□Carnicelli,Valerio (1992)
■Baba,Masahiro (2233)
Rocca Priora 2012 (7)
旅を振り返る前に今大会のベストゲームを。相手は10歳ちょいの少年でしたが、ワールドユースなど国際大会の経験もあり、おそらくイタリアのホープの一人でしょう。実際、前のラウンドではFMからポイントを取っていました。
1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6
イタリアで3戦目のNajdorfです!
6.f3 e5 7.Nb3 Be7 8.Be3 Be6 9.Qd2 0–0 10.0–0–0 Nbd7 11.g4 b5 12.g5 b4 13.Ne2 Ne8 14.f4 a5 15.f5
ここまで両者ともほぼノータイム。互いのプリパレーション内であるのは明らかでした。ここで私は2010年のジャパンリーグでのSamuel戦で指したラインを再度試してみることにしました。
15...Bxb3 16.cxb3 a4 17.bxa4 Rxa4 18.Kb1 Rxa2! 19.Nc1!
19.Kxa2に対しては何が起こるかは、対Samuel戦の解説をご覧ください。(http://chessplayer.jugem.jp/?eid=433)
19...Ra5?
Samuel戦では、早めに黒からd6-d5でポーンを返し、ピースをフリーにするアイディアを学びました。しかしここでちょっとラインを混同していました。正しくは19...Ra8です。
20.Nb3 Ra8 21.Bc4 Nb6
22.Bxb6
ここで私は22.Bxf7+!? を恐れていました。22...Rxf7 には23.g6 Rf8 24.Bxb6 Qxb6 25.Qd5+があります。
ANALYSIS DIAGRAM
そこで突っ込んできたビショップを取らずに22...Kh8と指す予定でしたが、後で見直してみたら24...Qc8! で問題ありません。
22...Qxb6 23.f6!?
白は黒キングの前をこじ開けるためにポーンを捨てます。客観的に見れば、この手では決定的なアタックを作れませんが、黒としては非常に怖い1手です。ここはしっかり考え、このポーンは取ってディフェンスできると読みました。
23...gxf6 24.gxf6 Nxf6 25.Rdf1 Kh8 26.Qh6
26...Qa7!
f6への当たりを無視してアタックを急ぎます。27.Rxf6? には、27...Qa2+ 28.Kc2 Rac8で、29.Nd2 Rxc4+ 30.Nxc4 Qxc4+も29.Kd3 Rxc4 30.Kxc4 Rc8+も決定的です。白は黒の攻めを緩和させるためにルークを1ペア換えます。
27.Rhg1! Rg8 28.Rxg8+ Nxg8 29.Qh5 Nf6!
ここは悩みましたが、f7とe4のポーンの交換にいきました。ちなみに29...Qa2+? は30.Kc2 Rc8 31.Qxf7 Qa6 32.Kd3で黒のアタックは阻まれます。
30.Qxf7 Nxe4 31.Qd5?
ここまでレイティング以上のプレーを見せてきた相手ですが、ここで決定的なミスを犯します。次のスーパーナイトフォークから7手、心躍るコンビネーションが決まります!
31...Nc3+!! 32.bxc3 Qa2+ 33.Kc1 Bg5+ 34.Kd1 Qb1+ 35.Ke2 Ra2+ 36.Nd2
キングは捕まる運命にあります。36.Kf3 Qf5+ 37.Kg3 Bh4+!! 38.Kxh4 Rxh2+ 39.Kg3 Qh3#!
ANALYSIS DIAGRAM
36...Rxd2+ 37.Qxd2 Qe4+ 0–1
最後に間違えてはいけないのは37...Qxf1+? で、38.Kxf1 Bxd2 39.cxb4 Bxb4 40.Ke2は2ポーンアップにもかかわらず白が白マスを抑えれば黒に勝つ術はありません。
最終ラウンドをこのような勝利で飾れたのは何よりでした!