NCS Rapid Online League 2020/05 -解説補足-

先週のNCS Rapid Online Leagueの振り返り動画を見ていると、自分のゲームが解説されていました。解説は素晴らしく、間違ったことは何一つありませんが、プレーヤー当本人の目線で少し補足したいと思います。

 

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Iinuma,Paul - Baba Masahiro

NCS Rapid Online League 2020/05(4)

position after 68.a6

 

[ここで弘平君くんは68...bxa6と白のポーンを取り除く手を予想していました。もちろん、この手も十分良く、パスポーンになる可能性のあるポーンを消しておくのが第一感だと思います。しかし、私の頭には別の考えがありました。]

 

68... d3!

[黒が勝つためにはどこかでラインを開きにいかないといけなく、南條くんもどこかで黒はこのポーンを突くことを指摘していましたが、a6のポーンを無視してのこのタイミングは少し予想外だったでしょうか?]

 

69.Kxd3

[69.axb7? dxe2は、黒がプロモーション・スクエアーのb8をクイーンとビショップで抑えているので、プロモーションは無く、単なる白の駒損になります。これはそんなに見えにくくないと思います。

 

より複雑なのは 69.a7で、

 

 

こうなると、次のa8でのプロモーションを止められないように見えます。しかし、これに対して...

 

69...b5+!

 

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[弘平くんとTuさんがこのポジションで少し手を詮索し、Tuさんがこの手を見つけました。70.cxb6とアンパッサンでポーンを取る手に対しては、70... Qb5+ 71.Kc3 Be5+ 72.Kd2 Qb2+ 73.Kxd3 Qc3#とメイトまで一直線です。また、70.Kxd3 Qxc5 71.a8Q Qc4#があるのもポイントです。]

 

70.Kb3

 

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[ここで70...Rxa7とパスポーンを回収するのが私の読みでした。これでもちろん黒勝ちですが、少し解析すると、衝撃的な事実が判明しました。]

 

70...dxe2!

 

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[a8のプロモーション・スクエアーを抑えていなくてもこの手です!]

 

71.a8Q

[What else?]

 

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[黒のチェックは途切れ、次にh8g8でのメイトを防げないので白勝ちでしょうか? 答えは”No”です!!]

 

71...Qc3+!!

 

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[衝撃のクイーンサクリファイス。何も駒を取るわけでもなく、ただ自分の手番にするためだけにクイーンをそのまま捨てます。]

 

72.Kxc3

[クイーンを取らない手には、(必要は無いが)アンダープロモーションでメイトです。72.Ka2 Qc2+ 73.Ka3 Bc1+ 74.Kb4 e1B#]

 

72...e1Q+

 

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73.Kb3

[他のマスでも白キングは捕まります。73.Kd4 Qe3#または73.Kc2 Qc1+ 74.Kb3 Qc4+ 75.Kb2 Be5+ 76.Kb1 Qb3+ 77.Kc1 Bf4#]

 

73...Qb1+ 74.Kc3

 

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74... Qc1+! 75.Kb3

[75.Kd3 Qc4#]

 

75...Qc4+ 76.Kb2

[76.Ka3 Bc1#]

 

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76...Be5+ 77.Kb1 Qb3+ 78.Kc1 Bf4#

 

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[An amazing variation!!]

 

69... Qxc5 70. Rb2 Qd6+ 71. Kc4 b5+ 72. Kb3 Qd3+ 73. Ka2 Qc4+ 74. Kb1 Qd3+ 75. Rc2 Qd1+ 76. Kb2 Be5+ 77. Kb3 Qb1+ 78. Ka3 Bd6+ 0-1

 

NCS公式ページでの解説はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=Jn7l6yBvDXU

 

YamadaKohei Chess Channelでの解説はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=DdFwcQbUtUQ


NCS Rapid Online League 2020/05

世界がコロナでOnline Tournamentを開く中、NCSもこのたびOnline Tournamentを開催しました。フォーマットはNCSレイティングTOP20の中の招待選手12名による5Rのスイス式。タイムコントロールは15+10/手なので、Rapidになります。はじめ、招待選手10名による2日制の総当たり9Rの案もありましたが、実況中継する労力を考えれば、初回は1日制のこのフォーマットで良かったと思います。

 

今回はOnでもOffでもこれが初めての対戦となった大多和君とのゲームを。

 

Baba, Masahiro (FM,2274,JPN)

Otawa, Yuto (2122,JPN)

NCS Rapid Online League 2020/05(1)

 

1. e4 c5 2. Nf3 e6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nc6 5. Nc3 Qc7 6. Be3 a6 7. Qd2

[このゲームでは、最近メインで使っていた7.Qf3から昔のレパートリーに戻してみました。]

7... Nf6 8. O-O-O Be7 9. f3 h5!?

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[ここでオープニングの知識から外れました。9... b5Taimanov English Attackでのメインです。]

10. Kb1 b5 11. Nxc6 dxc6 12. Qf2 c5 13. Qg3!?

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[9... b5 10. g4とキングサイドのポーンを突いてアタックするのがセオリーですが、黒にh5を突かれているとこのプランが実行できません。どうしようかなと考えて思い付いたのが本譜の案で、クイーン強制交換後、開いたhファイルは白にとってのみ有利になり、...h5の意味が薄まるように感じました。]

13... Qxg3 14. hxg3 Bb7 15. g4

[hファイルからプレッシャーをかけます。黒のキングサイドは膠着状態ですので...]

15... Rd8!

[白のオープンファイルを取っているルークを交換しつつ、キングをクイーンサイドで安定させる良い手です。]

16. Rxd8+ Kxd8 17. a4

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[黒のクイーンサイドのポーンストラクチャーを弱めます。c3では白ナイトは働かないので、別のポジションに持っていきます。]

17... b4 18. Ne2 Kc7 19. Kc1

[...Rd8-Rd1+がスレットになっているので、これを防ぎます。]

19... g6 20. Nf4 h4 21. Nd3 Nd7 22. b3 g5 23. Be2 f6 24. Kd2 Rf8

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[黒は...f5からブレイクする準備ができたので、白もクイーンサイドを開きにいきます。]

25. c3 bxc3+ 26. Kxc3 f5 27. gxf5 exf5 28. exf5 Rxf5

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29. Kc2?!

[...Bf6+を先に避ける手ですが、白ルークはc1に配置してc5ポーンを狙うべきなので、29. Kd2と指すべきだったでしょうが、b3のポーンの守りも気になりました。結果、中途半端な位置にキングを置いて手損になりました。]

29... Nf6 30. Kd2 Nh5 31. Rc1 Kb8?

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[弱点であるc5は遅かれ早かれ落ちますが、31... Nf4! と反撃するプランがありました。]

32. Bxc5 Bxc5 33. Rxc5 Rxc5 34. Nxc5 Nf4 35. Bf1±

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[ピースを清算して、白の1ポーンアップのマイナーピースエンディングになりました。まだ簡単ではないですが、白は安心して勝ちを目指せます。]

35... Ka7 36. Ke3 Bd5 37. Kd4?! Kb6?!

[時間が無くなってきて、少し手が荒くなります。37... a5! が非常に指されたくない1手で、これがあるので、37. a5! とすべきでした。]

38. b4

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38... Bxf3?!

[これはちょっと焦りすぎに見えました。一般的に、ビショップを残した方がドローの可能性は大きいと思います。]

39. gxf3 h3 40. Bxh3 Nxh3 41. Ne6

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[1ポーンアップのナイトエンディングは基本的にポーンアップ側が勝ちです。白ナイトの位置もとてもgood.]

41... Kc6 42. Ke5 Kd7 43. Kf5

[43. Nc5+aポーンを落とした方が早かったです。]

43... Nf2 44. Nxg5 Nd3 45. b5 axb5 46. axb5

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[離れた2パスポーンはナイトでは止めにくく、ここで勝ちのイメージができていました。テーブルデータベースも白勝ちを示しています。]

46... Kc7 47. Ne4 Kb6 48. Nc3!

[勝ちへのオンリームーブ。なぜ白ナイトはポーン後方から守るのか、少し先で明らかになります。]

48... Kc5 49. Ke6 Kb4

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50. b6! Kxc3 51. Kd6!

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[Portugal OpenでのIM Sousa戦では、簡単なナイトフォークを見落としてパスポーンを止められました。その反省を生かして、51. b7? Nc5+はきちんと避けました。あとは黒ナイトがbポーンを止めに行っている間にfポーンをプロモーションさせるだけです。]

51... Nb4 52. b7 Na6 53. f4 Kd4 54. f5 Ke4 55. f6 Kf5 56. f7 1-0

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各ラウンド間のインターバルは短い割に長手数のゲームが多く、他のゲーム結果など全く追いかけませんでしたが、実況解説を見て振り返りたいと思います。


Q vs NB -Gelfand-Svidler-

コロナウイルスが猛威を振るう中、きっと自宅で暇を持て余している方も多いと思います。そんな時はチェスの学習です!

 

今週は次のエンドゲームが面白かったので、ここでシェアしたいと思います。

 

https://www.youtube.com/watch?v=oD7jT0b72as

 

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映像は次のポジションから始まります。

 

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Gelfand - Svidler

Tal Memorial Blitz 2014

position after 56. Kg5

 

[プロモーションに最低でも7手かかる白に対して、黒はあと5手です。同色ビショップなので、ロングダイアゴナルでビショップをぶつけることもできるので、勝つとしたら黒ですが...]

 

56... b4 57. Kxh5 Kc4 58. Kg6 Bd4 59. Bh6 b3 60. Bc1 Kd3 61. h4 Kc2 62. Ba3 Bc5!

 

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[この手がポイントで、白はプロモーションを止められません。プロモーションを止められないと分かって普通はここで投げてしまいそうですが、Gelfandにはまだ策がありました。]

 

63. Bxc5 b2 64. h5 b1=Q 65. h6 Kc3+ 66. Kg7 Qb7+ 67. Kg6 Qc6+ 68. Kg7!

 

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68... Qc7+

[Gelfand のアイディアは、hポーン vs Qのエンディングに持ち込むものでした。68... Qxc5? 69. h7はブックドローです!]

 

69. Kg8 Qg3+!

[クイーンは白キングの背後からゆっくり近づく必要があります。]

 

70. Kf7 Qf4+ 71. Kg6 Qg4+ 72. Kf6 Qh5 73. Bf8

 

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[一時的にパスポーンの進行が止まった今、黒キングを白キング側へ近づけます。]

 

73... Kd4 74. Kg7 Qg5+ 75. Kf7 Qf5+ 76. Kg8 Qe6+ 77. Kg7 Ke5 78. h7 Kf5!

 

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[これがタクティカルな1手で、g6でメイトがあるため、白は79. h8Qとプロモーションできません!]

 

79. h8=N!

 

[白のベストチャンスです。かくして奇妙なマテリアルバランスの局面が現れました。白の狙いは有名なQ vs NBのフォートレスに持ち込むことです。]

 

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ANALYSIS  DIAGRAM

 

[上のポジションはだいたいどのエンドゲームの本にも載っている代表的なフォートレスです。2ピースが黒キングをこれ以上白キングに近づかせないよう連携を取っているので、白番でも黒番でも黒が勝つことはできません。ただ、このフォートレスはナイトをe5に持っていくことができたらの話です。果たして白はe5にナイトを持っていけるか、また、黒はどうやってそのプランを阻止するか...]

 

79... Qe5+ 80. Kg8 Ke6 81. Bg7 Qb8+ 82. Kh7 Qc8

 

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83. Kh6

[ここで83. Ng6からe5にナイトを持っていこうとすると、83... Qc2! で阻止されます。例えば、84. Kh6 Qh2+ 85. Kg5 Kf7! 86. Be5 Qg2+でナイトが落ちて黒勝ちです。]

 

83... Kf5 84. Kh7 Qe8 85. Kh6 Kg4 86. Kh7 Kg5 87. Bh6+ Kf5 88. Bg7 Qh5+ 89. Kg8 Ke6!

 

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[ナイトの動きを完全に封じ、白はツークツワンクです。]

 

90. Kf8 Qh7! 91. Ba1 Qa7 0-1

 

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[ビショップを取られないようにg7に退くと、Qb8 or Qa8でメイトです。]

 

GelfandSvidlerというビッグネーム2人のとても見ごたえのあるエンドゲームでした。同時に、Svidlerが長年、世界のトッププレーヤーである理由が良く分かります。ブリッツでこのように勝てるのは世界のほんの一握りのプレーヤーでしょうから…


RB vs NB -opposite colored bishops-

偶然、オンライン上でエンドゲームのテーブルデータベースを見つけました。

 

https://syzygy-tables.info/

 

テーブルデータベースの進化により、今では盤上に残る駒が両キングを含めて6個か7個の場合は、全てのポジションで結果と最善手順が分かっています。

 

これにより、今まで自分の力ではどうしても分からなかったエンドゲームの勝ち方が分かりました。

 

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Kuwata Susumu - Baba Masahiro

TOTOVS 2009(2)

position after 96... Ke3

 

以前、「Bronのスタディから」という記事でも扱いましたが、RB vs NB で逆色ビショップのマテリアルのエンドゲームは、ルークを持っている側が勝つエンドゲームです。

 

http://chessplayer.jugem.jp/?eid=761

 

しかしながら、勝ちの手筋は難解です。2019年、GRENKE Chess ClassicVallejo Pons - Carlsenで同じマテリアルバランスが現れ、ちょっと話題になったエンドゲームですが、Carlsenもはっきり勝ち方を知っていたわけではなく、「手を進めていたら勝った」という感じでした。

 

私のゲームでは、白がここで決定的な悪手を指したので、上の局面から数手で勝つことができました。

 

97. Bc6? Bd6 98. Nf3 (98. Bg2 Rc2 (ツークツワンク)) 98... Rc2 99. Bb7 Kf2 0-1

 

 

しかし、97. Bc6? の代わりに97. Nh3! がベストディフェンスで、これに対しては長年、黒の勝ち方が見えずにいました。

 

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97. Nh3!

[ここからの手筋はテーブルデータベースによる最善手順です。]

 

97... Rf6!

[キングをバックランクに押し込めたのに、それを解除してしまうのは人間にはなかなか思い付かない発想かもしれません。私もずっと、ルークは2ndランクにキープしたまま勝ちの手を探っていました。]

 

98. Kh2

[(黒は次にRg6とし、gファイルで白キングをカットしにいくので、それを避けるため

98. Kg2

と上がると、)

 

98... Rg6+ 99. Kf1 Kf3

 

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ANALYSIS  DIAGRAM

 

(白のナイトの行き場がないのに注目です。)

 

100. Bd3 Rf6! 101. Ke1 Kg4!

 

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ANALYSIS  DIAGRAM

 

(100... Rf6! 101... Kg4! はとても盤上で見つけられそうにありません。白はナイトを救出しに行きますが、時すでに遅し...)

 

102. Bf1 Bb4+ 103. Ke2 Kg3 104. Ng1 Rf2 -+

 

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ANALYSIS  DIAGRAM

 

(これでピースが落ち、黒勝ちです。)]

 

98... Rg6 99. Be8 Bd6+ 100. Kh1 Rg3 101. Bd7 Bc5!

 

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[これがとても見つけづらい手ですが、g1をルークとビショップの両方で抑えることで、白ナイトの行き場をなくします。]

 

102. Kh2 Kf3 103. Bc6+ Kg4 104. Bd7+ Kh4

 

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[黒キングのポジションを改善し、完全に白を抑え込みました。]

 

105. Bf5

[(白がナイトを逃がそうとしても、別の手順で黒は勝つことができます。)

 

105. Nf4 Rg7 106. Ng2+ (106. Be6 Bd6! -+) Kg5 107. Bc8 Bf2!

 

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ANALYSIS  DIAGRAM

 

108. Be6 Rh7+ 109. Bh3 Rh6 -+

(白は少なくともナイトを失います。)]

 

105... Bd6 106. Kh1 Rf3 107. Bd7 Kg3 108. Ng1 Rf1

 

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[ここまでくればあとは簡単です。]

 

109. Bb5 Rc1 110. Ba4 Bc5 111. Bb3 Rxg1#

 

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心晴れる日曜の午後でした。


Cappelle la Grande 2020 -開幕-

昨日スタートしました。今年は日本から4名が参戦中です。

 

一昔前に比べれば規模は縮小したものの、最終的には330名もの参加者を集めるのはさすが、ヨーロッパの伝統ある大会です。

 

この大会の長所としては招待選手に対しては宿泊補助(ツイン+朝食)があります。短所としてはパリからもブリュッセルからもロンドンからも遠い、観光するところがない(Cappelle村で探索できるのはスーパーくらい?)、ホテルから会場まで遠い(ホテルを選べない)、飽きないよう食べるものを探すのが難しい、といったところでしょうか。しかし、短所を逆手に取れば、集中してチェスだけできる環境と言えるでしょう。

 

 

現在、R.2が進行中です。

 

ペアリング・結果は以下のリンクから確認できます。

http://www.echecs.asso.fr/FicheTournoi.aspx?Ref=49255

 

ペアリングは3グループに分けての加速スイス。1番上のグループは2P、真ん中のグループは1Pの加速ポイントが与えられているため、完全スイスの様態となるのは中盤以降となります。

 

Live Gameもありますが、中継されているのは20ボードもないため、ゲームは参加者の皆さんからの報告を待つとしましょう。


Portugal Open Rapid 2020

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本戦であるClassicalトーナメントの翌日、同会場でRapidトーナメントが開催されました。15+5/手のタイムコントロールのゲームを1日で8Rを戦います。Classicalトーナメントには出てRapidトーナメントには参加しなかったプレーヤーもいたり、その逆もいたりしましたが、総勢200名近くのビッグトーナメントでした。

 

海外でこのようなRapidトーナメントに参加するのは初めてで、まして15+5/手のタイムコントロールも経験したことがなかったので、どうなるものかなと思いながらも楽しんでこようと朝から会場に向かったのでした。

 

 

 

45番ボードまでセンサーボードでした。

 

 

今回は順調にR.1R.2を勝ち、続くR.3がこの大会のハイライトでした。

 

Baba, Masahiro (FM,2274,JPN)

Grigoryan, Karen (GM,2667,ARM)

Portugal Open Rapid 2020(3)

 

[前日、Classicalトーナメントを優勝したアルメニアのGMGrigoryanとの対戦。試合前、「Congratulations!」と声をかけ、「Thanks!」と返してきたGrigoryan。笑顔でゲーム開始となりました。ちなみにこの時点でGrigoryanRapidランキングは世界69位でした。]

1. e4 c5 2. f3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 a6 6. Bg5 Nbd7 7. f4

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[相手がNajdorfプレーヤーであることは知っていましたが、18ゲームをこなすマラソントーナメントなので、当然、準備の時間はありません。これまで、6... Nbd7ラインには7. Bc4を指していましたが、このゲームでは研究ラインを試すことにしました。]

7... Qc7 8. Qf3 h6 9. Bxf6 Nxf6 10. f5 Qc5 11. O-O-O g5 12. fxg6!?

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[これが面白いと思っているラインで、白はエクスチェンジを捨てる(1ポーンのお釣りはくる)代わりに黒の白マスの弱さを利用してアタックします。]

12... Bg4 13. gxf7+ Kxf7 14. Qd3 Bxd1 15. Nxd1

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[判断は難しいところですが、白は1ポーン以上の代償はあると思います。何より、次の数手の白のセットアップが分かりやすいです。]

15... e6 16. g3 Bg7 17. Bh3 Rhe8 18. Ne3 b5 19. Rf1 Qh5

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[白ルークがh2の守りから動いたタイミングでこのクイーンの手は予想していました。これに対しては次の1手です。]

20. Bxe6+! Rxe6 21. Nxe6 Kxe6 22. Rf5

[ここは本譜と22. Nf52択でしたが、Nf5には22... Qg5+があります。20. Bxe6+の時点で本譜のように指すつもりでした。]

22... Qe8 23. e5!

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[これは直感で指しました。黒キング前のポジションをできるだけ開くため、ポーンを突き捨てます。]

23... dxe5 24. Qb3+ Kd7

[human decisionです。本譜よりベターかもしれませんが、誰も24... Kd6!? とは指さないのではないかと思います。]

25. Nd5 Qe6

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[25... Nxd5 26. Qxd5+ Ke7 27. Qb7+ Ke6 28. g4で黒がディフェンスするという展開もあるようですが、これもhuman decisionで、誰もe6にキングが上がる展開は望まないでしょう。]

26. Nxf6+ Bxf6 27. Rxf6! Qxf6

[27... Qxb3? 28. axb3は白がポーンアップの上、ルークもずっとアクティブなため、この交換は間違いです。Najdorfのエンドゲームでは、a6-b5のポーンコンビは弱点にしかならず、いつも役に立ちません...]

28. Qd5+

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[一連のコンビネーションのポイントです。カッコよく両取りが決まりますが、実際はドロー以上にはなりません。]

28... Ke7 29. Qb7+!

[a6を取ったときにチェックになるよう、この1手を挟みます。]

29... Ke6 30. Qxa8 Qf1+ 31. Kd2 Qf2+ 32. Kd1 Qg1+

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[Qf1+Qf2+で黒はドローにできますが、手番を持っている黒はもう少し可能性を探ります。]

33. Ke2 Qxh2+ 34. Kf1 Qh3+ 35. Kf2 Qf5+ 36. Kg1

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[これで黒にさらなるチェックは無く、黒としては仕方がなくクイーンサイドのポーンの取り合いとなります。]

36... Qxc2 37. Qxa6+ Kf5 38. Qxb5 Kg4?!

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[黒が38... Qb1+? a2のポーンを取りに行くと、39. Qf1+! でクイーンの強制交換となり、交換後は白勝ちのポーンエンディングになります。38... Ke4なら黒キングが十分アクティブで、白はパペチュアルでドローにする他ありません。e5がフリーで落とせるようになり、何かトラップがあるのかと疑いながらも特に何もなさそうだったので、もらえるものはもらっておきます。]

39. Qxe5 Kh3 40. Qe6+ Kxg3 41. Qe3+

[41. Qe1+ Kg4 (41... Kf3? 42. Qc3+ Qxc3 43. bxc3 +-) 42. Qb4+ Kg5 43. a4だと、白がわずかに勝ちのチャンスがありそうです。ただ、これだけキングの囲いがないと、パペチュアルチェックを避けるのは困難でしょう。局後、Grigoryane1のマスを指差し、危なかったというジェスチャーをしたのは、ここのことだと思います。]

41... Kg4

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[41手目のチャンスを逃した今、もうチャンスはなく、よく戦ったと納得し、最後のポーンを取ります。]

42. Qxh6 Qb1+ 43. Kg2 Qxb2+ 44. Kg1 Qa1+ 45. Kg2 Qxa2+ 46. Kg1 ½–½

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[この状況で私からドローオファー。相手は少し考え、ドローに同意しました。最終的にGrigoryanRapidトーナメントも優勝。圧倒的な強さでPortugal Openを制しました。]

 

 

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このトーナメントの中から、もう1ゲーム、一番クリーンな勝ちのゲームを紹介します。

 

Baba, Masahiro (FM,2274,JPN)

Fernandes, Miguel (1987,POR)

Portugal Open Rapid 2020(5)

 

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Nf6 5. Nxf6+ exf6

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[カロカンのサイドラインですが、近年はトッププレーヤーも採用しています。6... gxf6と取り返す手もありますが、本譜のほうが人気です。]

6. c3 Bd6 7. Bd3 O-O 8. Ne2 Re8 9. Qc2 h5!?

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[h7のポーンを取られないようにしつつ、0-0のあと白のナイトがg3に来た時、h5-h4で追い払う狙いがあります。]

10. Be3 Be6 11. O-O-O Nd7 12. c4 Nf8 13. Nc3

[このラインでは逆サイドにキャスリングしていますが、無理やりキングサイドから攻めるのではなく、センターを取りにいくのが白の正しい指し方だと考えています。]

13... a6 14. h3 b5 15. c5 Be7 16. Be4 Rc8

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[私の読みでは、16... b4 17. d5! bxc3 18. dxe6 cxb2+ 19. Kb1 Qc8 20. exf7+ Kxf7 21. Qc4+は白優勢です。]

17. d5! cxd5 18. Nxd5 Bxd5 19. Rxd5 Qa5?! 20. Kb1 g6 21. h4 f5

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22. Bxf5!?

[ここはアタックが続くと読んで、ビショップを捨てます。Classical本戦ではもっとソリッドなプレーをしていましたが、これはRapidなので、直感を大事にします。]

22... gxf5 23. Qxf5 Ng6 24. g4!

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[黒クイーンがa5で遊んでいる今、キングサイドから畳みかけに行きます。24... hxg4 25. h524... Nxh4 25. Qxh5も白のアタックが強力です。]

24... Qa4 25. gxh5 Nxh4 26. Rg1+ Kh8 27. Qxf7 Qe4+ 28. Ka1 Rg8

Por44.gif

[黒はかろうじてメイトを防ぎ、白の弱点のバックランクへ反撃を狙いますが...]

29. Bd4+! Qxd4 30. Rxg8+ Rxg8 31. Qxg8+ Kxg8 32. Rxd4 Nf5 33. Rd5

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[強制手順の駒交換後、残ったのはセンターを制圧するルーク。そしてcポーンが止まりません。]

33... Ng7 34. c6 Ne6 35. c7! 1-0

[35... Nxc7 36. Rd7で黒はどちらかのピースを失うので、ここでリザインしました。]

 

 

最終順位は13位とこれまたスタートランキングの29位を大きく上回り終了。プライズは10位までだったので入賞はしませんでしたが、満足な結果です。レイティングは+14.8で、Classicalのレイティングより高くつくことになります。

 

最終結果

http://chess-results.com/tnr484680.aspx?lan=22&art=1&rd=8&flag=30

 

 

総じて良い大会でした。

Obrigado!!

 

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Portugal Open 2020 -Second Half-

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後半戦4戦はタイトルホルダーとの対戦でした。まずはポルトガルの若きIMと。2016年のBaku2018年のBatumiではポルトガルのオリンピアード代表です。

 

Baba, Masahiro (FM,2274,JPN)

Sousa, Andre Ventura (IM,2391,POR)

Portugal Open 2020(6)

 

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Be7 6. Re1 b5 7. Bb3 d6 8. c3 O-O 9. h3 Nb8 10. d4 Nbd7 11. Nbd2 Bb7 12. Bc2 Re8 13. Nf1 Bf8 14. Ng3 g6

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[Breyerのメインになりました。それなりに経験のある形でしたが、15... Nb6のあとの指し方が良く分からず、少し不利な局面となります。]

15. a4 Nb6 16. b3 bxa4 17. bxa4 a5 18. Bd3 Qc8 19. Bg5 Bg7 20. Rb1 h6 21. Bd2 Ba6 22. Bb5 c6 23. Bxa6 Qxa6 24. Nh4 Nc4 25. Bc1 d5 26. Qf3 exd4 27. cxd4 dxe4 28. Nxe4 Nxe4 29. Rxe4 Rxe4 30. Qxe4 Nd6 31. Qc2 Re8

[ここまであまり時間を使わず指してきた相手ですが、この1手に45分もの持ち時間を費やしました。おそらく、32. Nf3 Bxd4!? 33. Nxd4 Re1+ 34. Kh2 Qf1のようなアタックが決まるかどうか考えていたのだと思います。]

32. Be3

[とりあえずeファイルへのルークの侵入を防ぎます。32... Nc4には33. Qd3! があるので、このビショップはアタックされません。]

32... Qc4 33. Rc1 Qxc2 34. Rxc2 Rc8?

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[これは大きなミスで、ルークのアクティビティーを失うことになります。このあと「クイーンサイドのポーンをアタックする白 vs クイーンサイドのポーンを守る黒」という構図になり、局面が自分に有利になったと感じました。34... Re4 35. Nf3 Nf5ならc6d4のポーンの交換でイコールです。]

35. Nf3 g5 36. g4 f5 37. gxf5 Kf7

[37... Nxf5には38. Rc5! があります。単純に1ポーンを守って丁寧に指せば白勝ちなので、このあたりから勝ちを意識し始めました。]

38. Rc5 Nb7 39. Ne5+ Bxe5 40. Rxe5 Rd8 41. Kg2 Rd5 42. f4 Kf6 43. fxg5+ hxg5

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44. Rxd5!

[44. Re6+ Kxf5 45. Rxc6とポーンを取りに行くと、45... Ke4でアンクリアーに見えました。]

44... cxd5 45. Bd2 Kxf5 46. Kf3 Kf6 47. Kg4 Kg6

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48. Bxg5

[ちょっと焦りすぎました。こういう場面でこそTriangulationというテクニックが使えます。48. Bc3! Kf6 49. Be1! Kg6 50. Bd2なら手番を相手に渡し、次にチェックでg5のポーンを落とせます。50... Kf6(Kh6) 51. Bxg5+ Kg6 52. Bd2でこれは簡単な白勝ちのエンディングです。もちろん、本譜のようにすぐに取ってもまだ白勝ちです。]

48... Nd6 49. Bd8 Nc4 50. h4?! Ne3+ 51. Kf4 Nc4

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52. Bxa5?

[ここで2パスポーン vs ナイトの幻想が見えてしまいました。52. Bg5ならまだ勝ちに行けたでしょう。]

52... Nxa5 53. Ke5 Nc4+!

[この単純なチェックを見落としていました。]

54. Kxd5 Nb6+ 55. Kc6 Nxa4 56. d5 Nb2! 57. d6 Nc4 ½–½

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[58. d7 Ne5+でドローです。勝てるゲームだっただけに悔いが残りました。]

 

 

続くR.7はポルトガルのDamaso, Rui (IM,2420)との対戦でした。彼は何度もポルトガルの代表としてプレーしてきた、おそらくポルトガルのチェスプレーヤーなら知らない人がいないようなレジェンドでしす。何でも指せるプレーヤーなので有効な対策はできず、とりあえず出たとこ勝負で勝負することに。

 

しかし、ボードに座って対戦を待っていると、なかなか相手が来ません。15分、20分を過ぎても現れないので、さすがに多くのプレーヤーが何事かと思って私のボードのところに見に集まって来ます。30分、40分を過ぎても来ないので、私ももう来ないかと対戦をあきらめかけていました。(60分遅刻で不戦敗)しかし、45分を過ぎたところで相手が現れ、試合開始となりました。

 

45分リードしていたにもかかわらず、ナイドルフの6. Bd3を初めて経験することになり、このゲームは完敗でした。

 

R.8はポルトガルの女子代表WFMと。1900台でしたが、大会を通じて2100台に3勝しているため、実力はもっとありそうです。(最終的に女性のカテゴリーで1位でした。)実際、なかなか優勢にならなかったのですが、最後は相手のミスを咎めて貴重な勝利。

 

 

 

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迎えた最終ラウンドは黒でスペインのIMと。上位に勝つ最後のチャンスだったので全力でゲームに臨みます。

 

Alshameary, Puente Ismal (IM,2385,ESP)

Baba, Masahiro (FM,2274,JPN)

Portugal Open 2020(9)

 

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3

[ここで早くもプリパレーションを外れます。相手のゲームを調べる限り、Kings IndianGrunfeldに対してはg3からフィアンケットを組んでいたので、最もオーソドックスな本ラインはノーマークでした。さらに言えば、相手はGrunfeldプレーヤーであり、こちらのGrunfeldも周到に準備されると分かっていたので、この日はKings Indianのフィアンケットを指す予定でした。しかしながらの3. Nc3で、ここはもう真っ向勝負しかありません。意を決してGrunfeldに飛び込みます。]

3... d5 4. cxd5 Nxd5 5. e4 Nxc3 6. bxc3 Bg7 7. Bc4

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[白番を持って自分の黒番のレパートリーを指される場合、一番指されて嫌なラインを指すのが普通なので、私の相手はこのラインがGrunfeldの白番で強力だと考えているのが分かります。]

7...c5 8. Ne2 Nc6 9. Be3 O-O 10. O-O Bg4 11. f3 Bd7 12. Rb1 Rc8

[12... Qc7がメインなのは分かっていましたが、あえて昔のレパートリーを試してみます。本譜のように、先にRac8だと、Rac8-Rfd8-Be8のセットアップしかできず、Rad8-Bc8のセットアップができないデメリットはあります。もちろん、13. Rxb7? Na5! は白ダメです。]

13. Bd3 Qc7 14. h4!?

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[なりふり構わずh4を突く手は、最近Carlsenも採用していますが、f2-f3で黒マスを弱めている場合、効果がいかほどか分かりません。]

14... Rfd8 15. Bf4 e5 16. Bg5

[16. Bg3には、16... cxd4 17. cxd4 Nxd4! 18. Nxd4 Qc5でセンターを捌いて黒が指しやすいと考えていました。]

16... Re8

[ここでエクスチェンジを捨てて戦おうかとも考えました。具体的には、16... cxd4!? 17. cxd4 Nxd4 18. Nxd4 exd4 19. Bxd8 Qxd8で、白のキング廻りの黒マスが弱くなったのを利用してアタックを考えましたが、20. Rxb7でルークがビショップに当たり、すぐに20... Qxh4と取れないのであきらめました。]

17. d5 Na5 18. Qd2

[18. c4 b5 19. cxb5 c4 20. Bc2 Qc5+ 21. Kh1 Bxb5ならポーンを回収でき、クイーンサイドで手を作れるので問題ありません。]

18... c4

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[前手と違って、Qc5+に対してはBe3と下がる手があるため、b7-b5のブレークは通用しません。ここは白のc3-c4を防ぐしかありません。]

19. Bc2 b6

[c4に飛び込むことができないため、ナイトをb7-d6のルートで戦いの場に戻します。20. d6が少し気になりましたが、20... Qc621... Nb7から、いずれd6のポーンは落とせるだろうと読んで、問題ないと判断します。]

20. h5 Nb7 21. h6 Bf8 22. Kh1 Nd6

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[f7-f5を狙います。f7-f5のあと、f5-f4でキングサイドを固めてしまえば、Nd6-f7などでh6のポーンも落とせ、キングサイドでやりたい放題なので、当然、白はこれを防ぐ1手です。]

23. Bf6! Nb5

[f7-f5ができない今、プラン変更でナイトを別ルートで活用します。]

24. Qg5 Na3

[白がf3-f4とポーンを進めたいのは明らかなため、突いたときに弱まるe4ポーンの守りであるc2のビショップを消しておきます。]

25. Rb2 Nxc2 26. Rxc2 Qd6

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[f6のビショップが動けないのを利用して、単純にh6に突き刺さる邪魔なポーンを取りに行きます。ここからの数手の応酬が、このゲームで最も緊迫した場面です。]

27. f4! Bxh6 28. Bxe5! f6!?

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[28... Bxg5 29. Bxd6 Bh6 30. Ng3は白のセンターを崩せないので却下。28... Qxe5 29. Qxe5 Rxe5 30. fxe5 Re8とエクスチェンジを切って戦うことも考えましたが、いまいちダブルビショップが活きないので、もう少し手をひねって出した答えが本譜です。]

29. Qxh6

[29. Qxf6? Qxf6 30. Bxf6 Rxe4は白のセンターが崩壊。29. Bxd6 fxg5 30. fxg5 Bxg5 31. e5 Bf5! は明らかに黒のダブルビショップが活きてくるので、この展開を狙っていました。]

29... fxe5 30. Ng3 exf4 31. Rxf4 Rf8 32. Rcf2 Rxf4 33. Rxf4

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[Nh5が決定的なスレットになっているので、これに対応しなければいけません。]

33... Qe7!

[落ち着いてこの手を見つけました。ケアレスな33... Qe5? には、34. Rh4 Qg7 35. Qxg7+ Kxg7 36. e5でパスポーンのペアが強力です。いま、白の2連ポーンは一見怖く見えますが、すぐに進める手が無いのと、黒にはb5-b4cポーンをパスポーンにする明確なカードがあるため、局面はだいたいバランスが取れています。]

34. e5?

[e4の好ポストにナイトを持っていくことができるので、一見魅力的な突き捨てに見えますが、しっかりディフェンスがあるのでやりすぎな1手です。おそらく、焦りがあったのでしょう。]

34... Qxe5 35. Ne4 Bf5 36. Qg5

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[36. Ng5 Qg7 37. Qxg7+ Kxg7 38. g4 h6は読んでいた展開で、ピース交換してルークエンディングになったら黒が怖いことは何もありません。次のNf6+が見え、手拍子で36... Rf8と指すのをこらえ、Nf6+が大したスレットになっていないことを読み、次の手を見つけました。]

36... h6!

[これで白は困ります。37. Nf6+ Kf737. Qxh6 Bxe4もマテリアルダウンを避けられないので...]

37. Rxf5!

[ベストチャンスです。それでも黒に正確にディフェンスされると十分ではありません。]

37... Qxf5 38. Qe7

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38... Rf8

[今度はNf6+が決定的なスレットのため、これを防ぎます。気を付けなければいけないのは、38... Qf7?? 39. Qxf7+ Kxf7 40. Nd6+ +-]

39. d6 Rf7!

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[d7のマスをカバーすることで、これ以上のdポーンの前進を止めます。]

40. d7?

[40. Qe8+ Kg7でも、白にこれ以上手はありませんが、本譜は黒にとって簡単になります。]

40... Rxe7

[40... Qxd7?? 41. Nf6+だけはNGです。]

41. d8=Q+ Qf8 42. Qd5+ Kh7 43. Kg1 Qf4 0-1

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[メイトになるか、ナイトを失うかなので、白はここであきらめました。最終戦の大きな勝利です!]

 

 

こうして6.5P/9で終了。最終順位は20位とスタートランキングの47位を大きく上回る結果でした。入賞もあるかなと思いながら最終結果が出るのを待っていましたが、プライズは18位までで入賞ならず。さすがに初戦で負けているので入賞は望みすぎでしょう。レイティングは±0! でした。

 

最終結果

http://chess-results.com/tnr484679.aspx?lan=22&art=1&rd=9&flag=30

 

 

次回はRapidトーナメントのレポートです。

 

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Portugal Open 2020 -First Half-

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Lisbonで開催されたPortugal Openに参加してきました。前々から気になっていたトーナメントでしたが、幸運にも春節休暇と日程が重なったので迷わず参加を決めました。

 

タイムテーブル

1/25(Sat)  14:30  Opening ceremony

1/25(Sat)  16:00  R.1

1/26(Sun)  14:00  R.2

1/26(Sun)  19:30  R.3

1/27(Mon)  19:00  R.4

1/28(Tue)  19:00  R.5

1/29(Wed)  19:00  R.6

1/30(Thu)  19:00  R.7

1/31(Fri)  19:00  R.8

2/ 1(Sat)  14:00  R.9

2/ 1(Sat)  19:00  Closing ceremony

2/ 2(Sun)  10:00  Rapid

 

ポルトガルというと、何といっても遠いのがネックだと思います。(中国からだと日本からよりは気持ち近めですが... 昨年の秋、SeoulからLisbonへのアシアナ航空の直行便が就航したため、だいぶ行きやすくなったとはいえ、13時間半のフライトです。ただ、開催場所がLisbonということで、CappelleBruggeと違って、空港に到着してからさらに移動ということはないのは楽です。

 

大会会場は市の中心部からメトロで数駅離れたところでした。どこに泊まるか考えましたが、平日の試合が19:00開始と遅いこともあり、遅くまで開いているレストランが近くにある市中心部に泊まることにしました。実際、大会会場付近にはあまりホテルや店がなく、他に選択肢はなかったと確信しました。ホテルから大会会場は、メトロと徒歩で30分弱でした。

 

1/25()16:00からR.1開始のため、プレーヤーは15:00までに受付を済ませるルールでした。早めに受付を済ませ、試合開始を待ちました。参加者は220人弱、スタートランキングは47位でした。Portugal Openはポルトガル最大のオープントーナメントで、最もハイレベルです。

 

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今回は夏のBrugge Mastersでフライトがキャンセルになり、初戦に間に合わなかった経験を踏まえ、大会3日前にはLisbon入りしていました。ジェットラグも直して、ある程度ポルトガルの生活に体を慣らして臨んだ初戦でしたが...

 

 

Counhago, Edger (1682,POR)

Baba, Masahiro (FM,2274,JPN)

Portugal Open 2020(1)

 

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 d5 4. Nf3 Bg7 5. g3 O-O 6. Bg2 dxc4 7. Ne5 c6 8. Nxc4 Be6 9. Ne5 Nbd7 10. Nf3 Nb6 11. O-O a5

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12. a4 h6 13. h3 Nc4 14. Re1 Qb6 15. Rb1 Nd5 16. Nxd5 cxd5 17. b3 Nd6 18. Ba3 Ne4 19. Rc1 Rfc8 20. Qd3 Bf6 21. e3 h5 22. Ne5 Bf5

Por2.gif

23. g4! hxg4 24. hxg4 Be6 25. Bxe4 dxe4 26. Qxe4 Qxb3 27. Bc5 b6? [27... Kg7] 28. Rb1 Qxa4 29. Rxb6!

Por3.gif

[このルークでポーンを取る手を見落としていました。ルークでの取りに対しては、横のピンを利用してRxc5が可能だと思っていましたがa8のルークが浮いていることに気が付きます。]

29... Qa2?

[パニック! 29... Bxe5 30. Qxe5 Qd7なら黒OK]

30. Nxg6! Kg7 31. Nxe7 Rxc5 32. Qxa8 Bxe7 33. dxc5 Qd2 34. Reb1 Bd5 35. Qb8 Bxc5 36. Qe5+ 1-0

Por4.gif

[ショッキングな敗戦でしたが、終始、相手の差し回しがソリッドで、決定的なチャンスを作ることはできませんでした。]

 

 

初戦負けたので、しばらくは下位のプレーヤーとの対戦が続きます。結局、R.2からR.5まで4連勝し、前半戦を終了。その中で一番好きな勝ちはR.3のゲームです。

 

Morais, Vitor (NM,1864,POR)

Baba, Masahiro (FM,2274,JPN)

Portugal Open 2020(3)

 

[このゲームはダブルラウンドの日曜日の2戦目です。相手は地元のプレーヤーで、NM(ナショナルマスター)のタイトルを持っていました。NMFIDEの公式なタイトルではありませんが、ポルトガル国内では独自にこのようなタイトルを定めています。今は1800台ですが、1990年代は2200台あったプレーヤーなので、実力者です。]

1. c4 e5 2. Nc3 Nc6 3. g3 Bc5 4. Bg2 d6 5. e3 a6 6. Nge2 h5!?

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[最近はAccelerated Karpov Systemと呼ばれているこのラインを積極的に採用しています。]

7. h4 Nf6 8. d4 Ba7 9. b3 Bg4

[9... Bf5と迷いましたが、単純にd4取りがスレットになっている本譜を選択。]

10. Qd2 O-O 11. d5 Ne7 12. Bb2 Rb8 13. O-O Qd7 14. Rae1?!

[これは少し奇妙な配置に見えました。(普通はRac1 ただ、この後の手で分かるように、c1はナイトのマヌーバリングのために空けたかったということです。]

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14... Bh3 15. Nc1 b5 16. cxb5 axb5 17. e4

[a7-g1のダイアゴナルが開くので、白は指したくない手ですが、d5を守るために仕方ありません。d5の守りであるc3のナイトのポジションをキープしようとして17. b4なら、17...Bxg2 18. Kxg2 Qg4! で、Nf5-Nxh4Qxb4のダブルスレットになります。]

17... Nh7 18. Kh2 Bxg2 19. Kxg2 b4 20. Nd1 f5 21. f4 Nf6 22. exf5 22... Nxf5

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[タイムリーにfファイルを開き、アタックの準備が整いました。]

23. fxe5 Nxh4+! 24. gxh4

[24. Kh1 Qh3+ 25. Qh2 Qxh2+ 26. Kxh2 Ng4+ 27. Kh3 Nf3 -+]

24... Qg4+ 25. Kh1 Ne4! 0-1

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[Qh3+Ng3+など、数多くのスレットを受けることはできないので、白はここでリザインしました。]

 

 

R.6から始まる後半戦はタイトルホルダーとの戦いです。後半戦のレポートは近いうちにアップします。


Portugal Open 2020

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https://www.portugalopen.fpx.pt/

 

期間2020/1/252/2

場所Lisbon

形式

Classical 9R加速スイス式(FIDE公式戦), 90+30/

Rapid 8R加速スイス式(FIDE公式戦), 15+5/

タイムテーブル

1/25(Sat)  14:30  Opening ceremony

1/25(Sat)  16:00  R.1

1/26(Sun)  14:00  R.2

1/26(Sun)  19:30  R.3

1/27(Mon)  19:00  R.4

1/28(Tue)  19:00  R.5

1/29(Wed)  19:00  R.6

1/30(Thu)  19:00  R.7                                    

1/31(Fri)  19:00  R.8

2/ 1(Sat)  14:00  R.9

2/ 1(Sat)  19:00  Closing ceremony

2/ 2(Sun)  10:00  Rapid


2019総括

今年もあと残りわずかとなりました。

例年通り、今年の総括です。

 

2019年の戦績は以下の通り。

 

====================

試合数:25試合(□13 12

結果:(勝ち12 負け6 ドロー7

勝率:62.0%

====================

 

日本を出て14ヶ月が経ちました。今年のチェスは非常に少なめで、まともなクラシカルのトーナメントは4月のSuzhou8月のBruggeでの2トーナメントだけでした。SydneyでのBlitzトーナメント、ShenzhenでのRapidトーナメントなど細かい大会の経験はしましたが、盤上で集中して相手の駒と向き合う時間は短かったと思います。

 

2020年は今年よりは積極的にプレーしたいと思います。まずは年明け2020125日〜22日のLisbonでのポルトガルオープンに出場します。クラシカル9+ラピッド8戦です。今はなるべく色々なトーナメントの経験をしてみたいので、日本国外でのプレーが中心となると思いますが、機会があればNCSでのトーナメントにも参加したいと考えています。

 

それでは皆様、良いお年を!


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