2/23(金)〜2/26(月)にBig Rook Chess Academy主催で7RのFIDE Standardトーナメントが開催されました。このトーナメントは、タイのプレーヤーにとっては今年のチェスオリンピアードの選考も一部兼ねており、トップの戦績のタイプレーヤーと、タイ女性プレーヤーはオリンピアード選考会のreserve枠に内定することになっていました。(代表に内定するわけではない)
大会名にTCA(Thailand Chess Association)が入っているのは、このトーナメントがTCAのオフィシャルなトーナメントだということを示しています。ただし、実態は1クラブが運営する通常のオープン・トーナメントでした。
会場はBig Rook Chess Academyの本拠地で、バンコクでも高級一軒家が多く立ち並ぶ地域の一画でした。
会場は10番ボードまで3Fのスペース、11番ボード以降が2Fの大きなスペースの会場でした。
タイムテーブル:
2/23(Fri) 19:00 R.1
2/24(Sat) 10:00 R.2
2/24(Sat) 15:30 R.3
2/25(Sun) 9:00 R.4
2/25(Sun) 14:30 R.5
2/26(Mon) 9:00 R.6
2/26(Mon) 14:30 R.7
大会は平日金曜の夜からスタート。仕事が終わった後、会場に直行し、エントリーしてそのままR.1をプレーするという流れでした。2/26(月)は祝日だったため、特に休みを取る必要はなく、全ラウンドプレーできました。
今大会は会場のスペースに限りがあったため、参加人数も制限されていました。最終的には制限ギリギリの62名のプレーヤーが参加し、プレーヤーの家族もあわせ、Big Rook Chess Academyは文字通り飽和状態。タイトルホルダーはGM1名、IM1名、FM6名の8人で、前回のBig Rook Chinese New Year Rapidに次いで、2600overのノルウェーのGM Christiansen, Johan-Sebastianもエントリーしていました。
当然のことながらGM Christiansen, Johan-Sebastianが優勝本命とみられて始まったトーナメントですが、GM ChristiansenはR.1のみプレーしたあと、食中毒でその後のラウンドを棄権。本命が消え去り、いきなり優勝の行方は分からなくなりました。(GM Christiansenは大会最終日のBlitzトーナメントには回復して戻ってきました。)
私は勝ちとドローを繰り返して4勝3ドローで5.5Pで終了。上位ボードで戦い続けていたこともあり、最終的に3位入賞を果たし、賞金3,000バーツ(約12,000円)をいただきました。
今大会で一番面白かったのはR.5のゲームで、それまで全勝中の地元タイのFMを追いかける形で1番ボードでの対戦でした。
□Wiwatanadate, Poompong (FM,1986,THA)
■Baba, Masahiro (FM,2184,JPN)
TCA x Big Rook Olympiad Challenge 2024(5)
1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.Bb5+ Nc6 4.0–0 Bd7 5.Re1 Nf6 6.c3 a6 7.Bf1 Bg4 8.d4!?
[…Bxf3に対してgxf3とポーンの形を崩してでもセンターを抑えにいくアイディアは近年よく見られます。]
8...e6 9.d5 Ne5 10.Be2 Bxf3 11.Bxf3 Be7 12.Bf4 Nxf3+ 13.Qxf3 e5 14.Bg3?!
[ここは14.Be3のほうがビショップは働きます。白が気を付けなければいけないのは14.Bg5? Nxd5!]]
14...0–0 15.a4 b5 16.Na3 Qd7 17.Qe2 Rfb8 18.h3 g6 19.Bh2 Nh5 20.g4
[この手には少し驚きました。]
20...Ng7
[20...Nf4 21.Bxf4 exf4とするのは黒のfポーンが弱点になるだけに見えました。]
21.axb5 axb5 22.f4 exf4 23.Bxf4 h5 24.Rad1 Ra4 25.Qf3 b4 26.Nb1 bxc3 27.Nxc3 Rab4 28.e5 hxg4 29.hxg4
[私が期待していたのは、29.e6? gxf3 30.exd7 f2+! 31.Kxf2 Rxf4+–+]
29...dxe5 30.Rxe5 Bd6 31.Re4
[31.Ne4 Bxe5 32.Bxe5 Rxe4 33.Qxe4 Rb4ならg4がチェックで落ちます。]
31...f5 32.Rxb4 Rxb4 33.Bxd6 Qxd6
[33...Rxg4+ 34.Qxg4 fxg4 35.Bxc5は白のdポーンが強力で、果たして黒がクイーンとgポーンで勝てるかはっきりしなかったため、やめました。]
34.gxf5 gxf5?!
[34...Rxb2で...Qh2+を狙うのは、35.fxg6で逆に黒が危なくなります。 ...Qh2+のあとが続きません。黒のここまでの手はe4に白ナイトを飛ばせないように指していたため、あまり考えはしなかったのですが、34...Nxf5が最善で、35.Re1 Rxb2 36.Re8+ Kf7 37.Re2 Rxe2 38.Nxe2 Qe5でまだ黒にチャンスがあったと思います。]
35.Rd2 Qh6 36.Rg2 Rh4 37.Ne2! Kh7 38.Qc3 Rh3
39.Qxh3
[シンプルに駒清算し、イコールのエンディングになります。]
39...Qxh3 40.Rh2 Qxh2+ 41.Kxh2 Kg6 42.Nf4+ Kf6 43.d6 Ne6 44.Kg3 Ke5 45.Nxe6 Kxe6
46.Kf4 Kxd6 47.Kxf5 Kd5 48.Kf6 c4 49.Kf5 Kc5 50.Ke5 Kb4 51.Kd4 Kb3 52.Kc5 Kxb2 53.Kxc4 ½–½
[K vs Kまで戦うファイティング・ドローでした。]
優勝はBig Rook Chess Academy専属のコーチ、フィリピンのFM Jony Hablaでした。
最終結果
https://chess-results.com/tnr883385.aspx?lan=22&art=4&flag=30