ込み、キングサイドのポーンはいい形で残っています。勝負手がすべて通ったおかげで、ここからなら勝ちに行けると判断しました。

 

39...Qd6 40.f4 Kb6

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