Titles of FIDE Trainers

私はずっとプレーヤーでやってきたので、FIDEのトレーナー・インストラクターの資格については詳しくなかったのですが、この際に少し調べてみました。

 

https://handbook.fide.com/chapter/B07

 

FIDEが正式に定めている高位から低位の順に

 

1.1. FIDE Senior Trainer (FST)

1.2. FIDE Trainer (FT)

1.3. FIDE Instructor (FI)

1.4. National Instructor (NI)

1.5. Developmental Instructor (DI)

 

5つがあります。

 

最高位のFIDE Senior TrainerGM, IM, WGM, FMいずれかのタイトル保持者で、ピークレイティングが2450以上ないと取れなく、日本には該当者無しなので詳しい説明は割愛します。

 

また、FIDE TrainerGM, IM, WGM, FMなどのタイトルは持っていなくてもよいですが、ピークレイティングが2300以上ないと取れなく、日本では一部のプレーヤーに限定されてしまうのでこちらも割愛します。

 

 

ここから、日本で取得できる現実的なトレーナー・インストラクターの資格の3つについて条件を見ていこうと思います。

 

まずはFIDE Instructorについて

 

・日本チャンピオンかジュニアorユースのチャンピオンのトレーナー

ピークFIDEレイティングが2000以上

TRGFIDE Trainers’ Commission)のセミナーでコーチングのスキルが認められること

 

3つ目のTRGセミナーがいつどこで行われているか、内容がどんなものかは繰り下げて調べる必要がありますが、ピークレイティングや試験など総合的に点数化されてそのトータルポイントが基準を超えているかで合否が決まるようです。なお、TRGセミナーの参加費は100€と少々高額です。

 

次にNational Instructorについて

 

・日本ジュニア・ユースチームor National Talent Development Programのトレーナー

ピークFIDEレイティングが1700以上

TRGFIDE Trainers’ Commission)のセミナーでコーチングのスキルが認められること

 

National Talent Development Programはよく分かりませんが、ジュニア・ユースチームでコーチングの経験があれば1つ目の条件はクリアーです。ピークレイティングもFIDE Instructor2000は難しくとも、1700であればかなりのプレーヤーにチャンスがあるタイトルだと思います。

 

最後にDevelopmental Instructorについて

 

・初級者のインストラクターまたはチェススクールのティーチャー

TRGFIDE Trainers’ Commission)のセミナーへの出席

 

FIDEレイティングの制限が無いので、プレーヤーでなくても取得できるタイトルです。

 

 

ここまで見てみると分かるように、一番のネックはTRGセミナーへの参加かもしれません。これについてはFIDE Arbiterセミナーと同様に、日本(今はOnline?)でも開催されるとグッと取得の確率は高まるでしょう。

 

 

今回、FIDEのトレーナー・インストラクターの資格について調べてみたのは、中国では資格取得者が非常に多いことが分かったからです。もちろん、日本に比べて中国ではトレーナー・コーチングの機会が多く、仕事にするには資格は持っていた方が有利であることは間違いありません。ただ、国としてのトレーナー・コーチングに対する取り組みとプレーヤーのトレーナー資格への意欲・関心がだいぶ違うことに気付かされました。中国では多くのタイトルホルダーが何らかのトレーナー資格を取得している場合が多いです。例えばHou YifanFIDE Trainerです。

 

もちろん、GMIMFMなどプレーヤーのタイトル保持者を増やしていくのも大事だと思いますが、TrainerArbiterも増やしていきたいところです。


Asian Online Nations Chess Cup 2020

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https://japanchess.org/2020/09/asian-online-nations-cup/

 

NCSより、Asian Online Nations Chess Cupの案内が出ました。先月のOnline Olympiadのアジア版という感じですが、男子チーム4+(補欠1)、女子チーム4+(補欠1)のチーム戦で、より実際のオリンピアードに近い形式になっています。

 

アジア版とはいえ、参加資格はZone 3.1, 3.2, 3.3, 3.4, 3.5, 3.6, 3.7に所属している各国ですので、中国やインド、はたまたオーストラリアも含まれています。

 

ゲーム自体は15+5/手の快速戦で、各国予選9Rを戦い、勝ち残ったチームが決勝リーグへ進みます。

 

タイムテーブル

10/9(Fri) Technical Meeting

10/10(Sat) Men R.1-3

10/11(Sun) Women R.1-3

10/16(Fri) Men R.4-6

10/17(Sat) Women R.4-6

10/18(Sun) Men R.7-9

10/19(Mon) Women R.7-9

10/23(Fri) Quarterfinals M & W

10/24(Sat) Semifinals

10/25(Sun) Finals

 

各日の詳しいスケジュールはまだ出ていませんが、9/25がエントリーの締め切りなので、出場するならば早急にメンバーを集める必要があります。私は本日、参加希望を出しました。良いチームが編成されることを期待しています


NCS Rapid Online Championship 2020/09

9/13(日)は3回目のRapid Online Championshipでした。今回は人数調整のため、いつもは解説として参加しているIM南條くんが参戦。そしてゲストが全勝優勝して幕を閉じました。私は今回初めて勝ち越せず、50%で終了。ただ、いつも未経験のラインを経験でき、いろいろ発見があるので、参加意義の高い大会になっています。

 

Nakahara,Kan (CM,2095,JPN)

Baba,Masahiro (FM,2274,JPN)

NCS Rapid Online Championship 2020/09(5)

 

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.f3!?

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[少しレアなシシリアンのサイドライン。CarlsenKarjakinとのWorld Championship 2016Tiebreakでこのラインを採用しています。(最後のQh6+!!が有名なゲーム) メインラインに比べると柔軟性には欠けますが、逆に膨大な定跡の知識は必要ないとも言えます。]

5…e5 6.Nb3 d5

[一瞬、6...Be6 7.Nc3 a6ならノーマルなナイドルフになるなと考えましたが、白は5手目にNc3と展開しないため、7.c4!のオプションがあり、d5のマスを完全に抑えられてしまいます。...d5からブレークするならタイミングは今しかありません。]

7.Bg5 Be6 8.Bxf6 gxf6 9.exd5 Qxd5 10.Qxd5 Bxd5 11.Nc3 Be6 12.0–0–0

[12.Nb5が気になりますが、12...Na6 13.0–0–0 Bh6+ 14.Kb1 Ke7で特に問題ないようです。]

12...Nc6 13.Bb5 Rc8

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[このラインで有名なのは、Harikrishna- Giri Shenzhen 2017で、このゲームはNew In Chess MagazineGiriの解説があり、特色はつかんでいました。今年に入ってからSmeets- Keymer Wijk aan Zee 2020でも同じラインになりましたが、どちらのゲームも黒が勝っています。]

14.Na5

[上述の2ゲームではどちらも14.Nd5と飛び込んでいます。本譜もc6にプレッシャーをかけながらb7も狙う怖い手に見えますが、黒には対応手があります。]

14...Bh6+ 15.Kb1 Ke7 16.Nxc6+

[16.Nxb7 Nd4は黒のマイナーピースの配置が白に比べて良く、1ポーン分の代償はあると思います。]

16...bxc6

[孤立したc6ポーンは、Nd5+を防ぐ意味のあるポーンです。]

17.Ba4 Be3 18.Rd3 Bd4 19.Bb3

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[黒のダブルビショップを消しにいくロジカルなプランに見えます。ただ、交換後に残る黒の黒マスビショップのほうが白のナイトより強く、若干、黒にチャンスがあります。何より、黒のポーンは白のナイトでアタックしにくい位置にあります。]

19...h5 20.Bxe6 fxe6 21.Ne2 Bb6 22.Rhd1 Rcd8 23.Rxd8 Bxd8!

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[ここは23...Rxd8 24.Rxd8 Bxd8でマイナーピースだけのエンディングにするより、ルークを残したほうが白陣にプレッシャーをかけ続けられます。]

24.g3 Bb6 25.c4 f5 26.b4 Bf2 27.Rf1 Be3 28.Kc2 Rb8 29.a3 h4 30.Kd3 Bh6 31.Kc2

[31.gxh4には31...Rd8+ 32.Kc3 Rd2を考えていました。]

31...Bg5

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[次に...Rh8...hxg3hファイルを開け、白陣への侵入を狙います。]

32.gxh4?!

[ここは少し我慢が足りなかったか、白からポーンの形を崩してしまいました。こうなると、白のh2f3のポーンは黒の恰好のターゲットになります。]

32...Bxh4 33.Rg1 Bf6 34.Nc3 Rh8 35.Rg2 Rh3 36.b5

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[36.Rf2 e4は本譜と同様、ビショップとルークがc3に当たるため、白からfxe4とポーンを取ることができません。]

36...e4 37.bxc6 Bxc3

[37...Rxf3 38.Nb5では黒キングがcのパスポーンに近づけないため、マイナーピースを交換して純粋なルークエンディングに持っていくことにしました。]

38.Kxc3 Kd6 39.Kd4 exf3 40.Rf2 e5+ 41.Ke3 e4 42.Kf4 Rh5–+

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[白からfポーンは取れないので(Kxf5 e3–+)、特に守る必要はありませんが、いずれにせよ黒のパスポーンの塊が強く、黒勝ちのエンドゲームです。42...Kxc6–+]

43.Rc2 Kxc6 44.c5 Rh4+ 45.Ke3

[45.Kxf5 e3–+]

45...Rg4 46.a4 a5 47.Rb2 Rg2

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[駒清算後のポーンエンディングを簡単にチェックして、ルークを交換しにいきます。]

48.Rxg2

[48.Rb6+ Kxc5 49.Rb5+ Kc4 50.Rxf5 Re2+ 51.Kf4 f2 52.Kg3 e3–+]

48...fxg2 49.Kf2 Kxc5 50.h4 Kd6

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[黒キングはhのパスポーンのスクエアーに入っているので、追いつきます。]

51.Kxg2 Ke6 52.Kg3 Kf6 53.Kf4 Kg6 0–1


NCS Rapid Online Championship 2020/08 -解説補足-

先週のRapid Online Leagueの山田弘平くんとのSicilian Dragonのゲームの補足です。どこまでプリパレーションだったのか、このラインの対する評価はどうなのか、これらを次のゲームで解説していこうと思います。

 

MrStahlberg (2423)

masahirobaba (2298)

Live Chess Chess.com 2020/02

 

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 g6

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[今年、20年以上使っていなかったDragonをレパートリーに戻しました。主にチェスエンジンの進化によるものですが、この20年でDragonも進化を遂げています。]

6.Be3 Bg7 7.f3 0–0 8.Qd2 Nc6 9.0–0–0 d5 10.Qe1 e5 11.Nxc6 bxc6 12.exd5 Nxd5 13.Bc4 Be6 14.Kb1!?

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[近年、チェスエンジンが提案した1手。正直、従来の14.Ne4に比べてどれほどメリットがあるかは分かりませんが、白からNxd5の可能性が残っているので、黒クイーンはd8をなかなか離れられません。]

14...Re8 15.Ne4 f5 16.Ng5 Bc8

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[ここまではCarlsen- Jones Wijk aan Zee 2018のゲームと同じ流れです。このゲームを有名にしたのはCarlsenの次のブランダーです。17.g4?? f4! これで白はピースダウンを免れません。しかし、このあと、奇跡の大逆転が起きます!18.h4 fxe3 19.Qxe3 h6 20.Qc5 Bb7 21.Ne4 Re6 22.h5 Qb6 23.g5 hxg5 24.Qa3 Rb8 25.b3 Qd8 26.Qxa7 gxh5 27.Rxh5 Rg6 28.Rxg5 Rxg5 29.Nxg5 Qc8 30.Rg1 Ra8 31.Qb6 Ra6 32.Qc5 Qd7 33.Ne4 Kh8 34.Qf2 Qe7 35.Bxa6 Bxa6 36.Qh2+ Kg8 37.Qh6 Qa7 38.Qe6+ Kf8 39.Rg5 Ne3 40.Qd6+ Kf7 41.Nc5 Bc8 42.Rxg7+ 1–0 レイティング2650GMでもピースアップでCarlsenに勝てなかったという、Wijk aan Zeeでの新たな伝説が生まれたのでした。]

17.h4 Rb8 18.Bb3 h6 19.c4 hxg5 20.cxd5 Rxb3

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[この手に!マークをつけている解説は多いですが、よく考えると強力な白マスビショップはいずれにしても消さなければいけないので、このエクスチェンジ・サクリファイスは絶対手です。]

21.axb3 cxd5 22.hxg5?!

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[22.Bxg5 Qd6で黒にはエクスチェンジダウンの十分な代償有りというのがNew In Chess Yearbook 127でのGM Golubevの意見です。この手がまさに上述のCarlsen- JonesのゲームでJonesが目指していたポジションでないかと私は推測しています。黒のポジションを楽観視することはできませんが、やる事が分かりやすい黒の方が指しやすいと考えています。本譜はhファイルを開ける自然な手ですが、白はビショップをより早くアクティブに、そしてh4-h5から崩しに行く手を残しておいた方がベターです。]

22...d4 23.Bd2 Be6 24.Rc1

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[24.Bb4 Qd5 25.Rc1 Qxb3 26.Rc7 Qa2+ 27.Kc2?! d3+! 28.Kxd3 Qxb2! (28...Rd8+ 29.Ke2は白キングがf1に逃げられます。メイティングアタックでは、チェックの連続よりキングの逃げ道を断つ手のほうが強力です。また、b2のクイーンはe5を守っているのがポイント。) 29.Rxg7+ Kxg7 30.Qxe5+ (30.Bc3に対しては黒のメイトが先に決まります。30...Rd8+ 31.Ke3 Qb6+ 32.Ke2 Bc4#!) 30...Qxe5 31.Bc3 Rd8+ 32.Kc2 Rc8 0–1 Yamada,Kohei (2116) - Baba,Masahiro (2274) NCS Rapid Online Championship 2020/08]

24...Qb8?!

[24...Qd5には25.Rc4a2-g8のダイアゴナルをブロックする手がありますが、クイーンはセンターに近いほうが良いことには変わりありません。24...Qb6が正着。]

25.b4 Qb5 26.Rc5 Qd3+ 27.Ka1 e4

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28.Bf4 Qb3 29.Ra5

[白はルークをメイトに対するディフェンスとa7へのアタックにうまく活用し、すきを見て黒マスビショップもできる限りアクティブにしました。それでもなお、黒のアタックは強烈で、先に入ります。]

29…d3

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[g7の魔物が目覚めました!]

30.Qb1 Qxb4 31.Rxa7 exf3(...Qxf4) 32.g3

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[32.Rxg7+ Kxg7 33.Be5+ Kg8 34.Rh8+ Kf7 35.Rh7+ Kf8 36.Rh8+ Bg8–+で白の攻めは一歩足りません。]

32...f2 33.Rc1 Bd5!

[eファイルのルークのラインを開け、Re1を狙いつつ、Rxg7+Be5+の可能性を消します。d5のビショップはh1b7a8などh1-a8ダイアゴナルの主要なマスを抑えているのもポイントです。]

34.Rcc7 Bd4 0–1

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[最後はRxg7+の可能性を消し、白の投了となりました。7段目に並んだ2ルークよりセンターのダブルビショップが強力です! My blitz of the year!]


My Chess World

 

チェコのGM David Navaraによる新書で、すでに私の中では今年の一押しです。本書は自身の64ゲームの解説と大会・リーグ戦・マッチ等の裏話からなる600ページを超える大作です。Navaraはオールラウンダーで、タクティクス・ストラテジー・エンドゲーム全てトップクラスの実力で誰からも愛されるチェススタイルだと思います。ゲームの選択も解説も非常に洗練されています。

 

私が中国にいるのもありますが、特にWei Yiとの中国でのマッチの裏話は面白かったです。外国人が中国で直面するいくつもの経験が率直に書かれていて共感できます。

 

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2017117日に中国からGM Wei Yiとのマッチのオファーのメールが届いた。マッチは年明けにWei Yiのホームタウンである塩城(Yancheng)で行われるというもので、非常に魅力的な内容だった。

 

オファーを快諾してから中国へのフライトを探した。オーガナイザーはプラハから上海へのフライトと上海から塩城までの300kmの車での移動の費用を受け持ってくれた。また、上海から塩城までの移動は飛行機でも良いと言ってくれたが、トランジットに10時間かかるのは乗り気ではなく、車での移動を選んだ。さらに2日間早く中国入りすることも提案されたが、クリスマスはプラハで過ごしたかったのでこちらも丁重にお断りした。

 

機内はほぼ満席だった。ただ、驚いたのは上海に行く途中で西安に止まったこと。上海まで行く乗客は一度降りなければならず、空港で1時間待つことになった。待ち時間の間、インターネットはフリーで使えることになっていたが、中国の携帯番号を入力しなければならず、結局使えなかった。

 

上海の空港ではドライバーと通訳が大きなサインボードで迎え入れてくれた。通訳の女性はチェスプレーヤーで、レイティングは2200くらいだった。そしてドライバーは2.5Lの水とあらゆる種類のお菓子を用意してくれ、5時間の陸路での移動が始まった。上海を夕方に出て、塩城には深夜に到着した。移動はいたってスムーズで、最終的には感謝の意を込めてほとんどのお菓子はドライバーにお返しした。

 

ホテルの部屋は素晴らしかったが、入った瞬間、空気が重かった。なぜか?エアコンの設定温度が32℃になっていたからだ。リモコンの操作が分からなかったので、開けるなと警告が書かれていた窓を開けることにし、解決。この時は特に外は煙くなく、全てOK

 

初日は疲れを取るのに費やした。ただ、ここでWikipediaGmailが中国では使えないことが分かった。幸運にも、Gmail以外のメールは使えたのと、Skypeでのやりとりはできたのと、チェコへの電話はフリーでつながった。

 

塩城は空気が煙いことが多く、滞在期間中は基本的にホテル内で過ごした。食事は全てオーガナイザー持ちで、中国の料理に慣れていない自分にとってビュッフェスタイルだったのは助かった。円卓でふるまわれるコース料理はそれほど好きではない。食事と言えば、オーガナイザーやスポンサーと共にした時もあったが、レストランに個室がありすぎてトイレから帰る際に自分の部屋が分からなくなった... (以下略)

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Must buy and read!!


NCS Rapid Online Championship 2020/08

6週間空けて2回目のRapid Online Championship8/24(日)に行われました。今回、4Rまでは順調にポイントを重ねましたが、最終ラウンドでブランダーが出て3位で終了。なかなかGPポイントを獲得するのは大変です...

 

Baba, Masahiro (FM,2274,JPN)

Iinuma, Paul (2084,USA)

NCS Rapid Online Championship 2020/08(1)

 

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6 6.Bg5 e6 7.f4 Nbd7 8.Qf3 Qc7

[Gelfand Variation?]

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9.0–0–0 Be7

[No! Classical Variation!]

10.Bd3 h6 11.Bh4 g5 12.fxg5 Ne5 13.Qe2 Nfg4 14.Nf3

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14...Nxf3!?

[14...hxg5 15.Bg3が最も一般的です。本譜だと、白に別の選択肢が生まれます。]

15.Qxf3!?

[今回は少し手を変えました。15.gxf3 hxg5 16.Bg3 Ne5は、20161月の山田弘平くんとのゲームで指しています。http://chessplayer.jugem.jp/?eid=895]

15...Ne5 16.Qh5 Ng6(hxg5) 17.gxh6!

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[ピースを捨てる強力なプリパレーション・ムーブ。おそらく、この手は家での準備がなければなかなか理解できないと思います。黒にはh4のビショップを取る方法が2通りあります。まず、17...Nxh4?!は良くなく、18.Rhf1 Ng6? (18...Rh7? 19.e5) 19.Rxf7! が決定的なアタックになります。17...Bxh4がクリティカルで、18.e5 Qe7 19.Ne4! d5 20.Nd6+ Kd7 21.Kb1は白に1ピース分の主導権があり、私の目指していたのはこのポジションです。]

17...Bf8?!

[上記ラインに飛び込むのは簡単ではありませんが、ビショップを初期配置に戻すのは良くは見えません。]

18.Bg5 Qc5

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19.e5!

[白マスビショップのラインを開けると同時にe4のマスを空け、Ne4-Nf6+等を狙います。]

19…Nxe5 20.Ne4 Rxh6 21.Bxh6

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[21.Qxh6?? Nxd3+ 22.Rxd3 Bxh6 23.Nxc5 Bxg5+は黒勝ちなので、気を付けなければいけません。本譜は23手目のナイトフォークを見越しての手ですが、後から考えると21.Qe2のほうがクイーンを残したままエクスチェンジアップできるので、強力だったかもしれません。]

21...Nxd3+ 22.Rxd3 Qxh5 23.Nf6+

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[珍しい位置でのフォーク]

23...Kd8 24.Nxh5 Bxh6+ 25.Kb1

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[一連の強制手順を終え、白はポーン不足無しのエクスチェンジアップとなりました。ただ、黒にはダブルビショップがあり、反撃のチャンスが残っています。白の目指す方向は、オープンファイルを作りルークの能力を最大限に引き出すのと、キングサイドのパスポーンを突いていく、この2パターンです。]

25… Ke7 26.Rhd1 d5 27.c4

[黒が全てのピースを展開する前に早めのアクションを起こします。27...dxc4 28.Rd8を考えていました。]

27...Kd6

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[黒のアイディアは、cxd5に対してe6-e5と突き越し、dファイルをブロックするとともに白マスビショップを展開させるものです。白マスビショップの道が開くと、...Bf5+...Bg4が厄介なスレットになるので...]

28.g4!

[...Bf5+を止めるとともに、キングサイドのポーンを突いていきます。]

28...b5 29.cxd5 e5 30.Nf6!

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30...Bb7

[28.g430.Nf62手で黒の白マスビショップの動きとf7-f5のカウンターを封じました。f6のナイトは、守りはついていないものの強力で、30...Bg7?? 31.Ne8+ / 30...Bg5?? 31.Ne4+ / 30...Ke7?? 31.Ng8+と色々なパターンでナイトフォークが入るので、黒は要注意です。]

31.h4 Bg7 32.Ne4+ Kc7 33.Rf1

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[dファイルは閉じているので、ルークは他のオープンファイルで活用します。]

33… Rf8 34.g5 Bc8 35.h5 f5

[このポーンを突いて白ポーンを割らないと、h5-h6g5-g6でパスポーンが止まりません。]

36.gxf6 Bh6 37.f7 Bf4 38.Rc3+ Kd8 39.Nd6 Bg4 40.Rg1

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40...Kd7

[40...Bxh5 41.Rc8+ Ke7 42.Rxf8 Kxf8 43.Rg8+は次にfポーンをプロモーションして白勝ち]

41.Rxg4 Kxd6 42.Rc6+ Kxd5 43.Rf6(Rg8) 43...Rc8

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44.Rgxf4

[44.f8Q?? Rc1#]

44...exf4 45.f8Q 1–0

 

 

NCS公式ページでの解説はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=0xkXoScwguU

 

次回は9/13()です。


NCS Rapid Online Championship 2020/07

7/12(日)よりRapid Online Championshipがスタートしました。7月から12月まで各月1回計6回の予選トーナメントが開かれ、来年1月に本戦が行われる予定です。

 

新メンバーも加わりどうなるものかと思っていたら、初戦でいきなり平尾くんに負け。続くR.2は試合開始後自分のゲームが始まらず、「エラーかな」と思っていたら何と自分がbye。予想外な事態に動揺するも、まあ戦わずに1Pならいいかと思って臨んだ次は、白でまたしてもTuさんに負け。踏んだり蹴ったりなスタートでした・・・

 

Yamada,Kohei (FM,2116,JPN)

Baba, Masahiro (FM,2274,JPN)

NCS Rapid Online Championship 2020/07(5)

 

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 d5 4. Nf3 Bg7 5. h4!?

[Grunfeldに対するUltra-Modernなアプローチ。白のh-fileからの攻めに対して黒は正確な対応が求められます。]

5… dxc4

[ギャンビットをアクセプトする本譜だと、非常にシャープな戦いになります。手堅く行くなら5... c6があります。少し迷いましたが、Theoreticalなラインに飛び込むことに。]

6. e4 c5 7. d5 b5 8. h5 0–0 9. hxg6 fxg6

10. e5 Ng4 11. d6 e6 12. Rxh7!?

[初見だと驚きのルークサクリファイスですが、すでにセオリーとして確立している手です。12...Kxh7?! と取ると、13.Ng5+ Kg8 14.Qxg4から白のアタックが強烈で、よほど研究があってディフェンスに自信がない限り、黒としては取らないほうが賢明です。]

12… Rf5!?

[g5のマスをカバーするとともにe5のポーンを落としに行きます。このあと、センターで非常に複雑なやりとりが続きます。]

13. Rh3 Nc6 14. Nxb5 Ngxe5 15. Nxe5 Rxe5+ 16. Be3 Nd4

17. Nc3?!

[解説で南條くんも指摘していたように、この手が緩手で、黒は次に問題なくd6のポーンを回収できます。白としては...Qa5+が常に気になりますが、チェックされてからNc3と下がれば特に問題ないように見えます。素直にビショップを展開させる17. Bxc4! がベストとされていて、これには17… Nxb5 18. Qd3 Nd4 19. Qxg6 Qf6 20. Qe8+ Qf8 21. Qg6 Qf6 22. Qe8+ Qf8から強制ドローというのが最新の研究のようで、GM同士のドローも何試合かあります。]

17... Qxd6 18. Bxc4 Bb7?!

[ロングダイアゴナルにビショップを置く非常に自然な1手ですが、具体的なプランに欠ける空っぽな手でした。とにかく黒は白キングがセンターを離れる前にアクションを起こさなければいけなく、18...Ba6! とするべきでした。]

19. Kf1! Rf8 20. Kg1!

[2手かけて白キングは完全に安全になりました。黒のピースは一見、アクティブなポジションにあるようですが、具体的な継続手が見えません。さらに、白に比べ黒はポーンストラクチャーが劣っているので、駒交換してエンドゲームに持ち込むプランは考えられません。]

20... Qb6 21. Rb1 Nf5?! 22. Qg4

[ここは22.Bf4! でエクスチェンジアップのチャンスでした。ただ、22.Bf4があるのは分かっていたものの、misplacede5のルークの改善方法が見つかりませんでした。]

22... Bd5?! 23. Bd3

[ここも23.Bf4! で白のエクスチェンジアップです。]

23... Nxe3 24. fxe3 c4

[強引にクイーンの斜めのラインを開いて反撃に出ます。]

25. Na4?

[ここは25.Qxg6! が可能で、25… cxd3 26.Qh7+ Kf7 27.Rf1+で先に白の攻めが入ります。例えば、27… Rf5 28.Rxf5+ exf5 29.Qxf5+ Kg8 30.Qh7+ Kf7 31.Nxd5+-など。Na4が悪手なのは、Qxg6を見逃したからというよりは、端っこはナイトの行くべき方向ではないためです。]

25... Qd8! 26. Bxg6 Rg5

[黒キングはクイーンサイドに逃れることができるのを確認し、次の白の一連のチェックを受けます。]

27. Bh7+ Kf7 28. Rf1+ Ke8 29. Rxf8+ Bxf8 30. Bg6+ Kd7 31. Rh7+

[ここまでは読み通りだったのですが・・・]

31... Kc6??

[はじめは31...Kc8!–+ と指す予定でしたが、余計な思考が入り、Kc6のほうが安全ではないかと勘違いしました。]

32. Qf4?

[お互い見えていなかったのは、32.Be8+!!+– で、黒はこのビショップを取るしかなく、32… Qxe8 33.Qxg5でルークを取られては勝負になりません。32… Kd6なら33. Qf4+ e5 34. Qxf8+でこれまたダメです。この1手を見逃してもらい、本譜は黒の駒得になります。]

32... Rxg2+ 33. Kf1 Rxg6 34. Qf7 Rf6+ 0–1

 

 

[今回の優勝は5戦全勝の平尾くんで、完全に彼のトーナメントでした。私自身は最終的には3Pでしたが、(優勝者と準優勝者に当たっているのに)byeが影響したか7位で終了。7位以下のGPポイントは参加賞で、一律1Pでした。]

 

NCS公式ページでの解説はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=wPI8qhS7Q3s

 

とても分かりやすい解説なのでおすすめです。


NCS Rapid Online League 2020/06 -解説補足-

今回もまた、NCS Rapid Online Leagueのゲームに少し補足したいと思います。最終ラウンドのTuさんとのエンドゲームは一考に値すると思います。

 

Tu1.gif

Baba Masahiro - Tran Thanh Tu

NCS Rapid Online League 2020/06(5)

position after 52.Rd8

 

黒が白のパスポーンをルークで取り、この局面になりました。

 

52... b4!

 

[Only winning move.52... Kc2でも黒が勝てそうに見えますが、53. Rc8+ Kb2 54. Rd8で白がチェックとRd8を繰り返せば黒にはプロモーションする術がありません。黒が勝ちに行くなら54... Kxa2!? dポーンを捨て、abの両パスポーンに望みを託すこともできますが、これに対してはいくつかの方法で白はドローに逃げることができます。

 

Tu2.gif

ANALYSIS  DIAGRAM

 

例えば、55. Rxd2+ Kb3 56. Kf6 a4 57. Ke5 b4 58. Kd4 a3 59. Rh2 a2 60. Rh1 Ka3 61. Kc4 b3 62. Kb5 Kb2 63. Kb4=など。]

 

53. Kf6 a4!

 

Tu3.gif

 

[黒はパスポーンをもう1つ作りに行きます。基本的にルーク単独では2パスポーンを止めることはできません。ただ、白はキングを近づける他にやることがありません。]

 

54. Ke5 b3 55. axb3

 

Tu4.gif

 

[そしてここが運命の分かれ道でした。]

 

55... axb3?

 

[Tuさんはほぼノータイムでポーンを取り返してきました。しかし、この選択が0.5Pを失うもので、さらには優勝を逃してしまいます。winning move55... a3! で、これだと本譜のようなトリックはなく、どちらかのポーンがプロモーションして黒勝ちです。

 

Tu5.gif

ANALYSIS  DIAGRAM

 

例えば、56. Ke4 a2 57. Ke3 Kxb3 58. Rb8+ Kc4 59. Rc8+ Kb5 60. Rb8+ Kc6 61. Rc8+ Kb7-+]

 

56. Ke4 b2

 

Tu6.gif

 

[これで次のプロモーションが止まらないように見えますがなお、56... Kc2 には57. Rc8+ Kd1 (57... Kb2 58. Rd8 =) 58. Kd3 b2 59. Rb8 でイコールです。]

 

57. Ke3! b1=Q

 

Tu7.gif

 

[57... Kc4!? は試してみる価値があり、本譜より白を悩ませます。正しくドローにするには、58. Rc8+ Kd5

 

Tu8.gif

ANALYSIS  DIAGRAM

 

59. Rb8 (59. Rd8+ ? Ke6 ! -+が黒の狙い) 59... d1=Q 60. Rd8+ Kc4 61. Rxd1 Kc3の手順です。]

 

58. Rc8+ Kb2 59. Rb8+

 

Tu9.gif

 

[この手があったのはラッキーでした。ここで59. Kxd2?? Qf5 は、R vs Qの負けのエンドゲームになるので要注意です。(それでも何とか50手逃げ切るよう、すぐにリザインせずに少しはトライしてみますが。)]

 

59... Kc1 60. Rxb1+ Kxb1 61. Kxd2 ½–½

 

Tu10.gif

 

[この時点で全ゲームが終了。タイブレークの差で東野さんが1位、Tuさんが2位となりました。]

 

 

NCS公式ページでの解説はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=ZwUZ-zvhSCc


NCS Rapid Online League 2020/06

先月に続き、6/21(日)に2回目のRapid Online Leagueが開催されました。メンバーは前回と同じで、私の対戦相手も5人中4人変わらず、しかも全て同じ色でした...

 

Baba, Masahiro (FM,2274,JPN)

Nakahara, Kan (CM,2095,JPN)

NCS Rapid Online League 2020/06(3)

 

1. e4 e6 2. d4 d5 3. Nc3 Nf6 4. e5 Nfd7 5. f4 c5 6. Nf3 Nc6 7. Be3 Qb6

Naka1.gif

[Steinitz Variation7手目は色々ありますが、7...Qb6はややレアなチョイスです。]

8. Na4 Qa5+ 9. c3 b6

[ここまで前回5月のRapid Leagueでのゲームと同じ流れです。前回はここで10. a3?!としたのが良くなく、今回はimprovementを用意していました。]

10. Bd2!? c4 11. b4

[10. a3?! だと、...cxb3のときにaxb3と取り返せず、クイーンサイドのポーンが割れます。これが10. a310. Bd2の大きな違いです。]

11... Qa6 12. Be2 b5 13. Nb2?

Naka2.gif

[あまり考えずにナイトを引きましたが、次の1手があるのでここは13. Nc5! と指すほかありません。]

13... Qa3!

[これで黒は安全に...a5からクイーンサイドを崩せ、優位に立てます。]

14. Qc2 a5 15. bxa5 b4 16. O-O Qxa5

Naka3.gif

[クイーンサイドの戦いで完全に競り負けた今、何とか反撃を探します。次の白の2手はRapidならではのbluffです。]

17. f5?! exf5 18. Nxc4?! dxc4 19. Bxc4 Be7

Naka4.gif

[私は19... Nb6 20. Bb3 bxc3 21. Bxc3のみを考えていました。いずれにせよ言えることは白に十分な代償は無いということです。]

20. e6 fxe6 21. Bxe6 Nf6 22. cxb4 Qb6

[22... Nxb4? 23. Bxb4 Bxb4 24. Bxc8はダメです。]

23. Bb3

Naka5.gif

[ビショップをこのダイアゴナルにキープし、黒のキャスリングを阻みます。23. Bxc8 Rxc8 24. Qxf5も考えましたが、これには24... O-Oで黒のキングが安全になるので、そこで読むのを止めて本譜を選択。ただ、このラインはもう少し進めていくと、25. Qe6+ Kh8 26. Rac1で白にはそれなりに代償があります。]

23... Nxd4 24. Nxd4 Qxd4+ 25. Kh1 Bb7!

[フレンチの黒の悩みの種である白マスビショップがこうアクティブになってしまっては、白がかなり厳しいことは間違いありません。]

26. Bc3

Naka6.gif

[客観的には26. Qxf5 Qxd2 27. Qb5+ Qd7 28. Bf7+! Kf8 29. Qxd7 Nxd7 30. Bd5+ Nf6 31. Bxb7のほうが白にとって良いでしょうが、クイーン交換後、黒は安心して手を進めることができます。Rapidではクイーンを残した方が実戦的です。]

26... Qe4 27. Qb2 Qg4 28. Rae1 Be4 29. Re3

[このゲームの中では比較的良い手で、黒に問題を投げかけます。狙いはRg3で、g7のポーンを狙うのと、g2のポーンを守り、クイーンをフリーにします。]

29... Bd6?! 30. Be5 Be7?

Naka7.gif

[30... Qxg2+ 31. Qxg2 Bxg2+ 32. Kxg2 Ng4を気にしていましたが、33. Rd3 Bxe5 34. h3で駒を取り返せます。ただ、次の白の1手が強力なため、黒はこのラインに飛び込まなければいけませんでした。]

31. Rg3

[これでg7が落ち、白がはっきり良くなりました。]

31... Qh4 32. Rxg7 Rf8 33. Bg3!

Naka8.gif

[黒クイーンを脅しながらe5マスをクイーンに明け渡します。あとのアタックは1本道です。]

33... Qh6 34. Rxe7+! Kxe7 35. Qe5+ Kd7 36. Qd6+ Ke8 37. Qe6+ Kd8 38. Rd1+

Naka9.gif

[全てのピースがアタックに参加する理想形です。]

38... Bd5 39. Bxd5 Nd7 40. Qxh6 1-0


NCS Rapid Online League 2020/05 -解説補足-

先週のNCS Rapid Online Leagueの振り返り動画を見ていると、自分のゲームが解説されていました。解説は素晴らしく、間違ったことは何一つありませんが、プレーヤー当本人の目線で少し補足したいと思います。

 

Pa1.gif

Iinuma,Paul - Baba Masahiro

NCS Rapid Online League 2020/05(4)

position after 68.a6

 

[ここで弘平君くんは68...bxa6と白のポーンを取り除く手を予想していました。もちろん、この手も十分良く、パスポーンになる可能性のあるポーンを消しておくのが第一感だと思います。しかし、私の頭には別の考えがありました。]

 

68... d3!

[黒が勝つためにはどこかでラインを開きにいかないといけなく、南條くんもどこかで黒はこのポーンを突くことを指摘していましたが、a6のポーンを無視してのこのタイミングは少し予想外だったでしょうか?]

 

69.Kxd3

[69.axb7? dxe2は、黒がプロモーション・スクエアーのb8をクイーンとビショップで抑えているので、プロモーションは無く、単なる白の駒損になります。これはそんなに見えにくくないと思います。

 

より複雑なのは 69.a7で、

 

 

こうなると、次のa8でのプロモーションを止められないように見えます。しかし、これに対して...

 

69...b5+!

 

Pa2.gif

 

[弘平くんとTuさんがこのポジションで少し手を詮索し、Tuさんがこの手を見つけました。70.cxb6とアンパッサンでポーンを取る手に対しては、70... Qb5+ 71.Kc3 Be5+ 72.Kd2 Qb2+ 73.Kxd3 Qc3#とメイトまで一直線です。また、70.Kxd3 Qxc5 71.a8Q Qc4#があるのもポイントです。]

 

70.Kb3

 

Pa3.gif

 

[ここで70...Rxa7とパスポーンを回収するのが私の読みでした。これでもちろん黒勝ちですが、少し解析すると、衝撃的な事実が判明しました。]

 

70...dxe2!

 

Pa4.gif

 

[a8のプロモーション・スクエアーを抑えていなくてもこの手です!]

 

71.a8Q

[What else?]

 

Pa5.gif

 

[黒のチェックは途切れ、次にh8でのチェックorメイトを防げないので白勝ちでしょうか? 答えは”No”です!!]

 

71...Qc3+!!

 

Pa6.gif

 

[衝撃のクイーンサクリファイス。何も駒を取るわけでもなく、ただ自分の手番にするためだけにクイーンをそのまま捨てます。]

 

72.Kxc3

[クイーンを取らない手には、(必要は無いが)アンダープロモーションでメイトです。72.Ka2 Qc2+ 73.Ka3 Bc1+ 74.Kb4 e1B#]

 

72...e1Q+

 

Pa7.gif

 

73.Kb3

[他のマスでも白キングは捕まります。73.Kd4 Qe3#または73.Kc2 Qc1+ 74.Kb3 Qc4+ 75.Kb2 Be5+ 76.Kb1 Qb3+ 77.Kc1 Bf4#]

 

73...Qb1+ 74.Kc3

 

Pa8.gif

 

74... Qc1+! 75.Kb3

[75.Kd3 Qc4#]

 

75...Qc4+ 76.Kb2

[76.Ka3 Bc1#]

 

Pa9.gif

 

76...Be5+ 77.Kb1 Qb3+ 78.Kc1 Bf4#

 

Pa10.gif

[An amazing variation!!]

 

69... Qxc5 70. Rb2 Qd6+ 71. Kc4 b5+ 72. Kb3 Qd3+ 73. Ka2 Qc4+ 74. Kb1 Qd3+ 75. Rc2 Qd1+ 76. Kb2 Be5+ 77. Kb3 Qb1+ 78. Ka3 Bd6+ 0-1

 

NCS公式ページでの解説はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=Jn7l6yBvDXU

 

YamadaKohei Chess Channelでの解説はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=DdFwcQbUtUQ


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