西新宿での例会は月一の恒例行事となってきました。今回の参加者は10人。9月から3回とも出ている私はだいたい基本メンバーとは当たった感じです。昨日は山本さんと大沢さんとの対戦。風邪気味で体がだるかったのですが、(山本さんも大沢さんもそんな感じでしたね?)何とか知恵を絞って指しました。
□Baba Masahiro
■Yamamoto Daisuke
西新宿 2009 (1)
1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4
「Nimzo Indianは非常にヴァリエーション豊かなオープニングだ。クローズドな展開もオープンな展開もあり、はたまた白黒逆サイドにキャスリングするシャープなセットアップもある。また、dの孤立ポーンを巡る戦い、スペースの広いor狭いポジションなどなど...」-Korchinoi
こう言われるように、Nimzo Indianは非常に面白い戦いになるため、多くのトッププレーヤーのレパートリーに必ず入っているオープニングです。しかし、私はいまいちNimzoの特徴というものが理解できていなかったので、これまでずっと手をつけてきませんでした。しかし、1.d4を指すのなら、Nimzo Indianは避けないで指してみるべきだと考えているので、実戦で少しずつ理解していこうと思って指しました。
4.Qc2 d5
Classical Variationと呼ばれている4.Qc2に対して、黒は4...d5、4...c5、4...0-0の3通りの戦い方を選べます。
5.a3 Bxc3+ 6.Qxc3 0–0
6...Ne4 7.Qc2 c5 8.dxc5 Nc6 9.cxd5 exd5 10.e3のゲームとしては、Carlsen-Polgar Wijk aan Zee 2008とCarlsen-Adams Baku 2008の2つのマスターピースが有名です。
7.Nf3 b6
つい先日のTal MemorialのMorozevich-Kramnikでは、7...dxc4 8.Qxc4 b6でした。本譜よりもこちらの方が黒として戦いやすいと思います。
8.Bg5 Bb7 9.Rc1
狙いは単純に10.cxd5です。10...exd5 11.Qxc7も10...Nxd5 11.Bxd8 Nxc3 12.Bxc7も白のワンポーンアップになります。
9...Na6?!
9...h6! 10.Bxf6 (10.Bh4?! g5 11.Bg3 Ne4は黒にとって満足な反撃) Qxf6 11.cxd5 Bxd5 12.Qxc7 Bxf3 13.exf3 Qxd4なら黒十分です。
10.cxd5 exd5
10...Nxd5 11.Bxd8 Nxc3 12.Bxc7 Nxc7 (12...Nxe2? 13.Bxe2 Rac8 14.Bf4) 13.bxc3は黒にワンポーンのコンペンセーションはありません。
11.b4
これで黒のc7-c5からのカウンターを完全に抑えました。そして狙いはシンプルにb4-b5からc7取りです。
11...c6?!
ここは11...Rc8をメインに考えていました。これに対して12.b5?! と指すと12...Nb8からc7-c6で黒はcファイルを開けて満足です。そこで12.b5?!ではなく12.e3と指す予定でした。これで白にはっきりとしたポジショナル・アドヴァンテージがあると思います。
12.Ne5± Rc8 13.Qb2!?
アドヴァンテージを拡大するために少しひねった1手です。この手のアイディアは2つあります。一つは14.Ng4のスレットを作ること。ここで13.Ng4?! だと、13...Ne4! があります。まずはこれを避けるため、ナイトの当たらない位置にクイーンを動かしました。もう一つはRc1-Rc3からのルークのキングサイドへの展開。この可能性を残すためにe3を突くのを最大限遅らせたのです。
13...h6?
Bxf6 Qxf6? にはNe5-Nd7のフォークがあるため、キングの前のポーンの形を崩すのは避けられません。しかし、これはさらに悪化させます。13...Qd6くらいが正着で、白には14.Bxf6 gxf6 15.Nf3でポーンストラクチャーの差で勝負するラインと、14.e3 Ne4 15.Bf4でダブルビショップをキープして戦うラインが考えられます。
14.Bxf6 gxf6 15.Ng4 Kg7 16.Qd2 Rh8 17.Rc3
あくまで一度描いた自分の構想を押し通そうとしました。しかし、次の黒の17...c5! からのカウンターが強いので、17.Ne3からf5にナイトを落ち着かせてしまったほうが良かったでしょう。
17...f5? 18.Ne5+-
反撃のタイミングを逃してしまったのと、e5にナイトのポストを与えてしまったため、この後は黒が苦しい展開となります。
18...Nb8
ここで黒の不安定なキングをどう攻めるか考えました。直感は19.g4だったのですが、19...f6でナイトが追い払われ失敗します。(19..f6 20 gxf5 fxe5 21.dxe5も考えましたが、決定的ではないと判断しました)そこで...f6に対してRg3+からg6のマスにナイトが入れるようにgファイルは空けておきます 。
19.h4!? Qf6 [19...Nd7 20.Qf4 +-] 20.g4!
クイーンがf6に来たので、ナイトが追い払われることはありません。キングサイドを大きく開いてアタックを仕掛けます。
20...c5
20...fxg4には21.Rg1! h5 22.Rf3! で次のRxf7+が決定的です。
21.Rf3 Rc7 22.Rxf5 Qd6?!
次のg4-g5を防ぐ22...Qe6のほうが粘り強いディフェンスでした。しかし、23.dxc5 bxc5 24.bxc5でc5のポーンを取り返せないのは黒にとって痛手です。
23.g5! cxd4 24.Qxd4!
24...Rc1+が効果的でないことを確かめ、ポーンを取り返します。24...Rc1+ 25.Kd2で白キングがこれ以上攻められることはありません。
24...Nc6?
24...Kg8なら25.gxh6でgファイルを開き、h1のルークを攻めに参加させれば白が勝つのは時間の問題です。
25.Nxc6+ 1–0
白マスビショップ、キング、h1のルークを一度も動かさなかった珍しい勝ちケースでした。